2021年8月21日、22日に行われたツーマンライブ「The Beginning」から9カ月ぶりにRoseliaが富士急ハイランド・コニファーフォレストに帰ってきた。
ライブのメインタイトルにもなっている劇場版「BanG Dream! Episode of Roselia」や、スマートフォン向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」(以下「ガルパ」)のストーリー内で成長の物語を紡いだRoselia。
今回、DAY1 : Weißklee(ヴァイスクレー)ではRoseliaが“これまで”歩んできた道程がテーマになっている。
DAY1 : Weißkleeの本公演前には、第1回全国高校軽音楽部大会「we are SNEAKER AGES」優勝校の大谷高等学校 軽音楽部(京都)がオープニングアクトに出演し、独自の世界観と見事なパフォーマンス力で会場を大いに沸かせた。
開演時間を迎えると、DAY1のタイトルでもあるシロツメクサ(Weißklee)が一面に咲き広がる優しい風景がスクリーンに映し出され、Vo.湊友希那(CAST:相羽あいな)が単独でステージに登場、『雨上がりの夢』をライブ初披露し観客を驚かせた。この曲はRoselia結成前の湊友希那名義のソロ曲であり、セットリスト上は“0曲目”という位置付けになっている。
また、この日の日中は時折強い雨が降っていたが、この曲に合わせたかのように開演直前から雨が上がり、雨上がりの会場に美しく力強い歌声が響き渡っていた。
曲中に4人のバンドメンバーも続いて登場し、1曲目の『Proud of oneself』へとつながることで、まるでRoseliaの結成を描いているように感じられる華々しいオープニングを飾った。
さらに『BLACK SHOUT』、『Re:birth day』と、Roseliaの初期を代表するナンバーを続けて披露し、観客をRoseliaの世界観へと一気に引き込んでいった。
続いて披露された『約束』は、歌詞中にDAY1のタイトルであるシロツメクサ(Weißklee)が出てくることから、キーポイントのひとつであることがわかる。
曲の前半はKey.白金燐子(CAST:志崎樺音)によるピアノ伴奏とボーカルのみでしっとりと紡がれ、2番からはバンド全体のサウンドへと変化していく。後半、Ba.今井リサ(CAST:中島由貴)とVo.湊友希那が寄りそう姿に観客は胸を打たれる。映像も相まって『約束』という曲が生まれた背景やプロセスが描かれたエモーショナルな演奏で観客を魅了した。
そしてRoseliaの絆を象徴する『“UNIONS” Road』で、会場の一体感を高め、観客の心を温かくしてくれた後に披露された『LOUDER』で会場を大いに驚かせた。
『LOUDER』は「ガルパ」のストーリーに沿う形で、2020年2月に行われた単独ライブ「Rausch」以降、ライブ演奏は封印されており、2年以上ぶりの演奏となった。予想外の展開に観客のテンションは急上昇したに違いない。
そんなクールとアツさが共存した演奏とは対照的に、MCや幕間映像では観客を大いに笑わせてくれるのもRoseliaのライブの特徴だ。
続いての『Neo-Aspect』では、Gt.氷川紗夜(CAST:工藤晴香)が新たなギターを披露した。他数曲でも使用していたが、ピックアップのポールピースが横一文字のブレードタイプになっており、Roseliaの楽曲にふさわしいアグレッシブなサウンドが特徴だ。もちろん元となるギター本体はおなじみの同一モデルだ。激しいサウンドでも動きや佇まいはあくまでクールで優雅なプレイスタイルに、観客は魅了される。
こうした楽器のプレイアビリティに対するこだわりは他のメンバーも強く持っていることがわかる。製品版としての楽器の既存スペックにとらわれることなく、ライブを重ねるごとに本人のこだわりポイントがアップデートされていく点も見所だ。
セットリストも後半に差し掛かり、このあとの『Song I am.』からアッパーチューンが続き、ライブの加速感がさらに増していく。『FIRE BIRD』ではDr.宇田川あこ(CAST:櫻川めぐ)が繰り出す圧巻のビートに呼応するように火柱が何度も高く吹き上がり、そのたびに炎の熱が後方の客席まで届いてくる。観客も応戦するようにペンライトを力強く振り、日が沈み暗くなった会場を真っ赤に染めていた。
疾走感を増していく中、『overtuRe』を初披露し、独特の力強いリフに合わせてメンバーの動きや演奏にも熱量が込められていくのが感じられる。そしてDAY1 : Weißklee本編のラストを飾るのはRoseliaの熱意が込められた『ZEAL of proud』だ。特にセットリストの後半から難易度の高い曲へと変遷していくところに、Roseliaがこれまで歩んできた道程のなかで突破してきた困難や壁、成長を描いているように感じられた。
幕間映像が終わり、アンコールパートでは『ONENESS』が披露された。夜になると底冷えするような気温だが、その寒さを弾き飛ばすような演奏で会場の熱量を高めてくれる。クライマックスでは久しぶりに銀テープが頭上を舞い、観客を大いに沸かせた。
9月に行われる単独ライブのキービジュアルイラストをはじめとした様々な新規情報のお披露目を経て、いよいよDAY1 : Weißkleeラストは、5月18日(水)にリリースされて間もないミニAlbum『ROZEN HORIZON』より、リード曲 『ROZEN HORIZON』を初披露した。
最近のRoseliaらしい疾走感と、初期の楽曲で感じられたメロディアスなハーモニーが感じられ、ひとつの集大成のような感覚を覚えるナンバーだ。『FIRE BIRD』のアンサーソングということもあって、赤い炎とは対照的な、青薔薇を思わせる蒼い炎が曲に合わせてステージ前面に吹き上がる光景はまさに圧巻だ。最後には大きな花火が夜空へと弾け出し、会場のテンションが最高潮に達した。
悪天候が心配される一日だったが、開場から終演時間過ぎまでのあいだ奇跡的に雨が降らずに持ちこたえたことには、Roseliaの力、ファンの力を感じずにはいられない。
Roseliaがこれまで歩んできた険しくも美しい道程を体感させられるライブを目の当たりにし、翌日のDAY2 : Roseは果たしてどんなライブになるのか、期待に胸が膨らむばかりだ。
取材・文:佐々木雅晃
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《SET LIST》
- 0.雨上がりの夢/湊友希那
- 1.Proud of oneself
- 2.BLACK SHOUT
- 3.Re:birth day
- 4.約束
- 5.“UNIONS” Road
- 6.LOUDER
- 7.Neo-Aspect
- 8.Song I am.
- 9.FIRE BIRD
- 10.overtuRe
- 11.ZEAL of proud
- EN1.ONENESS
- EN2.ROZEN HORIZON