その輝きや楽しさが、未来へと繋がる原動力だ。さぁ、これからもその光の指し示す先の景色を一緒に観に行こうか。
「ЯeaL Яock Яevolution vol.10 10th Anniversary」公演レポート。

ЯeaLが誕生したのが、2012年12月。メンバーは全員、中学3年生だった。1年後には大阪BIG CATでライブを行うまでに成長。彼女たちの存在が話題を集め、2016年3月にはメジャーデビュー。2021年には、所属していた事務所との契約を終了。現在は、メンバー自らバンドをハンドリングして活動を行っている。2022年12月には、約4年間サポートを務めてきたギタリストのYuriを正式にメンバーへ迎え、新たにスタート。その上で迎えたのが、12月17日にSpotify O-WESTで行った、結成10周年記念ワンマンライブ「ЯeaL Яock Яevolution vol.10 10th Anniversary」だ。

先に伝えておくと、彼女たちはこの日、2022年7月より6ヶ月連続で配信リリースした全曲を披露。10周年という形を取りながらも、2020年6月に発売した2ndアルバム『ライトアップアンビバレンツ』に収録した曲たちも多く演奏し、現在のリアルなЯeaLの姿を映し出すライブとして形作っていた。この日は、マスク越しなら声出しOK。彼女たちが求めていた環境が、ようやく戻りだした。

Ryoko(Vocal/Guitar)のギターの音が鳴り響く。彼女が「ゆらりゆらりゆら 彷徨って 明日になったら何か変わるかな? 明日になったら何か変われよ」と『ゆらりゆらりゆら』を歌いだした。そこへ3人の演奏が重なり音を破裂させるのと同時に、フロア中から轟き出した熱い声・声・声。無数の雄叫びを、彼女たちは自らを奮起するパワーに変え、音に投影。4人の気迫と気合いが荒ぶる音となり、身体中に突き刺さる。気持ちを揺さぶる演奏に刺激を受け、フロア中から起きる熱いクラップ。ゆらり揺れる感情を。いやいやいや、沸き立つこの思いを4人にぶつけずにいられない。フロア中から熱い声が沸き続けるのも、当然だ。

荒ぶる感情のギアをさらに上へと入れるように、ЯeaLは『Brilliant escape』を突きつけた。速さと重さ、何より、過激さがアップ。Ryokoは高ぶる気持ちのまま、生々しく声をぶつけだす。彼女の気迫に満ちた歌を、 3人の演奏陣も熱く盛り立てる。スリリング??確かにスリリングだ。そこには、熱しきった鋼の刀のようなギラギラとした熱さが満ちていた。

退屈な日々をぶち壊すように、ソリッドかつスリリングな音が身体を痛く刺激する。ЯeaLが突きつけたのが、今年リリースした配信曲の『ディストラクション・ガール』。フロアでは、荒ぶり弾ける楽曲に合わせて拳を高く突き上げ、その場で飛び跳ねる人たちが続出。感情を自由に解き放つ轟音に乗せ、誰もが踊り狂う。ЯeaL流のダンスロックが理性をどんどんイレースしてゆく。興奮だけに身を溺れさせるその感覚が、堪らなく気持ちいい!!

飛び跳ねながらベースを演奏するFumiha(Bass/Chorus)。クールに跳ねた演奏も印象的な『サイケデリックダンス』でも、フロア中の人たちが拳を振り上げ、荒ぶる声を上げながら沸いていた。うねり、唸る重厚な音の上で、Ryokoは「ダンスミュージックは鳴り止まないよ サイケデリックダンス」と凛々しく歌を突きつける。躍動するリズムに刺激を受けた身体は、止まることを忘れていた。重厚な演奏へ導かれるままに身体や気持ちを大きく揺さぶり、踊り続けていた。

