Unlock the girls

中盤は切なくしっとりしたアンサンブルで綴る失恋ソング『BOY』など、Unlock the girlsがこれまでとは異なるアプローチで魅了。「友達の命の炎が消えかけているとき、彼女が確かに私のそばにいたことを残したくて書きました。この曲には本当に魂が入ってる気がして、最近になってまた歌わずにいられない感じです」と岸谷が前置きした『Signs』はとりわけ印象的で、温かな眼差しを湛えた歌詞、スケールの大きいボーカルとサウンドに浸り、大切にしたためたその想いを会場の全員で共有するような時間となった。

ゲスト:根本要(スターダスト☆レビュー)

岸谷がタンバリンを持つなどキュートかつポップに聴かせた『PARAISO!』に続いては、2人目のゲストである根本要が登場。岸谷によるエレピの伴奏で“いつまでも いつまでも”と歌い始めたのはそう、スターダスト☆レビューの『木蘭の涙』だ。いきなりの誰もが知る大名曲に、心に澱みなくスーッと染み込んでくるような極上のボーカルに、オーディエンスは息を呑んで耳を澄ませる。声の支配力がとにかく圧倒的で、歌唱後にはその素晴らしさを讃える割れんばかりの拍手があふれた。

最高のリアクションに対し、根本は「ごめんね、暗い歌で。みんな、とりあえず座ってくれよ。こんな葬式みたいな曲をやってどうするんだよな、せっかくの感謝祭でさ」と照れを隠すように笑う。「いやいや、本当にすごい曲ですよ! プリプリの『M』だって暗いじゃないですか」と岸谷がフォローを入れるも、「でも、人が死ぬ曲じゃないだろ~!」と返すなど、とてもメモが追いつかないくらい、マスクをしているこちらもうっかり声を出してしまいそうな、抱腹絶倒のマシンガントークが展開される。

根本要はハンドマイクで歌った『木蘭の涙』を除き、出演した全曲で1958年製でスリートーンサンバーストのFender Stratocasterを使用。これはメイプル・ワンピース・ネックでアルダーボディだ。長年のプレイで1フレットから11フレット付近の指板面が削られてきているのが写真でわかる。

その後もスターダスト☆レビューの楽曲をコラボ。モータウン風の新アレンジを根本が絶賛した『今夜だけきっと』で華やかさを振りまき、会場を一体化させるナンバー『ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス』では、賑々しいムードの中、3本のギターがソロで応酬し合う。さらに、Unlock the girlsが楽器を置き、根本のそばに集まってダンス&コーラスするシーンもあった。そんなアカペラ歌唱を、たくさんの手拍子が温かく包み込む。

私のためにお花畑なコーラスをありがとう」と、和田と同じく女性バンドに入っての初演奏を楽しむ根本。ハードロック調の『AVERAGE YELLOW BAND』も痛快に届け、ついにはプリプリの『Diamonds<ダイアモンド>』まで飛び出す。リリースから約30年が経った今、カントリー風味の増したアレンジで聴けるのも、岸谷と根本がメインボーカルを交互に歌い合う感じも、根本のテクニカルで熱いギターソロもたまらなく心地よかった。

岸谷は『Diamonds<ダイアモンド>』で1975年製のMartin D-41を使用。

Unlock the girls

大きな拍手で根本を送り出し、ライブ後半は再びUnlock the girlsの4人でパフォーマンス。自身の現在地を確かめるかの如く『ハッピーマン』を鳴らしたあとは、「どうもありがとう。今日のイベントは本当にやれるのかなと思いながら、泣きたいような祈るような気持ちで迎えました。感染対策も全力で行なってきた結果、無事に開催できて、こんなに楽しいステージができて幸せです。来てくれたみなさんも、どうぞエネルギーをもらって帰ってください!」と、岸谷がオーディエンスに改めて感謝の言葉を伝えた。そして、奏でられたのは『STAY BLUE』。「清々しい、素晴らしい夏が来て、楽しい一年になることを願っています」という想いを込めた渾身のサマーチューンで、本編を颯爽と締め括った。

