―5曲目はガラっと変わって。『Let It Go』。これは爽やかでしたね。
喧:これは、なんていうの?ちょっと西洋っぽいイメージで作ってまして。3拍子もそうだし。
―これも12弦ですか?
喧:バッキングは12弦です。
―アコギのストロークは?
喧:アコギストロークの部分は6弦のTaylorを使ってます。Taylorの3シリーズ、314かな?
それで、イントロから入ってるテーマは12弦で弾いてます。それも使ったギターは『Chasing the Wind』と同じOvationの12弦です。これは元々、歌物だったんですよ。
―まさに、聴いてるだけで口ずさんでしまいそうな曲でした。
喧:それをちょっとインストに途中で変換していって。そのまんま歌物のメロディーをやってもちょっと面白くなかったから、そこはちょっとインスト寄りにメロディーを変化させていきました。でも、サビなんかは本当に歌えるメロディーにしてありますね。
―そうですよね。なんか歌詞まで出てきちゃいそうな感じで。これは、結構前からあった曲なんですか?
喧:これは、すごい昔にイントロだけ作ってあって。で、溜めてあるとこにあったのを、「あ、こんなのあった、面白い」と思って、持ってきて、そこから今回用に作り直したのかな。だから、結果的にはこの2~3年のうちに作った曲ですね。
―この曲の使用ギターもお聞きしていいですか?
喧:テーマが12弦で、後ろのバッキングはTaylorのアコギです。テーマのメロディーはシェクターですね。サスティニアックも使ったと思います。
―歌の代わりにギターが歌ってる感じですね。
喧:そうですね。バッキングは、ほとんどアコギだけだけど、たまにピアノと、アコーディオンの音色でウンパッパウンパッパって弾いてます。
―3拍子で。遊園地っぽいイメージもありますね。この曲には悪い人はいないですね(笑)
喧:これはいないですね(笑) 遊園地ですから。
―そうですよね(笑) 先程「西洋っぽい」って仰られてましたけど、遊園地のイメージも西洋の遊園地のイメージですか?
喧:そうですね。本当は元々のテーマが“ギターサーカス”みたいな感じにしようとしてて。所謂サーカス団が街にやってきたよ!みたいな感じのアルバムにしようかなって、そもそも最初に一個コンセプトがあったんです。だから、結構サーカスが始まるときのテーマみたいな曲も作ったりしてたんですよ。でも、やってるうちに段々変わってきて。ちょっと中毒性がある方が面白いかなって思って『Addiction』ってことになったんです。
―なるほど。
喧:こういう曲好きなんですよ。昔から、歌物でも3拍子の曲も多くて。アイリッシュ的な感じですね。
―そして、締めの『Sanbonjime』。「三本締め」って、まさに喧太さんならではだなって思ったんですけど。三本締めをちょっと調べたら、「江戸時代の式典などで行われてきた、物事が無事終わりましたという感謝の思いを込める一区切りとして行う」と…
喧:ええ。そうですね。
―この曲は、リズムもすごい…そのまま三本締めで。
喧:これ難しかったんですけど…。元々家、原田家は、年末に餅つきっていうのやってまして。餅つきが終わるときにみんなで三本締めして終わる、一年を締めくくるっていう行事が家にはあるんです。なんかそういう面白いことができないかなと思ってて。最初は、お寺でお経を聞いてて、お経でなんか曲ができないかなと思ったりもしたんですけど(笑) 色々考えてるうちに、身近に三本締めがあるじゃないかって気付きまして。毎年家は三本締めするので、これをテーマにちょっと作ってみたらどうかなって思ったんですよ。
でも、三本締めって3回じゃないですか?だけど、音楽ってだいたい4回繰り返しますよね?「パパパンパパパンパパパンパンはい」って3回やると、パパパン…ってもう1回いきたくなるんですよね。でも、それじゃあ三本締めにならないから。どうしたらいいかなーってときに思いついたのが、三本締めって、…パパパンパン、「ありがとうございましたー!」ってこうやって最後するわけですよ。あ、これまでつけちゃえばいいんだ!って。そしたら曲にできたんです。そこに思いつくまでが結構相当悩んで作りました。三本締めをどうやってグルーヴさせるかっていうことをすごい考えました。
―これからの喧太さんのライブでも締めには必ず…
喧:これは盛り上がるでしょうね。でも、最初、打ち込みのドラムだとすごい平坦に感じて、なんかこの曲は盛り上がらないなーって思ってたんですよ。最初はこの曲はボツ候補に入ってたんです。
今回のアルバムは全曲、全編一人でやってるので、――『Chasing the Wind』のトラックは頼んだけど、それ以外全部一人でバックトラックも全部作ってますから、ドラムも打ち込みで。ボツ候補に入ってたけど、これ面白いから入れたいんだけどなーと思ってて。で、ドラムのCHARGEEEEEE…に曲を持っていって。ドラムアレンジしてくれない?ってお願いして、スタジオに入って。このトラックにあわせてバーっとCHARGEEEEEE…がやってくれたんですよ。そしたらちょっと雰囲気が変わったんです。だから、この曲だけ生ドラムなんです。この曲以外は全部打ち込み。CHARGEEEEEE…がドラムでちょっとアクセントを加えてくれたから、より盛り上がる曲になりましたね。
―ありそうでないっていうか。喧太さんしか思いつかないかも知れないです。
喧:こんなに身近なところにあったんです(笑) 原田家は三本締めじゃんって。うちの親父の葬式でも三本締めして締めましたからね(笑)
―いやだからこれはアイディアがすごいですよね。
喧:なかなかないですよね(笑) これを思いついたときは、やった!って思いましたね。
―曲の最後で実際に三本締めをしてる音声が入っていますけど、これはこのために収録したんですか?
