ライヴは中盤戦に差し掛かると日は完全に沈み、ステージを真っ赤に染め上げた『Red Light』をはじめ、『Diachronic』でもステージを青く染め、夜の闇にステージの鮮やかな照明がよく映えるようになった。ここまでMCもほぼなく、その音をオープンエアーな東京のド真ん中で鳴らすことで何かを訴えかけているかのようなNCISの面々が自らの存在証明をするかのように夜空に放ったのは『Milestone』だった。一音一音、空を昇っていくように紡がれた生形のアルペジオに複雑に絡み合う日向の変幻自在なベース、それを支える大喜多のタイトなドラムに村松の力強い歌声が重なり、音の塊となって我々を襲う。間違いなくこの日のハイライトのひとつであった。

生形真一(Gt)

これまで口数が少なかった村松も「最高!」と素直な感想を述べ、つづけて「いろいろ言いたいこともあるし、喋りたいことあるし、ひとりひとりどんな感じだったか聞いて回りたいくらいなんですが、何話しても今の時代あんま面白くないことばっかなので、演奏で伝えていきたいと思います」と高らかに宣言すると、セットリストもあっという間に最後のセクションへと差し掛かる。「行こうぜ日比谷!心は自由に!今日だけは全部解放して!!」と煽ると日向の歪んだベースを合図に『TRANS.A.M』をドロップ。ここから『In Future』『Music』『Beginning』とノンストップでプレイしラストスパートをかける。極めつけは「日比谷、今夜だけは最高の夜にしようぜ!踊れ!!」と会場をダンスフロアに一変させた『Out of Control』だった。

そして、この日の本編ラストに用意されたのは最新曲である『Beautiful Life』。「最近は自分らのリアルを追求しつつも、ここに集まってくれるようなみんなの顔を想像して物語を書くことが多い気がします。みんなの名前を呼ぶような気持ちでこの歌を歌えたらなと思います」と語られたこの曲には<この世界に生まれた自分の価値に今もまだ悩みもがいてる>という誰もが感じたことのある思いに寄り添い、そんな孤独を抱える我々に対して<孤独を抱きしめたその手が明日を変えてく>と優しく包み込むように歌いあげ、本編を締めくくった。

鳴り止まないアンコールを求める拍手に対してステージに戻ってきた村松が「ありがとう!」とオフマイクで声を掛け、始まったアンコールは『November 15th』から。MCでは“野音あるある”でもある天候に怯えていたことや、想いで台風を吹き飛ばしてくれたファンへの感謝、さらにはこの状況の中ステージに立ち続けようという意志を持っているメンバーへの感謝を述べるシーンも見られた。また、今日みたいな夜が何度あってもいいと、11月15日にBillboard Live TOKYOにてスペシャルアコースティックライヴ『Live on November 15th 2021』をH ZETT Mをゲストに招いて行うことと、12月1日に11枚目となるフルアルバムのリリース及び全国ツアーが決定したことを発表すると、会場は大きな拍手に包まれた。そして、この日のラストナンバーとして『Perfect Sound』の心地よいグルーヴと余韻、「また会おうね!くよくよすんなよ!」というメッセージを残して彼らはステージをあとにした。

思い返せば、彼らが初めて野音に立った2016年のライヴで村松は「いざという時、人は孤独だし、ひとりにならなければいけないときがあると思います」と話しており、のちにそのライヴのことを“自分たちがライヴで伝えたいものが明確になったという意味でターニングポイントになった”と語っている。さらに、三回目の野音ワンマンとなった2019年のライヴでは「俺らの音楽が(みんなが)ひとりになったとき寄り添える、そして背中を押せるものであってほしいと思ってます」と宣言したことも記憶に新しい。それを踏まえると、この日披露された『Beautiful Life』は野音のステージに立つことで変化していったバンドのアティテュードとして、ひとつの答えになったのではないだろうかと思うのだ。孤独の痛みを知っている者に寄り添い背中を押すための音楽と、ひとり孤独を抱きしめたその手が、きっと私たちの、そしてNCISの明日を変えていくのだと、この先の未来で答え合わせする日を楽しみにしたい。

PHOTO:RYOTARO KAWASHIMA
取材・文:オザキケイト

《SET LIST》
  1. SE.Song for an Assassin
  2. 01.Assassin
  3. 02.You’re in Motion
  4. 03.Spirit Inspiration
  5. 04.Bog
  6. 05.Who Is
  7. 06.Words That Blind Us
  8. 07.Wonderer
  9. 08.きらめきの花
  10. 09.Prisoner Music
  11. 10.Everlasting Youth
  12. 11.Red Light
  13. 12.Diachronic
  14. 13.Milestone
  15. 14.TRANS.A.M
  16. 15.In Future
  17. 16.Music
  18. 17.Beginning
  19. 18.Out of Control
  20. 19.Beautiful Life
  21.  
  22. (ENCORE)
  23. 20.November 15th
  24. 21.Perfect Sound
Nothing’s Carved In Stone

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“BRIGHTNESS TOUR” 開催!

全15公演を回るワンマンツアー “BRIGHTNESS TOUR”
5/19(日)YOKOHAMA Bay Hall
5/25(土)高松MONSTER
5/26(日)松山WstudioRED
6/1(土)福岡DRUM LOGOS
6/2(日)長崎DRUM Be-7
6/8(土)米子laughs
6/9(日)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
6/15(土)名古屋DIAMOND HALL
6/16(日)甲府CONVICTION
6/22(土)長野CLUB JUNK BOX
6/23(日)金沢EIGHT HALL
6/28(金)札幌PENNY LANE24
6/30(日)仙台Rensa
7/13(土)GORILLA HALL OSAKA
7/15(月祝)Zepp DiverCity(TOKYO)

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