「POPな女性vocalと超絶弾き倒し系ギターによるハード目なロックユニット」と名乗る、鮫と嘘つき。ヴォーカルの三貴 -MITSUKI- 以外、メンバーは“鮫”というのが気になる。メンバー名もBass・鮫太郎 -SAMETA-/Guilar・鮫二郎 -SAMEJI-/Drums・鮫三郎 -ZABU-と、こちらも超気になる。

そんな鮫と嘘つきが、12月12日に青山RizMで無料ワンマン公演“鮫と嘘つき デビューイベント 「サメがでた!」”を行った。当日の模様を、ここへ記したい。

スクリーンに映し出されたのは、しゃべる鮫の姿。スクリーンへドーンと映し出されたひょうきんな鮫は、三貴こと遠藤三貴の生い立ちを、過去の写真を映しながら、駆け足で、しかも、遠藤三貴が音楽や役者の道へ進む中で受けた試練などの険しい(?)歩みを、あくまでもひょうひょうとコミカルに紹介していく。現在のプロデューサーとの出会いと別れ。そして再会からの、今へと続く流れ。さらには、なぜ、バンド名を“鮫と嘘つき”にしたのかの理由(プロデューサーが鮫洲に住んでいたことから)。なぜ、遠藤三貴とプロデューサーが共に手を組んで活動を始めたのかなど、遠藤三貴の○1年間の歩みが数分間に凝縮され、本当に駆け足で映し出されていった。

派手派手でエレクトロなSEに乗せ、メンバーらが舞台へ。鮫二郎の弾き倒すギターの音にあわせ、鮫太郎と鮫三郎のリズム隊も荒ぶる音をぶつけだす。その演奏へ誘われるように三貴がステージへ姿を現した。

鮫と嘘つきのライブは、MVも公開中、デビューシングルの『DEAD PROGRESS』からスタート。爆裂爆走するハード&ロックンロールな楽曲に乗せ、スタンドにつけたマイクを両手でガシッと握りしめ、彼女はここにいることが生き甲斐だと示すように、満面の笑顔で歌っていた。三貴の「Oh!Oh!Oh!Oh!」の声へ、フロア中の人たちも大きく手を振り上げ「Oh!Oh!Oh!Oh!」と声を上げていた。三貴は、爆走する演奏の上へ飛び乗り、轟音の波を軽快に駆け抜けるように歌う。三貴が、思わず「楽しい!」と叫んだのも納得だ。三貴と観客たちが共に熱い声と拳を交わしあう。煽る姿勢を見せながらも、勢いある姿で観客たちをグイグイとリードしてゆく様が格好いい。

はぁ~、緊張したぁ」が、三貴の第一声。「始まってみたらめちゃくちゃ楽しい」と、早くも彼女は笑顔ではしゃぐ。そこへ、赤鮫姿のプロデューサーが登場。ここで、プロデューサーが、遠藤三貴と3人の鮫兄弟を紹介。続いては、質問コーナーへ。観客たちの中から飛び出した質問と回答が以下になる。

Q:なんでかわいいの?
A:みんなが輝かせてくれるから。

Q:ジャンプありですか?
A:ありです。

Q:ペンライトはありですか?
A:ありです。

Q:鮫の見分け方は?
A:鮫太郎はちょっと黒っぽい。鮫二郎は黄色で目に傷がある。鮫三郎は十字の傷がある。

Q:鮫は陸上で何分くらい演奏できるのか。
A:6曲くらいが限界。

Q:鮫は何を好むのか?
A:8%以上のアルコール。でも鮫太郎は、ユンケルがいい。

後半の質問と回答には、ニヤッとさせられた。

次の楽曲は、『660』。この曲も、冒頭から荒ぶる音が鳴り響き、気持ちを熱く高ぶらす。三貴の煽りを受けた観客たちが「Oi!Oi!」と声を張り上げ、高く拳を突き上げながら熱いエールを送る。楽曲自体は波しぶきのような歪んだ音を上げて駆けだすが、三貴の歌はめちゃめちゃポップでキャッチー。初見で触れても、すぐに「660(シックスシックスティー)」と一緒に歌えるし、間奏を含め、いろんな場面で「Oi!Oi!」と声を張り上げて騒げる極上のアッパーチューン。気持ちを、晴れた景色、解き放たれた空間へ連れ出す楽曲だ。開放的なノリを魅力にした楽曲のように、ゴキゲンでパーティなハードロックンロールに乗って、思いきりはしゃぎ続けていたい。

立て続けにぶつけた『Hang-On』では、激しさのギアをさらに数段上げ、鮫どもが観客たちを激しくノリノリな演奏で煽る。フロア中から突き上がる拳と「Oi!Oi!」と叫ぶ熱い声。三貴は、手にしたタオルをクルクルと振り回し、激しいビートに感情をライディング、ノリノリに、押せ押せに攻め続けるデンジャラスなクイーンに気持ちを染め上げた三貴は、片手でマイクスタンドを握りしめ、腹の奥から声を張り上げ、熱狂のドライブへ観客たちをぐいぐい連れまわす。激しく左手を突き上げ、笑顔で煽る三貴の姿は、まさに令和のJAWS GIRLだ。

ここで、俳優・声優としても活動中の日永麗がゲストで登場。フロアに生まれた熱狂へ引っ張られるままに舞台へ現れた日永は、最初からテンション高く、ずっと笑顔だ。彼女は、「鮫さんって普段、海の中でエラ呼吸してるじゃないですか。大丈夫ですか?」と、息も絶え絶え(?)の鮫メンバー(サメンバー)たちの心配も。

