みんなきっと、chayのかけた「歌の魔法」に魅了されながら、彼女と人生を歩み続けていくに違いない。
通算6枚目となるアルバム『THE』を手に、1月よりスタートしたchayの全国ツアー「chay “THE” tour 2025」。同ツアーのファイナル公演が、3月22日にZepp Shinjuku(TOKYO)で行われた。2月には、『あなたに恋をしてみました』の発売から10周年を迎えたことで、『あなたに恋をしてみました 10周年記念ver.』も配信リリースになっている。ここでは、ツアーの最終日となったライブの模様をお伝えしたい。

暗くなった場内に流れだした、美しいピアノの音色。背景からは、鳥のさえずりや虫の声などが響き渡る。まるで美しい緑に囲まれた自然の中にいるようだ。やがて、壮麗なストリングス系の音が流れだすと獣たちの声も聞こえるなど、そこは広大な野生の地へと変貌していく。気づけば、大きなスクリーンには野生の動物たちが大自然の中で“生きる”ことを謳歌する姿が映し出されていた。そこへ流れだした、原始のリズムにも似た心を踊らせるドラムのビート。そのリズムの上に乗り出した演奏は、やがてキラキラとした色も放つ『Beyond』へ。大きなスクリーンに映し出されたシルエット。彼女が「夢を口にすれば現実見なよと 諭されて諦め心刻まれ」と『Beyond』を歌いだすのにあわせて巨大な幕が落ち、chayが姿を現した。彼女は、美しく伸びのある歌声を響かせていた。その美しい歌声には、今のchayが抱く強い意志が漲っていた。自らの思いを純粋に信じたまっさらな心の自分になり、改めてここからさらに大きく踏み出そうとしていた。その姿へエールを送るように演奏も力強く躍動し、壮大な世界を描きだす。終盤に響いた壮大なコーラス。その声の重なりは、chayの生きる様を力いっぱい後押ししていた。

ギターを手にしたchayが、軽快に駆けだした演奏に乗せて軽やかにストロークする。彼女が弦を掻き鳴らすたびに、心がときめきだす。うつむいた顔や気持ちを前向きにしてゆく楽曲だ。『Twinkle Days』に触れていると、chayの歌声の魔法によって、心の中に晴れた景色が広がってゆく。楽曲が軽やかに速度を上げるたび、ときめいた気持ちにも光がどんどん差し込んでゆくようだ。気づいたら顔が緩み、笑顔を浮かべていた。
アコギに持ち替えたchayが、情熱的な声で『笑顔のグラデーション』を歌いだした途端、フロア中の人たちが掲げた手を大きく左右に振り、高まる思いをステージ上の彼女に送っていた。キラキラと輝きを放つ音が連なる演奏や、力強くも晴れた声を響かせるchayの歌に合わせ、一緒に眩しい未来へ向けて走りだしたい気分だ。

白いスポットライトに照らされたchayが歌いだしたのが、『真夏の惑星』。ドキドキする瞬間を重ねるたびに、自然に心が弾みだす。彼女が連れ出した夏景色の中、ワクワクした気持ちに染まった大勢の人たちが、振り上げた手やペンライトを揺らし、chayと一緒に“ときめいた”このひとときを笑顔で楽しんでいた。女神のような彼女の歌声に触れていると、気持ちが自然と駆けだしてゆく。
次に届けた『LOOP』は、最新作『THE』に収録した楽曲。甘く囁くように歌うchayの声が、とてもムーディーに思える。彼女が振り上げた手を左右に大きく揺らして歌う姿に触れ、フロアでも動きを真似る人たちも。様々な曲調があれど、最新作の『THE』に収録した曲たちは、触れた人たちの気持ちを未来へ動かしてゆく。だから、歌声に心地好く心を揺らしながらも、言葉の一つ一つを大切に抱きしめていたのかも知れない。