Aika(Drums/Chorus)のドラムカウントを合図に、楽曲はさらに速度と過激さを増しだした。Yuri(Guitar/Chorus)のソリッドなギターのリフが身体を貫く。激しさの中へ次々と熱を加えるように流れる『強がりLOSER』が、理性を壊す。荒ぶる感情をぶつけるように歌うRyokoに刺激を受け、フロア中からも熱情した声が沸き上がる。緊張感に満ちた強靱な演奏だ。フロア中の人たちが、荒ぶる声を張り上げ沸き立つのも納得だ。さぁ、声が枯れるまでこのバトルを続けようか。

蒼い光に包まれたフロアに流れる波の音。その景色へ寄り添うように、Ryokoが鍵盤を弾き出した。それまでの喧騒が嘘のように、彼女たちはもの悲しい思いを胸に『エンドロール』を歌い奏でだした。やがて、演奏が弾け出すのを合図に、Ryokoが気持ちを奮い立てるように歌いだす。激しく掻き乱れる演奏を、さらに掻き乱すように歌うRyoko。彼女たちは悲しみや絶望を振り払い、吹き飛ばす勢いで、自らの痛い感情を歌や演奏で掻き毟っていた。

もの悲しいエレピの音色へ寄り添うように、Yuriのギターも悲しみの旋律をフロア中に落としだす。そこへ他の演奏陣が寄り添いながらバラードの『36.8』へ。苦しい胸の内へさらに物悲しい色を塗り重ねるように、4人は歌い奏でていた。感傷的で感情的な歌や演奏に触れながら、いつの間にか気持ちが悲しい物語の中へ引き寄せられ、共に心を傷つけていた。悲しみが大きく揺れ動くのに合わせ、演奏も痛みを伴いながら大きく波打つ。だから悲しいその心模様へそっと心の手を差し伸べるように、思いを傾けていたのかも知れない。

「この先も、ずっと続いていきますように」。ふたたび、今年リリースした配信シングルの中から『Bright』を演奏。10年間の歩みを噛みしめながら、今を未来へと繋ぐようにと、自らの胸にも思いを刻むように言葉のひと言ひと言を歌うRyoko。その気持ちに痛い音の色を塗り重ねる演奏陣。「どうしようもなく愛すべき場所は 此処だ」「僕には此処しかないから 僕には君しかいないから」と歌うその声から、これからも共に歩み続けようと呼びかける彼女たちの素直な心模様が見えてきた。この関係が永遠に続くかは分からない。でも、彼女たちが「僕には君しかいないから」と求めてきたように、僕らもその声や気持ちを求め続け、この思いを分かち合い続けてさえいれば、物語を共に綴るこの関係を続けていける。

「さよならの理由だけがわかんない」と、思いを高ぶらせた歌声が響き渡る。ЯeaLが歌いだした『さよならの理由』の歌や演奏に合わせ、フロア中から熱いクラップが鳴り響く。熱を持って疾走する楽曲へ、Ryokoは揺れ動く痛い心模様という熱を加え、楽曲に生きた感情を塗り重ねてゆく。切なく悲しい歌なのに、とても雄大な景色を描きだす楽曲だ。演奏が進むごと、目の前へ熱情した景色が広がっていた。

最新曲が続いた後で彼女たちは『未来コネクション』を突きつけ、フロア中の人たちを大きく揺らしだす。大きく、おおらかに躍動する演奏の上で、メロディアスな歌に乗せどんどん熱を上げてゆく。メンバーが飛び跳ね演奏する姿へ、自らの姿も重ね合わせるように。ときにRyokoの歌と掛け合いながら、フロア中の人たちが大きく身体を揺らし、声を上げ、飛び跳ねていた。演奏が進むごとに、気持ちが華やぎだす。その感覚がとても心地好い。

