ライブレポート

5人組ガールズヘヴィメタルバンド、BRIDEARが5月5日(木)に東京・代官山SPACE ODDでワンマンライブ『BRIDEAR 2022「LIVE AEGIS」』を開催した。

コロナ禍でありながらも見事に完走してみせた昨年秋のヨーロッパツアー、その後の国内凱旋ツアーなどを経た彼女たちが、古代ギリシャ神話に登場する都市の守護女神アテナが携える聖盾イージスの名を冠し、希望や戦う覚悟を込めて完成させた4thフルアルバム『AEGIS OF ATHENA』。メンバーそれぞれが作詞・作曲を手がけた意欲作を引っさげてのワンマンには、フロアがぎっしり埋まるほどたくさんの観客が詰めかけた。

ライブはアルバムのオープニングを飾る9分超えの『Side of a Bullet』でスタートした。ステージ背面のLEDパネルに荒れ果てた街の様子などが映し出される中、語りを含む厳かなイントロに乗せて、新アーティスト写真の衣装を纏ったKIMI(Vo)、MISAKI(Gu)、AYUMI(Gu)、HARU(Ba)、NATSUMI(Dr)が登場。各パートの絡みがなんともスリリングで、リズムも目まぐるしく変化する壮大なナンバーを、5人はアイコンタクトを取りながら気合十分に奏でていく。“Let’s get through all of this and never give up(全てを乗り越えてみせる 決して諦めたりはしない)”“We’re still here to survive We’re gonna start a new day(僕たちはまだここに生き残っている 新たな日々を掴みにいこう)”といった前を向く歌詞、『AEGIS OF ATHENA』のジャケ写がド迫力で投影されるVJの効果も抜群だ。

そのままポジティブなパワーをより加速させるような『Preference』へなだれ込むと、シンガロングの部分では、声を出せない代わりにフロアから拳が熱く突き上がった。全11曲のうち、実に8曲を英語詞で書くという挑戦を試みた最新作。野心に満ちあふれたワールドワイドな姿勢が序盤の2曲で早くも示され、バンドとしての凄みがグッと増したのが伝わってくる。

KIMI(Vo)

ゴールデンウィークの真っ只中、みなさん遊びに来てくれて本当にありがとうございます。今日は『LIVE AEGIS』と題して、アルバムの世界観と従来のBRIDEARらしさを混ぜた楽しいライブにしようと思ってますので、最後までよろしくお願いします!」とKIMIが挨拶したあとは、前作『Bloody Bride』からのアップチューン『Daybreak』『Dimensions』を立て続けに演奏。楽曲の疾走感に合わせて、MISAKIとAYUMIが繰り出す速弾き&連携ソロ、HARUの屈強なビートやデスボイス、NATSUMIの超絶パワフルなドラムがさらに活き活きと躍動し、KIMIの凛としたボーカルを後押しする。

新しいアルバムには9分くらいの曲が入っていたりもするんですけど、そこまで長いなっていう感覚はないんですよ」(HARU)、「今日はVJもあるので、そっちにも注目してみてください」(KIMI)と、聴きどころや見どころを語るメンバー。やはり英語詞の曲が多くを占めたセットリストにおいて、歌詞を視認しながら楽しめるのはありがたかったし、BRIDEARのパフォーマンスを盛大に彩るグラフィックのほか、ヨーロッパツアーの模様などを映す演出も素晴らしかった。

以降は『AEGIS OF ATHENA』の収録曲を惜しみなく披露。BRIDEARのメンバーが敬愛する元Janne Da Arc/現Nicori Light Toursのkiyoが作曲したリード曲『Greed』は、妖しい魅力を孕んだイントロのリフなど、切なくもポップなメロディに新機軸が感じられるとともに、ミラーボールのきらめき、ひときわ笑顔で演奏する5人の姿も印象的だった。そして、天高く舞い上がるような泣きのギターフレーズが胸を打つロッカバラード『With Me』。メロコア調のサウンドと自分を信じ抜くメッセージをもって聴き手のハートに火をつける『Determination』。フレッシュかつ表情豊かな新曲をステージで鳴らしては、オーディエンスのリアクションを受け止め、ライブならではの感触を一つひとつ確かめる。そんな特別な時間が続く。