喧:いえ、あれはそれこそ年末の餅つきの締めです(笑)
―さっき仰ってた年末の喧太さん家の餅つきなんですね。
喧:餅つきをやって締めるときに、レコーダーの録音を押して置いときました。
―これはこの曲に入れようと思って録ったんですか?
喧:そうです!
―ってことは、最後のあれは昨年、2023年の餅つきなんですか?
喧:2022年ですね。ちょっと今よりもコロナの影響もあって…だから、いつもよりも人数が少ないんですよね。餅つきに来る人が人数少なかった。差し替えようと思って、2023年も録ったんだけど、ちょっと、いまいちバラバラだったから(笑) こっちの方がいいなってなりました。
―ここまで1曲ずつ話を聞かせてもらいましたけど、喧太さんから、他に言っておきたいことはありますか?
喧:アルバム収録曲を6曲にしたっていうのは意味があって。ギターインストゥルメンタルってお腹いっぱいになっちゃうじゃないですか?テクニックばっかりのやつもあるし、だいたい7曲目辺りで集中力が欠けてきちゃうんですよ。だったらもう6曲でいいんじゃないかと思って。気づいたら6曲ってあっという間に終わっちゃうから、そうしたらもう1回リピートできるし。だから、7曲か6曲にしようと思ってたんです。
なので、ギターをそんなに知らない人でも聞いてて楽しめるアルバムじゃないかなって思ってます。ギターキッズもめちゃくちゃ楽しめるし、そうでない方たちも割と楽しめるアルバムじゃないかなって思ってるんですけどね。そういえば昨日、大黒摩季が素晴らしいアルバムだってすごい褒めてくれました。
―曲調の幅もすごくあるし、誰でも楽しめそうですよね。
喧:そうですね。まだ(曲は)あるから、このアルバムが売れてくれたらもう一枚次を作れるんですよ(笑)
―アルバムで使用されたギターを改めてまとめておくと、シェクターとブルーフワラーテレ、SLIP!、レス・ポールと、あとアコギがOvation 12弦、Martin 12弦、Taylorの 6弦、っていうところですよね。
喧:多分それだけだと思います。
―このアルバムのジャケット写真もすごくかっこいい仕上がりですが、これもこだわりがあったんじゃないかなと思います。いかがですか?
喧:これは、今回のカメラマンの方がすごい自由に動いていいですよ、好きに動いてくださいって言ってくれる中で、自由にやってる中の一枚です。撮影してるときから、これ絶対ジャケ写にいいよねって言われてましたね。
―今までもご一緒されてきたカメラマンさんだったんですか?
喧:今回初めての方でした。
―新たなカメラマンを起用してジャケ写を撮影されたんですね。すごい洗練されたイメージでかっこいいですね。
喧:いいですよね。これすごく気に入ってます。
―アルバムの背表紙と中を開いたところで喧太さんが持っているギターはこのアルバムで使ったギターなんですね。
喧:使ったやつですね。
―Steelpan Recordsというレーベルからのリリースになりましたが、これはどういうレーベルさんなんですか?
喧:このアルバムは、結構前から出来上がってて、どういう形で出そうかなって凄い悩んでて。どこのレーベルにしようか、本当にもう自分たちで焼いて、ディストリビューションかけないで会場と通販だけで売ろうか、とか色々考えてたんですけど。
元々僕はニューヨークで知り合ったベーシストの塩田(哲嗣)くんっていう子がいて。ジャズのベーシストなんだけど、ジャズクラブだったりで彼と最近よくセッションすることが多くて。で、彼はニューヨークでエンジニアもやりつつベーシストもやってて、エンジニアでもすごい腕があるんです。で、こんなの作ってるんだよねって話をしたら、「うちレーベルありますよ」って話になって。
彼はマスタリングもできるんですよ。で、マスタリングまで全部終わってたんだけど、マスタリングだけ彼にやり直してもらったんです。それで、サウンドも更にすごいよくなって。で、「どうせだったらうちから出しませんか?」ってことを言ってくれて。なので、Steelpan Recordsになりました。ジャズ・フュージョン系のレーベルなんですけど、まぁ言ってもこのアルバムもちゃんとしたロックだけじゃないので。ジャズ・フュージョンとか入ってても大丈夫じゃない?みたいな話になりまして(笑)
―このアルバムの曲たちを次にライブで聴ける予定はないんですか?
喧:本当は(2024年)年内にライブをやるはずだったんですけど、MOUNTAIN MAN(高橋和也(Vocal, Bass)、原田喧太(Guitar, Chorus)、平山ヒラポン牧伸(Drums)によるスリーピースバンド)のツアーで結構出ちゃってまして。会場も一回抑えたんですけど、機材の運搬の関係で難しくなってしまって。来年になっちゃうんですけど、まだこれから決めます(笑)
―わかりました。では、2025年にはソロのライブがありますよということですね。
喧:はい。必ずやります。こないだのメンバーで。あのメンバーじゃないとやらないんで(笑)
インタビュー・撮影:小野寺将也
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