互いの思いを繋ぎあおう。共に作りあげた思いを、ずっと紡いでいこう。

3月に発売した1stアルバム『AS IS.』を手に、Faulieu.が7月より名阪仙と行った「Faulieu. 1st Album “AS IS.” TOUR」。同ツアーのファイナル公演が、8月24日に渋谷Spotify O-WESTで行われた。

メンバーが登場するたびにフロアのあちこちから上がる歓声。SEが途切れ、一瞬のブレイク…。スポットライトの光の下、「精一杯の思いを今響かせよう」と歌うCanaco(Vocal, Guitar)の歌声を合図に、Faulieu.のライブは『』を響かせながらスタート。次第に躍動する心地好い緊張感を持った演奏だ。4人が前のめりの姿勢で、「届け」とみずからの声を歌声と演奏に乗せてぶつける。その刺激が、気持ちを騒がすどころか、熱く奮い立てる。スリリングなど短絡的な言葉では形容しきれない、この場にいるからこそ感じるゾクゾクッとした高揚感。その刺激が身体中を駆け巡るたびに、力強くクラップし、声を張り上げずにいられなかった。

Kaho(Guitar, Chorus)

止まることなく、高揚した音色をフロア中に響かせながら『君のまま』へ。一度上げた熱い思いを冷ますことなく、軽やかに駆けるビートに合わせ、拳を振り上げていたい。ここに集った一人一人にどんな未来が待ち受けていようとも、彼女たちは「ここにいるよ どんなときも」と歌っていた。その言葉が、心の背中を押すエールとして届いていた。突き刺すような音を奏でるKaho(Guitar, Chorus)のギターリフ。時に腕を振り上げ、雄々しい姿で演奏し続けるベースのAyano(Bass, Chorus)。思いを音に乗せて強く突きつけていけるのも、Mimori(Drums, Chorus)の力強い演奏が常に支えているからだ。

次に奏でたのが、アルバムのタイトル曲の『AS IS.』。演奏を始める前に、「OK」「All right」とかけあいを練習。そのうえで、楽しい一体感を持った空気を膨らませるように『AS IS.』の演奏へ。彼女たちは、「失敗しても、派手に転んでも、君らしいありのままでいいよ」と元気よく声をかける。Faulieu.が歌うのは、無理に背伸びをすることなく、自分らしくいればいいんだからという前向きなエール。だから、Canacoの歌に合わせて「OK」や「All right」と声を上げ、一緒に元気に騒いでいたい。

Canaco(Vocal, Guitar)

少し表情を塗り替えるようにFaulieu.が歌い奏でたのが、甘酸っぱい恋心を綴った『檸檬』。アコギを爪弾きながら「やり直しの繰り返しで」と歌うCanaco。胸の内を零すように響く歌声へ、ワウギターの淡い音色でそっと寄り添うKaho。今にも壊れそうな心を支えるようにMimoriが優しく音を重ねる。そこへAyanoも加わるのを合図に、演奏は少しずつ切ない音の色を増してゆく。恋した人を失った切ない思いを、届くことのない歌声の手紙を読むようにCanacoは歌っていた。

エレクトロな音が響きだす。そこへ重なる透明感を持ったギターサウンド。情緒を抱いた声でCanacoがゆっくりと歌いだす。彼女が、曲のタイトルを口にしたのを合図に、楽曲は色を膨らませるように広がりだした。『メリーゴーランド』でもCanacoは、満たされない思いを少しでも埋めるように声を響かせていた。Faulieu.の楽曲はどれも、歌に登場する主人公の思いへ、それぞれの演奏陣が寄り添うように音を奏でる。だから、曲ごとに気持ちがスーッと引き寄せられ、いつしか心がその世界の虜になる。

Mimori(Drums, Chorus)

Mimoriのしなるようなドラムプレイ、そこへ絡む躍動したAyanoのベースとソリッドなKahoのギター。セッションのような演奏をブリッジに飛び出したのが、とてもスタイリッシュでソウルフルな『隠れんぼ』。心地好く跳ねた演奏の上で、心の惑いを吹き飛ばすように、でも乱れる感情のままにCanacoが歌を届けていた。楽曲はお洒落でジャジーなのに、とても生々しい歌なのも魅力だ。

Ayano(Bass, Chorus)

