Poppin’Party(以下ポピパ)の愛美(戸山香澄役)と大塚紗英(花園たえ役)の2人による初の全編アコースティックライブ「香澄とたえの放課後居残りツアー」が、大阪、名古屋での公演を経て、横浜でついに千秋楽を迎える。

これまでもポピパは、ライブのセットリストの一部でアコースティックアレンジの演奏を披露する機会がたびたびあった。ファンにとっては親しみのある企画のひとつでもあり、今回のアコースティックライブの実現を待ち侘びていたファンも少なくないだろう。今回は横浜公演 夜の部の様子をご紹介しよう。

ステージに広がっているのは、放課後の夕焼けに染まった学校の教室だ。
黒板の日付は公演日である11月17日(水)と書かれている。後にわかるが、この黒板はただのセットではなく実際にチョークで書き込めるようになっている。 机やイスも本物だ。 また、黒板の上の時計はちょうど放課後の時間を示しているなど、細部までこだわりを感じる。思わず学生時代を思い出してしまうような光景だ。

開演時間を迎えると、会場にチャイムの音が鳴り響き、 愛美(戸山香澄役)と大塚紗英(花園たえ役)が教室にやってくる。
居残りで補習を受けているが、早々と勉強に飽きてギターに手を伸ばしてしまう…そんなリラックスした展開の中、1曲目の『キズナミュージック♪』が披露される。2人の奏でるアコースティックギターの音色と2人の歌声、4つの音だけで紡がれる素朴で温かいハーモニーが会場を優しく包み込む。

愛美(戸山香澄役)

今回のツアーでは演奏と演奏の間に、「放課後補習対決」と題して、2人によるクイズ対決が行われた。横浜公演では、ポピパのメンバーである伊藤彩沙(市ヶ谷有咲役)のアナウンス(音声出演)によって出題される。第1回戦の科目は社会だ。
※同ツアー大阪公演では同じくポピパから西本りみ(牛込りみ役)、名古屋公演では大橋彩香(山吹沙綾役)が出題者(音声出演)を務めた。

大塚紗英(花園たえ役)

続いての『Moonlight Walk』、そして『Hello! Wink!』ではダンサブルなメロディを奏でるパーカッシブなカッティングプレイを披露し、打楽器のような歯切れのいい爽快なサウンドを聴かせてくれた。
観客のハンドクラップが演奏とひとつになって生まれるこの瞬間だけのサウンド…つい身体がリズムをとってしまう。原曲のエッセンスを存分に感じられるアコースティックアレンジも見事だ。

1曲ごとにトークをしながらギターのチューニングをする様子も、普段のライブと違って新鮮に感じた。そして放課後補習対決の第2回戦の科目である国語(大喜利)では、2人の回答に観客からも思わず笑いがこぼれる。

今回のツアーでは、バンドリ!コンテンツの他バンドの楽曲のカバー演奏が各公演での大きな見どころの一つとなっている。
この横浜公演 夜の部ではRoseliaの『Neo-Aspect』が初披露された。歌声、アレンジ、全てが新鮮だ。この楽曲の新しい魅力を感じることができ、2人の演奏によって生まれた化学反応を目撃できた貴重な瞬間となった。

補習対決 第3回戦の体育で盛り上がったあとは、ギターを爪弾きながらのMCで笑い話を織り交ぜながら、これまであまり聞くことができないような自然体な彼女たちの7年間のバンド活動に対しての思いを聞かせてくれた。
その流れにのせて『Returns』の演奏がしっとりと始まる。1番は大塚がメインボーカルを担当し、2番で転調しメインボーカルが愛美へとバトンタッチしていく…大塚の目元にはきらりと光るものが見え、ポピパに対する思いの丈を全力で演奏に込めているのが強く感じられた。

ここで放課後補習対決のおまけコーナーとして、くじで引いたお題に沿って即興の作詞作曲によるオリジナルソングが披露された。その場で生まれたばかりの、他では再現不可能なユニークな世界観を放ち、観客の笑いを誘った。

続いての『ガールズコード』では、愛美が赤い鍵盤ハーモニカも演奏。教室で鍵盤ハーモニカの音が聴こえると、とても懐かしい気持ちになる。
ほんの一瞬詰まる場面があったが、そこはさすがのコンビネーションで瞬時に呼吸を合わせて演奏をつなぐ2人。両名の高い技術と信頼がなせるファインプレーだ。こういった場面もライブならではの楽しいひとときではないだろうか。

続けて『Home Street』も、弾むようなコードストロークに乗せた明るいメロディが心地良い。シンプルな楽器構成ながら、そこから繰り出される音色と歌声の表情がとても豊かで、曲の展開が楽しい。
そして最後を飾った『Live Beyond!!』では、 ステージ背景がポピパのメンバーカラー5色の照明で彩られたのが印象に残った。「その場にいなくても、メンバー、そしてファンは音楽で繋がっている」と、爽快で伸びやかな歌声で伝えてくれたように感じた。

やがてチャイムが鳴り、補習を終えた2人が“蔵”で待つ3人の仲間の元へと駆けていき教室を後にする…温かい拍手の中、今回のツアーは幕を下ろした。

今回のように、席に座ってじっくりと音楽に耳を傾けるアコースティックライブは、昨今の情勢とマッチングが取れた自然な形でエンターテインメントを届けられるスタイルのひとつだと言える。
アコースティックライブはプレイヤーの技量が特に顕著に表れるだけに、愛美と大塚紗英の両者が培ってきた演奏技術や音楽センスがいかにハイレベルなものであるかを改めて実感したステージだった。

従来のスタイルにとらわれることなくチャレンジを行うバンドリ!コンテンツの多彩な魅力がまたひとつ増えたと言えるのではないだろうか。このツアーを観たことで、今後のバンドリ!コンテンツの展開がますます楽しみになった。

取材・文:佐々木雅晃
©BanG Dream! Project

《SET LIST》
  1. 1.キズナミュージック♪
  2. 2.Moonlight Walk
  3. 3.Hello! Wink!
  4. 4.Neo-Aspect
  5. 5.Returns
  6. 6.ガールズコード
  7. 7.Home Street
  8. 8.Live Beyond!!
Poppin’Party

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