今年も、この日がやってきた。11月15日にNothing’s Carved In Stone恒例となる「Live on November 15th 2022」がZepp DiverCity(TOKYO)を舞台に行われた。「Live on November 15th」はバンドの代表曲である「November 15th」にちなみ、毎年11月15日に行われている公演だ。

ギターの音が重くゆったりと鳴り響く。今日は11月15日。ライブは『November 15th』からスタートした。気持ちを膨らませるようにゆったりと、でも、フロア中へ熱を注ぐように歌う村松拓。メンバーらの感情の熱が上がりだすのに合わせ、次第に曲も速度を増す。途中から、楽曲はエモさを抱きながらテンポをアップ。膨らむ熱に呼応するように、フロア中の人たちが手を高く掲げ、4人へ思いを返しだす。そして、「行こうぜ!!」の言葉を合図に楽曲はバーストした。1曲の中、巧みに緩急した表情をつけながら演奏は突き進む。サビでは胸揺さぶる歌や演奏に合わせ、フロア中の人たちが大きく手を掲げる場面も登場。着実に、確実に気持ちが高揚している。メンバーも、会場を埋め尽くした観客たちも、互いに熱を膨らませながら気持ちが駆けだしていた。

ドラムカウントを合図に、ザクザクとしたざらついたギターの音が炸裂。『Spirit Inspiration』だ。切れ味鋭くも、粗い刃先の鋸で刻まれたような感覚を覚える演奏だ。むしろ、粗い衝動が気持ちを揺さぶるからこそ、演奏に合わせ跳ねずにいられない。緩急をつけ、感情を揺らすスタイルもNothing’s Carved In Stoneらしい。乱れ狂う気持ち、もっともっと大きくしたい。

生形真一(Guitar)with Gibson Shinichi Ubukata ES-355 #001

掻き鳴らすギターの音が嬉しく気持ちを荒ぶらせた。重くざらついた音を吐き散らすように駆ける演奏の上から響く、心をつかむ歌も印象的だ。『白昼』、エモい歌と荒ぶる音が刺激しながら熱を高めてゆく。そこに刺激を受け、みずからの気持ちも高揚していくのが、脈動する鼓動を通して伝わってきた。

フロア中から響き渡る熱いクラップ。「遊ぼうぜ!!」の言葉に相応しい、重いグルーヴを描く『Idols』が登場。跳ねるように進む演奏に気持ちがシンクロ。フロア中の人たちが身体を揺さぶりながら、楽曲が生み出す大きなグルーヴへ心地好く浸っていた。村松拓の歌がエモさを増すごとに、身体も跳ねる衝動を覚え躍動する。それが、気持ちいい。

村松拓(Vocal/Guitar)with Gibson Custom Shop Historic Collection‘58 Les Paul Reissue

Nothing’s Carved In Stoneの場合、エモい楽曲として伝わりながらも、巧みに変拍子や転調を描きながら進んでゆく特色がある。中でも『Spiralbreak』は、変拍子を活かした演奏が印象強く伝わる楽曲。村松拓の歌声をリードに、躍動する演奏に身を任せていると、自然と拳を振り上げ、そのうねりにどっぷり身を浸していたくなる。歌い演奏する4人が音を交わしあい、互いを高めあってゆく。だから、見ている側も一緒に熱を上げるように拳を振り上げ、高揚を感じていける。それが嬉しい。なんてドラマチックで変態エモな楽曲だ。

轟音が炸裂するのに合わせ、起きたクラップ。変拍子も印象深い『ツバメクリムゾン』だ。変幻しつつ、どんどん熱を膨らませ、楽曲はアガり続ける。サビでは熱情した歌や演奏に合わせ、たくさんの拳が突き上がる。巧みに緩急した表情を描きながらどんどんエモーショナルさを増す表情に、嬉しく気持ちが揺さぶられる。

ゆったりとしたうねりを作り上げる演奏も印象的だ。重厚な音を絡ませ始まった『9 Beat』は、少しずつ速さと熱量を増しながら突き進む。ミドルメロウなその演奏は、身体の奥へ奥へと染み込み、身体の重心を揺らしていった。

さぁ、このフロアを踊り狂う連中で一気に埋めつくそうか。Nothing’s Carved In Stoneは横ノリのダンスロックナンバー『Brotherhood』をぶち込み、身体を床の重力から開放してゆく。とてもエモーショナルな衝動を持った歌や演奏だ。頭の中から現実がどんどん消え去るようだ。今は、恍惚したその熱にただただ酔っていたい。

演奏陣の音が一つ一つ重なりながら表情豊かな楽曲に進化してゆく様が、とても刺激的。呟くような歌声に絡む変拍子の効いた演奏。重厚ながらも跳ねた曲調の上で、メロディアスな歌が胸を心地好く揺らす。『Midnight Train』、とてもエキセントリックな楽曲だ。だからこそ、それが刺激的だ。

村松拓 with Fender Telecaster (mod)

ライブは、1曲ごとに様々な顔を見せながら進み続ける。ゆったりとしたリズムに乗せて歌う『Walk』でも、心地好いグルーヴを作り上げる。この曲では、村松の歌をリードに、彼の歌へ引っ張られるように音が絡み合う様も見せていた。歌声に寄り添いながらも、その中へ刺激的な要素を組み込む展開に気持ちが引き寄せられていた。

