バンドリ!プロジェクトの原点であり、今もなおコンテンツを率いて走り続けるリーダーバンドPoppin’Party(以下『ポピパ』)。今日、彼女たちの結成10周年を祝した10th Anniversary LIVE「ホシノコドウ」が開かれた。
筆者も比較的早いタイミングからバンドリ!プロジェクトを知る人間のひとりとして「もう10年も経ったのか」と、時の流れの速さに驚くと同時に感慨深さを覚えた。
ガールズバンドを題材としたアニメが数々誕生し、まさに“ガールズバンドブーム”を現在進行形で体感しているが、メディアミックスプロジェクトとしての展開も少なくない。やはりその元祖は『バンドリ!』そして、日本武道館で3度目の単独公演を実現したポピパではないだろうか。
平日にもかかわらず、立ち見エリアが設けられるほど多くのバンドリーマーがこの記念すべきライブへと駆け付けていた。公演が始まる前から、ライブに対する期待感に加えて、10周年を迎えたポピパへのお祝いムードも高まり、ファンの高揚感もいつにも増して高まっているのが感じられる。
開演時間を迎え、TVアニメのワンシーンや、これまでのライブ映像などを織り交ぜたメンバー紹介が画面に映し出される。
きらきら星を歌いながらGt.&Vo.愛美(戸山 香澄 役)がステージに登場する。このフレーズはバンドリ!の小説に登場する一節だ。
星の光をたどって歩いていくと、そこにはおなじみのギター、赤いランダムスターがある。
ギターを嬉しそうに抱きしめ、アニメ初期のストーリーを彷彿とさせる演出に歓声が起こる中、4人のメンバーもステージに登場し、『ときめきエクスペリエンス!』が披露された。TVアニメ「BanG Dream! (バンドリ!)」のオープニングで親しまれてきたナンバー、まさに今日のライブのスタートを飾るにふさわしい。続いて『ぽっぴん’どりーむ!』の跳ねるようなリズムと楽しい語感に乗せて観客も楽しそうな表情でジャンプ。間奏のソロパートにメンバー紹介をリズミカルに織り交ぜ、序盤からテンションがグイグイと高まっていく。

公演中、3種類のESP RANDOM STAR Kasumiを使用した。シンプルなレッド、懐かしい赤と黒のチェック模様、ポピパメンバー5人のキャラクターカラーがあしらわれたRANDOM STAR Kasumi IIIだ。 LEDが組み込まれ、ボディや指板の星マークがキラキラと点滅し、ステージ上で鮮烈な存在感を放っていた。近年のこだわりに合わせていずれの個体もP90タイプ・ピックアップ(Seymour Duncan SP90-1n Silencer & 1b Silencer)に更新されている。常に安定した歌声からも、積み重ねてきた10年のキャリアを感じる。さすがバンドリ!プロジェクトのリーダー的存在といった貫禄だ。
「だけどまだまだこんなんじゃ足りな~い!!」
キラキラにデコレーションされた赤いメガホンで観客を煽り、パワフルでアップテンポなナンバー『TARINAI』をぶちかます。疾走感あふれるハードロックサウンドにコール&レスポンスが相乗して会場の熱が高まっていく。

MCをはさみセンターステージに移動すると、ここからは各メンバーがセレクトした “スターソング”を披露していく。

ベースのボディが膝にかかるほど低いポジションで構え、モーションもアグレッシブなプレイスタイルで観客を圧巻。この楽器を構える位置やプレイスタイルは、10年前のデビュー当初からだいぶ変化しているようだ。ESP VIPER BASS Rimiと、ESP AMAZE BASSを元にしたカスタムモデル2種、合計3モデルをメインに使用。そのうち1本はフレットレス仕様になっている。エッジとアタックの効いたスラップから甘くメロウなトーンまで幅広く奏でる。今回の公演に臨むにあたり髪を40センチも切り、ビジュアルも徹底的にキャラクターに近づけるこだわりも注目だ。
いちばん星“スターソング1曲目”は、Ba.西本 りみ(牛込 りみ 役)セレクト曲『私の心はチョココロネ』だ。シンプルなバンドサウンドをベースの甘いトーンで包み込み、キャラクターの個性を感じられる優しいサウンドで観客を魅了した。
続いての『夏空 SUN!! SUN! SEVEN!』はKey.伊藤 彩沙(市ヶ谷 有咲 役)によるセレクトだ。
バンド活動初期から、振付を観客にレクチャーしてダンスやクラップをリードする役目を担っており、ポピパのライブにとってキーボードの演奏と同じくらい重要な要素だ。ポピパらしさを象徴し、観客のライブ体験にも楽しいアクセントを加えてくれる。

