自分が慣れてないギターなのに、ここまで弾けて、ここまで自分のイメージした音が出るってすごい

―では、ここからは土屋さんのギター遍歴についてお聞きしたいんですけど。最初はお話にも出た名もなきブランドのモッキンバードからスタートして。その次はどうなったんですか?

土屋:それが、次にちょうどHIDEさんがモッキンバードにサスティナーを付けはじめたんですよ。それで、僕もサスティナーが欲しいと(笑)。だけど、HIDEさんの形じゃなくて、当時はもう違うのでもいいかなと思って、フェルナンデスから出てた、ラメラメのボディのモダンなストラト系のやつを買いました。

―FRシリーズですかね?

土屋:そうです!FRシリーズのサスティナーがついてるやつを次はメインで結構使ってました。

Fernandes FRを構える土屋氏

―どんな色なんですか?写真とかは残ってないんでしょうか?

土屋:なんて言うんだろう、すごいキラキラしてたんですよ。写真は…実家を結構探したらあるかも知れないですけど(編注:後日上記写真をご提供頂いた)。ちょっと特殊なカラーで、キラキラしたのが入ってたと思うんですよね。

―そのFRの後が。

土屋:その後が、専門学校に行くからなんかいいギターを持った方がいいって思ったんですけど、やっぱり僕は地元がずっとその島村楽器さんで、ずっとお世話になってたから、ちょっと恩返しみたいな気持ちも込めて、当時すごい売り出してたHISTORYのストラトタイプを薦めてもらって。それがマジョーラカラーだったんです。

―3シングルピックアップのストラトタイプですか?

土屋:そうです。3シングルの。それで専門学校に習いに行きました。あとは高校の先輩に譲ってもらったギターとか。高校のカンフーの先輩で、めちゃくちゃギターも歌も上手い人がいたんですよ。その人に結構色々教えてもらったんですけど、イングヴェイとかもガンガン弾いてるような感じだったんです。それで、フェンジャパ(Fender Japan)のイングヴェイモデルを「これ5万でいいよ」って言ってくれて、それを5万で買って持ってました。

―エフェクターとかはどうだったんですか?

土屋:エフェクターは最初はもうとにかくBOSSのコンパクトエフェクターで。

―具体的には何を使ってたか覚えてますか?

土屋:僕は、ターボディストーション(DS-2)っていうやつです。それと、ディレイがPS-2っていうピッチシフターと一緒になってるやつで。後々になって割と名機って言われてるんですけど。当時はすごいマルチ(エフェクター)が出てきたんですけど、でもコンパクトを使ってた気はしますね。

あと、ギターはHISTORYの他に、中古で買ったランディ・ローズVみたいな、ああいうのも1個持ってたりしましたね。でも基本はそのHISTORYのストラトを弾いてたと思いますね。

―globeのときのギターは何だったんですか?

土屋:それもそのHISTORYのストラトです。それ1本で弾いてました。

―じゃあ意外とずっとHISTORYとVで。Vはジャクソンですか?

土屋:ジャクソンです。で、後はバンドでデビューしたときに、本間さんから紹介して頂いたProvidence。当時Deceiverっていうのを作りはじめてて。それをモニターというか頂いて。サンバーストの。それが加わって、だからデビューしたときは割とずっとそれを使ってたって感じでしたね。

Deceiverのギターを演奏するHI LOCKATION MARKETS時代の土屋氏。

―G&Lを使ってた時期もありますよね?

