切れ味鋭いギターの旋律を重ねながらも、Anlyは気持ち弾ませる演奏を作りあげてゆく。シャープな楽曲の上で響く彼女の歌声には、何処か親しみやすさと温かみを覚える。胸弾む『Taking My Time』を通し、Anlyは晴れた表情のもと、この空間を賑やかしていった。
穏やかな音色を染み渡らせてゆく演奏だ。アコギの弾き語りで歌ったのが『Beautiful』。あえてシンプルな演奏で歌うことで、歌詞に込めた愛しい人への想いを、より生々しい気持ちの揺れと熱を持ってAnlyは伝えてきた。凛とした芯の強い意志と温かい心模様を織り交ぜた歌声が胸に染み込んでゆく。気持ちが晴れ渡ると言えば良いだろうか、その歌は、心に笑顔と救いを与えるように響いていた。
「みなさんと一緒にドライブに行きたいなと思います」。Anlyはループペダルを駆使し、ボディを叩く音をリズムに、エッジの利いた旋律や声を次々と重ね、夜の景観を味わいながら走る様を楽曲に描きだす。ここでシンガーのななみを迎え、Anlyは『Moonlight』をセッション。2人は、夜空に広がる天の川を眺めながらドライブし始めた。爽やかな風を感じながら、2人は心地好いムード醸し出す空気を楽しんでいた。歌を掛け合い、ときにハモらせ、胸踊る浪漫な風景を作りあげてゆく。今宵のドライブ、スリリングなようで意外に胸を踊らせる。
とても穏やかな、そよぐような音色を重ねながらAnlyは哀愁抱いたドラマを作りあげる。一つ一つ繊細な音が積み重なるたび、期待感が高まっていく。そして、『DREAM ON』と題した微睡む夢の世界へ、観ている人たちを呼び入れた。その夢からは、様々な欲望の景色が見えてきた。甘い空気を描きながら、Anlyはそこへリアリティを持った歌を重ねてゆく。エモーショナルでロマンチックなのに、その夢は、とても生々しく見えていた。
Anlyの歌声だけが、闇の中へ一筋の光となって響き渡る。英詞曲『Tranquility』ではアコギの音色も抑えめに、想い込めた歌声を、今にも壊れそうな気持ちのまま夜空に響かせていた。ギターの演奏が強く躍動するのに合わせ、想いも膨らみだす。いくつにも重ねた歌声が嬉しく心を奮わせる。次第に命を躍動させながら、その歌は何時しか強い存在感と心騒がす熱を発していた。気持ちの内側に渦巻く感情を、Anlyは魂揺れる壮大なドラマとして描き出していった。
ブルーズな音が躍動する。音や歌を塗り重ねるごと、スリリングさの中にも魂を熱く奮わせる演奏が目の前で膨らんでゆく。そこには、観客たちの熱い手拍子も必要だ。Anlyは『ENEMY』を歌いながら、一緒にこの熱とグルーヴを共有しながら楽しもうと誘いをかけてきた。Anlyが両手を掲げ、一緒にアゲアゲな気分で騒ごうと呼びかける。クールでスリリングな演奏の上で、Anlyの歌声が心騒がす熱源となり、会場中に気持ち揺さぶるパーティムードを作り上げてゆく。そして…。
『Do Do Do』が飛びだした。疾走感満載な音を次々と重ねたところに、挑発するような声も加え、Anlyは気持ち沸き立つ空間を作り上げていった。相手を挑発するように、いや、相手の気持ちを射抜くようにAnlyは言葉を突きつける。彼女の歌声が、演奏が、もっともっと心奮わせろと煽っていた。その挑発に刺激を受け、気持ちを熱くした人たちがフロア中で大きな手拍子を鳴らす。その音さえ感情高ぶるビートに変え、Anlyは終始挑むような姿勢で『Do Do Do』という歌の弾丸を次々と撃ちながら、触れた人たちの心を騒がせていった。
勢いを加速させるようにAnlyが歌ったのが『DAREDA』。彼女は、沸き立つ気持ちのままにブルーズな歌を突きつけてゆく。ループペダルを用いながらも、極力生の持つ衝動を彼女は大切にしながら、その場にスリリングな空気を作りあげていた。
その音は、触れた人たちを心地好い天空へと連れ出した。『Not Alone』を歌い奏でながら、Anlyは遠い彼方の景色を見据え、前を向きながら力強く想いをぶつけていた。ループペダルを通して作りあげたグルーヴに飛び乗り、彼女は明け方が近づいた真夜中のひとときを、希望を胸にドライブしてゆく。「Oh Oh Oh Oh」という声が、気持ちを元気に後押すエールとして。前をまっすぐに見据えて歌うAnlyの声が、希望を降り注ぐ歌として響いていた。
