2019.6.16@Zepp Tokyo 夜の本気ダンス 全国ツアー「”Ain’t no she see” TOUR」ライブレポート

心身を躍らせるダンスミュージック。夜の本気ダンスが魅せた革命前夜

 一時期、嫌というほど目にした“踊れるロック”という言葉を最近めっきり見なくなった。 2010年代の始めにどこのライブにいっても見受けられたライブキッズのツーステップも、今となっては少し恋しいくらいだ。そんな現状のなか、“ロックはダンスミュージック”という信念を掲げ、2018年に活動10周年を迎えたバンドがある。 それこそ”夜”も昼も聴く者全てを”本気”で”ダンス”させるロックバンド、夜の本気ダンスだ。
 6月16日、Zepp TOKYOにて『Ain’t no she see TOUR』が開幕。 そこで目にしたのは、今も現役で鳴り続けるダンサブルなロックバンドの姿だった。

 赤い照明が焚きつけるように煌めくと、メンバーがステージに登場。 『Fetish』のオープニングソングでもある『Ain’t no magic』でショータイムは封切られた。 1曲目にも関わらず即座にヒートアップし、オーディエンスが思い思いに揺れる。 勢いを保ったまま、間髪空けずアルバムのリードナンバーである『Sweet Revolution』へ。 一糸乱れぬクラップが包みこむなか、「ここからまた始まっていくんだ」と語るごとく米田の拳が天高く掲げられた。 歯切れいいバッキングにより生み出される音楽は、曲が生き物として呼吸しているよう。 “ロックはダンスミュージック”と証明している彼らだからこそできるパフォーマンスといっても過言ではないだろう。『Afro』で「もっとダンスを…!」とばかりに会場がグッと前のめりになったのも納得だ。

「踊ってばかりだから歌いませんか」と米田が誘導し、なだれこんだのが10周年のスタートを飾った『Magical Feelin’』。 メロディックなフレーズを活かした演奏に、改めてシンプルな美しさを追求しようという彼らの心意気がにじむ。その後も、『Oh love』『SHINY』とディティールにこだわりの効いたナンバーが続いていく。

 MCを挟み、再びフロアを熱したのは『BIAS』だ。 <盛り上がってる東京?>と歌い替えられたリリックに、オーディエンスからは特大のレスポンス。西田のギターソロも泣き叫び、「もっと盛り上がれ」と会場を煽る。艶っぽい声が響く『Fuckin’ so tired』、ワルツのリズムに少女の影が揺れる『NAVYBLUE GIRL』、マイケルがベースソロを魅せつける『escape with you』とダンスミュージックは鳴りやまず展開されていく。
『Take it back』は、ギターの掛け合いに引き連れられてスタート。 深めにかけられた声のエコーが、一筋縄には超えられない決死圏の闇の深さを反射する。 しかし、それを乗せるサウンドはとても軽快で、一音一音が色をもって咲く。 ここまでリズムのカラーが見えるからこそ、彼らは多くの人を踊らせることができ魅了できるのだと確信するようなステージングだった。

 ノリのいい曲だけでなく、しっとりした曲でも聴く者の芯を揺らしてしまうのが夜の本気ダンス。 シンプルなメロディーに鈴鹿のリズムが映えたのは『Music For Life』だ。 米田の絡みつくような歌声に、脳天から彼という存在に染められている錯覚に陥る。 思いを投げかけるようなロックバンドもとても多い昨今であるが、体に染みこんでいく音を持っているアーティストはそう多くはない。 彼らのダンスミュージックが幅広い世代に支持されているのは、そんな音を作り出せてしまうバランス感ゆえなのだろう。 西日のようなライトがステージを照らす『Eternal Sunshine』では、讃美歌のような幸福感を生みだしていた。

 新しい魅力を誇示したあとは、変わらない輝きもしっかりと魅せつける。 後半戦をさらに勢いづけたのは『Crazy Dancer』だ。 まさしくダンサブルな曲の登場に、会場は再び熱狂の渦へ。 無数の拳が突き上げられ、“ロックで踊れる”ということが体現されていた。
 その後もラストスパートをかけるかのごとく、『WHERE?』『MONSTER』『TAKE MY HAND』と抜かりないプレイが繰り広げられる。
 ラストを飾ったのは、アルバムでも締めの1曲として用いられている『Forever young』。 シンプルな楽曲は余分な要素を引き算して磨かれていて、その素直さが真っすぐに胸へ飛び込んでくる。フロアへ視線を落として目を細めるメンバーの姿は、自分たちの思いが届いているか確認しているようだった。