メインとなるのはPearl製Reference PURE(現Reference One/メイプル・マホガニー・バーチのコンポジットシェル)セットを基軸に、メタル製スネアドラムSensitoneをベースにしたオリジナルモデルのプロトタイプ、そしてSABIAN製HHXシリーズを主としたシンバル9種を組み合わせている。バスドラムの前に置かれている黒い物体はAVANTONE製KICK(バスドラム用マイク)だ。演奏中もいつもにこやかな癒しキャラとしても、リズム隊としてもポピパの土台をしっかりと支えてくれる。加えてセンターステージ用、メインステージ用にスタンディングドラムを2セット設け、ライブ中の要所でダンスパートを披露し観客を大いに楽しませてくれた。
Dr.大橋 彩香(山吹 沙綾 役)がセレクトした“スターソング”は『夢みるSunflower』だ。ポピパに出会ってなかったらこんなにたくさんの思い出を作れなかった。感情がこもったドラムの演奏と、本公演のために特別にアレンジされたソロ歌唱パートの歌い分けによって、一層エモーショナルなステージが展開していく。

ボディのハードウェアやミラーピックガードがゴールドフィニッシュに替えられたESP SNAPPER TAEを使用していた。リアピックアップがシングルサイズ・ハムバッカーのSeymour Duncan “Red Devil”に換装された個体をメインに使用しているが、『Yes! BanG_Dream!』では原点回帰ともいえる3シングルコイルの個体も使用。余分な飾り気のないシンプルなクリーントーンからハイゲインなリードサウンドまで、ギターのポテンシャルを存分に引き出す迫力のプレイでバンドサウンドをド派手に彩る。
スポットライトを当てられたGt.大塚 紗英(花園 たえ 役)がセンターステージへと歩み出て一礼する。ソロ弾き語りスタイルで『Returns』を演奏。ギター1本のクリーントーンと表現力豊かな歌声がしっとりと会場を包み込んだ。
「私、ポピパが好き」
その言葉を合図に5人によるバンド演奏へ展開し、観客の心を強く震わせた。

愛美がセレクトした『Live Beyond!!』が披露されると、メンバーの素晴らしい演奏とまぶしい笑顔が輝き、それに応えるように観客からの熱いエールが沸き起こった。バンドやライブにかかわるすべての人に向けた感謝と、その先への成長や躍進といったポピパらしい青春がギュッと凝縮されたステージは胸を熱くさせる。
“スターソング”5曲を演奏後、MCで5人が曲をセレクトした理由やそれぞれの楽曲に対する思い入れを明かしてくれたことで、楽曲やバンドに対する理解が深まった。まだ前半だが、非常に密度の高い充実したライブが展開されている。

後半に差し掛かり、『イニシャル』、『ティアドロップス』とエッジの効いたアッパーチューンをノンストップで披露し、楽曲のビートに乗せて観客の熱量を一気に引き上げる。コールや声援の力強さがアップしたのがビリビリと伝わってくる。ライブの展開をキリっと引き締めるスパイスになっている。
MCでは結成当初のエピソードや、10年間で積み上げてきた様々な想いをステージ上で振り返りる。涙を浮かべるメンバーを全員で気遣う場面もあり、あらためてポピパの絆の強さを感じられた。

『二重の虹(ダブル レインボウ)』のクライマックスでは、センターステージに伸びる花道がレインボウカラーに彩られ、虹の架け橋を走り抜けるようなエモーショナルなシーンが印象深い。

メインステージのセットはRoland JUNO-DS61WとRoland RD-2000のコンビネーション。『ぽっぴん’どりーむ!』のソロパートではグリッサンドを織り交ぜたテクニカルなフレーズを披露。また、センターステージではRoland FA-08を使用した。さらに『キラキラだとか夢だとか 〜Sing Girls〜』ではショルダー・シンセサイザーRoland AX-Synthも駆使する。『Yes! BanG_Dream!』では白い星型タンバリンも使って観客のクラップをリードして楽しませてくれた。マスコット的な愛らしさとテクニカルな演奏をマルチタスクにこなす姿はいつ観ても圧巻だ。
さらに『キラキラだとか夢だとか 〜Sing Girls〜』ではショルダー・シンセサイザーを持ったKey.伊藤 彩沙がギター&ベースと一緒にセンターステージまで出て、観客との絆を確かめ合うように演奏していた。続いてここでDr.大橋 彩香がスタンディングドラムセットに移ったことで、両手で輪を作る『CiRCLING』の振付を全身で大きく笑顔で披露してくれた。
明かりが消え、スマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』のストーリー映像が上映される。これは今回のライブのために誂えた限定ストーリーだ。

