トゲナシトゲアリが、2026年5月1日に「トゲナシトゲアリ TOUR 2026 FINAL “拍動の未来 -ENCORE-”」を東京ガーデンシアターで開催した。
2026年3月14日のZeppツアーファイナルにて、サプライズで発表された本追加公演。総集編と称されたステージには、ツアーを通じて積み上げてきた演出が余すところなく詰め込まれていた。
赤い閃光がステージを照らすなか、笑顔で登場した理名・夕莉・朱李の3人。観客からの歓喜の声に、理名は小指を掲げながら応える。

“拍動の未来 -ENCORE-”は、TVアニメ『ガールズバンドクライ』OP主題歌である『雑踏、僕らの街』で華々しく幕開け。続く『ダレモ』では客席から激しいクラップが発生し、はやくも会場に火がついた。


挨拶代わりのMCでは、理名が『ガールズバンドクライ』のキービジュアルが2023年の4月24日に公開されたことを振り返る。その歴史を更新するかのごとく3人が披露したのは、ツアー初披露曲である『蜃気楼ニ問フ』。波打つメロディの途中、ふいに音が消える。静寂のなかで「手を伸ばして叫んだ」という理名の声だけが揺れた。続く『闇に溶けてく』では、ファンの拳がいっせいに空へと向かった。


ここで朱李は「全国6会場7公演を終え、東京に帰ってきました!」と叫び、ツアーを走り抜いてきた喜びをフロアと共有する。そして「アレ、やっちゃいますか?」と横を向くと、それに応えるように夕莉が『空の箱』の弾き語りを開始。これは、本ツアーで披露されてきた演出の一つだ。夕莉の声を受け取るように理名が歌いだすだけで、仁菜と桃香の出会いや関係性が浮かび上がってくる。


続けて披露された『理想的パラドクスとは』では、両サイドのスクリーンがモノクロに映る3人を捉える。原曲よりもバンドサウンドの密度を前に出したようなアレンジのなか、朱李と夕莉が織りなすグルーヴが体に刺さる。
MCでは夕莉が「拍動の未来」について「活動を始めてからいまの私たち、そしてこれからの未来へと繋げていきたい」という想いが込められていると語り、今回の-ENCORE-がツアーの総集編であることを明かす。

その言葉を体現するように始まったのは、朱李が野球愛を長々と語るツアー恒例のくだり。ひと笑い取ったあと『吹き消した灯火』で場の温度を静かに落とす緩急も見せつけた。


『黎明を穿つ』では、理名がスタンドマイクを握り締め、目を閉じたまま歌った。力強さと儚さが同居するその姿に、客席の空気が変わる。その残響を『薄采ディスプレイ』が再燃させるように引き継いだ。

MCで理名が「トゲナシトゲアリをアニメで知った人?」と客席に尋ねると、ほぼ全員の手が上がる。そして「劇場版総集編 ガールズバンドクライ」が公開されたことに触れたあと、前編ED主題歌『命をくれよ』と、前編OP主題歌『もう何もいらない未来』を連続で叩きつけた。
ここで、10分間のインターミッションが。スクリーンに映し出されたのは、ツアーを辿るオフショット映像。移動中や楽屋でのプライベートな場面が次々と流れる様子に、3人の距離感がそのまま切り取られているような温度を感じた。

ステージに舞い戻ったメンバーは『ガールズバンドクライ』はじまりの歌である『名もなき何もかも』を披露。


冒頭、理名のアカペラにエコーがかかり、音に奥行きが生まれる。スクリーンには、仁菜が感情的になるときに滲む赤いトゲが、理名から溢れ出すように重なった。そのまま『視界の隅 朽ちる音』へ流れ込むと、3人はステージを動き回りながら観客と拳をかかげた。
ここで3人は、インターミッションで公開された映像の振り返りをしながら、とにかくご飯を食べていたことを言及。各地で食べた美味しかった食事について、やたらと時間をかけて語った。


そんな和気あいあいとした空気に乗りながら、朱李が「歪みまーす!」と叫ぶと、アニメでもルパが披露した音響確認の演出へ。攻撃的なテンポでタッピングやスラップを炸裂し、開放弦を荒々しく叩き切ったあと「東京ー!」と絶叫。そのまま『空白とカタルシス』へなだれ込むと、客席の興奮が弾けた。



朱李に続くように夕莉も圧倒的なギターワークを解き放ち、ツアーで積み上げてきたものを惜しみなく放出する。客席も声を合わせる『爆ぜて咲く』で会場がひとつになりかけたところで、突然演奏が止まった。
そして理名がボソッと「夕莉ちゃん、結局、食べ物の話ばっかりだったね」と切り込むと、夕莉が「ハッ!」とした顔を見せる。
続けて朱李が「でもさあ、3人ともよく食べて、ちょっと……太ったんじゃない?」と言い放つと、今度は3人そろって「ハッ!」とした。ツアーを通じて繰り返されてきたやりとりに、笑いと拍手が起きる。

