MCのたびに岸谷香は、次に奏でる楽曲にまつわる思いを述べていた。ここでは、子供たちとの触れ合いの中、子供たちは、必ず「ありがとう」の言葉を伝える素直さを持っていることが、彼女自身も嬉しい学びになっているということを伝えていた。

そのうえで歌ったのが、ピアノの弾き語りで届けた『Hand』。とてもシンプルな演奏の上で、彼女は「有り難う」の感謝の気持ちを優しく伝えるように、心を弾ませながら歌っていた。演奏が後半に入る頃には嬉しさを表すように、いつしか歌声や演奏自体も軽やかに弾んでいた。

続くMCでは、歯医者嫌いだけど、でも治療のために歯医者へ通うことになった話。差し歯を入れたが、ライブ中にアクシデントで取れてしまい、その治療を、ミュージシャンでありながら歯科医師でもあるパール兄弟のサエキけんぞうさんがしてくれたこと。そのお礼にと、サエキけんぞうさんが書いた歌詞に曲をつけてプレゼントし、それをパール兄弟が音源化した話をしていた。

その話を受けて、岸谷香はパール兄弟の『CANDY』をピアノの弾き語りでカバー。歌詞の一節へ、巧みに香りという言葉も組み込んだ、愛しい人への思いを綴ったこの曲を、まるで恋文を読みながら告白するように歌っていく。その歌声と演奏に触れていると、愛しい人へ思いを告げる姿が目の前へ有り有りと映しだされていくようだ。思いの募る、とてもドラマチックな楽曲だ。

 先の思いを受け継ぐように、岸谷香は流れるようなピアノの音色に乗せて『窓打つ雨』を、切々と歌いあげていた。言葉のひと言ひと言から、胸を痛く揺さぶる悲しい思いが、揺れるように見えてくるようだ。

『CANDYへ』が男性目線なら、先の『窓打つ雨』も含め、今度は女性目線で愛しい人への思いを独白するように、岸谷香はピアノの弾き語りで『M』を歌いだした。この曲へ触れるたびに、切ない思いに胸がギュッと締めつけられる。この会場に足を運んだ人たちも、悲痛な思いを胸に歌う岸谷香の声に触れ、涙を滲ませていた。痛い感情がどんどん高まる彼女の歌声をずっと追いかけていたい。そして、今だけは切ない思いに心を震わせながら浸っていたい。

MCでは、子供たちの影響でK-POPも親しむようになったこと。生音にこだわりながらも、最近の楽曲の制作スタイルに乗っかり、自身も楽曲データのやりとりでEDMナンバーを作りあげたこと。その曲の振り付けを、高校時代の同級生のパパイヤ鈴木にしてもらったことを語っていた。

この日は、ピアノかアコギの弾き語りでライブを届けているが、唯一、次に披露したシングルの『Beautiful』だけは、オケを使用。しかも岸谷香は、自ら全身を思いきり使った大胆かつパワフルなダンスをしながら『Beautiful』を歌っていた。まるでエアロビクスのような振りなのも印象的だ。とてもアゲでダンサブルな楽曲に合わせて、彼女は左へ右へとステージを移動しながら、観客たちを巻き込んで歌唱&ダンス。観客たちも一緒に手の動きを真似ながら、気持ちをアゲて楽しんでいた。後半には、力強くピアノを弾きながら歌唱する様も見せていた。

岸谷香は今、Unlock the girlsというガールズバンドを結成し、ソロ活動と平行し、バンド活動を続けている。PRINCESS PRINCESS解散後は、二度とガールズバンドはやらないと決めていたのに、なぜ再び、しかも50歳になってから始めたのか。その理由も語ったうえで披露したのが、Unlock the girlsの楽曲。

「全速力で駆け抜けていく太陽にキスを~」と、岸谷香は歌始まりの『STAY BLUE』を力強く元気いっぱいに歌いだした。青春という言葉が似合う、とても眩しい輝きを放つ楽曲だ。アコギの弦を力強くストロークしながら、力の漲る歌声を高らかに響かせ、彼女はこの場に晴れた景色を描いていた。歌詞の一節ではないが、本当に全速力で駆け抜けていくような気分だ。岸谷香は、この場に胸弾むロックンロールな世界を作りあげていた。

