やがて、前半とは対照的な今回のライブのキービジュアルにもなっているダークな雰囲気を纏った紺色の衣装に身を包んだメンバーが登場。華やかでありながら、ただならぬダークな雰囲気を漂わせる独特なデザインは、今までのMorfonicaの印象とはかなり異なっていて非常に斬新だ。また、彼女たちはいずれもブラックやモノトーンの楽器を愛用しているが、これが今回の衣装やコンセプトの雰囲気に異様なほどにマッチしている。

Vn.八潮瑠唯(CAST:Ayasa)
Morfonicaらしい優雅な音色でリードプレイからバッキングまで自在にこなす。フィーチャー曲『フレージング ミラージュ』では、優雅さだけにとどまらず、重厚さと悲哀を感じさせる音色を巧みに奏でていた。カーボン製の弓「Coda Bow DIAMOND SX」は軽量さが高い操作性を生んでおり、演奏中の弓さばきや、演奏後に振り下ろす様は、さながら細剣を自在に扱う英傑のようだ。

瑠唯「手を伸ばした先にあったもの――
それは『うぬぼれ』と『自己満足』」

バイオリンの荘厳かつダークでミステリアスな旋律が会場に響き渡る。
自らの過去と心に鍵をかけて閉ざしてしまったVn.八潮瑠唯(CAST:Ayasa)にフィーチャーした楽曲『フレージング ミラージュ』がライブ初披露された。短調の旋律や変拍子など、バイオリンの存在感がキラリと際立つ構成になっており、彼女が幼いころに失ってしまった心を震わせる音にもう一度出会うためにもがく様子が力強く描かれたナンバーが観客の感情を揺さぶる。

つくし「私は何をやっても人並み…評価はいつも”がんばったね”」

ノンストップでドラムソロが凛々しく響き、『esora no clover』がライブ初披露される。
四葉のクローバーなんて遠い絵空事、三つ葉にすら届かない…彼女の苗字「二葉」とクローバーをかけた苦く切ない劣等感と、変わりたいという想いを描いた歌詞が印象的なDr.二葉つくし(CAST:mika)にフィーチャーした楽曲だ。安定的な控えめのフレーズから、終盤にかけては全力疾走の如く激しいプレイへと変遷していく。強がりでも良いから進もうと力強く足掻く心情がドラムの音にも現れているように感じられた。

カバー曲でありながらライブの世界観にマッチした『unravel』でさらに没入感を深めていく。迫真のステージが展開し、力強いサウンドが会場を飲み込んでいく。

Ba.広町七深(CAST:西尾 夕香)
ライブを重ねるごとにESP BOTTOM BUMP PJ NANAMIをより自由自在に操っている。基本的にはリズム隊としてバンドサウンドの基礎を支えている彼女だが、『わたしまちがいさがし』では、縦横無尽に駆け回るようなフレーズを随所で聴くことが出来る。演奏で感情を見事に表現する彼女のテクニックを存分に堪能することが出来る。

七深「みんなと同じ色の絵の具をまとって、みんなの中にこっそりと紛れ込んだ」

重厚なベースソロが観客の全身を震わせる。
ここでライブ初披露された『わたしまちがいさがし』は、自身の天才性と向き合いながらも本当の自分の曝け出し方に葛藤する姿を描いたBa.広町七深(CAST:西尾 夕香)にフィーチャーした楽曲だ。ベースを主体としたグルーヴィーなナンバーで、ベースラインが曲中で縦横無尽に駆け回るのがとても印象的だ。
仲間外れになりたくないあまりに自分の才能を嫌悪した結果、自分で自分を仲間外れにしていたと気づき、ありのままの自分として解き放たれようと立ち向かう力強さにあふれた演奏だ。

ここで2曲のカバーソング『アゲハ蝶』と『Nevereverland』が披露される。セットリストの抑揚としてとても良いアクセントになっている。
軽快なミディアムテンポからアップテンポなハードロックナンバーへと展開していき、観客の感情をさらに揺さぶってくる。
さらにパワフルなアッパーチューン『誓いのWingbeat』をノンストップで演奏し、さらにビートを上げ、観客の熱量をより一層リードしていく。前半のにこやかな表情とは対照的な鋭い眼光、バンドサウンドから鬼気迫るものをひしひしと感じる。

透子「このまま歩き続けて、いつか後ろを振り向いたとき…そこにみんなはいるのかな」

Gt.桐ヶ谷透子(CAST:直田 姫奈)にフィーチャーした楽曲『MUGEN Reverberate!』ももちろん今回がライブ初披露だ。考えるよりも先に思ったことを口にしてきた彼女が、自分の言葉で他者を意図せず傷つけていたことに気づき苦悩する。自分に正直に突き進みたい、でも誰かを傷つけたい訳ではない…葛藤にもがき苦しむ重さとそれでも抑えきれないエネルギッシュなパワーが共存した疾走感あふれるナンバーだ。密度の高い咆哮のようなギターソロが圧倒的な存在感を出しており、彼女の心の叫びが音に乗せられていることが感じられる。

Vo.倉田ましろ(CAST:進藤 あまね)
豊かな感情表現で、今回のライブのメインコンセプトでもある、メンバー5人の苦悩や葛藤を表現した楽曲を見事に歌い分け、歌詞の一言ひとことに深みと説得力を持たせていた。歌声だけでなく手や指先の動きにも感情が満ちていた。特にフィナーレの『きょうもMerry go rounD』ではその歌声で観客の心をグッとつかみ、Morfonicaの楽曲が持つ世界観へ深く誘ってみせた。