一般的なギターと同じチューニング・演奏性でバンジョーサウンドを奏でられるDean Guitars製の6弦ギターバンジョー。『Kiss me』では8フレットにカポをつけて使用された。

chayはギターバンジョーを手にしていた。ドラム以外のメンバーたちも、12弦のアコースティックギター、アップライトベース、ヴァイオリンへと持ち替えた。その編成で届けたのが、『Kiss me』。優しくも温かいバンジョーギターの音色に乗せて、演奏がスタート。アコースティック寄りのカントリーミュージックスタイルで演奏をするその様や奏でる音楽は、民族系の楽曲を、旅をしながら歌い奏でる楽団のよう。とても心地好い響きが胸いっぱいに広がる。その様は、まるでポケットサイズの小さな世界の中を、身近に寄り添いながら音楽の旅を巡っているようだ。古の音色に乗せ、一緒に手拍子をしながらはしゃいでいたい。そんな風に感じながら、しばし温かい刺激に酔いしれていた。
続く楽曲でchayは、ギタレレに持ち替えて演奏。『Beautiful Days』でも、chayを筆頭とした旅団の奏でる心地好い音楽に触れながら気持ちを弾ませていた。この曲では、chayと一緒に観客たちがハミングするように歌う場面も登場。ステージの上から吹く音の風に乗って心地好く跳んでいたい気分だ。気づいたら観客たちは、たくさんの花々が咲き誇る草原の中、ブンブンと羽根を鳴らす蜜蜂になり、chayの歌う声の風に乗り、甘い音の蜜を集めるように彼女の回りを跳び続ける気分になっていた。
次に歌ったのが、chayがデビュー前に路上活動をしていたときから好んで歌っていた『Together』。自らの原点となる気持ちを揺り戻すように、chayは愛しさと温かさを持った声を響かせて「Together Together」と歌っていた。歌詞に綴った「君と出会えたことが何よりも嬉しくて、ずっとそばにいるよ」の歌詞通り、chayも、この場に足を運んだ一人一人も、出会えたことの喜びを、心地好く駆けるこの曲に身を預けながら改めて感じていた。だから、思わず一緒に「Together Together」と優しい声で口ずさんでいたのかも知れない。

温かいピアノの音色を背景に、朝の始まりを告げるようにchayは、深い思いを込めた声で『いつもいつまでも』を歌いだした。大切な人と作っていくこの時間をずっとずっと大事にしていこうと歌うこの曲は、ラブソングという形を通してファンの人たちと繋がりあえる幸せや、これからも繋がり続けていくことを願う歌のようにも胸に響いていた。美しく澄み渡るchayの歌。その声の中には、幸せという思いを噛みしめたときのような匂いも覚えていた。

『You』で使用されたギターは、chayの歌手活動10周年記念に長年愛用してきたギターブランドZemaitisとのコラボレーションで製作されたchay 10th Anniversary Year Model。chay本人のアイデアによるシースルーホワイトのボディにパールホワイトのハート型インレイという意匠も美しい。
アコギを弾き語りながらchayが歌いだしたのが、『You』。彼女が爪弾くたびに、chay自身の歌声も、揺れ動く感情の風となって胸にそよいできた。今にも壊れそうに儚い歌声だ。この曲でもchayは、大切な人へ向けての愛しい思いを言葉にして伝えていた。いつも会えるわけじゃないけど、たまにはこうやって出会い、素敵なひとときを過ごせる。そんなファンたちに向けた思いの歌にも感じていた。
大きな窓を背景に歌ったのが、『Uncontrolled』。この曲を歌うchayは、周りに何をいわれようと、私は私を信じて生きていくと自らに言い聞かせるようにも見えていた。その意志が強くなるにつれ、歌声や楽曲が膨らみだし、次第にスケールを大きくしてゆく。いつしかchayは、「邪魔するものを蹴散らして 見たい景色を見るのよ」と歌いながら、自らの強い意志の花を咲かせていた。
続く『I am』でもchayは、しっとりとしたピアノの音色や、自ら奏でるアコギの演奏に乗せ、自身が胸に抱いた気持ちを確かめるように切々と歌っていた。そこへドラムのキックビートが加わりだし、歌声や演奏が強さを増すごとに、そこへ他の楽器陣も加わりだす。ストリングス系の音色が広がりだした途端、演奏は一気にスケールアップ。この日『I am』を歌ったのは、自分を信じて歩むことを歌った曲たちを多く収録した最新作『THE』を軸に増えた今回のライブに、人の顔色を伺うんじゃなく、自分の言葉で伝えようと歌う『I am』を並べることで、より歌に深みと説得力を増すと感じたからだろうか。歌詞に込めた思いのひと言ひと言に強く気持ちを込めて歌うchayの姿が眩しかった。曲が進むにつれスケール大きな世界へと曲が広がり、確かな意志を記したこの歌に、気持ちを嬉しく奮い立てられていた。

