「ギター愛」に溢れたイベントを注目のギタリストYASHIROがレポート!!
日本の音楽シーンを盛り上げている個性豊かな4人のギタリストによる “Legend guitarist vol.2 ~summer next start~” が8月24日赤坂BLITZにて開催されました。 「実にギターへの愛に溢れたイベントだったなぁ」という一言に尽きますが、どのように熱い様子だったかオープニングから振り返ってみることにしましょう。
SEが流れ終わるのと同時に、このイベントのテーマ曲とも言える『Legendary』が始まりました。メンバーが代わる代わるメインメロディーを弾き、オクターブでユニゾンしたりハモリを入れ、間奏部分では会場のオーディエンスに軽い挨拶をするかのように一人ずつソロを弾いていきます。
まさにオープニングに相応しい、ここからどんなステージになっていくんだろうとワクワクさせてくれるような素敵な曲が終わり、少しテンポの速いリズムパターンの中で沸き起こる手拍子を浴び「赤坂BLITZーー!!」と煽りを入れるのはRENOさん。そしてその勢いのまま『Chemical Rock』へ。間奏の途中でもマイクで「ウォイ!ウォイ!」と叫んだかと思えば、ワーミーを使ってギターでも煽ってくるのはRENOさんならではの圧巻のパフォーマンスです。
3曲目、爽やかなリフから始まる『Joy』をゆったりと弾いてくれたのはKOJIさん。直接拝見したのはこの日が初めてでしたが、気持ちのよいところに音の溜めが来たり、伸びやかなロングトーンやビブラートなど、プレイを聴いていると非常に良いお人柄なのだろうと思わずにはいられませんでした。
美しいシンセの音が会場を包み込み、youさんによる『new place』が始まると、優しい空気へとステージは彩りを変えていきます。サビメロで音に寄り添うように鍵盤とギターがメロディをなぞるところもたまらなくグッとくるポイントです。
立て続けに4曲の演奏が終わり、「この日が来るのを皆も楽しみにしてたんじゃないかと思うけれど、負けないくらい楽しみにしていました」と語るKOJIさんを筆頭に一人一人がMCをしていきます。それぞれの楽曲を全員でバッキングを弾いたりハモりを入れながら演奏するのは前回にはなかったスタイルのようで、最初から最後まで4人全員のギタリストがパフォーマンスするのはオーディエンスにとっても嬉しいことでしょう。
目の周りを黒くメイクし、鋭い眼光を放ちつつも、MCではハキハキと小気味好く話してくれていた今回初参加の新井崇之さんは『Into the arena』『Sunset』という渋い曲を2曲カバーしてくれました。 どちらもギタリストならではの熱い選曲ですが、『Into the arena』では全体的にワウを使いアグレッシブにプレイし、対して『Sunset』では冒頭クリーントーンで鍵盤とのインプロビゼーションから入るという対極的なスタイル。 途中、セッションならではのスリリングな空気の読み合いもありましたが、リカバリー含めそれぞれが経験豊富なミュージシャンだからこそ成せる技だと感じました。
切なげなアルペジオが印象的な『sweet lemon』では、youさんのピッキングのニュアンスがそのまま伝わるような繊細なタッチで丁寧に音が置かれていきます。全体を通してドラマチックで素敵な曲を、それぞれの展開に寄り添うように弾き分けられるのは流石としか言いようがありません。
KOJIさんの『Perfect World』は、リズムパターンが幾度も変わったり途中さりげなく転調していたりと多彩な仕掛けがあるのですが、ギターのメロディーや表情のつけ方はとても自然で音楽的で、うっとりと曲に入り込んで聴かせてくれました。
ノリの良いギターのリフと共に会場は再び手拍子が沸き起こり、次は『No6』。誰よりもアグレッシブなステージングで魅せてくれた新井さんはここでもチョーキングで体を反らしたり体をくねらせたりとギターと一体化しているんじゃないかと思う程のプレイで場内を沸かせていました。激しい速弾きに粘っこいチョーキングと、実にパッション溢れるギタリストです。
2度目のMCでKOJIさんがギターを持ち替えた際に、ギターのボディーに照明が当たり鏡のように光を反射しているのでお客さんから「眩しいー!」と言われる一幕も。それに対し即座にギターを裏返す優しい気遣いもあり、心がほっこりとしました。
盛り上げ隊長ことRENOさんが再び場内を盛り上げ、客席がヒートアップしたところで激しいツーバスが入るアップテンポな『action』へ。
6/4拍子、6/8拍子、7/8+8/8拍子(捉え方が間違っていたらすみません・汗)と、変拍子も入りめまぐるしい展開の中、途中バックの演奏が止み、youさんがRENOさん、KOJIさん、新井さんの順番で側に寄り添いギターソロを弾きあっていきます。タッピング、速弾き、アーミング、さらには抱擁まで見せてくれる大サービスなセクションを挟でくれました。