カミサマ』では、ブルーズに唸るロックナンバーを提示。重厚なYuriのギターの音へねっとりと絡み合うFumihaのベースと、タイトな音を響かせるAikaのドラム。3人が作りだす重厚なグルーヴに乗せ、Ryokoはお立ち台に足を乗せ、前のめりの姿で観客たちへ挑むように歌いかける。ときに髪の毛を振り乱し、気持ちが揺れ動くままに舞台の上を左へ右へと動きながら、観客たちを煽るように声をぶつけていた。重く唸る音の上で「ねえ カミサマ」と絶叫するRyokoの歌が胸へと痛く突き刺さった。

Ryokoが、そしてフロア中の人たちが高く拳を突き上げた。勇壮で雄々しいロックナンバーの『re:call』に誰もが気持ちを強く重ね合わせ、「オーオオオーオー」と声を張り上げだす。台に足を乗せて熱唱するRyokoに向け、熱情した拳を突き返す観客たち。メンバーも、フロアを埋めた人たちも、沸き立つ衝動をぶつけずにいられなかった。だから、気持ちのままに叫んでいた。Ryokoの絶唱する歌声をコンダクターに、互いに「オーオオオーオー」と思いきり叫んでいた。

熱情した気持ちを、ソリッドな演奏に乗せフロア中の人たちへ突き刺すように、彼女たちは『Unchain My Heart』を演奏。荒ぶり、高揚してゆく歌や演奏に触れ、魂が奮い起つ。感情を剥きだしに挑みかかるその姿に心を打たれ、興奮した観客たちが、4人に向けて腕を伸ばしていた。

ふたたびЯeaLはダンスロックナンバー『カゲロウ』をぶち込んできた。沸き立つどころか、場内は、絶叫と拳に支配されていた。高ぶる気持ちを、演奏に乗せてぶつけるメンバーたち。躍り狂うフロア中の人たちが求めていたのは、熱狂だ。理性を消し去り、本能のままに騒ぎ祭る、本当になりたい自分の姿だ。メンバーとフロア中の人たちが一緒に飛び跳ねアガり続ける、この一体感がたまらなく気持ちいい。

さらにそこへ、重厚に唸る豪快でfreakyな『Dead or Alive』をЯeaLはぶち込んできた。フロア中から沸き上がる絶叫の声・声・声。意識か壊れそうだ。とにかく、声を張り上げ、ぶつけずにいられない。暴れ騒ぐ観客たちを煽るようにがなるメンバーたち。これが10周年を迎えたバンドの貫祿!?そこにキャリアなど関係ない、自分の気持ちを本気で解き放ったとき、その思いに触発された瞬間、理性なんてものは彼方にふっ飛んでしまう。だから、沸き立つ感情を絶叫と拳に変え、4人にぶつけずにいられなかったんだ。

ЯeaLが10年続くと思っていませんでした。本当にやめようと思ったこともたくさんありました。 ここO-WESTは、5年前に前のギターが脱退した場所。この先3人で乗り越えていけるかも不安でいたけど。10周年を迎えた日に、またここに立っていられることが嬉しいです。この日、この場所からYuriをメンバーに迎え入れ、こうしてまた4人でスタート出来ることを本当に誇りに思います。このO-WESTが、また新たな始まりの地。これからもЯeaLは続いていくんだと歌いたくて、ここに来ました。この景色があれば、ЯeaLがこの先10年も20年も続いていくバンドになると思っています。4人になって、10年を迎えて。ここに来てくれるみんながいる。だからЯeaLを続けたいと。この4人で夢を見たいと思います。もっと大きい舞台に立ちたいと思うからこそ、この先も4人で走り続けます」(Ryoko)