土屋:G&Lは、あの当時だから光一さんですね。2015年の堂本光一さんのときに作って頂いて、それをステージで使ってたんですよね。

―そして、今日も持っていらっしゃる赤いギターですけれども。

土屋:これはBlack Smokerと言うブランドのプロトタイプなんですけど。2015年の後半、10月ぐらいかな。

―それが黒岩真一さん(現在Black Smokerブランドのギターを製作するBlack Cloud Guitar Prod, INC代表取締役兼シニアビルダー)が独立するときですね。

土屋:そうです。それでお会いさせてもらったんですよね。で、もう1ヶ月後ぐらいに(藍井エイルの)武道館(公演)があるみたいな話をしたら、すごい短期間で急ピッチで作ってくれたんですよ(笑)。もうリハーサルが一通り全部終わって、最終日の通しのときにそのギターが届いて(笑)。僕、それで急に弾き始めたんです。それで通しリハやったら、周りがそれ音いいからこっちにしなよってなって。僕はその時点では弾き慣れてないから、いくらいいギターだとは言え、本当にフレット数も違うし、それこそフレットの大きさも違うし、それで弾き心地も違ったりとか。音がいいのはめちゃくちゃ分かったんですけど、もう音色も違うわけだからサウンドも作り直しじゃないですか。これ、最終日なんだけどなぁと思ったんですけど(笑)。でもやっぱり音がいいから、僕も絶対これで出た方がいいなと思って。それでもう最終ゲネと本番でそのギターがステージデビューしたっていう感じですよね。

―実際武道館での本番の音はどうだったんですか?

土屋:音めちゃくちゃ良かったです。めちゃくちゃ抜けましたね。そのライブはDVDにもなってますから皆さんにも是非見て頂きたいですけど(編注:『Eir Aoi Special Live 2015 WORLD OF BLUE at 日本武道館』DVD/Blu-ray)。

で、その後もレコーディングの仕事のときも使ってますよ。前にあった、キンプリ(King & Prince)の1stアルバムのバラード『King & Prince, Queen & Princess』も、僕はリードだけ入れる担当だったんですけど、あのギターで弾いてたり。

―そして、当時はロゴも無かったそのギターが、5年の歳月を経て、Black Smoker FUTURAとして、しっかりと製品化することになったんですね。ギター・マガジンとデジマート・マガジンでレビューをしたと思うんですけど、感想はいかがでしたか?

土屋:そうですね。やっぱり、プロトタイプの時点で音の抜けとか、バンドの中でのいい位置にスコってハマるっていうのがあったんで、僕もめちゃくちゃ気に入ってずっと使わせてもらってるんですけど。正直、さらにめっちゃ良くなってるなぁと(笑)。最初に撮影で持たせてもらったときに、もうこれじゃんって言うか、まずはそのフィット感なんですよね。持たせてもらったのが、あ、もうこれすごいハマっちゃうな、みたいな。持った感じがそれだし、弾いちゃうともうなんですか、要は自分が慣れてないギターなのに、ここまで弾けて、ここまで自分のイメージした音が出るってすごいなっていうのが正直なところです。ノンストレスですね。頑張って弾く、とか、このギターはこうだからこうやって弾かないとこの音が出ない、みたいなのが無いっていうことですかね。それですごいびっくりしちゃったっていう感じです。

―実際に工場にも行かれたということで、新しいギターが製作中のようですね。それも楽しみですね。

土屋:すごい楽しみです。ギターマガジンとデジマートマガジンの試奏レポートで製品化されたものを弾いて、さらにすごく楽しみになりました。

―新しいギターが出来たときはお披露目を楽しみにしています!

土屋:そうですね。是非。ありがとうございます!

インタビュー・撮影:小野寺将也

■デジマート・マガジン試奏レポート記事
https://www.digimart.net/magazine/article/2021082704482.html

ギター・マガジン 2021年9月号 Black Smoker特集記事内にて土屋浩一氏による試奏レポートが掲載!

・Black Smoker特集
長いキャリアを誇る職人の丁寧な仕事が評判を呼び、音楽シーンの最前線で活躍する気鋭ギタリストからも大きな支持を得る国産ギター・ブランド、Black Smoker。本特集では彼らが満を持して発表した最新モデルのFUTURAを軸に、工房レポートや製品紹介を通してBlack Smokerの美学に迫りたい。
ギター・マガジン 2021年9月号
定価880円(本体800円+税10%)
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ギター・マガジン 2021年9月号|MAGAZINES|リットーミュージック


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