誰もが、胸に大きな夢を掲げた少年や少女になって、PENGUIN RESEARCHと一緒に、ここから次のステージへ向けて勝ち上がるように突き進んでいた。

5月に発売した最新アルバム『逆光備忘録』を手にスタートした全国ツアー「PENGUIN RESEARCH LIVE TOUR 2023 “逆光備忘録”」。同ツアーのファイナル公演が、7月27日にZepp Shinjukuで行われた。立ち見も出るほど超満員の観客たちを迎えた中で行われた。当日のライブの模様をここに紹介したい。

フロア中から鳴り響く熱いクラップ。その喧騒へ導かれるようにメンバーが舞台へ。沸き上がる熱い歓声。その声からも、彼らに対する期待が十分伝わってきた。ライブは、ドラムロールを合図に「月光、閃光、逆光」と歌う『FORCE LIGHT』からスタート。雄大な景観を描く演奏の上で生田鷹司が朗々と歌えば、フロア中からも「月光、閃光、逆光」と歌う声が響き渡る。早くも一体化した景色が誕生?いや、互いが熱を求めあおうと歌声の手を伸ばし、交わしあっていたと言ったほうが正解だ。フロアを埋めつくした人たちが、右手を高く掲げ、舞台の上からあふれでる熱をしっかりと受け止めていた姿が印象的だった。

荒ぶるギターの音が轟いた。スマホゲーム「バンドやろうぜ!」で音楽を担当した劇中バンド“BLAST”のナンバー『YATSUATARI』を合図に、演奏は唸りを上げて走り出す。激しくもエモーショナルな楽曲に飛び乗った生田鷹司が、言葉を次々と放ちながら観客たちの気持ちをアゲていく。間奏ではギターの神田ジョンがフロントに立って演奏。メンバー一人一人が沸き立つ感情を解き放とうと、気持ちを前へ前へと向けていた。終盤、みんなで合唱する場面で生まれた一体化した高揚感が、胸を嬉しく騒がせた。

歌と演奏がシンクロしながら物語を描きだす。『キリフダ』では、フロア中の人たちも「ラララ」と歌いながらライブに参加。互いを求めあう気持ちが、この大きな空間の中で熱く交錯しあう。なんてエモい風景だ。フロア中の人たちの鳴らすクラップも楽曲を彩る要素となり、熱くエモーショナルな景色をこの場に描きだしていった。

多種多様な声をありがとうございます

この日は初めてライブを見る方も相応にいたようで、メンバーらは、この日生まれた景色に喜びを覚えていた。

ここを揺らしたいと思います。お前ら、飛び跳ねる準備はいいですか?」の声を合図にぶつけたのが、『嘘まみれの街で』。巧みに転調を繰り返しながら、楽曲はどんどん熱を上げて駆け続ける。客席中から飛び交う掛け合いの声が、めちゃめちゃエモい。水を得た魚ではないが、熱を抱いた演奏の上で歌う生田鷹司の歌が、とても跳ねている。いや、ノリにノッていると言うべきか。途中には、観客たちがメンバーらに向かって歌う場面も。PENGUIN RESEARCH流のシンガロングな楽曲は、いつだって魂を熱く騒がせる。

止まるどころか、この空間に生まれた熱をさらに掻き回すように、PENGUIN RESEARCHは『敗者復活戦自由形』を突きつける。早口で思いをぶち撒ける生田鷹司。彼の声と掛け合う観客たち。いや、ここにいる大勢の熱狂人たちもメンバーへ組み込み、PENGUIN RESEARCHは極上のロックンロールなパーティーをぶち噛ましていた。生田鷹司の声に合わせ、一緒に叫びたい。いや、叫ばずにいられない。明日の自分なんかもう知ったことじゃない。今を全力で楽しまないと、ここに居る意味がない。荒れ狂い疾走するパンキッシュなロックンロールの衝撃よ、バケツをひっくり返すような勢いでもっともっと熱情した音を浴びせてくれ!!!!!

弦を弾く音を合図に、ギターソロが炸裂。歪む音を唸らせながら、楽曲はヘヴィでブルーズな『大脱走』へ。重厚でダウナーなウネリに身を浸していると、身体を思いきり揺さぶりたくなる。歌をかけあいながら、フロア中の人たちが掲げた手や身体を揺さぶり、舞台の上に生まれたロックなグルーヴに身を浸していた。いや、共にこの空間を震撼する勢いで「大脱走」と叫び、身体を揺らし、床を踏み鳴らしていた。

躍動するジャングルビートに乗せ、『逆襲』へ。意識を野生に揺り戻すリズミックな演奏に身を預け、身体を揺らし続けろ。言葉を吐き出すようにライムする生田鷹司。PENGUIN RESEARCH流のラップなラウドナンバーの上で、誰もが心を裸に、感情を生々しく剥きだしながら熱狂に溺れていた。挑発する歌や演奏へ、勢いと熱情した魂を持ってぶつかりあう観客たち。互いに生々しい感情をぶつけあう、この楽しさがたまらない!!!!!