次に奏でた『空言時世』は、日永麗のオリジナル曲。ゲストの持ち歌を三貴と一緒に演奏するというのも、とてもエモい展開だ。『空言時世』は、三貴が初めて聴いたときから超お気に入りの楽曲だという。鮫と嘘つきバージョンに染めあげた『空言時世』でも、冒頭から「Oi!Oi!」とフロア中から熱い声が飛び交いだす。まずは、日永がリードを取って歌唱。サビでは三貴も歌に加わりデュエットし、日永を巧みにサポート。後半は、三貴がリードを取って、そこへ日永が絡み合う息のあったコンビネーションを見せていた。ずっと熱を持って駆け上がり続ける超エモい楽曲だけに、2人の歌声の熱やテンションも終始上がり続け、互いの顔を見ながら歌う2人に刺激を受けたフロア中の人たちも、身体を揺らし、腕を振り上げ、ときに声を上げ、熱情した思いを2人にぶつけていた。終盤にはフロア中から「Oi!Oi!」と熱い声が上がり、三貴が日永麗の肩を組んではしゃぐ姿も見せていた。

この曲いいなぁ」と口にしながら、なぜか、三貴と観客たちが一緒にバンザイしだす。『空言時世』は懺悔をテーマにした歌。でも、三貴も口にしていたように、華やかで勢いのある楽曲だからか、ライブで触れていると、とてもすっきりした気持ちになれる。

次は、鮫と嘘つきの楽曲へ日永麗がゲスト参加する形で披露。三貴が作詞をした『嘲笑』は、日永が作詞をした『空言時世』へのアンサーソングとして作ったと語っていた。

『嘲笑』は、冒頭からハンマーで鉄板を叩き付けたような凄まじい轟音で攻める、激烈な感情クラッシュソング。三貴も、日永麗も気持ちを雄々しいモードに染め上げ「見たくもない見たくもない」「あきらめた自分を誇ればいい」「あざ笑ってればいい」と、内なるネガティブな感情を言葉に乗せ、掃き捨てるように歌っていく。途中に、ラップ調のセリフも投影。サビ歌では、2人ともうらぶれた感情を投げ捨てるように熱唱。間奏での、拳と拳のやりとり。三貴と日永麗がセリフをラップにしてかけあう様もイカしている。でも何より、やさぐれた気持ちを投げつけるように「あざ笑ってりゃいい」と歌う2人の姿が最高だ。

ここに来てくれた一人一人のことをとっても大切に思っています。最後の曲は大切な人を思っての歌。みなさんとこれからも楽しく過ごしていたいなと思っているので、この思いを受け取ってください

ライブは、早くも最後の曲へ。でも、鮫たちのエラ呼吸の時間の限界が近づいているから仕方のないこと。最後に鮫と嘘つきは、MVも公開中の『ナクヨ鴬』を届けてくれた。泣いた鮫二郎のギター。でも激烈なリフ/速弾きが鳴りだすのにあわせ、リズム隊が豪快な音をぶつけだす。三貴は、ふたたびスタンドにつけたマイクを両手でギュッと握りしめ、ハイトーンヴォイスを次々と折り重ねながら、感情を振り乱すように歌っていた。和要素を持った艶やかな曲調なのだが、ライブになると狂気と狂乱を巻き起こす激しく雅な楽曲に変貌してゆくところが鮫と嘘つきらしさなのだろうか。間奏では、鮫二郎のギターソロへ向け、フロア中の人たちが拳を振り上げ、声を荒らげてエールを送っていた。スタンドから外し、右手にマイクを握りしめた三貴が、身体を揺さぶり、熱情した声を上げる。サビでは、ふたたびスタンドにマイクを置き、両手でガシッと握りしめ、身体を前のめりに絶唱し続けていた。演奏が終わっても、ずっとフロアから熱い拍手と声が上がっていた、その気持ちもよくわかる。

最後に、ふたたび赤鮫プロデューサーが登場。さらに、日永麗もふたたび舞台へ。「鮫さんたちがこんなに頑張ってやって感動しました」と、日永が述べていた言葉も印象的だ。さらに日永は「わたし、海が好きなんですよ。海テーマのバンドの推しがいなかったけど、今日、出来たなって思いました」と、嬉しい言葉も伝えてくれた。

最後に三貴が、「ここからスタートします。これからも鮫と嘘つきを応援してください」と語ったうえで、鮫と嘘つきの1st Liveは、熱狂に包まれながら幕を閉じていった。

TEXT:長澤智典
PHOTO:小野寺将也

《SET LIST》
  1. 1.DEAD PROGRESS
  2. 2.660
  3. 3.Hang-On
  4. 4.空言時世
  5. 5.嘲笑
  6. 6.ナクヨ鴬

三貴(Vocal)/ 鮫二郎(Guitar)使用楽器・機材紹介

鮫と嘘つき

鮫と嘘つき 2nd Free Live 2024.2.21開催!

「鮫と嘘つき」2nd FREE LIVE
「またサメがでた!」
日程:2024年2月21日(水)
時間:開場19:00/開演19:30
場所:LIVE STAGE GUILTY
東京都渋谷区道玄坂1-17-6 プロスペクトB1F
https://www.guilty.ne.jp/access.php


料金:無料(別途ドリンク代¥600のみ頂戴いたします)
※会場低委員となり次第発券終了とさせて頂きます。
入場順:チケット整理番号順


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BlackSmoker_BM_MISA BS FUJI 聖飢魔II&DHC
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