2021.11.27@日本橋三井ホール ライブレポート
2021年11月27日、日本橋三井ホールにて岸谷香ワンマンライブ「やりたくなったらやっちゃいな!Vol.3」が開催された。プリンセスプリンセス時代〜現在までの楽曲の中から全17曲を、自身のバンドUnlock the girlsと共に披露してくれた。その模様をここにお届けしたい。

ステージが今回のライブタイトルのカラーでもあるピンクに染まり、HALNA(Ba.)、Yuumi(Dr.)、Yuko(Gt.)、そして岸谷香が現れると、会場は大きな期待の拍手の音で埋め尽くされる。Yukoの黒いストラトキャスターのカッティングが心地よく響き、岸谷は音の波に乗り大きく体を揺らす。約2年半振りのワンマンライブは、この日のために用意されたアレンジの『DREAM』から開幕した。
2020年のツアーは全部キャンセルとなり、そのリベンジとして準備していた2021年のバンドツアーも全てキャンセルとなった。だからこそより一層高まっていたであろうこの日のライブへの気合いは、メンバーそれぞれの力強いアイメイクや盛りに盛ったヘアスタイルにも表れていた。
「今日が、今年最初で最後のワンマンライブです。皆さんの中に溜まりに溜まったあれこれをぜーんぶ吐き出して帰ってください!今日が、今年1番の最高のダイアモンドになりますように!」と客席に語りかけ『Diamonds<ダイアモンド>』が始まると会場の温度はさらに上昇。ファンも岸谷と同じようにこの日を待ち侘びていた事を、拳を掲げ全身を揺らしながら、全力でステージにぶつけていた。

コロナ禍における自粛期間中の気持ちを表現した『Wrong Vacation』ではYuumiのドラムが溜まった想いを1打1打に込めるように力強くリズムを刻み、拍手や手の動きによるコール&レスポンスでゴキゲンな一体感が生まれる。岸谷の奏でるアコギの音色とメンバーのコーラスに優しく包みこまれた『また恋ができる』、その歌声に怒りさえ感じた『LOVE FLIGHT』、曲中で瞬間的にリバーブや演奏がカットされ岸谷の声だけが響く演出が印象的だった『バタフライ』と立て続けに披露してくれた。
メンバーの素顔が垣間見えるMCから始まったのは『PARAISO!』。「リハや飲みニケーションを重ねてやっと“バンド”になれてきた気がする」と語った岸谷の言葉の通り、この4人で音を奏でるのが楽しい!という想いが全員から伝わってくるようだった。曲の終盤で岸谷はキーボードを弾き鳴らし、そのまま弾き語りで『M』が始まる。空に高く抜けていくようなYuumiのスネアの音に乗り、しっとりと艶のある歌声が体に気持ち良く響いてくる。間奏では岸谷のFender テレキャスターとYukoのGibson ES-355によるハーモニーを聴かせてくれた。演奏する楽器が変わると、同じ曲の中でも岸谷の歌声が変化していく。切なく心細い思いが次第に熱を帯びていくように、心情の変化が豊かに表現され、1秒たりとも目を離す事ができなかった。

続く『Signs』では髪を振り乱しながらテレキャスターで約1分半のエモーショナルなギターソロを披露。曲に込められた“何ひとつ忘れたくない”という想いが音色と共に胸に染み渡ってきた。
さらに『ウェディングベル ブルース』『HIGHWAY STAR』と爽やかなナンバーが続く。『デロリアンドライブ』でタオルを振り回しながら全身で歌う岸谷の姿に、客席も負けていられないと更にヒートアップ。『Unlocked』ではHALNAのプレシジョンベースが実に心地よいグルーブ感を生み出し、気付けば自然と体が弾んでいた。ごちゃごちゃ言わずに今を楽しめ!!というパワフルなメッセージが、自粛期間を経て色々な事を諦めるのに慣れてしまった心にガツンと響き、目が覚めたような気持ちにさせてくれる。

そのまま曲名通りシャウト混じりの歌声で『シャウト!』へ移り変わると、Unlock the girlsの演奏の熱量がさらに高まった。HALNAはプレベを暴れるように弾き踊り、Yukoのレスポールスペシャルの歪みは強くなり、メンバーの魂の全てが演奏にぶつけられているようだった。ガールズバンドだと舐めてかかってはいけない。観ているこちらも全力でぶつかっていかないとやられてしまう、そんな競争心すら生まれてくるほどだった。

「ずっとライブをイメージして、あの曲やりたい!って妄想しているさなか、いつも私が歌っている姿はこの曲でした」という岸谷の言葉から『STAY BLUE』が投げ込まれる。ポジティブでどこか無邪気さも感じるこの楽曲からは、岸谷の生き様が感じられる。飾らない姿と、今この瞬間を生きる事を楽しむその姿勢に、岸谷こそが日本のロッククイーンなのだと思わずにはいられなかった。
アンコールでは、YuumiがデザインしたというTシャツをメンバー全員が着用して登場。クラップを煽り始まったのは『Dump it!』だ。ロックンロールテイストの曲調に合わせて歌い踊る岸谷と共に、会場のボルテージはまだまだ上がっていく。ラストの『ハッピーマン』で人間らしい等身大の姿を歌い上げ、メンバーは最後の1音まで大切に全力で私たちに届けてくれた。

全ての演奏を終えた4人の表情からは、最高に楽しかった気持ちと名残惜しさが感じられる。「ライブでまた会いましょう!」と岸谷は青空のような清々しい笑顔で告げ、深々とお辞儀をして帰っていった。会場の明かりが点いてもなお、終演を惜しむ観客からの拍手は鳴り止まなかった。
曲間で岸谷がギターを交換する際、スタッフに掛けた「サンキュ!」という声が小さく聞こえてくる事があった。パフォーマンス中は歌声や演奏で様々な表情を魅せてくれたが、それ以外にもふとした瞬間に岸谷のキュートな人柄が垣間見えるシーンがあり、そのギャップに胸を掴まれるシーンが何度もあった。「どこからだって何歳だって関係ないでしょう」と高らかに歌い、まさにその通りの生き方を見せてくれる岸谷は、2022年も更なる魅力で私たちの心を揺さぶってくれるだろう。
この日のライブで、2022年2月13日にKT Zepp Yokohamaにて「岸谷香 感謝祭 2022」を開催すると発表した岸谷香。ゲストはスターダスト☆レビューの根本要、TRICERATOPSの和田唱。特別な夜をお見逃しなきよう。
取材・文:上間江望
《SET LIST》
- 1.DREAM
- 2.Diamonds<ダイアモンド>
- 3.Wrong Vacation
- 4.また恋ができる
- 5.LOVE FLIGHT
- 6.バタフライ
- 7.PARAISO!
- 8.M
- 9.signs
- 10.ウェデイングベル ブルース
- 11.HIGHWAY STAR
- 12.デロリアンドライブ
- 13.Unlocked
- 14.シャウト!
- 15.STAY BLUE
- EN1.Dump it!
- EN2.ハッピーマン
岸谷香/Unlock the girls
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