岸谷香 KAORI PARADISE 2021 年末スペシャル
2021年12月29日(水)@ビルボードライブ東京 ライブレポート

取材・文:田山雄士
PHOTO:MASAHITO KAWAI

毎年恒例となっている岸谷香の年末スペシャル公演が、12月27日(月)にビルボードライブ大阪で、12月29日(水)にビルボードライブ東京で、それぞれ昼・夜に2回にわたって開催された。本稿では、29日(水)に行なわれた東京編の2ndステージの模様をレポートする。

ゲストにチェロ奏者の江口心一を迎えてのアコースティック公演。黒のブラウスとロングブーツにジーンズを合わせた衣装の岸谷香が、ベスト×シャツのフォーマルな出で立ちの江口と共に登場し、テーブル席やソファ席などびっしり埋まった各エリアのお客さんに手を振りつつ、グランドピアノの前へ。オープニングナンバーの『Cast』をジャジーにロマンティックに届け、早速ビルボードライブ東京の夜にふさわしいアーバンなムードを作ってみせる。

年の瀬の忙しいときにたくさん集まってくださって、本当にありがとうございます。今年の歌い納めです!」と挨拶する岸谷。続くプリンセス プリンセスの『One』でも、江口とのコンビネーションによる伸びやかな歌声と味わい深いアンサンブルで、オーディエンスをいい気分へと誘う。間奏が訪れると、低く太いチェロの音色が優雅に鳴り響き、より贅沢な時間を演出した。

最初のMCでは「チェロを生で聴く機会というのは普段なかなかないと思うので、みなさん今日はぜひこの美しい音色や緊迫する瞬間を楽しんでもらえたら」と、2017年発表のミニアルバム『Dialogue~涙の理由~』で共演し、約4年ぶりに組む江口をあらためて紹介。加えて、本番の5分前まで突っ伏して寝ていたと暴露したり、「年内はお仕事まだあるんでしょ? これから稼ぎ時だよね」と質問攻めしたり、「ちょっと弾いてよ、第九」とムチャぶりしたりと、岸谷が江口をたじたじにさせ、場内が和やかな雰囲気に包まれる。そんなリクエストにしっかり応えて第九より『歓喜の歌』のメロディを奏でた江口も、「年末は東京都交響楽団で紅白に出て、すぎやまこういち先生の曲を弾かせていただきます」「歌とのデュオ、もっといっしょにやってください」と嬉しそうに話す。

次のブロックは、岸谷のアコギ弾き語り&江口のチェロによる編成。コロナ禍でスカッとしたくて書いたという『STAY BLUE』では、客席から自然にハンドクラップが沸き、明るく爽快なボーカルが気持ちよく響きわたった。一転して、ステージが深海の如きブルーに染められ、チェロの格調高い調べで始まった『絶望的に泣いている生きものへ』。“泣いているひとよ”“生きていてごらん”と歌う、糸井重里が作詞を手がけたこの楽曲は、思いも寄らぬことがたくさん起こる昨今、彼女の心境にしっくりくるのだそう。

ここで江口がステージを降り、中盤は岸谷のソロでお届け。つい先日、完成したばかりというマーティンギターの自身のモデルをお披露目。実はこれが本邦初公開との事だ。コロナ禍になる少し前からこだわりの仕様についての細かい打合せを着々と進めていたと言う。「ボディは小さめに、ネックは薄くて太めに、色は好きな赤にして、自分のサインも入れて、約3年越しでようやく出来上がったんです!!」などと早くも愛着とこだわりを伝えてくれた。

そんな自身の赤いマーティンモデルで弾き語ったのは、「こないだファンクラブイベントでやってみたら感触がよかった」という『ひまわり』。同じく糸井が作詞した楽曲を、シンガーソングライターらしい歌唱と軽やかなストロークで聴かせたあとは、依然として自粛期間が多かった一年を振り返ったり、「我が家の長男はハタチになって今や私よりも大きくなりました」と報告し、子育て時代のこと、イベント「Act Against AIDS」へは妊娠中にも出演していたこと、アメリカにいる18歳の娘のことにまで話が及ぶ。そして、岸谷にとって“旅立ちの歌”であるプリプリの『名前のない町』をロックに披露。アカペラを入れて熱く叫ぶなど、まだまだ次なる道を切り開いていこうとする彼女の気概がビシビシ伝わってくる。

