2021.3.19@恵比寿LIQUIDROOM ライブレポート
「3年後には恵比寿LIQUIDROOMでワンマン」
その夢を実現したエルフリーデの公演をレポート!

本当なら、1st mini album『rebirth』を手に2020年7月17日にこの公演を行なうはずだった。だが、コロナ禍によって延期に。2021年3月19日(金)、ようやく恵比寿LIQUIDROOMを舞台に「rebirth」Release Tour 2020 FINAL『- Evolution -』 を振替公演という形で行なうことが出来た。その日の模様を、ここにお伝えしたい。
フロア中に響く熱い手拍子に乗せ、メンバーらが舞台へ。視界へ飛び込んできたのは、眩しいバックライトにより半分シルエット姿のメンバーたち。だが、その姿からは「ここにいることを楽しもう」としている気持ちが早くも伝わってきた。その姿に触発され、さらに手拍子の音が大きくなる。そして…。
ライブは、自身の身体から4本の輝きを放つように、最新ミニアルバム『rebirth』の冒頭を飾った『Break Heart』から幕を開けた。輝きを求めるみくる(Vocal)の歌声が、メンバーたちの輝きを放とうとする演奏が、眩しさを増した光の筋となり、心を刺してゆく。とてもハートフルな歌声と演奏だ。そこには、歌詞へ記した想いのように、壊れそうな心を熱や輝きに変えようとするエモさに満ちていた。彼女たちが射した輝きが次第にフロア中の人たちの心の中で膨れ上がり、何時しか拳を高く突き上げ、共に輝きを放つ姿に変わろうとしていた。
みくるの熱い歌声を合図に、楽曲は一気に走りだした。熱を持って駆けだす演奏が、観ている人たちの心や身体へ熱いエナジーを注ぎ込む。テンション高い『Empty』の演奏に触れ、気持ちのアクセルをグッと踏み込んだ気分だ。メンバーたちも、もちろん観客たちも、描いた未来を信じる気持ちを胸に、拳を高く突き上げ、沸き立つ熱情を思いきりぶつけていた。
みくるの手拍子に合わせ、フロア中の人たちが手拍子をし始めた。心地好く弾む『ハルユメ』が、はしゃぎたい気持ちへ、もっともっと身体揺らして騒ぎなよと温かい誘いをかけてきた。とてもメロディアスで、可愛くもエモーショナルな歌や演奏だ。跳ねた演奏に心地好く身を預け、ずっと手拍子したくなる気持ちもすごくわかる。胸躍るこの楽しさが、ときめきを覚えるこのひとときが、自然と笑顔にしてくれる。甘酸っぱい青春模様を描いた歌が、この日はいつも以上にポカポカとした淡い姿に見えていた。

「やっと、今日このステージに立つことができました」と笑顔で語るみくる。その言葉が嬉しいじゃない。
みくるが、眩しい輝きを放つサウンドを背景に『Hello Goodbye』を歌いだした。どんなに惑い、彷徨う心模様だろうと、そこに確かな光や希望を求める想いがあるからこそ、その歌は強い意志を持った声として真っ直ぐ胸に飛びこんできた。カラフルなレーザーライトが飛び交うフロアの上で、揺れ、惑う心模様を胸を熱く奮わせ歌う姿に、心が惹かれる。間奏時には、すべてのネガティブな感情を吹き飛ばすように演奏陣がエモーショナルな演奏をぶつけてゆく。痛い気持ちの揺れをさりげなくも赤裸々に示してゆく歌や演奏だからこそ、胸が揺さぶられる。
みくるの振りに合わせ、フロア中の人たちが同じ動きをしながら気持ちを一つに重ねだす。軽快に走り出した『エンドロール』に身を預け、今は大きく手を振りながら、舞台上の4人と気持ちを一つに重ね合わせていたい。そこで感じる楽しさを、ただ無邪気に共有していたかった。たまにみくるが歌詞の中で口にするネガティブな感情さえ、大きく振り続けた手の風圧で彼方に吹き飛ばしてしまいたい。『エンドロール』を通してネガティブな気持ちを消し去り、彼女たちと一緒に素敵な物語を描きたい気持ちに心が染まっていた。
このフロアにきらめいた歌声の虹をかけるように、みくるが『Beyond the rainbow』を歌いだした。眩しい存在を知ってみずからも輝いてゆく。そんな乙女の気持ちを今の自分に塗り重ねながら歌うみくるの姿に、痛みも抱いた心模様へ輝きを差し込むように奏でる音の数々に触れながら、心が次第に晴れてゆくような感覚を覚えていた。
MCでは、結成から3年経っての日々を振り返った会話を4人は繰り広げていた。結成の頃から「3年後には恵比寿リキッドルームを」と掲げていた目標を達成したことを、訪れた人たちに報告。そこから3年間の想い出を振り返るトークをしていくが、星野李奈(Bass)以外の3人はとてもおっとりとした口調で、曖昧に想い出を振り返ってゆくところが、“らしい”姿なのかも知れない。山吹りょう(Guitar)は、「数えきれないくらいある」と語っていたが、それは細かいことを誤魔化すための手段!?
「この曲で会場をあったかいオレンジ色に染めたいと思います」。みくるの言葉を合図に、エルフリーデは『Orange』を演奏。とても愛らしく可愛い曲調と重なるように、4人も愛らしい姿として見えてきた。でも、そこには彼女たちの強い意志も輝いていた。とても親しみやすく、つかみを持った楽曲なのに、熱く沸き立つパワーも『Orange』は届けてくれる。この歌を聴くたびに、彼女たちと一緒に始まりのページへ戻り、またここからいろんな思いや想い出を描いてゆく気持ちになれる。未来へ向かって駆けだそうとする彼女たちの姿へエールを送るように、フロア中から数多くの拳が突き上がっていた。

