DAY1 : Weißkleeに続いて本日行われるDAY2 : Roseは、Roseliaの“これから”の展望がテーマとなっている。DAY2のタイトル「Rose」はもちろん「薔薇」を意味する単語だが、Roseliaのライブタイトルはすべてドイツ語なので「ローゼ」と読むのが妥当だろう。

この日の富士急は雲間から青空を望め、すがすがしい好天に恵まれた。開演時間を迎えると、幾何学的な模様と薔薇のイラストが織りなすライブのタイトルロゴがスクリーンに映し出され、バンドメンバー5人がステージ上へと姿を現した。

DAY2の1曲目を飾ったのは、劇場版「BanG Dream! Episode of Roselia Ⅱ : Song I am.」のオープニングテーマである『Sing Alive』だ。Roseliaらしい重厚で優雅な幕開けで観客を魅了する。

続いて定番の『BLACK SHOUT』が演奏されると、ここで『FIRE BIRD』を披露した。このアッパーチューンを序盤でぶちかましてくるとは、DAY1 : Weißkleeとは明らかに空気感が違うことがわかる。高々と吹き上がる炎の眩しさと熱が客席全体に広がる。遠く富士山まで届かんばかりのVo.湊友希那(CAST:相羽あいな)の力強いハイトーンと、指の先端まで魂が込められた振り付けが相乗効果を生み出していく。

Ba.今井リサ(CAST:中島由貴)
DAY1レポートの写真と見比べると、フィンガーランプ(ピックアップ周辺の黒いパーツ)の有無や形状の違いが確認できるので、ぜひ見比べていただきたい。スラップや指弾き等、彼女のプレイスタイルに応じて楽器も進化している。

クールなベースソロのイントロが特徴的な『R』が続いて披露される。この曲はやはりベースの見所がちりばめられており、Ba.今井リサ(CAST:中島由貴)が随所で魅せるアグレッシブなプレイは必見だ。続いての『Sprechchor』は、変化を恐れずに進歩し羽ばたいてゆく思いが歌われており、まさにこれからのRoseliaの意気込みが感じられるナンバーだ。

続いての『約束』は前日も披露されたが、アレンジが大きく変わっており明確なテーマの違いを感じることができた。DAY1 : Weißkleeで披露されたアレンジが、楽曲の誕生背景や曲作りの過程、成長を描いているとすれば、 DAY2 : Roseで披露されたCD音源に忠実なアレンジは、“この楽曲の完成形をたくさんの人に届ける”という意図が感じられた。

Gt.氷川紗夜(CAST:工藤晴香)

ここで演奏された『閃光』はライブ初披露の楽曲であり、本日のハイライトの一つと言って良いだろう。5月18日(水)リリースのミニAlbum『ROZEN HORIZON』に収録されたこの曲は、ガルパのアーティストタイアップ企画にて、Eveが作詞作曲し、Roseliaへ提供した楽曲だ。従来のRoseliaの楽曲とは音色やフレーズ、世界観がまったく異なる新鮮なナンバーだ。特にハイゲインなギターサウンドが主体だったGt.氷川紗夜(CAST:工藤晴香)がクリーンなカッティングやストロークが主体のプレイを披露し、Roseliaの新しい可能性を体現していた。

続いて披露された『Neo-Aspect』はDAY1 : Weißkleeと共通の楽曲なのだが、曲名や歌詞が表わす“これからのRoseliaが見せる新たな姿”という視点で演奏を見ることで、DAY1 : Weißkleeとは印象が変わって見える。

Dr.宇田川あこ(CAST:櫻川めぐ)
手に持つドラムスティックには、シグネチャーの証であるロゴがはっきりと確認できる。屋外ライブの厳しい環境を考慮してスネアのドラムヘッドは1日ごとに張り替えられており、彼女自身が叩くポイントの目印としてイラストを描き込んでいた。

