―機材メディアなんで、小名川さんのギターについてもお聞きしたいんですが、一番最初に買ったギターって何だったんですか?

K:本当に一番最初はIbanezの5万円の、セットが売ってるじゃないですか。初心者セット。ちっちゃいアンプと、なぜかそこにRAT(ディストーション)が付いてきたんですよね。

RATが付いてきて、チューナーとかも付いてきてみたいな5万円ぐらいのセットを買ってもらってスタートしましたね。

―IbanezっていうとRGですか?

K:何ていう機種だったかな?

―ピックガードは付いてました?

K:付いてなかったです。ヘヴィメタとかあっち系のようなデザインでした。

―でもギターを本格的にはじめると初心者セットじゃ物足りなくなってくるじゃないですか?そこからどうしたんですか?

K:その次買ったのが、メキシコ製のストラト(笑)

―艶の無いやつですか?

K:そうです。高校入ってGREEN DAYとかが流行ったんですよ。メロコアが流行ってて。で、GREEN DAYをコピーするバンドとして始まったんです。そこで単純にストラトが欲しい、ってなって。

―そこから色々ギターを買ったりしていく感じになっていったんですか?

K:徐々にですね。音楽活動するのにお金も必要だし、ライブしなきゃリハ入んなきゃっていうところでバイトしてたのが消えていって。でも、IbanezもFender Mexicoも安いやつを買ってたんで、何かもうちょっといいグレードのを買わなきゃって思って、お年玉とか貯めてたのを使うって言って買ったのが、Gibson USAのLes Paul Studio Liteっていうやつで。中がちょっと特殊な構造になってて軽いんです。

―何色のやつですか?

K:オレンジ色です。

―はいはいはい。オレンジバーストみたいな?

K:そうです。

―あれいい色ですよね。

K:あれ、もう見た目で気に入って買っちゃって。

―ゴールドパーツですか?

K:ゴールドです。そうです。

Gibson Les Paul Studio Liteを持つ当時の小名川氏(写真左/写真提供:小名川高弘)

―美味しそうな感じのギターですよね。

K:そうですね(笑)。その後もあのギターが売ってるのを見たことなくて。

―あれはもう作ってないですからね。

K:ですよね。でも、こないだ話してたら判明したんですけど、ギタリストの草刈(浩司)さんもそれを買ってたっていう。昔持ってたんですって。

―小名川さんはそのギターは今も持ってるんですか?

K:それは今もあります。この前、久しぶりに引っ張り出してさくちゃん(大原櫻子)の現場にサブギターで持っていってたんですよ。

―あと、小名川さんていうと“音作り”みたいなイメージがあって。ギターのエフェクターとかはどうですか?どういう感じで買っていったとか…

K:僕、なぜかバンドのときはアンプばっかり気になっちゃって。足元(エフェクター)あんまり並べたがらなかったんですよ。だからアンプの方がMESA/BoogieのRectifierから始まって。CARRにいったり、Roccaforteいったり、Divided by 13にいったりとか。そっちを結構旅したんですよ。でも、なぜか昔のMarshallのヴィンテージとかFenderのヴィンテージとかには気持ちがいかなかったんです。

―今名前が挙がったアンプはギターより高いじゃないですか!

K:そうなんです(笑)。でもその後ギターも買いますよ!買うんですけど(笑)、でもアンプライクな歪みが好きで。

―レスポールスタジオライトの3倍くらいするんじゃないですか!?(笑)

K:(笑)3倍。そうですね(笑)。本当に、そっちに走り始めちゃったんですよね。

―そっちに走り出すとお金はかかっちゃいますね。

K:かかりました(笑)。エフェクターはむしろ僕、裏方になってからの方が多分買ってますね。

―音作りするならアンプで作る方が本当は正解ですもんね。

K:そうだと思ってました。

―今お話頂いたようなアンプは今も持ってるんですか?

K:さすがにそんなに今持っていてもしょうがないのと、だんだん気付いたんですよ。あの辺のアンプを持っててもこんな音量で鳴らせる現場が無いって(笑)。自分のバンドで精一杯で、でもやっぱり本領発揮する音量で鳴らせるのってレコーディング以外なくて。これって本末転倒だなっていうのにバンド解散間際になって気付きはじめて。そこからですね。これじゃ音作り違うなって思いはじめて、違うアンプにトライしたり、そこからエフェクターの方で音を作る方になってきましたね。

―今の機材のボードもすごいですもんね。

K:色々変遷をしてます。当時は、そういうシンプルなアンプライクで良かったんで、Pete Cornishとか使ってたんですよ。ブーストさせるとかちょっとファズっぽい歪みでやるとか、本当にシンプルに作ってたんです。そこから、(アンプの)手前で色々作り込むことで音量がちっちゃくても作り込める方にいきました。後、誠屋に入ってしばらくはプレイヤーをやっていなかったのでブランクがあるんですけど、またプレイに戻り始めたタイミングで“求められること”がすごい多かったんですよ。マニピもやんなきゃ、鍵盤もやんなきゃ、ギターもやんなきゃっていうのが全部一気に始まったんです(笑)

―求められるって言っても普通そこまでは求められないじゃないですか。

K:なんで求められたんだろう…。まぁ、でもやっぱりアレンジもするし、始まったきっかけがさくちゃん(大原櫻子)で、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』のオーディションで彼女はデビューするんですね。その映画のオーディションのときから僕は亀田さんと一緒に、オーディションの審査役と、映画の音楽を作るっていう役割で参加してたんです。だからさくちゃんはオーディションから出会ってるんです。で、そのオーディションのときに何人かファイナリストたちがいて、彼女たちに路上ライブをしてもらってどういうパフォーマンスをするか最終審査しようってなって。でも路上ライブってどうやる?ってなったときに、誰か伴奏しなきゃいけないねっていうところで、僕がいたのと、当時のディレクターにドラムをやってた人がいて。その人とはバンド現役時代からの仲だったんですよ。たまたま同じチームで同じプロジェクトをやってる状態で。じゃあカホン叩くから、僕はアコギとか鍵盤弾いて、みたいな話が始まって。そこから始まっていきましたね。

―もうそれが今の大原櫻子さんのステージのミニ版ですよね。

K:ミニ版です、本当に。路上でそういうことをやってたというところから、「さくちゃんのライブも弾いてよ!」って話になって。で、最初はやっぱり予算的にもバンドメンバーの人数を多くできないから、マニピュレーターが必要だし。

僕はこの映画のときにライブシーンとかの音出しをパソコンからやってたんですよ。なるべく臨場感があるようにドラムとかはパラにしたりして。撮影ですよ。撮影のために、ドラムパラにしてある程度ステムにしてPAに送ってっていうコンピューター操作を僕がしてたんです。だったらマニピュレーターもできるじゃん、みたいな話から、全部が一気に、櫻子ちゃんツアーから始まったっていう感じなんです。

―私は、大原櫻子さんと山本彩さんの現場でびっくりしたんですけど、その他も同じようなパッケージでやられてる現場もあるんですか?

K:やってるのもあります。マニピュレーターまでやってるのもあるし。ただ僕の場合こういうセットになると、マニピまでやってるし、基本バンマスだったり音楽プロデュース側で参加するのがほとんどなため、アレンジまでしなきゃいけないので、単発で弾きにきてっていうオファーよりも全体見てっていうオファーが多くて、いっぱい受けられないんですよ。準備に時間もかかるし。それ以外のアレンジプロデュースの稼働もあるので。ライブだけっていうところばっかりをやっていられないので、限られた方としかご一緒は出来てないんです。

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