エモーショナルなみくるの歌声を合図に、気持ちのアクセルをグッと踏み込む凛々しい演奏が飛びだした。沸き立つ思いを後押しするように、『未来 is Future』が弱い心を力強く押してゆく。高ぶる気持ちのままに音を響かせる熱いギタープレイが飛びだせば、途中には、力強いみくるのラップも登場。何より、この歌に触発された大勢の人たちが、高く拳を突き上げ、熱情した想いを舞台上へぶつけていた。
激しくもグルーヴィに唸る星野李奈のスラップベースが炸裂。星野李奈とゆーやん(Drums)とのリズム隊による熱いセッション演奏を受け、荒れ狂うベースプレイを皮切りに『PASSION』へ。理性のストッパーを壊し、情熱にあふれた気持ちへ導く楽曲に刺激を受け、みくるとフロア中の人たちが手にしたタオルを思いきり振り回し、場内に熱した空気を作り上げてゆく。星野李奈とみくるの絡み合う姿も印象的。熱くした思いをぶつけながら、ステージとフロアが一つになり情熱を交わす姿が最高だ。演奏に合わせて手拍子を返すアクションも、お馴染みの光景。誰もが終始心を解き放ち、思いきりタオルを振り続けていた。
気持ちの内側から込み上げる痛い感情が、スリリングな『Silence』の演奏に乗せ、秘めた熱を抱えた歌声となって迫ってきた。凛々しい姿で。いや、彼女たちはスリリングかつクールな演奏を通し、今にも壊れそうな心模様を必死に塗り替えようとしていた。
「数え切れない 涙の訳 君がくれた愛に触れて」、みくるの歌声を合図に『Starlight』が飛びだした。エモーショナルでエネルギッシュな歌と演奏に触発され、フロアには最初から数多くの拳が突き上がる熱狂の風景が生まれていた。もっともっと熱を上げてくれ。ずっと興奮という空気に染め続けてくれと言わんばかりに、哀しみから気持ちを反転しようとしてゆく熱い歌に、誰もが同じように気持ちを重ね合わせていた。
「まだまだ飛ばしていきましょう」、みくるの熱い煽りを合図に、演奏が炸裂。一気に沸点に達したような激熱な演奏が気持ちを騒がせる。『栄光へのエール』、なんて気持ちを熱く滾らせる歌だ。無邪気に歌うみくるの姿にも胸をほころばせながら、どんどんエモーショナルさを増してゆく演奏に刺激を受け、熱狂の世界へ思いきり意識も身体ものめり込ませていた。この歌は、気持ちを熱く高めてゆく。沸き立つ感情のままに歌い奏でる姿へ熱く触発され、大勢の人たちが心の中で「オイオイ」と叫びながら、舞台へ想いをぶつけていた。

