本誌『STAGE』が主催する初のセミナーイベントとして、2023年4月8日(土)にMardelasのギタリスト、及川樹京氏によるスペシャルギターセミナーが開催された。
Mardelasは国内ハードロックシーンを代表する女性ボーカリスト蛇石マリナを擁するHR/HM/J-ROCKバンド。2015年にキングレコードNEXUSレーベルよりメジャーデビューを果たし、以来その卓越したテクニックとハードでありながらもメロディアスな楽曲、圧倒的なライブアクトでシーンを牽引し続けている。
ギタリストの及川樹京はそのテクニックとエモーショナルな表現力が高く評価されているシーンきってのギタリストであり、Mardelasの美しい楽曲を生み出すメインコンポーザーの一人でもある。今回はそんな及川のギタープレイをライブとは違った環境で間近で感じられるだけでなく、様々な演奏に関するティップスや心掛け、フレーズ構築の考え方などを直接聞くことの出来た非常に有意義な時間となった。
ここでは動画や写真も交えながら当日の模様を振り返っていこう。
2部制で開催されたこのギターセミナーの第1部は「リフ編」と銘打たれており、ロックギターには欠かせないリフにおけるプレイに焦点が当てられた。
しかし、その本編に入る前に大前提となる必須テクニックとして、歪んだエレキギターをいかにクリアに弾くか、その大切さとそれによって生まれる一音での説得力、といったトピックからこの日のセミナーは開始された。アンプの歪みの原理・歴史から、ミュートを駆使して歪んだギターをクリアに弾く方法、実際に鳴らす弦だけをピッキングするのではなく右手を振り抜く弾き方、ブラッシングノイズを混ぜることで迫力のある音を作る方法など、手本となる実演はもちろん、細かな部分では「悪い例」も実際に演じて見せるなど分かりやすく充実した講座が進む。
ここでこの日1曲目となるデモ演奏はIron Maidenの『2 Minutes To Midnight』。そして、続けてこの曲から影響を受けて作曲された部分があるというMardelasの『Daybreak』がプレイされた。特設会場に設置されたシステムながら、ラックシステムとOrange PPC212Vキャビネットを通して放たれる及川のギターサウンドはキレがあり伸びやかで気持ちの良いドライブサウンドで、プレイも冴え渡る。
先に説明した通りに、パワーコードでも右手を大きく鋭いスピードで振り抜くリフプレイは切れ味鋭く響くことが改めて体感できた。
続いては演奏時に及川自身も意識していることとして、コードの構成音とリフの関係を把握し、元となるコードフォームを意識しながらプレイするという話題に。コードフォームを把握しておけば、ライブ中のアレンジで咄嗟にフルコードで弾くといったことも対応可能になる。また、数式を与えられずにただただ暗記するようにフレーズを覚えるのではなく、コードとの対応を結びつけて理解することで、「暗記」ではなくなって曲も把握しやすくなり、そこから先の練習やアレンジもより有意義なものになっていくのだという。歪んだギターでフルコードをプレイすると濁って聞こえるので“美味しい”音をいかに残してフレーズを構築するか、といったギターアレンジ面でのヒントも惜しみなく伝えてくれた。
この話題から続いてプレイされたのはOzzy Osbourneの『Bark at the Moon』とMardelasの『Link』の2曲。
ここでも元となるコードフォームとリフを弾くポジションに焦点を当てたトークが展開されるとともに、ここで取り上げたデモ曲での「本題」としてソロにおけるコードトーンとフレーズの関係性にも話は及ぶ。
MCアシスタントとして参加していた蛇石マリナがキーボードで演奏するコードの上で実際にギターでコードトーンを示しながらフレーズを解説。『Bark at the Moon』のソロと同様のコードトーンの使い方を『Link』のソロ導入部でもしていると明かしてくれた。
また、ドライブサウンドのときは曲のブレイク時には手元の(ギター本体の)ボリュームを絞ってクリーンなプレイをすること、そして曲のテンポが早いときやブレイクが短いときなどボリューム操作が間に合わないときはブレイク前の音を弾きながらボリュームを半分程絞っておくことで綺麗にブレイクできるという「裏ワザ」も伝えてくれた。及川の周りのギタリスト(TEARS OF TRAGEDYのTORUさん)も実際に使用しているというプロ御用達のテクニックだ。
続いて話題はリフの演奏におけるニュアンスの付け方とピッキングハーモニクスの混ぜ方に。LOUDNESS高崎晃氏を例にあげ、通常のリフプレイ時でもピッキングハーモニクスの混ざり具合によって独特なトーンが得られることを教えてくれた。
また、メタルはロックから派生して出来たということを理解し、ルーツであるロックを学ぶ大切さも説いてくれた。及川曰くロックを通っているギタリストはオープンコードの使い方が巧く、ギター1本のアレンジでもレンジが広く空間を埋めることができるギタープレイが出来るのだという。
1部の最後にプレイされたのは、Judas Priestの『The Hellion / Electric Eye』、そして、この楽曲からヒントを得て、楽曲冒頭にイントロSEのようなギターソロ・パートを構築することを意識したというMardelasの『Burn Out』の2曲。
自身で(冗談交じりではあるが)「100点」と評したピッキングハーモニクスも飛び出す、白熱の演奏であった。演奏後は受講者からの質疑応答も受け付け、一音一音にニュアンスを込め、思いを込めて弾くことがエモーショナルと評されるギタープレイに繋がるという話で総括し、第1部は終了となった。
撮影:小野寺将也
取材・文:稲葉悠二
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