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Faulieu.結成1周年を記念したワンマンライブ。めでたくソールドアウトとあって入場が混み合っていたために30分押しでスタートとなったものの、開演の時を迎えればそんなフラストレーションも瞬く間に吹き飛ぶ。
オープニングSEが流れ、上段までぎっしりと埋まった渋谷WWWのフロアから手拍子が巻き起こる。「ようこそ『AS IS.』へ! 最高の一日を作っていこう!!」とCanaco(Vo&Gt)が叫ぶと、待ちわびた想いを解放するように場内はヒートアップしていく。
所属事務所の退所に伴い、バンド名をfleufleuから変え、楽曲のアレンジも一新し、2023年3月より再出発を果たしたメンバー4人。そして、Faulieu.の初ライブから約1年。新曲のリリースに加え、この渋谷WWWでのワンマンに向けた対バンシリーズ『Road to WWW』などを必死で積み重ねてきた結果、彼女たちは憧れのライブハウスが似合うバンドになっていた。
『またね』『薔薇』がテンポよく繰り出される中、バンドが主軸に置くCanacoの歌を立たせながら、Kaho(Gt&Cho)のソロやタッピングが痛快な印象を残す。ボトムを支えるAyano(Ba&Cho)とMimori(Dr&Cho)の力強いビートに一段と磨きがかかり、ニューアレンジもすっかり板に付いている。何より、熱く沸き上がるオーディエンスのエネルギーを受け、満面の笑顔を浮かべて躍動する4人の楽しそうな姿がいい。
4月17日の全国リリースに先駆けてライブ当日より特別盤が販売となった、Faulieu.としての1stアルバム『AS IS.』の収録曲も惜しみなく放出。まずは春らしい爽やかなメロディで駆ける『君のまま』が、耳慣れない新曲にもかかわらず、歓喜のムードをさらに膨らませてみせた。ちなみに、この曲を手がけたのはAyano。バンドのメインコンポーザーはCanacoだが、新譜ではメンバーそれぞれの作った曲が楽しめる点も注目だ。
「最高の景色ですね!みなさん楽しんでますかー? 私たちもこの日を本当に楽しみにしてきたんです。もっともっとみんなといっしょに楽しみたいなと思って、コール&レスポンスのある曲を作ってきちゃいました!」とCanacoが切り出し、オーディエンスにサビの“OK!”“All right!”をハンドサイン込みでレクチャーしたアルバム表題曲『AS IS.』も、Faulieu.のカラフルなポップセンスが冴えわたって大盛り上がり。
Mimori作の新曲『隠れんぼ』では、雰囲気たっぷりの照明のもと、ブラスやピアノの同期を取り入れ、Canacoがハンドマイクでアンニュイに歌うなど、一転して大人っぽくジャジーなサウンドを展開。間奏で各メンバーのスタイリッシュなソロが次々に炸裂した『嫌い』、和メロ×バウンシーなリズムでタオル回しを誘った『ヨマイゴト』では、ライブバンドらしくとことんロックに攻め、フロアがいっそう興奮の坩堝と化す。
「その愛が偽りだとわかっていても、独りになるのは寂しくて……。そんなあなたが、どうか本当の愛を見つけて、ぐっすり良く良く、眠れますように」
曲前にCanacoが突如シリアスなモノローグを挟み、Ayanoのスラップ弾きをはじめ、歪みの深いタイトなアンサンブルで独りぼっちの虚しさを表現した『ロンリーコンプレックス』も秀逸。そのまま別れの曲『下の名前で呼ばないで』に美しく繋いだりと、緩急自在なアプローチをもって、4人はこの一年の成長を感じさせてくれる。
続いては「自分が書いてきた曲を振り返ってみたら、やっぱり恋愛の曲が多いなと。実体験も含めつつ、友達からの相談、時には小説や映画に影響を受けて、作詞をしているわけなんですけど、一見わかりにくい関係性を描くのが好きだったりとか、いろいろな恋の形があるんだなと感じます」とCanacoが語り、彼氏と上手くいかなかった友達のため、ちょっとでも前を向けるように作ったという『檸檬』へ。
Canacoが奏でるアコギの音色を添え、苦くて酸っぱい失恋をしっとり歌ったあとは、同じく伸びやかなボーカルが映え、ストリングスアレンジを加えたことでよりドラマティックになったバラード『マボロシ』を披露。さらに、浮遊感のある打ち込みと回るミラーボールが見事に噛み合った『メリーゴーランド』、Faulieu.始動を告げたアップチューン『アイビー』と、4人は堂々たるパフォーマンスで存分に輝きを放つ。