タイトなリズムを刻むMimoriのドラムビート。Canacoの煽る声を合図に、Kahoが突き刺すように音色を響かせる。『嫌い』でもCanacoは、クールな、でも軽やかに跳ねた演奏の上で、自分探しの歌を届けて来た。サビで、一気に攻めた表情に変化。攻撃的なKahoのギターの音色も刺激的だ。この曲でもFaulieu.は、夜を舞台にしたジャジーでソウルフルな楽曲を通して、一人の女性の惑い迷い、もがきながらも、自分らしさの答えを探そうとする心模様を表現。時に微睡むように、時には心を掻きむしるように歌い奏でていた。途中にメンバー同士のソロ回しを加えたことで、ライブに嬉しい臨場感を与えてゆく。曲が進むごとに、刺々しく感情的になる歌と演奏。4人が音をかけあう様や気持ちを一つにした演奏をぶつける姿に刺激を受け、フロア中から熱い声が上がり、拳が突き上がる様も印象深く見えていた。

その勢いを一気に膨らませるように、Faulieu.はパワフルに『ヨマイゴト』をぶつけてきた。この曲でも彼女たちは、曲の中へ巧みに緩急揺れ動く表情を付けながら。でも、その勢いを大きく大きく膨らませるように演奏。フロアにいる人たちも、気づいたら手にしたタオルや腕をクルクルまわし、沸き立つ感情をぶつける4人の姿へ向けて熱い思いをぶつけ返していた。

本当のわたしを見つけるための歌」と語ったCanacoの言葉を口火に歌い奏でたのが『ALLY』。歪みを上げる演奏の上で、Canacoは自身の気持ちを奮い立てるように歌っていた。もどかしい胸の内をすべて吐き出し、みずからを解き放つように歌うCanacoの声が胸を熱く揺さぶる。3人も、彼女へエールを送るように声を上げる。途轍もなく熱いエナジーを持った楽曲を、あえて暗鬱な色に塗り上げて歌うからこそ、その言葉や演奏が、切っ先鋭いナイフのように胸に突き刺さる。

この4人でできるだけ長く音楽活動を続けてゆくこと。それが、わたしの夢です」と、MCでCanacoが語りだした。このメンバーと、そしてFaulieu.の音楽を求めてくれる仲間たちと一緒に、Canacoは音楽を、ライブを続けたいと口にしていた。「夢は大きくなくても、ゴールは見えていなくとも、やりたいことが目の前にあるなら突き進んでいけばいい」。当たり前のように思えて、それを続けることが難しいのを知っているからこそ、Canacoは今の素直な気持ちを伝えながら、ここにいる人たちにエールを送っていた。

星の数ほどいる中で、私たちを見つけてくれたあなたに、この曲を送ります」の言葉に続いて歌ったのが、『劣等星』。言葉のひと言ひと言をみずからの心へ言い聞かせるように、Canacoはギターを弾き語っていた。「君の側で歌えたらいいな」の言葉を合図に、演奏陣は一気に荒ぶる音を響かせる。この曲でも彼女たちは、歌詞に綴った主人公の乱れ揺れる感情へ寄り添うよう演奏へ巧みに緩急をつけ、気持ちが高ぶるままに歌うCanacoへ寄り添い、彼女の背中をグイグイと押していた。胸の内から沸き立つ強い意志と熱情を、Canacoは気持ちを吐き出すように歌っていた。その生々しい思いや演奏が、触れた一人一人の心へしっかりと刺さっていた。

「ぐちゃぐちゃになった思いも全部 溶けちゃばいいのに」と力強く歌うCanacoの声を合図に飛び出したのが、『アイビー』。一気に激しさと勢いを増した楽曲に乗せ、フロアのあちこちから熱いクラップが飛び交う。力強くギターをストロークする腕の振りと沸き立つ思いをシンクロするように感情的に歌うCanacoの姿も印象的だ。メンバーみんな、前のめりの姿勢で演奏。そのエモい衝動に、心が嬉しく奮い立つ。

その勢いをさらに加速するように、Faulieu.は『下の名前で呼ばないで』を演奏。依存したい気持ちも心に隠しながら、自立した一人の女性として歩む意志をCanacoはラブソングを通して歌にすることも多い。そうすることで、みずからを鼓舞していけるからだろうか。この曲でも、メンバーたちの攻めたエモーショナルな演奏に刺激を受けた観客たちが、時に声を張り上げ、拳を突き立て、共に気持ちを奮い立てていた。

歪む音をザクザクと掻き鳴らすCanacoのギターのストローク音から始まったのが、『ロンリーコンプレックス』。中盤のブロックでFaulieu.は、エモさと荒ぶる感情をミックスした楽曲を次々と繰り出し、気持ちと身体の両面を熱く刺激してゆく。だからこそ、その熱に、ずっと感情を掻き立てられていたかった。

