本誌『STAGE』が主催するセミナーイベントの第2弾として、2023年5月20日(土)にLOVEBITESのギタリスト、miyako氏によるスペシャルギターセミナーが開催された。

LOVEBITESは世界を股に掛け活躍する女性5人組のヘヴィメタルバンド。2017年のデビューからわずか1年余りで海外にも進出し、その後も大型フェス出演など海外での公演も定期的に行っている。miyakoはLOVEBITESのギタリストとしてツインリードの片翼を担いながら、多くの楽曲の作曲も手掛け、またライブではピアノも演奏。6月にはピアノカバーEP『Etude Op.23(覚醒のエチュード)』を発売し、ピアニストとしてもソロデビューを飾っている。

今回はそんな多才なmiyakoのギタープレイや実際にステージ上で使用している機材を間近で見られる貴重な機会。音作りや機材との出会いなどを本人の口から直々に聞くことができた。当日は3部制で開催されたが、事前告知があった通り各部の内容は基本的に共通。ここでは全3部の内容を集約してお届けしたい。

開始時刻になると、セミナーイベントということもあって“教師”を意識したと言う少しカチッとした印象のジャケット・パンツスタイルのセットアップに身を包んだmiyakoが登場。来場者へ来場の感謝を告げつつ軽く挨拶をすると、まずは言葉よりも音で語るとばかりに早速1曲目のデモプレイを始めた。Dean ML Switchbladeを手に始まったのはLOVEBITESの代表曲のひとつとも言える『Shadowmaker』。バッキングからソロまで、miyakoのプレイのみにフォーカスして楽しめるまたと無い機会に、参加できた幸運なファンたちが詰めかけた客席は早くも熱を帯びていく。

演奏を終えると機材に関するセミナーの時間だ。使用機材の話として、まず最初に取り上げられたのはアンプ。miyakoが現在使用しているのはPeavey 6505+ヘッドとOrange PPC212OB WH MYKキャビネットの組み合わせだ。この組み合わせに至った経緯としては、以前はヘッドもOrange製のもの(Dual Dark 100)を使用していたが、LOVEBITESでの活動に際し、Orangeのヘッドは気に入っていてロックには向いているが、ヘヴィメタル然としたサウンドを求めてPeaveyのヘッドに行き着いたというのがその始まりだ。更に、Peaveyのヘッドを試奏する際にPeaveyのキャビネットと元々使用していたOrangeのキャビネットで弾き比べたところ、Orangeの方が音が締まって「ドーン」と前方への直進性があるサウンドであったため、メタルバンドにはパンチ力のあるOrangeキャビネットとの組み合わせを採用することにしたのだという。アンプのヘッドとキャビネットのメーカーは揃えなくても好みの組み合わせが見つかれば良いのだ。

Orange PPC212OB WH MYK。オープンバック仕様になっている。

また、Orangeでmiyakoモデルの白いキャビネットを作ってもらえることになった際に、オープンバック仕様のPPC212を試したところ、後ろからも音が出るためロー感がいい感じに出るようになり、よりヘヴィメタルらしい音になった印象があったため、自身のモデルではオープンバック仕様を選んだという。歪んだサウンドでブリッジミュートを掛けてリフを弾くようなプレイで“ズンズン”弾いたときに気持ち良かったのがオープンバックだったそうだ。

ここでは、この自身のアンプ選びにまつわるエピソードに合わせて、音作りに正解はなく、自分の好みで行くしか無い。しかし、音作りの目指す方向性が分からないときは自分の好きなアーティストの機材や音作りに対する考え方を参考にするのはありなので、自分もそのお手本の一つとして参考にしてもらえる人がいたら嬉しいとも語っていた。

この話を踏まえて次のデモ演奏はDean USA Icon Flame Mapleを携え、「ライブで久しくやっていない曲」として『Above The Black Sea』をプレイ。Iconならではの中域の充実した伸びやかなトーンがPeaveyヘッドならではのメタリックなドライブ感とOrangeキャビネットの締まったサウンドでより心地よく響き渡った。

続いてはエフェクターが並ぶペダルボードの話へ。まず、前提としてmiyakoが述べたのはギタリストには2種類の人がいるという話だ。それは、コンパクトエフェクターを並べるボードを使う人と、マルチエフェクターを使う人。miyako自身は前者であり、4つのドライブペダルを含む11台のペダルが並ぶボードを使用している(※パワーサプライやジャンクションボックスを除く)。

本人曰く、勿論マルチエフェクターのセッティングの簡便さやどこに行っても自分の音が出せるといったメリットも理解しているが、それでも自身がコンパクトエフェクターを並べたペダルボードを使用するのには主に2つの理由があるという。

まず1点は、自身がこれまで辿ってきたバンド人生に由来するそうだ。ライブハウスやスタジオに常設してある、あまり状態のよくないアンプでも自分の出したい音が出せるように、当時の周りの先輩に言われたという「どんなアンプでもどんな状況でもできなきゃあかんで」という言葉を受け、様々な環境でもペダルでの音作りで自分の音を作っていくことに慣れているのだという。現在でも、アンプでの音作りは全体の70%ほどで、そこにペダルを組み合わせて100%の音を目指すという考え方をしているそうだ。「ペダルでアンプをなんとかしないといけない環境」で生きてきたからこその音作りの考え方が根底にあるのだ。

もう1点は、好きなペダルがたくさん並んでいる状況が「萌えポイント」であり、単純にわくわくする、嬉しい、という理由。使用するエフェクターを選ぶ際も、勿論音は大事なポイントだが、10%ほどは見た目にかっこいい・かわいいと思えるかどうかも大事にしているそうだ。そもそも最初に試すかどうかも見た目にピンと来ないと手が伸びない。そして、ステージ上で自分が見てテンションが上がるものを揃えるということは、自己満足ではあるが、自身のテンションを上げ結果的に良いパフォーマンスにも繋がる。

勿論、コンパクトペダルを並べるスタイルには単純に物が増え、配線も増え、トラブルが起こり得る箇所も増えるというデメリットもある。トラブルが起きた際の原因の判別にも時間がかかる。それでも、miyakoの目指すペダルボードでのシステムを運用するために、テックやローディーといったスタッフたちが配線も綺麗にし、極力トラブルが起きづらい環境を作ってくれているとして、改めてスタッフに感謝の言葉を述べていたのも印象的だった。

先程演奏したIconと共通する仕様を盛り込んで姉妹感を演出しているというDean USA Vに持ち替えたmiyakoが続いて披露したのはピアノソロEPで自身でもカバーした楽曲である『Addicted』。使用するギターに合わせて使い分けているというドライブペダル、そしてBogner Harlowブースターでプッシュされたソロのサウンドと、こだわりのボードを通して作られたmiyakoのサウンドが堪能できた。

ペダルボード内のこだわりポイント、ディレイとスイッチャーについて

LOVEBITES

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