日本武道館の天井いっぱいに星空が映し出される。その美しい光景に、客席からは息を呑むような歓声が起こる。あまりにもエモーショナルな導入で、花咲川女子学園の制服に身を包んだメンバーがステージに登場し『STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜』を披露した。ラストのコーラスは観客も一緒に歌い、会場中の一体感がピークに達した。圧倒的な世界観で観客を虜にする、素晴らしいライブ体験だ。
「今日までの全部のホシノコドウを胸に、ポピパは新しい明日へのドアを開きます!」
高らかな宣言と共に、ライブ初披露曲『Tomorrow’s Door』の演奏が始まると共に金テープが大きく舞い上がった。新たな道を進む爽快感の中にポピパの原点といえる『Yes! BanG_Dream!』のエレメントが随所に散りばめられた、ファンにとってはたまらない新曲で本編を締めくくった。
アンコール1曲目は、音源化から5年の時を経てライブ初披露となった『アニバーサリー』だ。まさに10周年を祝うにふさわしい楽曲ということで、この日のために温めていたのかもしれない。
なんと5人がステージではなく、客席のあるアリーナに登場するサプライズで会場を大いに沸かせた。客席を練り歩き、ファンとコミュニケーションを交わしながら歌う特別なひとときを届けてくれた。
いよいよアンコールの最後は、ポピパの始まりの歌『Yes! BanG_Dream!』を披露。まさに10年にわたる歴史を感じさせる見事なステージを観客へ届け、深々と頭を下げて改めて感謝を伝えるポピパ5人。
ライブがすべて終わったかと思ったその時、会場中の観客がお祝いメッセージが書かれた紙を掲げて一斉に広げた。心温まる粋な計らいに5人も驚きを隠せない。入場時に配布されたもので、観客とスタッフが一丸となったサプライズは見事大成功だ。
感謝の気持ちを込めて、ダブルアンコールとして『キズナミュージック♪』を披露してくれた。抑えきれない感動や熱い気持ちをかみしめながら演奏しているのが、ひしひしと伝わってくる。クライマックスでメンバーのメッセージが書かれた星型の紙ふぶきが舞い、会場のテンションが最高潮に達したところでフィナーレを迎えるのだった。
これまでの数多くのライブを重ねて、エモーショナルな場面は幾度となくあった。
だが、かつてあっただろうか。バンドに関わるすべての人たちの絆の強さをこれほどまでに実感できるひとときが。
ポピパメンバーはもちろん、バンドリーマー、そしてスタッフにとっても、間違いなく並々ならぬ特別なライブだった。いつまでも初々しさを大事にしながら、10年というキャリアに裏付けられた実力で見事に大成功をおさめたPoppin’Party。「未来でまた会いましょう!」と高らかに宣言してくれた。
スタート当時は“10周年”は大きな目標だったが、今のポピパにとっては通過点のひとつだ。2026年1月の単独ライブも決定し、彼女たちの勢いはまだまだ止まらない。
©BanG Dream! Project
Photo:福岡諒祠(GEKKO)、Lin Okuno(GEKKO)、池上夢貢
取材・文:佐々木雅晃
《SET LIST》
- 1. ときめきエクスペリエンス!
- 2. ぽっぴん’どりーむ!
- 3. TARINAI
- 4. 私の心はチョココロネ
- 5. 夏空 SUN! SUN! SEVEN!
- 6. 夢みるSunflower
- 7. Returns
- 8. Live Beyond!!
- 9. イニシャル
- 10. ティアドロップス
- 11. 二重の虹(ダブルレインボウ)
- 12. キラキラだとか夢だとか 〜Sing Girls〜
- 13. CiRCLING
- 14. STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜
- 15. Tomorrow’s Door
- <ENCORE>
- EN1. アニバーサリー
- EN2. Yes! BanG_Dream!
- WEN. キズナミュージック♪
BanG Dream!
Poppin’Party
Poppin'Party単独ライブ 開催決定!

2026年1月3日(土)に東京ガーデンシアターにて、Poppin'Party単独ライブの開催が決定!
チケット最速先行抽選の受付中。申込券は発売中のPoppin'Party 3rd Album「POPIGENIC」初回生産分に封入されています。
<公演概要>
◆公演名:Poppin'Party単独ライブ
◆日程:2026年1月3日(土)
◆会場:東京ガーデンシアター
◆チケット最速先行抽選
受付期間:2025年5月26日(月)22:00~7月14日(月)23:59
※Poppin'Party 3rd Album「POPIGENIC」初回生産分に申込券が封入。
詳しくはこちら:https://bang-dream.com/events/ppp_live2026
Poppin'Party New Single リリース決定!!

Poppin'Party 21st Single「Drive Your Heart」が、今冬リリースとなります。
表題曲「Drive Your Heart」は、バンドリ!の各バンドが週替りで務めることが決定しているTVアニメ「カードファイト!! ヴァンガード Divinez デラックス決勝編」EDテーマに決定しています。
そのほか詳細は今後の発表をお待ちください。
Poppin'Party 10th Anniversary LIVE「ホシノコドウ」Blu-ray 発売決定!

本公演の映像を収録したBlu-rayが、今冬発売となります。Poppin'Party 21st Singleと同日での発売を予定しております。
詳細は今後の発表をお待ちください。
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