『Universe』は美しいハーモニーのメロディが特徴的な曲ですが、伸びやかに歌い上げるように鳴るKOJIさんの音はとても心地よく、キラキラと眩しいギターが視覚的にも聴覚的にも輝きを演出してくれました。
8ビートに乗せた爽やかなイントロから『From the Sky』が始まると手拍手やジャンプで気持ちよさそうに会場がノッていき、さらに曲間で「お前らもギターになれるのか!」という名言(?)が出ながらギターフレーズでも掛け合いの煽りを入れ、会場は一体感を増していきます。鍵盤の都さんも終始ノリノリでした。 因みにこの曲はご本人曰く、おばあさんのお墓参りの帰り道にメロディが浮かんできたそうで、軽やかで爽やかな曲調とタイトルと、曲が生まれた情景がマッチしていてとても腑に落ちました。
『From the Sky』に続きラストはRENOさんの『JOURNEY』。RENOさんは指先から感情がギターと直結しているようなエモーショナルなギタープレイを繰り広げてくれましたが、ギタリストがカッコよく聴こえるためにはギターだけではなくバンドがよくないといけません。NATCHIN(Ba)さんとshuji(Dr/ex.Janne Da Arc)さんはボトムを支える素晴らしいリズム隊で、都啓一(Key/Rayflower)さんは曲に寄り添い多彩な色をつけて空気を作り出してくれました。バンドメンバーの功績は大きかったです。
アンコールではTシャツに着替え、和気藹々とした様子でそれぞれがMCをした後、KOJIさんとyouさんの合作によるこの日のために作られた新曲『Summer Next Start』が演奏されましたが、バンドメンバー含めそれぞれのソロパートがあり個性がわかりやすく出て聴きごたえのある一曲に仕上がっていました。
続いて「皆が知っている曲をやれたらと思いカバー曲を用意してきました」と、『Let it Go』『Mission : Impossible』の2曲を演奏。イベントを楽しんでもらえるようにという気遣いも主催者側の優しさですね。
再度沸き起こるアンコールの中再び登場し、ダブルアンコールではJerry Cによるアレンジの『Canon Rock』を楽しげに演奏してくれました。厳かなシンセにギターが重なって豪華に始まります。
曲も終盤に差し掛かった頃、バンドの演奏が鳴り止み、4人のギタリストが寄り添いながら伴奏もメロディーもギター4本だけで演奏されるシーンがありました。まるで友達の家に集まってギターを抱えて遊んでいるギターキッズのようで、本当にこの方達はギターが好きなんだなぁと実感しました。
ギターに、音楽に、そしてお客さんに楽しんでもらえるように、と愛に溢れたイベントで見ごたえたっぷりでした。
取材・文:YASHIRO
撮影:小野寺将也
《SET LIST》
- 1. Legendary(Legend Guitarist Theme Song)
- 2. Chemical Rock(RENO)
- 3. Joy(KOJI)
- 4. new place(you)
- 5. Into The Arena/Michael Schenker Group(新井崇之)
- 6. Sunset/Gary Moore(新井崇之)
- 7. sweet lemon(you)
- 8. Perfect World(KOJI)
- 9. No6(新井崇之)
- 10. action(you)
- 11. Universe(KOJI)
- 12. From the Sky(RENO)
- 13. JOURNEY(RENO)
- EN1. Summer Next Start
- EN2. Let It Go
- EN3. Mission:Impossible
- WEN1. Canon Rock
YASHIRO
様々なバンドでの活動を経て、現在はフリーランスのギタリストとして都内を中心に活動中。 ジャンルにはとらわれず、ロック、メタル、歌謡曲、ファンク、オルタナ、パンク、J-POP等サポートしてきたアーティストは多種多様。 これまでの主なサポート経歴は、LAGOON、Mary's Blood、光上せあら、河内麻沙美、ホームランなみち、森下玲可、東木瞳、歌謡NOTE(BIG BAND)、yucatなど。 また、教則DVD『ゼッタイ弾ける!カッティング・ギター超入門』、『ギタリストのためのサウンド・システム構築の基礎知識』のインストラクターも務める。 近年では海外遠征、またSUMMER SONIC等様々なイベントに出演。勢力的にライブを行っている。
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