みんなの熱気がめっちゃ来る、いいライブっすね」の声が最高じゃない。

フェアリーテイル』でPENGUIN RESEARCHが見せたのは、横ノリのファンキーなロックスタイル。心地好くシェイクするリズムを身体で感じながら、気持ちを弾ませて歌う生田鷹司。激しく真っ直ぐに攻める姿も胸を熱く騒がせるが、心地好いグルーヴを描き、その中で気持ちや身体を揺らす感覚も乙なものだ。

さらにヘヴィなグルーヴを噛ますように、彼らは『SUNNY RAIN』を演奏。生田鷹司の声が楽曲全体を引っ張りながら、触れた人たちの気持ちを歌で揺らす。歌に酔いしれる、いや、歌声の行方をずっと追いかけたくなる。曲が進むごと、エモさが二乗してゆく。そのエモい声をつかもうと、フロア中から数多くの手が伸びていた。

タイトルの通り、まさにクジラの背中に乗って大海原をゆっくりと泳いでいくような感覚だ。温かい歌声と演奏に身を預け、今は心地好く揺れていたい。『クジラに乗って』が僕らの心に素敵な冒険心を与えてくれる。その先へ広がる眩しい世界へ笑顔で一歩踏みだし、素敵な夢を見てみたい。そんな気分に染めあげてくれたのが嬉しい。

もの悲しい旋律を奏でるギターのアルペジオの音色に乗せ、生田鷹司もギターを手にした。「その日しかない、そこでしかないライブがそこにはあって」と語った言葉を合図に、彼らは『世界最後の日に』を歌い奏でだした。言葉のひと言ひと言を自分に言い聞かせるように。同時に、一人一人の心へ前を向く強いエールを送るように、彼らは『世界最後の日に』を伝えていた。胸の内に強い熱を抱き、その熱を優しい思いの言の葉で包みながら彼らはメッセージしていった。

柴﨑洋輔の奏でる浮遊感を持った鍵盤の音色が優しく場内へ染み渡る。淡くソウルフルな音色が突然華やかに跳ねだすのを合図に、『冀望』が飛びだした。スタイリッシュでアーバンソウルな様相を呈した楽曲を、彼らは照明をすべて落とした闇の中で歌い、演奏していた。漆黒の世界で、この曲に込めた思いを感じ取れとでも言うように、ときに感情を剥きだしにした演奏も交え、彼らは、胸の内で疼くざわめきを思いきりぶつけていた。

続く『ゴールドフィラメント』も、闇の中で演奏を始めながら。フロア中から「オーオオー」と響き渡る歌声へ導かれるように、照明も少しずつ白い色を上げてゆく。この曲でも観客たちが「Call my name」と声を張り上げれば、その声もエナジーに変え、生田鷹司と演奏陣が、沸き立つ思いやここにいる証を高らかに響かせていた。胸の奥から熱い血潮が滾りだす、とてもエモい楽曲だ。けっして激しいわけではない。でも、気持ちが熱くならずにいられなかった。終盤に生まれた「オーオオー」の大合唱が、とにかく胸を騒がせてくれた。

ライブも後半戦へ。「かかってこい!!」の言葉通り、PENGUIN RESEARCHはソリッドでエモい『Crier』を突きつけ、観客たちの気持ちを騒がせだした。誰もが「Crier Crier」と歌いながら、彼らと共に熱情した音の唸りを作りあげる。熱い声のやりとりも加えながら、みんなが身体を前へ前へと折り畳み、この場に熱情した大波を作りあげていた。

新保惠大の重厚なドラムビートに合わせ、フロア中から起きたクラップ。そこへ、演奏陣が徐々に加わりだす。生田鷹司が、荒々しい声を剥きだしながら『決闘』と歌いだした。メンバーと満員の観客たちが重厚な音を戦いの場に据え、「決闘!!」と叫び、「オーオーオー」と声を張り上げ、拳を突きあげ、ガチンコでぶつかりあう。生田鷹司の煽りを受け、共に歌う場面も登場。誰もが自分を最大限に生かせるこの居場所で、自分の生き様を示すように「決闘!!」と声を張り上げ、拳を振り上げていた。

「何が足りない?」と生田鷹司が『FEVER』を歌いだすのを合図に、メンバーと観客たちが、これまで以上に感情を剥きだしに、沸き立つパッションをぶつけあう。バトルはまだまだ続いてゆく。感情と感情をガチンコでぶつけあう戦いは、曲を重ねるごとにヒートアップし続ける。限界?そんな言葉とっくに忘れちまったよ。気持ちが熱を放ち続ける限り、熱狂し続ければいい。それ以外、ここに何が必要だ!!!!!