重いロックナンバーが、一気に渦を巻いた。演奏陣が、互いを刺激するように音を交わすことで生まれる黒い熱。激烈な表情を持った『Damage』に身を浸していると、自然に気持ちがアガりだす。

刺激的な歪みを纏った重厚な日向秀和のベース音がインパクトを持って攻めだした。続く『Fuel』では、巧みに緩急をつけながらも、切れ味鋭いロックナンバーを4人は突きつけていた。ぶっ太いノイズのような音をガツガツと振り回し演奏すれば、歌声も荒々しく演奏に絡みだす。なんて重く歪んだグルーヴロックだろう。

日向秀和(Bass)with Lakland SL44-60/R Hinatch

生形真一のギターと日向秀和のベースがエキセントリックに絡み合う。大喜多崇規の重厚なドラムビートがそこへ加わり、楽曲は一気に攻めに徹した攻撃的な表情へ。その上で、メロウな歌を村松拓が寄り添える。刺激満載の『Milestone』に身を預けた観客たちが、気持ちを突き上げる演奏に合わせ、拳を高く突き上げ続ける。自然と身体を揺さぶる、その衝動が心地好い。

まるでゴジラがズシッズシッと街を破壊しながら歩くようなリズム隊の演奏も刺激的だ。『In Future』で見せた重厚な音の唸り。サビでは、気持ちを心地好く上げる面も。重々しさと高揚、ふたつの表情を巧みに交錯しながら、彼らはグルーヴした音楽をこの空間に描きだしていった。

生形真一 with Gibson Explorer

ライブも終盤へ。ここからは、一気に攻めるモードへ感情をシフト。凄まじい熱を内包した『Like a Shooting Star』を突きつけ、満員の観客たちの身体をリズムに合わせ激しく揺さぶりだす。サビでエモい表情を見せた途端、フロア中の人たちが拳を突き上げアガりだす、その一体感も最高だ。

ザクザクとした荒ぶる音がバースト。凄まじい音の唸りが身体を直撃する。でも、口ずさみたくなるような歌心を持っているところも魅力的だ。攻撃的なのにエモい心地好さも携えながら、『Beginning』が観客たちの身体中から奮い立つエナジーをどんどん引きずり出す。

大喜多崇規(Drums)

ハウるギターに唸るベース音、怒号のようなドラム音に刺激を受け、突き上がる拳・拳・拳、ここで一気にクライマックスにも似た熱狂の景色を描き出そうと、Nothing’s Carved In Stoneは豪快でワイルドな『Out of Control』を演奏。4人が1曲の中で剥きだした感情をぶつけあう。そこから生まれる豪快なダンスロックに刺激を受け、騒ぎ、アガリ続ける観客たち。このままイクところまでイッてしまおうか。

最後に4人は、スリリングな音の会話を重ねながら、心地好くも緊張感を持ったミドルグルーヴな『The Silver Sun Rise Up High』を演奏。観客たちもそのうねりの中へ巻き込み、みんなで一つの音となり溶け合っていった。

アンコールでも彼らは、この日一番のパワーを炸裂するように、激エモナンバーの『Isolation』を演奏。緩急を持ちながらも激しい演奏を突きつけ、大きな轟音のグルーヴを作りだし、エモくパワフルな世界へ観客たちを飲み込んでいった。

最後も4人は、フロア中に大きなうねりを作り上げるように『Perfect Sound』を演奏。フロア中の人たちが手を高く掲げ、気持ちを一つに、高揚した音の中に包まれていった。

次は、2023年2月27日に豊洲PITで行う「SPECIAL ONE-MAN LIVE “BEGINNING 2023″」だ。この衝撃を、ふたたび大きなライブハウスで味わおうか。

PHOTO:RYOTARO KAWASHIMA
TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.November 15th
  2. 2.Spirit Inspiration
  3. 3.白昼
  4. 4.Idols
  5. 5.Spiralbreak
  6. 6.ツバメクリムゾン
  7. 7.9 Beat
  8. 8.Brotherhood
  9. 9.Midnight Train
  10. 10.Walk
  11. 11.Damage
  12. 12.Fuel
  13. 13.Milestone
  14. 14.In Future
  15. 15.Like a Shooting Star
  16. 16.Beginning
  17. 17.Out of Control
  18. 18.The Silver Sun Rise Up High
  19. -ENCORE-
  20. EN1.Isolation
  21. EN2.Perfect Sound

村松拓(Vocal/Guitar)使用楽器・機材紹介

Nothing’s Carved In Stone

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全15公演を回るワンマンツアー “BRIGHTNESS TOUR”
5/19(日)YOKOHAMA Bay Hall
5/25(土)高松MONSTER
5/26(日)松山WstudioRED
6/1(土)福岡DRUM LOGOS
6/2(日)長崎DRUM Be-7
6/8(土)米子laughs
6/9(日)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
6/15(土)名古屋DIAMOND HALL
6/16(日)甲府CONVICTION
6/22(土)長野CLUB JUNK BOX
6/23(日)金沢EIGHT HALL
6/28(金)札幌PENNY LANE24
6/30(日)仙台Rensa
7/13(土)GORILLA HALL OSAKA
7/15(月祝)Zepp DiverCity(TOKYO)

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