彼女たちの攻めた演奏は、まだまだ攻撃の手を緩めることはない。晴れた歌声とは対照的に熱く攻めた演奏を塗り重ねるように、エルフリーデは『FATE』を突きつけた。山吹りょうが、みくると歌声を掛け合いながら楽曲にスリリングな空気を描きだす。秘めた情熱を汚れなき姿のままにぶつけたとき、こんなにも熱くエモーショナルなのに、爽やかに胸を揺さぶる歌が生まれるのかも知れない。
エルフリーデは、フロア中の人たちを『memory』で煽りたした。この曲も、エルフリーデらしい爽やかな青春模様を感じながらも、沸き立つ熱情を抑えきれず攻めた演奏としてぶつける楽曲だ。途中には、星野李奈とみくるが背中合わせになり、歌い、ベースをプレイする場面も登場。愛らしい表情も見せながら、センチな乙女心を歌に込めてゆく。明るく駆けだす演奏に触発され、気持ちがどんどん晴れていく。彼女たちは、この歌にファンたちへの想いも重ねていた。だからこそ、この曲がとても共感を覚える歌として胸に響いていたのは間違いない。
「もっともっと大きな箱を目指して頑張っていくので、みなさんもついてきてください」(みくる)。
ライブも終盤へ。山吹りょうのギターに乗せて、みくるが思いを馳せるように『Lost thing,Last song』を歌いだした。想いと想いを重ねあうように、ゆーやんと星野李奈の演奏が重なりだし、何時しか楽曲は大きいエモーショナルな塊となって、観ている人たちの心にスーッと解けだした。彼女たちの想いを詰め込んだ歌が胸の奥へ奥へと入っては溶けだし、何時しか胸いっぱいに広がっていた。愛しいその想いを胸いっぱいに感じられたことが嬉しかった。たとえそれが痛く切ない想いであろうとも…。
最後にエルフリーデは新曲を披露。あえて最後に、これからのエルフリーデの未来を示唆する楽曲を持ってきたところから、今の彼女たちの未来を向いた姿勢が見えてきた。この歌に記された愛しく思えている君は、きっとエルフリーデを応援している僕らのことだ。彼女たちは「側にいて」と求めてきた。彼女たちが、信じた未来を真っ直ぐに見つめながら歌い続ける限り、僕らもずっとその側へ寄り添いながら、その未来を見続けたい。初めて聴く楽曲にも関わらず、とても温かく、親しみや優しさを覚える歌のせいか、フロアのあちこちで大きく手を振り、楽しい気持ちを4人に返してゆく人たちの姿があったことも伝えておこう。

「まだまだ暴れ足りないんじゃないですかー」。その言葉を証明するように、アンコールは『Vibration』からスタート。攻撃的かつエネルギッシュな山吹りょうのギターが炸裂。ハード&エモーショナルな楽曲に乗せ、みくるが沸き立つ歌声を雄々しく響かせ、フロア中の人たちの感情を熱く奮わせる。もっと熱くなり、気持ちを解き放ち、思いきり拳を振り上げなよと煽るように、今まで以上に攻めた姿を示すメンバーたち。それでも胸熱でメロディナスな声を届けるみくるの歌が、たまらなく愛らしくて心地好い。フロア中の人たちを煽ったときの星野李奈の姿も凛々しかった。
「ラスト、全員でかかってこい!!」。最後にエルフリーデが届けたのが、わだかまった感情をすべて解き放ち、無邪気で楽しい気持ちに心も身体も染め上げてゆく『MONSTER』だ。エモーショナルかつ攻めた姿勢を持ちながらも、心を無条件に開放する楽曲に刺激を受け、フロア中の人たちが胸の中で「オイオイ」と叫び声を上げながら大きく右手を突き上げていた。このまま一緒に熱を分かちながら悦楽と熱狂の宴に浸り続けていたい。メンバーたち自身も、心の叫びをこの歌に乗せ、すべてのネガティブな感情を打ち消しながら、楽しいという感覚を存分に味わっていた。彼女たち自身がLIVE MONSTERとなり、いや、LIVE DREAMERとなり、一緒に熱狂をむさぼっていた。
この熱狂と楽しさ、また次に、笑顔で繋げていこうじゃないか。
TEXT:長澤智典
PHOTO:小林弘輔
《SET LIST》
- 1.Break Heart
- 2.Empty
- 3.ハルユメ
- 4.Hello Goodbye
- 5.エンドロール
- 6.Beyond the rainbow
- 7.Orange
- 8.未来 is Future
- 9.PASSION
- 10.Silence
- 11.Starlight
- 12.栄光へのエール
- 13.FATE
- 14.memory
- 15.Lost thing,Last song
- 16.新曲
- EN1.Vibration
- EN2.MONSTER