そんな空気を断ち切るように『極私的極彩色アンサー』『無知のち私』を披露したのち、理名が「いままでのツアーでは、映画の曲を日替わりでやってきました。 今日は-ENCORE-ということで、もっとやっちゃいましょうか!?」と客席を煽る。後編OP主題歌『arrow』、後編ED主題歌『荊の薔薇』が、続けて解き放たれた。

そして理名にエレキギターが手渡されると『渇く、憂う』が鳴り響く。これまでも理名は自身がギターを持つ楽曲を増やしてきたが、あらためて3人が並んで弦楽器を奏でる姿は壮観だ。
トゲナシトゲアリの面々だけでなく、ライブのなかでファンも一緒に成長をする。『声なき魚』で「うるさいんだよ」と歌う場面では、フロアが理名に続いてコーラスをはじけさせた。


一体感の生まれたステージは、ツアー最後の曲『運命の華』へ。トゲナシトゲアリのステージには欠かせない一曲だが、この夜はこれまでとは異なる演出が待っていた。
3人が身に纏う新衣装は、アニメのなかで仁菜たちキャラクターが『運命の華』を演奏する場面のそれと同じだった。バックスクリーンにはアニメ映像が映し出され、メンバーの動きと重なる。肩のリボンの揺れまで一致したとき、『ガールズバンドクライ』とトゲナシトゲアリの世界が、完全に同じ場所に立った。
贅沢すぎる光景を祝福するように、紙吹雪が舞う。演奏を終えると、メンバーは笑顔でステージを去った。

しかし当然のようにアンコール。暗闇から登場した3人は『誰にもなれない私だから』を届ける。原曲よりもテンポを落とし、理名がギターを両手で抱えながらブレスを取る姿は、それだけで一枚の絵だった。
「-ENCORE-のアンコールありがとうございます!」という理名の一言に客席が唸る。2月から積み上げてきたツアーが、今夜ここで完結すると告げた。

正真正銘のラストソング『最期の禱り』では、ステージからの視点がそのままスクリーンに映し出された。理名の目に映る観客たちの顔が、幸せそうに揺れている。ステージに置かれた仁菜のぬいぐるみを掲げ、理名はその景色をしっかりと見せた。
すべての演出が終わったと思いきや、ここでスクリーンに「特報」の文字が。2026年11月3日に「ガールズバンドクライ Special LIVE “赤色の響祭”」がぴあアリーナMMにて開催されるという報せに会場が沸く。「ガールズバンドクライ 2nd Anniversary LIVE」以来である、作中ライバルバンド「ダイヤモンドダスト」との共演が伝えられたからだ。
異例のツアーファイナルからの-ENCORE-。その先にある未来を指し示してくれた公演の熱は、観客の胸に新たな鼓動を刻んだ。
取材・文:川上良樹
Photo:冨田味我
《SETLIST》
- 01. 雑踏、僕らの街
- 02. ダレモ
- 03. 蜃気楼ニ問フ
- 04. 闇に溶けてく
- 05. 空の箱
- 06. 理想的パラドクスとは
- 07. 吹き消した灯火
- 08. 黎明を穿つ
- 09. 薄采ディスプレイ
- 10. 命をくれよ
- 11. もう何もいらない未来
- 12. 名もなき何もかも
- 13. 視界の隅 朽ちる音
- 14. 空白とカタルシス
- 15. 爆ぜて咲く
- 16. 極私的極彩色アンサー
- 17. 無知のち私
- 18. arrow
- 19. 荊の薔薇
- 20. 渇く、憂う
- 21. 声なき魚
- 22. 運命の華
- <ENCORE>
- EN1. 誰にもなれない私だから
- EN2. 最期の禱り
ガールズバンドクライ/トゲナシトゲアリ
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<LIVE情報>
9月6日(日)
「ASUTO MUSIC PARK2026」
会場:ゼビオアリーナ仙台 / 杜の広場
詳細:https://asutomusicpark.com/
9月12日(土)
「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2026」
会場:千葉市蘇我スポーツ公園
詳細:https://jfes.go.link/d1Zxx
9月19日(土)
「FEST. INAZUMA 2026」
会場:滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場 (滋賀県琵琶湖博物館西隣 多目的広場)
詳細:https://fest-inazuma.com
11月3日(火・祝)
「ガールズバンドクライ Special LIVE “赤色の響祭”」
会場:ぴあアリーナMM
■出演:トゲナシトゲアリ / ダイヤモンドダスト
※その他詳細は後日発表
「ガールズバンドクライ」公式サイト:https://girls-band-cry.com/news/post-473.html
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