最後にЯeaLは、一番新しい配信シングルの『拝啓、あの日の僕へ』を演奏。今の自分たちの一番リアルな気持ちを詰め込んだこの歌を、4人は最後に伝えてきた。彼女たちは歌っていた、「旅に終わりなんてあるわけないさ」と。「生き抜くのはいつだって大変だ 自分信じられない時もあるよ」と、自分たちの闇も認めながら、「どんな痛みも全て乗り越えて行こう まだ僕らは信じてる まだ見ぬ夢の先へ」と、今の自分たちの心の素顔を力強く届けていた。歌声に命や生を宿すように歌い奏でていた…と、そんなシリアスな言葉で締めたいところだが、4人も、観客たちも、ただただ、沸き立つままに歌や音をぶつけ、ここで音楽してゆくことを楽しんでいた。ただただ楽しくて仕方がないんだという気持ちで、音を分かち合っていた。

アンコールの最初に演奏した曲が、まだ高校生だったインディーズ時代に発表した『Jumping more』。豪快に跳ねたビートに乗せ、フロアのあちこちに飛び跳ねる人たちや、拳を高く振り上げる人たち、声を張り上げ、熱くクラップしてゆく人たちが登場。気持ちや身体を揺さぶる楽曲は、けっして色褪せることはない。むしろ、表現力を増したことで、さらに説得力を持ってフロア中の人たちを沸かせていた。みんなで一緒に跳ね続ける、この瞬間瞬間が堪らなく楽しい。

最後にЯeaLは、『光になれない』を演奏。フロア中から響き渡る野太い声も力に、彼女たちは、気持ちを奮い起てるように歌声と演奏をぶつけていた。「僕は光になれない」と歌いながら、それでも自分たちがこの場所に立てるのは、メンバーたちの輝きに惹かれ、その光の元に集まった仲間たちがいつだっているからだ。“光になる”本当の意味を知っている4人だからこそ、自らを輝かせ、その光をフロア中へ解き放つように歌い演奏していた。その輝きが、楽しさが、未来へと繋がる原動力だ。さぁ、これからもその光の指し示す先の景色を一緒に観に行こうか。そこへどんな景色が広がっていようとも、フロア中から沸き立つ絶叫が、きっと未来を輝かせてくれるはずだ。

PHOTO:ハタサトシ
TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.ゆらりゆらりゆら
  2. 2.Brilliant escape
  3. 3.ディストラクション・ガール
  4. 4.サイケデリックダンス
  5. 5.強がりLOSER
  6. 6.エンドロール
  7. 7.36.8
  8. 8.Bright
  9. 9.さよならの理由
  10. 10.未来コネクション
  11. 11.カミサマ
  12. 12.re:call
  13. 13.Unchain My Heart
  14. 14.カゲロウ
  15. 15.Dead or Alive
  16. 16.拝啓、あの日の僕へ
  17. -ENCORE-
  18. EN1.Jumping more
  19. EN2.光になれない

Ryoko(Vocal/Guitar)使用楽器・機材紹介

ЯeaL

ЯeaL Яock Яevolution vol.11 10th Anniversary -vs- nano.RIPE- 開催決定!

2023/2/24(金) 下北沢SHELTER
OPEN 18:15/START 19:00
スタンディング ¥4,000
※ドリンク代別
https://l-tike.com/realnanoripe/

ЯeaL Яock Яevolution vol.11 10th Anniversary -EPリリースツアー- 開催決定!

2023/4/8(土) 名古屋ell.SIZE OPEN 17:30/START 18:00
2023/4/9(日) 大阪club vijon OPEN 17:30/START 18:00
2023/4/29(土) 下北沢SHELTER OPEN 18:30/START 19:00

スタンディング ¥4,500
学割スタンディング ¥3,500
※ドリンク代別
https://l-tike.com/real/

ЯeaL Яock Яevolution 10th Anniversary -FINAL- 開催決定!

2023.12.08(金) LIQUIDROOM
OPEN 18:15/START 19:00
スタンディング ¥5,000
学割スタンディング ¥4,000
※ドリンク代別

■FC先行 ※抽選
FCはこちらから
https://fanicon.net/fancommunities/4307
・受付期間:2023/12/17(土)20:00~1/31(日)23:59


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