次に披露した『マボロシ』は、Canacoが高校2年生のときからずっと大事に歌い続けてきた楽曲。ここには、「当たり前のことを新鮮に思うのは難しいこと。それに大人になってから気づくことが多い。それでも幸せだった日々が消えてなくなったわけではない。心の中にいつでも輝いているし、それを見つけてほしい」という思いを綴っている。Canacoは、「大切な人を思い浮かべながら聴いてほしい」と語ったうえで、『マボロシ』を演奏。とても切々としたバラードだ。ひと言ひと言をしっかりと噛みしめるようにマイクスタンドに置いたマイクをギュッと強く握り、彼女は歌っていた。身体を震わせ歌うCanacoの思いへ、優しい光を降り注ぐように3人が演奏。Canacoの歌声に羽ばたく小さな翼を授けるように音を鳴らす演奏陣。その音を羽ばたく力に変え、思いを飛ばすように歌う姿が印象深く見えていた。

場内中の人たちが「LA la la la」と歌いだす。「どんな夜も  音楽が貴方の道標になるから」とCanacoは語っていた。Canacoが、メンバーたちが、観客たちが「LA la la~」と歌っていた。『Hikari』、胸に眩しい輝きを降り注ぐ楽曲だ。「LA la la la」と歌うたびに、身体中が少しずつ光に包まれる。心が輝きに満ちてゆく。だから大勢の人たちが『Hikari』をみずからを鼓舞する力に変え、拳を振り上げ、「LA la la la」と歌い続けていた。

Faulieu.は、最後に『紡ぐ』を演奏。Canacoは歌っていた。互いの思いを繋ぎあおうと。共に作りあげた思いを、ずっと紡いでいこうよと。一人一人へ向けて、4人は「あなたらしく生きていこう」と心の声を歌声や演奏という手に乗せて伸ばしてきた。その思いを受け止め、互いに心の中で手を結びあうたびに笑顔になれる。「点と点は線になって 繋いだ線は輪になって 隣合って固く結んで また一つ またひとつ 紡いでいく 届くまで」と、声に出す人から、心の中で歌う人たちまで、『紡ぐ』を演奏しているこの瞬間瞬間、確かに繋がりあえているのを感じていた。それを強く覚えたことが嬉しかった。

アンコールは、この空間にふたたび熱情した風を巻き起こそうと『薔薇』を演奏。フロア中から溢れ出る熱いクラップ。メンバーみんな、ゆったりと身体を揺らしながら演奏していた。独り言のように。でも、身近な人へ届くように。そんな雰囲気で歌うCanacoの声が、次第に心で花咲くようだ。そんな風に感じながら盛り上がれていたことが楽しかった。

最後の最後にFaulieu.は、この日の楽しさを、また次の楽しさへ繋げるように、フロア中の人たちのクラップも演奏に加えて『SPICA』を届けてくれた。みんなで分かち合った、自分らしく生きる思い。サビでは大勢の人たちが高く掲げた手を左右に大きく振りながら、心を一つにしていた。最後まで響き渡った観客たちの熱い声が、互いに思いを結びあえた喜びを示していた。

PHOTO:nishinaga “saicho” isao
TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.聲
  2. 2.君のまま
  3. 3.AS IS.
  4. 4.檸檬
  5. 5.メリーゴーランド
  6. 6.隠れんぼ
  7. 7.嫌い
  8. 8.ヨマイゴト
  9. 9.ALLY
  10. 10.劣等星
  11. 11.アイビー
  12. 12.下の名前で呼ばないで
  13. 13.ロンリーコンプレックス
  14. 14.マボロシ
  15. 15.Hikari
  16. 16.紡ぐ
  17. -ENCORE-
  18. EN1.薔薇
  19. EN2.SPICA

Canaco(Vocal, Guitar)使用楽器・機材紹介

Faulieu.

Faulieu. Presents "4Step " 

Faulieu. Presents "4Step " 
stage.1 2024/9/26(木) 
stage.2 2024/10/21(月) 
stage.3 2024/11/14(木) 
stage.4 2024/12/3(火)

 下北沢ReG
 OPEN 19:00 / START 19:30
 料金 3,500円(+1D) 
http://w.pia.jp/t/faulieu-t/

Faulieu. Presents Merci 2024

Faulieu. Presents Merci 2024
2024.12.23(月)
渋谷DIVE 
OPEN 18:30 / START 19:30 
料金 4,000円(+1D)
http://w.pia.jp/t/faulieu-t/
プレイガイド販売期間:9/21(土)12:00 ~ 12/22(日)23:59 

手売りチケット:9/26(木)ライブ物販にて販売開始

入場順 
1.プレイガイド 
2.手売りチケット 
3.当日券


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