アンコール

アンコールでは、出演者がステージに勢揃い。岸谷をセンターに、和田+根本を加えた6人編成で、プリプリのロックンロールナンバー『GET CRAZY!』を披露した。全員のソロ回しがあったり、みんなでモンキーダンスを踊ったりと、音楽の楽しさを噛み締めるようなゴキゲンなセッションでフィニッシュ。最後までこの感謝祭らしい自由自在なコラボで、約2時間半に及ぶ公演は大盛況のうちに幕を閉じた。

取材・文:田山雄士
Photo:MASAHITO KAWAI

《SET LIST》
  1. Unlock the girls
  2. 1.Unlocked
  3. 2.HIGHWAY STAR
  4. ゲスト:和田唱(TRICERATOPS)
  5. 3.FEVER
  6. 4.if
  7. 5.MILK & SUGAR
  8. 6.My Life
  9. 7.ミラーボール
  10. Unlock the girls
  11. 8.BOY
  12. 9.Signs
  13. 10.PARAISO!
  14. ゲスト:根本要(スターダスト☆レビュー)
  15. 11.木蘭の涙
  16. 12.今夜だけきっと
  17. 13.ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス
  18. 14.AVERAGE YELLOW BAND
  19. 15.Diamonds<ダイアモンド>
  20. Unlock the girls
  21. 16.ハッピーマン
  22. 17.STAY BLUE
  23. アンコール
  24. EN1.GET CRAZY!
岸谷香/Unlock the girls

岸谷香 感謝祭2024 トータス松本さん、永井真理子さんのゲスト出演が決定!

「岸谷香 感謝祭2024」
日時:2024年2月23日(金/祝)
会場:EX THEATER ROPPONGI
会場 16:45 / 開演 17:30
全席指定 9000円(税込/ドリンク代別)

「岸谷香デビュー40周年」記念イヤーの2024年!第一弾公演として開催する今回の感謝祭に
トータス松本さん(ウルフルズ)、永井真理子さんをゲストに迎えて晴れやかに開催します!

詳細は岸谷香オフィシャルサイトまで
http://kaorikishitani.com/

MARTIN CUSTOM 00 Style 18 KAORI KISHITANI

「KAORI PARADISE 2021 年末スペシャル」でお披露目された、「Transparent “KAORI” Red」の鮮やかなカラーも印象的なMartin Custom Shop製のカスタムモデルが遂に発売!!

【受注生産】
MARTIN CUSTOM 00 Style 18 KAORI KISHITANI
https://www.kurosawagakki.com/martin/kaori_custom/

岸谷香 Mini Album 『Unlock the girls 3 –STAY BLUE–』Now On Sale!!

“今こそ青空を駆け抜けよう!岸谷 香・富田 京子の盟友コンビによる光輝く青春エールソングを収録!”こんな時代だからこそ精一杯の元気を届けたいという想いから、プリンセス プリンセスの盟友・富田 京子と共に、世代を超えたエールソング「STAY BLUE」を制作。切ない恋愛を歌った「A VISITOR」の作詞には中山 加奈子が参加。岸谷 香率いるガールズバンド”Unlock the girls”のパワーアップした演奏にも注目の、キラキラとした青春を感じる1枚が完成。

SECL-2498 ¥2,400 tax in

<収録内容>
M1:STAY BLUE 作詞:富田 京子 作曲:岸谷 香
M2:Wrong Vacation 作詞・作曲:岸谷 香
M3:A VISITOR 作詞:中山 加奈子 作曲:岸谷 香
M4:charm 作詞:富田 京子 作曲:岸谷 香

各販売サイトはこちらから
https://smer.lnk.to/JPvqfYkq


Larrivee MONO Case
BlackSmoker_BM_MISA BS FUJI 聖飢魔II&DHC
LOVEBITES digimart DIXON