『まやかし』で使用されたのはブラックカラー/ローズウッド指板仕様のストラトキャスター。
ライブも終盤へ。一部の世の中の人たちの身勝手な声に反旗を翻し、自らの意志を信じて突き進む姿を宣言。chay自身の胸の内に渦巻いていた感情をぶつけた、『まやかし』の登場だ。この曲を歌っているときのchayは、これまでのように寄り添う視線ではなく、自らの気持ちを奮い立て、信じた思いを心の中へ開いた人生というノートへ、消えない思いの言葉として筆力強く綴るように歌っていた。一つ一つの言葉が気持ちを大きく揺さぶる。その言葉のひと言ひと言をchayの心の叫びとして、誰もがしっかりと胸に刻んでいた。

湖岸に打ち寄せる波の音。晴れた音が踊りだすように流れるのに合わせ、chayが心を弾ませ『Summer Darling』を歌いだした。chayとファンたちが一緒に「Oh Oh Oh Oh」と歌声を交わしあい、肌に夏風を感じながら、タオルを振り回して一緒にはしゃいでいた。細かいことは気にしない。気持ちが騒ぐまま、手にしたタオルをchayと一緒にクルクルと振り回し、思いきりはしゃげばそれでいい。気づいたら、彼女と一緒にその場で飛び跳ねていた。出来る範囲とはいえ、思いきり身体を揺らし、タオルを振り回しながら、chayと一緒に「Oh Oh Oh Oh」と歌っていた。
続く『DREAM SNIPER』でも、フロアにはタオルを振り回しながら夢中ではしゃぐ人たちがあちこちにいた。chay自身も、胸の内のエンジンを奮い立て、晴れた歌声を響かせていた。サビでは、chayとファンたちが一緒に飛び跳ねる景色も誕生。この曲でも、彼女と一緒に「oh oh!」と声を上げながら、気持ちを一つに重ねあっていたかった。気づいたら、chayとファンたちが、心の通じ合った関係で「oh oh!」と声を交わしあっていた。

ボディトップ全面にラインストーンによるデコレーションが施されたテレキャスター。この日は『Twinkle Days』と『あなたに恋をしてみました』で使用された。
最後に歌ったのが、chayの顔となる楽曲であり、リリースから10周年を迎えた『あなたに恋をしてみました』。歌う前に彼女は、この曲をレコーディングするときに「10年後も愛される歌にしよう」という思いを持って作ったことを語っていた。その言葉通り、『あなたに恋をしてみました』は10年経った今も愛されているのはもちろん、この先10年後も20年後も、永遠に愛され続けてゆくエバーグリーンな楽曲になるに違いない。この日のライブには、『あなたに恋をしてみました』と出会ってchayのファンになった人たちも大勢いた。時期は異なれ、『あなたに恋をしてみました』に恋をして、今でもずっとchayに恋をし続けている人たちも大勢いた。みんなきっと、chayのかけた解けることのない「恋の魔法」ならぬ「歌の魔法」に魅了されながら、これからも彼女と人生を歩み続けていくに違いない。心がカラフルにときめく、恋の初期衝動をずっとずーっと感じていける楽曲だ。終盤、観客たちだけで「あなたに恋をはじめました」と歌う様や、chayと一緒に歌を掛け合う姿に、体温以上の熱を上げずにいられなかった。そう、この曲に一度でも魅了されたら、chayの魔法はけっして解けやしない。