続くMCでは、病気で亡くなった友人に向けての思いを語る。そのうえで、「いつも何処かで繋がっている気がする」との言葉を述べ、その子に向けて書いた楽曲を歌いだした。

一つ一つの言葉を紡ぐように。ひと言ひと言へ思いを深く込め、岸谷香はアコギを弾きながら『Signs』を歌っていた。今は会えなくなった人と心を繋ぐように歌う姿が印象的だ。サビでは、心をキュッとつかまれたような感覚も覚えた。優しさに満ちた、とても美しい歌だ。

本編最後にピアノの弾き語りで歌ったのが、『世界でいちばん熱い夏』。岸谷香は最初からテンションの高い声で元気いっぱいに歌いだす。力強く駆けだした楽曲へ満員の観客たちも飛び乗り、気持ちが騒ぐまま、思いきり手を叩き、この場へ、岸谷香と一緒に世界でいちばん熱くひかる空間を作りだしていた。とてもエネルギッシュでパワフルなライブだ。このトキメキは止まらない!!

アンコールでは、娘がまだ小学校6年生のときに2人でロンドンへ旅行し、そのときに見たミュージカルに刺激を受け、再び自分も輝こうと夢見始めた思いを語っていた。

最後に岸谷香は、ピアノの弾き語りで『Dream』を披露。胸を強く揺さぶる、とても情熱的な楽曲だ。彼女自身が気持ちを踊らせるようにパワフルに歌っていた。がむしゃらで前向きなパワーは、無敵な力を発揮する。だから、気持ちの内側から、止めどなく熱い思いが沸き続けていた。気持ちが熱く騒ぐたびに、大勢の人たちが熱情した思いを力強い手拍子に変えてステージの上に届けていた。最高に気持ちを揺さぶるロックンロール・チューンだ。そしてこの歌が、またここから新しい未来が始まることを予感させていた。

TEXT:長澤智典
PHOTO:MASAHITO KAWAI

《SET LIST》
  1. 1.HIGHWAY STAR
  2. 2.GET CRAZY!
  3. 3.Diamonds<ダイアモンド>
  4. 4.翼がなくても
  5. 5.Hand
  6. 6.CANDYへ
  7. 7.窓打つ雨
  8. 8.M
  9. 9.Beautiful
  10. 10.STAY BLUE
  11. 11.Signs
  12. 12.世界でいちばん熱い夏
  13. <ENCORE>
  14. EN.Dream
岸谷香/Unlock the girls

LIVE

KAORI KISHITANI / Unlock the girls LIVE TOUR 2026 "59th SHOUT!" ~A面に恋をしたあなたへ~
6/13(土) 大阪・なんばHatch 
6/19(金) 神奈川・CLUB CITTA 
6/21(日) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
6/27(土) 福岡・福岡トヨタホールスカラエスパシオ
6/28(日) 広島・広島CLUB QUATTRO
7/5(日) 新潟・NIIGATA LOTS
7/11(土) 宮城・仙台Rensa 
7/18(土) 北海道・札幌 PENNY LANE24
7/26(日) 東京・豊洲PIT
一般発売:2026年4月25日(土)
岸谷香オフィシャルHP http://www.kaorikishitani.com

EVENT

『ARABAKI ROCK FEST.26』
国営みちのく杜の湖畔公園 北地区 エコキャンプみちのく
2026年4月25日(土) 開場9:30 開演10:30
※雨天決行 ※キャンプサイト:土曜 9:00オープン
※詳細はHPをご確認ください。https://arabaki.com/

『LuckyFes’26』
8/10(月)に出演
会場:国営ひたち海浜公園
※詳細はHPをご確認ください。https://luckyfes.com/

RADIO

ニッポン放送 『オールナイトニッポン MUSIC10』
毎月第4水曜日 22時~24時

上映

プリプリ解散から30年。tvk秘蔵ライヴ・フィルムを全国30館で劇場上映
tvk(テレビ神奈川)の音楽番組で放送された貴重なライヴ映像を蔵出しし上映します。
※詳細はHPをご確認ください。
https://www.sonymusic.co.jp/artist/Princess/info/581186


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