「まずは1年間、4人でいっしょにやってこられて幸せです。これだけの方々が足を運んでくれたというのが、今までの活動を表す証だなと思うし、何回言っても足りないんですけど、本当にありがとうございます!」と、ファンに改めて感謝を伝えたCanaco。
本編クライマックスを飾ったのは、Kahoが作詞・作曲を主に担当した“La la la…”の壮大なコーラスが眩しい『Hikari』と、“ありがとう”をリフレインするシンガロングパートがこれまでにない清らかさと包容力でオーディエンスを癒した『紡ぐ』。自分たちを支えてくれた一人ひとりの明日を照らす光になれるようにと願いを込めて届けられた、みんなで歌えるフレッシュなパワーを持ったこの2つの新曲が、今後のFaulieu.を導く重要な指針にきっとなる。そう確信できるほど、素晴らしく感動的な時間だった。
アルバム『AS IS.』のリリースツアー情報が解禁されたアンコールでは、スマホ撮影OKと呼びかけ、桜が満開の季節を彩る『SPICA』を演奏。そしてキラキラと多幸感あふれる『聲』で、公演タイトルどおりに等身大の姿を見せた、新曲が盛りだくさんのメモリアルライブを心地よく締め括った。最後に、メンバー全員の言葉も残しておきたいと思う。
「集まっていただいて、本当にありがとうございます。まさかソールドアウトできるとは、正直思ってなかったから……!まだ結成1年じゃないですか、私たち。ひよっこバンドなんですけど、口コミで広がったりして、こうやってたくさんの人が来てくれたのは、みんなのおかげです」(Kaho)
「4人でひたすら曲を作って、ライブをいっぱいやってきて、なんだか1年間じゃないくらい濃い日々でした。いろんな人に支えられてここまできました。今日のソールドアウトは私たちだけの力じゃありません。みんな大好きなツアーも発表されたので、2年目のFaulieu.もよろしくお願いします!」(Ayano)
「最強つじかほ、ニコニコAyanoちゃん、おてんばでキャッチーな(?)Canaco。1人だけじゃできないことも、4人ならできるなといつも思ってます。自分たちだけじゃできないことも、スタッフやお客さんが支えてくれる。次の目標に向けて歩みを止めずにいきたいので、みなさんもぜひついてきてください!」(Mimori)
「今までの楽しかったが更新できていてすごく嬉しいです。“AS IS.=ありのまま”の本質は、自分の気持ちに嘘をついてないことだなと感じました。Faulieu.というバンドを4人が4人らしくあれる場所にしていって、少しでも明日を前向きに生きようとあなたに思ってもらえる音楽をこれからも作っていきます!」(Canaco)
取材・文:田山雄士
Photo:nishinaga “saicho” isao
《SET LIST》
- 1.またね
- 2.薔薇
- 3.君のまま
- 4.AS IS.
- 5.隠れんぼ
- 6.嫌い
- 7.ヨマイゴト
- 8.ロンリーコンプレックス
- 9.下の名前で呼ばないで
- 10.檸檬
- 11.マボロシ
- 12.メリーゴーランド
- 13.アイビー
- 14.Hikari
- 15.紡ぐ
- <ENCORE>
- EN1.SPICA
- EN2.聲
Faulieu.
Faulieu. Presents "4Step "
Faulieu. Presents "4Step "
stage.1 2024/9/26(木)
stage.2 2024/10/21(月)
stage.3 2024/11/14(木)
stage.4 2024/12/3(火)
下北沢ReG
OPEN 19:00 / START 19:30
料金 3,500円(+1D)
http://w.pia.jp/t/faulieu-t/
Faulieu. Presents Merci 2024
Faulieu. Presents Merci 2024
2024.12.23(月)
渋谷DIVE
OPEN 18:30 / START 19:30
料金 4,000円(+1D)
http://w.pia.jp/t/faulieu-t/
プレイガイド販売期間:9/21(土)12:00 ~ 12/22(日)23:59
手売りチケット:9/26(木)ライブ物販にて販売開始
入場順
1.プレイガイド
2.手売りチケット
3.当日券