アンコールの最初に歌ったのが、『大切な色彩』。軽やかに駆けだす演奏の上で、晴れた歌声を爽やかに響かせるchay。今はこの瞬間瞬間を、巻いた胸のフィルムの1枚1枚にしっかりと焼き付けたい。いや、そんな細かい表現は、今は置いておこう。だって、楽しいんだもの。chayと一緒にあの頃に戻るのではなく、彼女と共に、今だからこそ感じられる“青春”という景色を一緒に描けたことが本当に嬉しかった。

最後の最後にchayは、アコギを手に、優しい歌声で『それでしあわせ』を歌ってくれた。ライブならではの真心を覚える演奏を背に、「しあわせのありかはきっと 自分の心の真ん中」と彼女が歌う度に、幸せのありかは自分の心もそうだけど、chayのライブにあるんだと改めて感じていた。本当に、素敵な一夜だった。だからまた、「しあわせのありか」を求めて、chayの元へ足を運びたい。
TEXT:長澤智典
《SET LIST》
- 1.Beyond
- 2.Twinkle Days
- 3.笑顔のグラデーション
- 4.真夏の惑星
- 5.LOOP
- 6.Kiss me
- 7.Beautiful Days
- 8.Together
- 9.いつもいつまでも
- 10.You
- 11.ねえ
- 12.Uncontrolled
- 13.I am
- 14.まやかし
- 15.Summer Darling
- 16.DREAM SNIPER
- 17.あなたに恋をしてみました
- -ENCORE-
- EN1.大切な色彩
- EN2.それでしあわせ
chay
chay “THE” tour 2025 オフィシャルライブ映像リリース決定!





2025年、オリジナルアルバム『THE』を引っさげて開催した全国ツアー「chay “THE” tour 2025」より、感動と熱気に包まれた東京公演の模様を完全収録!
“これが私。本当の私。”という強い想いを込めて制作されたアルバム『THE』の世界観を、ステージ上で表現。chay自らが演出や構成をプロデュースし、映像・照明・セットすべてにこだわり抜いた圧巻のライブパフォーマンスが実現しました。
心を揺さぶるバラードから、会場を一つにするポップナンバーまで、chayの魅力が余すところなく詰まったセットリスト。
最新曲「Uncontrolled」「まやかし」や、代表曲「あなたに恋をしてみました」はもちろん、アルバム『THE』の収録曲を中心に、今のchayの“想い”が凝縮されたライブを是非ご堪能ください。
視聴チケットはこちらから
https://chay-officialstore.com/
chay 初のカバーアルバム「Humming」が8/17(日)にリリース決定!7/26(土)にカバーライブも開催決定!
chay初のカバーアルバム「Humming」が8月17日(日)にリリース決定!
さらに、chay初のカバーライブ開催決定!
7月26日(土)品川Club eX
アルバムリリースを記念して、chay初となるカバーライブの開催が決定しました!
新たな編成でお届けする今回のライブでは、収録曲をいち早く、どこよりも先にお届けします。
思わず“Humming”したくなるような、心温まるライブになる予定です♪
chay Best Album『Heart Box』好評発売中!

chay初のベストアルバム『Heart Box』。2012年のデビュー年に発表した「はじめての気持ち」、未だ多くの人の耳に残る大ヒット曲「あなたに恋をしてみました」、デビュー前に路上ライブを行なっていた頃から現在まで歌い続けるファン待望の初CD音源化となる「Together」、さらに長らく愛され続ける「Twinkle Days」「それでしあわせ」を最新アレンジで収録!そして結婚発表後に制作された渾身のラブソング新曲「花束」「永遠の針」の2曲が収録された全16曲!家族、恋人、友達、大切な人へ贈りたい、心温まる楽曲が詰まった”あなたの幸せな場所へ寄り添う一枚に”と、chayからの“心”を込めた贈り物となっている。
(通常盤)2,750円(税込)/WPCL-13205
(初回限定盤)4,950円(税込)/WPCL-13208