前曲からのスピード感を維持したままノンストップで『flame of hope』へとなだれ込む。観客も待ってましたと言わんばかりに「Wow wo wow」と力強いコールレスポンスで応える。この楽曲は透子と瑠唯のぶつかり合いが具現化されたナンバーとも言える。前曲からの繋ぎに感情が高ぶった観客は少なくないだろう。

続いて披露された『Ever Sky Blue』は、Morfonicaが空へ羽ばたき進み続けていくような透明感と一体感のある美しいナンバーだ。この演奏を聴いた時、「彼女たちならきっと大丈夫。」そう思わせるパワーとエモさを感じた。一瞬、ハッピーエンドを思わせるような爽快感だ。

ましろ「私に神様っているのかな…」

この日、ライブ初公開にしてライブのラストを飾る『きょうもMerry go rounD』はVo.倉田ましろ(CAST:進藤 あまね)にフィーチャーした楽曲だ。シンセサイザーの打ち込みサウンドとボーカルのみのイントロ、これはMorfonicaの楽曲としては珍しいサウンド構成だ。「Morfonicaの楽器ではない音」と「歌声」の美しいハーモニーが、ましろの孤独感を浮き彫りにしているように感じた。
辛いことをいつも他人のせいにしてきた過去の自分と向き合い、憂鬱な日常のメリーゴーランドから抜け出そうともがく力強さが、表現力豊かな歌声に乗せられたナンバーだ。

演奏を終えると、ボーカル以外の楽器メンバー4人がステージを去る。
ステージ後方の洋館の扉の前で1人で座り込んだまま、扉の向こうの光へ手を伸ばすましろの後ろ姿が影となって暗転…
アンコールは無く、センセーショナルなフィナーレを迎えた。

ライブ終了と同時に、次回のConcept LIVE「ff」の情報が解禁された。タイトル「ff」(fortissimo)は「forteよりも強く」という演奏の強弱表現を示す音楽用語だ。Morfonicaはまだ変身の途中で、彼女たちが抱える葛藤を乗り越える道のりは次回のライブへ持ち越された、ということだろうか。

登場人物の成長を描くうえで苦悩や葛藤に向かい合うという描写は珍しくないが、今回のライブはとてもチャレンジングなものだったと感じた。また、彼女たちの内面の成長、バンドとしての演奏技術や音楽スタイルの成長を感じることができるライブだった。

「ff」の会場となる河口湖ステラシアターは、奇しくもMorfonicaのデビュー曲『Daylight -デイライト- 』のMVの撮影場所だ。次回のライブは更なるターニングポイントとなるかもしれない。期待を寄せて今後も注目していきたい。

©BanG Dream! Project
取材・文:佐々木雅晃
Photo:ハタサトシ

《SET LIST》
  1. 1. ハーモニー・デイ
  2. 2. ブルームブルーム
  3. 3. メランコリックララバイ
  4. 4. 両翼のBrilliance
  5. 5. フレージング ミラージュ
  6. 6. esora no clover
  7. 7. unravel
  8. 8. わたしまちがいさがし
  9. 9. アゲハ蝶
  10. 10. Nevereverland
  11. 11. 誓いのWingbeat
  12. 12. MUGEN Reverberate!
  13. 13. flame of hope
  14. 14. Ever Sky Blue
  15. 15. きょうもMerry go rounD
Morfonica

Morfonica 7th Single「Tempest/Wreath of Brave」10月9日(水)リリース!

2024年10月9日(水)に、Morfonica 7枚目のSingle「Tempest/Wreath of Brave」が両A面でリリースされます。
Blu-ray付生産限定盤には、2024年4月に開催されたMorfonica Concept LIVE「forte」のライブ映像を収録いたします。さらに初回生産分には、2025年開催予定 Morfonica単独ライブイベント 最速先行抽選申込券も封入されます。

<商品概要>
Morfonica 7th Single「Tempest/Wreath of Brave」
発売日:2024年10月9日 (水)
価格:Blu-ray付生産限定盤:9,900円(税込)
通常盤:1,540円(税込)
詳しくはこちら
https://bang-dream.com/discographies/3753

Morfonica Concept LIVE「ff」が開催決定!

2024年10月12日(土)にMorfonica Concept LIVE「ff」の開催が決定しました。

<公演概要>
◆公演名:Morfonica Concept LIVE「ff」
◆日程:2024年10月12日(土)
◆会場:河口湖ステラシアター
詳しくはこちら:https://bang-dream.com/events/morfonica_ff2024

Morfonica 6th Single 「両翼のBrilliance」Now On Sale!!

2024年5月1日(水)に、Morfonica 6枚目のSingle「両翼のBrilliance」がリリースされました。
TVアニメ「カードファイト!! ヴァンガード Divinez」のエンディングテーマの表題曲「両翼のBrilliance」を含む3曲に加えて、Blu-ray付生産限定盤には、2023年10月に開催されたMorfonica ZEPP TOUR 2023「forte」東京公演のライブ映像を収録いたします。
さらに初回生産分には、10月12日(土)開催予定 Morfonica Concept LIVE「ff」の最速先行抽選申込券も封入されます。

<商品概要>
Morfonica 6th Single「両翼のBrilliance」
発売日:2024年5月1日(水)
価格:Blu-ray付生産限定盤:9,460円(税込)
通常盤:1,760円(税込)
詳しくはこちら:https://bang-dream.com/discographies/3647


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