そして、Dr.宇田川あこ(CAST:櫻川めぐ)によるサビ前のソロ歌唱パートが印象的な『熱色スターマイン』でさらにライブを盛り上げていく。最新曲だけでなく、この曲のように初期の定番曲にも“これから”のRoseliaの展望が込められているのだろう。ここでは観客はペンライトの光を赤くして、声援の代わりに光のエールをバンドメンバーに送っていた。

続いての『“UNIONS” Road』では、Vo.湊友希那のリードで観客も一緒に振り付けを合わせている光景が印象的だった。指を折って数を数えるしぐさは“Roseliaは5人でひとつ”という意味を表わしていて、観客も同じ振り付けで応えることで、Roseliaとファンとの一体感を感じることが出来た。

Key.白金燐子(CAST:志崎樺音)
ローランド製FA-08(正面)では楽曲に合わせた複数のピアノ音色、同じくローランド製JUNO-DS61(右手側)ではリードシンセやオルガンの音色を奏でる。特にFA-08の鍵盤はアコースティックピアノ特有の鍵盤の重みが再現された構造により豊かな強弱表現が可能だ。

今回ライブ初披露となった『Singing “OURS”』。しっとりとしたミディアムテンポな曲で、前半はKey.白金燐子(CAST:志崎樺音)がピアノ伴奏を務めるなか、4人のメンバーがステージ前方に座り、和やかな雰囲気で演奏が展開する。2番からはそれぞれ楽器の定位置につき、バンドサウンドへと展開していく。セットリストの中で特に心が落ち着く癒しポイントだ。

そしてDAY2 : Rose本編の最後を彩るのは『ROZEN HORIZON』だ。Vo.湊友希那からの呼びかけで客席のペンライトが青一色になる。今回のライブ演出の最大の特徴でもある青い炎と相まって、暗闇を覆い尽くす青い光は壮観だ。一面に広がる青薔薇の花畑の中に、Roseliaの5人が堂々と咲き誇っている様な激しくも荘厳なステージで本編を締めくくった。

幕間映像では「ゼロゼリア」という名言(迷言?)が生まれ、公演後もSNS上で話題になるなど、ライブ本編以外でもしっかりと爪痕を残すところも、Roseliaのリアルライブならではの楽しみだ。

Vo.湊友希那(CAST:相羽あいな)

アンコールパートでは、『Song I am.』が披露された。観客も「これがラストの曲だ」と思いながら観ていただろう。しかし、なんと『LOUDER』の演奏へとノンストップでつながり、銀テープが宙を舞った。このサプライズには思わず客席もどよめいた。

この曲は大サビ前のブレイク(間)が特徴であり魅力のひとつだが、今日の演奏ではブレイクを通常よりもかなり長く取っていた。15秒程だろうか…自然と拍手が沸き起こったのは、観客がこの静寂に魅了された証拠ではないだろうか。

『Song I am.』を『LOUDER』に対するアンサーソングとして捉えると、Roseliaのこれまでの過去、今、そしてこれからの未来をつないだセットリストの締めくくりとして、よく練られた最高の組み合わせに感じた。そしてフィナーレには花火が次々と夜空に打ちあがり、2日間のライブを華々しく締めくくった。

2日間を通して振り返ると、Roseliaの“これまで”と“これから”が見事に表現された、とても内容の濃いライブだったことを改めて実感できた。今後も、楽曲やライブのテーマ・コンセプトによって、表現の幅がもっと広く、そして豊かになっていく可能性を感じた2日間だった。9月にも単独ライブが既に決定しており、次はどんなステージを披露してくれるのか、今後も目が離せない。

取材・文:佐々木雅晃
©BanG Dream! ©Craft Egg Inc. ©bushiroad All Rights Reserved.

《SET LIST》
  1. 1.Sing Alive
  2. 2.BLACK SHOUT
  3. 3.FIRE BIRD
  4. 4.R
  5. 5.Sprechchor
  6. 6.約束
  7. 7.閃光
  8. 8.Neo-Aspect
  9. 9.熱色スターマイン
  10. 10.“UNIONS” Road
  11. 11.Singing “OURS”
  12. 12.ROZEN HORIZON
  13. EN1.Song I am.
  14. EN2.LOUDER

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