 鈴鹿が「夜の本気ダンスでした!」とステージを発ったのもつかの間、アンコールにより再び4人はステージへ。 MCを経て奏でられたのは『Movin’』だ。 本来ならばCreepy NutsのR-指定がラップで参加している曲なのだが、この日は鈴鹿が代打で歌唱。 レアなパフォーマンスにフロアは大いに盛り上がる。 ライブナンバーである『戦争』で締めくくり、全20曲でオーディエンスの身も心も躍らせつくした。

 彼らくらいのミュージシャンになると上っ面をトレースして、いい感じに踊れるロックを作ることもできるだろう。 しかし、そういった甘えをすることなく音楽に敬意を払い、魂の底から躍らせる曲を作ってきた。 だからこそ、10年という時を超えても色あせることなく進化し続けているのではないだろうか。 見る者を惹きつけてやまない甘い革命を、今後も彼らが起こし続けてくれるのが楽しみだ。

取材・文:坂井彩花
ライブ撮影:石崎祥子
機材撮影:小野寺将也

《SET LIST》
  1. 1.Ain’t no magic
  2. 2.Sweet Revolution
  3. 3.Afro
  4. 4.Magical Feelin’
  5. 5.Oh love
  6. 6.SHINY
  7. 7.BIAS
  8. 8.Fuckin’ so tired
  9. 9.NAVYBLUE GIRL
  10. 10.escape with you
  11. 11.Take it back
  12. 12.Music For Life
  13. 13.Eternal Sunshine
  14. 14.Crazy Dancer
  15. 15.WHERE?
  16. 16.MONSTER
  17. 17.TAKE MY HAND
  18. 18.Forever young
  19. EN1.Movin’
  20. EN2.戦争
夜の本気ダンス

夜の本気ダンス 全国ツアー "blue spring 18 dip" TOUR

●2024年5月6日(月・祝) HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2 [栃木県]
開場 17:30 / 開演 18:00 問)DISK GARAGE

●2024年5月7日(火) F.A.D YOKOHAMA [神奈川県]
開場 18:30 / 開演 19:00 問)DISK GARAGE

●2024年5月10日(金) CRAZY MAMA 2nd Room [岡山県]
開場 18:30 / 開演 19:00 問)YUMEBANCHI(岡⼭) / 086-231-3531

●2024年5月11日(土) 松⼭サロンキティ [愛媛県]
開場 17:30 / 開演 18:00 問)DUKE / 089-947-3535

●2024年5月21日(火) Music Zoo KOBE 太陽と⻁ [兵庫県]
開場 18:30 / 開演 19:00 問)清⽔⾳泉 / 06-6357-3666

●2024年5月29日(水) 札幌 Sound lab mole [北海道]
開場 18:30 / 開演 19:00 問)WESS / 011-614-9999

●2024年5月31日(金) CLUB RIVERST [新潟県]
開場 18:30 / 開演 19:00 問)FOB 新潟 / 025-229-5000

●2024年6月16日(日) LIVE HOUSE CB [福岡県]
開場 17:30 / 開演 18:00 問)BEA / 092-712-4221

●2024年6月21日(金) 梅⽥CLUB QUATTRO [大阪府]
開場 18:00 / 開演 19:00 問)清⽔⾳泉 / 06-6357-3666

●2024年6月26日(水) 名古屋CLUB QUATTRO [愛知県]
開場 18:00 / 開演 19:00 問)JAILHOUSE / 052-936-6041

●2024年7月2日(火) 渋⾕CLUB QUATTRO [東京都]
開場 18:00 / 開演 19:00 問)DISK GARAGE

《TICKET》前売
・⼀般前売-5,000円 (税込 / ドリンク代別途必要)
・学割前売-3,900円 (税込 / ドリンク代別途必要)

チケット先行情報等詳細は夜の本気ダンスオフィシャルサイトまで
https://fan.pia.jp/honkidance/

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発売日:2024/01/24
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02.DYWD?
03.Vivid Beat
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05.Gold
06.虹
07.ABRAKADABRA
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