「何のために 泣いたんだ 何のために 棄てたんだ 疑え 僕をやめないように」。生田鷹司の歌声を合図に飛び出したのが『HATENA』だ。これまで以上にフロアから熱い絶叫が沸き起こる。誰もが自分の心に歌詞を重ね合わせ、魂を甘く鼓舞するように「ハテナ」と叫んでいた。続く『祝祭にて』でも、生田鷹司は自らを輝かせるようにエモーショナルな声を上げて、自分の存在を示していた。その輝きに触れ、同じように自分を解き放ち、輝きを身にまとっていた人たちも、きっと大勢いたに違いない。

最後にPENGUIN RESEARCHは、『千夜祭』を演奏。フロア中の人たちが最高の合唱隊となり、「ヤーイヤーイヤーイ」と、生田鷹司とつねに掛け合うように声を張り上げていた。PENGUIN RESEARCHが作り上げた祭り囃子の音は、満員の観客たちの熱情した声と重なり合ったことで、熱狂という言葉が相応しい景色をこの場に描きあげていった。

アンコールの最初に披露したのが、『変幻自在』。切れ味鋭いカッティングギターの音の上で、楽器陣が浮遊感を持って演奏。曲が進むごとにエモさが増せば、途中にはメンバーそれぞれのソロ回しも登場。セッションプレイも挟みながら、楽曲は心地よく疾走するように極上のグルーヴロックを描きだしていった。弾み、跳ねた一体感が気持ちをアップさせる。

生田鷹司がギターを手にした。最後にPENGUIN RESEARCHが届けたのが、『boyhood』。ザクザクとした演奏に乗せて、メンバーらと観客たちが沸き立つ感情をすべて吐き出しながら互いの気持ちをぶつけあっていた。誰もが、胸に大きな夢を掲げた少年や少女になって、PENGUIN RESEARCHと一緒に、ここから次のステージへ向けて勝ち上がるように突き進んでいた。誰もが「Hey boy, Hey boy」と叫びながら、しっかりと明日を見据え、高らかに声を張り上げ、熱情した思いをぶつけあっていた。

この熱狂の続きは、12月に行う「Penguin Fight Night Tour 2023〜冬〜」で味わおうか。

Photo by Sotaro Goto
TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.FORCE LIGHT
  2. 2.YATSUATARI
  3. 3.キリフダ
  4. 4.嘘まみれの街で
  5. 5.敗者復活戦自由形
  6. 6.大脱走
  7. 7.逆襲
  8. 8.フェアリーテイル
  9. 9.SUNNY RAIN
  10. 10.クジラに乗って
  11. 11.世界最後の日に
  12. 12.冀望
  13. 13.ゴールドフィラメント
  14. 14.Crier
  15. 15.決闘
  16. 16.FEVER
  17. 17.HATENA
  18. 18.祝祭にて
  19. 19.千夜祭
  20. -ENCORE-
  21. EN1.変幻自在
  22. EN2.boyhood

生田鷹司(Vocal, Guitar)使用楽器・機材紹介

PENGUIN RESEARCH

Penguin Fight Night Tour 2023〜冬〜

【ツアー日程】
12/15(金)神奈川 CLUB CITTA’
OPEN 17:30/START 18:30

12/17(日)大阪 GORILLA HALL OSAKA
OPEN 17:00/START 18:00

12/26(火)東京 代官山UNIT
OPEN 18:30/START 19:00

詳細・チケットはコチラ
https://www.penguinresearch.jp/info/archive/?554333

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「負けがいのある人生を唄う」バンドPENGUIN RESEARCH、待望の3rd FULL ALBUMリリース!
前作フルアルバム「それでも闘う者達へ」から、3年半ぶりの超意欲作!
最新シングルのTVアニメ『アルスの巨獣』OPテーマ「変幻自在」をはじめ、アルバムリードトラックの「Crier」、アニメ『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE 2nd Season』OPテーマ「HATENA」、テレビアニメ『シャドウバース』OPテーマ「キリフダ」などのアニメ主題歌に加え、スマホゲーム「バンドやろうぜ!」でPENGUIN RESEARCHが音楽を担当した劇中バンド・BLASTの新曲「YATSUATARI」も収録!
今の、そしてこれからのPENGUIN RESEARCHを体現した、“バラード無し全曲勝負”を詰め込んだ、全12曲入りフルアルバム!
VVCL-2233 ¥3,300(税込)


ESP E-II Horizon Infinite MOGAMI
山野楽器Ginza Guitar Garden Digimart LOVEBITES
Ryoga Snare Weight DRUMSHOW
Dean Martin Ukulele Cannonball
Hofner Orange Valve Tester MkII Heritage
Orange Glenn Hughes MONO