そのまま楽曲は『We’ll Never Die』へ。先の勢いをさらに増幅しながら、楽曲は心地好く、でも確かな推進力を持って走り続ける。強いメッセージを持ったAnlyの歌声が、追い風を受けるたびに響きと勢いを増してゆく。「この瞬間を生きて」という言葉が、闇の中、輝きを放つ光となって心へ突き刺さる。身体はビートに乗って嬉しく騒ぎながらも、心は彼女の歌声をずっと追いかけていた。
「今日は印象に残るライブになりました、今日は本当に幸せでした。このコロナ禍で小さな幸せに気付けたし、たくさん夢が出来ました。また大声で歌える日が来ると信じながら、みんなで前を向いて生き抜こう。わたし、死ぬまで歌っていたい。わたしの歌が誰かの生きる力に、日々を彩る存在になって欲しいと思っています」
「明日が輝きますように」の言葉を述べ、Anlyが最後に歌ったのが『Venus』。たおやかなアコギの音色の上で、彼女は祈るように、澄み渡る歌声を会場中へ響かせていった。とても大きな愛を与えてゆく歌だ。その歌声は小さな光源となって、見ている人たちに愛情という光を降り注いでゆく。ループペダルを用いて慈しみを持った温かい歌声を次々と重ねていく中、何時しかクワイアのような合唱が生まれていた。その上で生を謳歌するように熱唱するAnlyの歌声に、心が、魂がずーっと惹き寄せられていた。その歌声や演奏は確かな「生」を宿していた。いや、今宵のAnlyのライブ自体が、明日を描くための魂を奮わせる場になっていた。
TEXT:長澤智典
Photo:黒崎健一
《SET LIST》
- 1.太陽に笑え
- 2.COFFEE
- 3.エトランゼ
- 4.FIRE
- 5.カラノココロ
- 6.Taking My Time
- 7.Beautiful
- 8.Moonlight
- 9.DREAM ON
- 10.Tranquility
- 11.ENEMY
- 12.Do Do Do
- 13.DAREDA
- 14.Not Alone
- 15.We’ll Never Die
- 16.Venus
Anly
Anly "いめんしょり" -Imensholy Tour 2024- 開催決定!
Anly "いめんしょり" -Imensholy Tour 2024-
4.06 土 兵庫 神戸VARIT.
4.07 日 福岡 ROOMS
4.11 木 大阪 umeda TRAD
4.12 金 京都 someno kyoto
4.14 日 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
4.20 土 宮城 誰も知らない劇場
4.28 日 愛知 NAGOYA CLUB QUATTRO
4.29 月祝 東京 duo MUSIC EXCHANGE
5.12 日 沖縄 ミュージックタウン音市場
一般自由席 ¥5,000/学割自由席 ¥3,000
2.24[土]10:00~ TICKETS ON SALE!!
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Anlyの1年ぶり5枚目のフルアルバム!TVアニメ『Dr.STONE(ドクターストーン)』エンディングテーマ「好きにしなよ」、テレビ朝日系土曜ナイトドラマ『ハレーションラブ』主題歌「EYE」, 国際ファッション専門職大学 2023年度新TVCMソング「TAKE OFF」のほか、「Round & Round」(沖縄セルラー×au 5G「沖縄のために5Gは何ができるか。2023篇」CMソング)を収録。初回生産限定盤DVDには2022年12月にEX THEATER ROPPONGIにて開催された『“Loop Around the World”~TRACK4 / QUARTER TOUR~』でのライブ映像の他、2023年7月に開催されたAnly史上最大キャパのワンマンライブ『A.L.I.V.E』のライブ映像が収録されている。