いやー、暑い(笑)! お客さんの熱がすごいですね。私、暑いライブのほうが好きなんです」と話し、先の3曲でAYUMIが弾いていたGIBSON ES-355について「いかつくてカッコいいギター」と触れたり、楽しそうな表情を見せるKIMI。「『AEGIS OF ATHENA』ではいろいろなチャレンジをしていて、これまでよりもさらに攻めた曲が増えたんですよ。今の女性バンドのシーンでこんなに勇ましいことをできるのは私たちくらいなんじゃないかな。やっぱり、そのきっかけとして去年のヨーロッパツアーは大きくて。“なんでもやれちゃうんじゃない?”みたいな強気な感じで作れたので、そういう姿勢やヘヴィメタル魂が伝わっていたら嬉しいです」と自信も覗かせた。

また、今年で結成10周年を迎えるというBRIDEAR。メンバーもすっかり忘れてしまっていたため、詳細は決まっていないそうだが、「何かやれたらいいなとは思っているので、そのときはぜひ遊びに来てください!」とのこと。

その後も、KIMIが推し曲だという、J-ROCKとメタルを絶妙に融合させたメロディックな『The Bathtub』。“青春”をテーマにした爽快な耳当たりやポストロック的なテイストが光り、BRIDEARの持ち味であるツインギターもとりわけ麗しい『Past in Emerald』と、日本語詞の新曲でも『AEGIS OF ATHENA』の世界観を存分にアピール。アルバムを象徴する約8分に及ぶプログレッシブな『BRAVE NEW WORLD REVISITED』は、すでにバンドの代表曲に育ってきているのが見て取れた。細部まで緻密に構築された展開美、そうした複雑なアレンジを鮮やかに表現し切ってみせる鉄壁の演奏力のおかげで、HARUが話していたとおり、本当に長さを感じさせず心地よく聴かせてしまうのがすごい。

祈りにも似た声でやわらかに歌うバラード『Starlight』までを終え、少しホッとできた感じが窺えるメンバー。後半のMCでは「初めてBRIDEARのライブに来た方っていらっしゃいます?」と尋ねたり、「コール&レスポンスはできないけれど、ハミングならいいらしいよ」ということでハミングでのやり取りをしたりと、オーディエンスとのコミュニケーションを楽しむ場面も。

本編ラストは、燃え盛る炎の画をバックに叩きつけた『Ghoul』、クライマックスにふさわしいキラーチューンの『Bloody Bride』を畳みかけ。おなじみの巨大モンスターマスコット“Brideちゃん”が『AEGIS OF ATHENA』のジャケに倣った紅いドレス姿で弓矢を手に乱入し、メンバーとフロアを活気づかせる一幕もあり、大盛況のうちに5人はステージを降りた。

『AEGIS OF ATHENA』Tシャツに着替えて再登場したアンコールでも、NATSUMIのドコドコ轟く快速ツーバスをはじめ、全員のプレイがドラマティックに輝きを放つメロスピナンバー『Road』、今後のさらなる飛躍を誓うように『Again』を、まだまだ暴れ足りないといった勢いで届けたBRIDEAR。世界を視野に入れて表現の幅を大きく広げた最新アルバムが、ステージでの演奏を通じてより確かな自信作となっていく。そんな過程が垣間見られたような充実のライブだった。この手ごたえを胸に、彼女たちにはもっとアグレッシブに突き進んでいってもらいたい。

取材・文:田山雄士
ライブ撮影:Akifumi Soeda

AYUMI(Guitar)使用楽器・機材紹介

BRIDEAR

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2022年9月10日、ロンドンのBoston Music Roomで行われた‘Decide To Survive’ ヨーロッパツアーのライヴの模様を収録したライヴアルバム!! ミックスとマスタリングはHAMMER FALLやArch Enemyなどを手掛けたFredrik Nordström (フレドリック・ノルドストローム)が担当。日本盤のみボーナストラックとして新曲『Eyes of Doubt』収録。
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4th Full Album 『AEGIS OF ATHENA』Now On Sale!!

古代ギリシャ神話、都市の守護女神アテナが持つ聖盾「イージス」。今も続くコロナ危機に、人々を鼓舞する音楽の力を信じ世界が一つになって立ち向かおう。そのテーマを掲げたエイベックス第3弾アルバム!!

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