以降は江口がステージへ戻って、再びグランドピアノ×チェロのスタイルに。ドット柄のライティングが舞台を彩った、“もう少しで 泣き止むから もう少しで 忘れるから”と歌う切ないバラード『窓打つ雨』。さらに、恋人の存在を父に明かす際の会話をそのまま歌にしたような、自身の家族に触れた先のMCがあっただけにいっそう沁みる『パパ』。曲によって表情もサウンドもガラリと変えながら、多面的に魅せていくパフォーマンスはさすがだった。

その後も、江口との出会いについて、「めざましクラシックス」へ誘ってくれた高嶋ちさ子がキューピッドであることや、そこで彼がチェロを触らせてくれたことが嬉しくて共演に至ったなど、話も尽きない感じで和気あいあいと進んでいったライブ。終盤はこれまで高嶋とのデュオで演奏してきた譜面を基にリアレンジした『ジュリアン』、ひとり旅ツアー「KAORI PARADISE 2021」の1曲目に歌っていたという『パレードしようよ』(sugarbeansが新たにスコアを制作)とプリプリのナンバーを畳みかけ、あふれる手拍子とキラキラ回るミラーボールの中、華々しく本編を締め括った。

MCが長くなってしまったため、2人がステージに残ったままアンコールへ。今日まで4回にわたって行なってきた年末公演だが、いつもトークが盛り上がりすぎて一度も袖に下がることはなかったらしい。2021年のラストソングは、岸谷が「最近、やさしくて好きだなと思っている」と前置きした『Hand』。閉塞感に満ちた世界を癒す、大らかなメッセージを持った楽曲をゆったりと奏で、スペシャルライブの幕が閉じた。

《SET LIST》
  1. 1.Cast
  2. 2.One
  3. 3.STAY BLUE
  4. 4.絶望的に泣いている生きものへ
  5. 5.ひまわり
  6. 6.名前のない町
  7. 7.窓打つ雨
  8. 8.パパ
  9. 9.ジュリアン
  10. 10.パレードしようよ
  11. EN1.Hand

この日、岸谷香が使用した楽器・機材を紹介!

岸谷香/Unlock the girls

岸谷香 感謝祭2024 トータス松本さん、永井真理子さんのゲスト出演が決定!

「岸谷香 感謝祭2024」
日時:2024年2月23日(金/祝)
会場:EX THEATER ROPPONGI
会場 16:45 / 開演 17:30
全席指定 9000円(税込/ドリンク代別)

「岸谷香デビュー40周年」記念イヤーの2024年!第一弾公演として開催する今回の感謝祭に
トータス松本さん(ウルフルズ)、永井真理子さんをゲストに迎えて晴れやかに開催します!

詳細は岸谷香オフィシャルサイトまで
http://kaorikishitani.com/

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「KAORI PARADISE 2021 年末スペシャル」でお披露目された、「Transparent “KAORI” Red」の鮮やかなカラーも印象的なMartin Custom Shop製のカスタムモデルが遂に発売!!

【受注生産】
MARTIN CUSTOM 00 Style 18 KAORI KISHITANI
https://www.kurosawagakki.com/martin/kaori_custom/

岸谷香 Mini Album 『Unlock the girls 3 –STAY BLUE–』Now On Sale!!

“今こそ青空を駆け抜けよう!岸谷 香・富田 京子の盟友コンビによる光輝く青春エールソングを収録!”こんな時代だからこそ精一杯の元気を届けたいという想いから、プリンセス プリンセスの盟友・富田 京子と共に、世代を超えたエールソング「STAY BLUE」を制作。切ない恋愛を歌った「A VISITOR」の作詞には中山 加奈子が参加。岸谷 香率いるガールズバンド”Unlock the girls”のパワーアップした演奏にも注目の、キラキラとした青春を感じる1枚が完成。

SECL-2498 ¥2,400 tax in

<収録内容>
M1:STAY BLUE 作詞:富田 京子 作曲:岸谷 香
M2:Wrong Vacation 作詞・作曲:岸谷 香
M3:A VISITOR 作詞:中山 加奈子 作曲:岸谷 香
M4:charm 作詞:富田 京子 作曲:岸谷 香

各販売サイトはこちらから
https://smer.lnk.to/JPvqfYkq


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