夜の本気ダンスはこの空間を、踊り騒ぐことが最高のルールとでもいうべきCrazyなダンスホールへ染めあげていった。

10月にスタートした全国ツアーも、11月20日の大阪公演でファイナルを迎えた。ここでは、ツアー・セミファイナルとなった11月18日に恵比寿LIQUIDROOMで行った「All Might Gyro TOUR」東京公演の模様をお届けしたい。

SE替わりの楽曲が流れだした時点で、すでに身体が疼きだす。なんだろう、身体の奥底から突き上がるこの高揚は…。その気持ちを嬉しく騒がせるように、夜の本気ダンスは、冒頭からフロア中に熱いクラップを呼び起こす『Sweet Revolution』を突きつけた。スタイリッシュなのにスリリングな音が身体を痺れさせる。凄まじい速度で跳ねる演奏にグイグイ押されるように身体が揺れ出す。一度、足が床を跳ね上げたのを合図に、ずっとフロアをべた踏みすることなく身体が踊りだす。沸き立つ気持ちが、凄まじい勢いで上昇する。うねる、唸る、身体が疼く。彼らは冷静であることを許さない。いや、冷静でいたってぜんぜん構わない。冷静に観ようにも、身体や気持ちがじっとしていられない。エッジ鋭い衝撃と衝動に、感情は早くも現実を消し去り始めていた。

米田貴紀(Vo./Gt.)

駆けるドラムビートに合わせ、起きるクラップ。続く『STARLET』では、ソリッドかつスリリングな演奏へカラフルな音色のシャワーを降らせ、楽曲に華やかな彩りを与えてゆく。米田貴紀(Vo./Gt.)の歌に高揚を覚えた満員の観客たちが、大きく両手を振り上げる。胸をスカッとさせるキャッチーな歌と、ソリッドでタイトな、でもずっと気持ちを揺らし続ける演奏が、身体を、感情を、どんどん自由な世界へ解き放つ。心地好くアガり続けるこの感覚が、たまらない。早くも、ライブの終盤時の熱狂を味わっているような気分だ。

「LOVELOVEしようぜ」の声を合図に、彼らは『LOVE CONNECTION』を身体にスーッと突き刺した。スタイリッシュでアーバンなグルーヴロックナンバーだ。鋭利な、でも、胸をスカッとする演奏を突きつけ、フロア中の人たちの身体を揺らしだす。ときにクラップで会場中を包み込み、サビでは、場内中の人たちが手を振り上げ、LOVELOVEなモーションをかけてくる歌をがっちりとキャッチしていた。終盤では、メンバーとフロア中の人たちが一つになって飛び跳ねる場面も登場。

マイケル(Ba.)with Freedom Custom Guitar Research Anthra

重く、ねっとりとうねる演奏で、観客たちの腰をズンッと揺らしたのが『SMILE SMILE』。重めの演奏とは裏腹に、とてもポップでキャッチーな歌なのが嬉しい。“楽しい”という感情がぐんぐん沸き上がる楽曲だ。歌のメロディーが軽やかでつかみを持っているからだろう。米田貴紀の歌声へ誘われるように、心地好く身体を横揺れさせていた。本当なら一緒に歌を口ずさみたかった。身体は揺らせるのに、いまだ口から声を踊らせることができない環境だ。そのもどかしさを解消するように、フロア中の人たちが大きく腕を振り上げ、空へ空へと向かって飛び跳ねていた。

エレクトロな音の上で、メンバーたちが互いの演奏を闘わせあうようにセッション。楽曲は、熱を持って駆け上がりながら『審美眼』へ。とても切れ味鋭いアッパーでグルーヴィーなダンスロックだ。米田貴紀の歌が熱狂への語り部となり、自由という空間へグイグイと引き寄せる。ファンキーでアッパーなダンスビートに乗せ、フロア中の人たちが本気で踊り続ける。掻き鳴らすギターの音とタイトなビートが絡みあい、どんどん気持ちを高揚へと導き、理性を消してゆく。

鈴鹿秋斗(Dr.)

ズクズクとしたスリリングな音を身体のあちこちへ突き刺しながら、楽曲は熱を膨らませる。シャキシャキッとした切れ味鋭い音も身体を揺らす『Movin’』だ。鈴鹿秋斗(Dr.)の煽るような熱いトーキングも気持ちをムーブさせる。16ビートの衝撃は、この空間から重力を消し去り、身体を上へ上へと突きあげる。それくらい身体を大きく揺さぶり、ダンスロックの魔法に嬉しく踊らされていたかった。

米田貴紀が掻き鳴らすギターの演奏を合図に、楽曲は『B!tch』へ。これまで以上に熱と緊張感と速度を上げながら、彼らは観客たちを踊らせる。100mを踊りながら駆けていたら、きっとこんな気分だろう。身体は心地好く横揺れしながらも、凄まじい速度で駆け続ける演奏に動きをシンクロしたくて、今まで以上に身体をワサワサと揺らしながら、スリリングな音に身を委ねていた。

西田一紀(Gt.)with Fender Custom Shop Export Model ‘60 Stratocaster N.O.S.

1曲ごとに巧みに曲調の顔を塗り替えながら。でも、彼らはずっと刺激的でグルーヴィーなダンスロックを、エモさを抱きながら突きつける。米田貴紀の歌と演奏陣が時に寄り添い合うように、時にはバトルしながら、激しくもエモーショナルな世界を描きだす。『NAVYBLUE GIRL』。胸を熱く騒がせる楽曲だ。途中、米田貴紀と一緒に飛び跳ねる場面も登場。もっともっと互いのエモい感情を熱く交わらせていたい。共に手を振る景色も最高だ。これで一緒に「ラララ」と歌えたらもっと最高なのだが…。

夜の本気ダンスが仕掛けたダンスタイムは止まることがない。続く『VANDALIZE』では、ねっとり絡みつくようなエモくてダウナーな演奏を通し、気持ちと気持ちの抱擁を彼らは求めてきた。米田貴紀の歌へ寄り添うように演奏を突きつけるメンバーたち。鈴鹿秋斗の作り上げる四つ打ちのダンスビートに乗って、感情の熱を天へ向かって突き上げようか。エネルギッシュなダンスロックナンバーに合わせ、フロア中で振り上げた手がずっと揺れていた。アガりだした熱情は止まらない、このダンスを止めたくはない。

そのまま楽曲は『Ain’t no magic』へ。DJが楽曲を鮮やかに繫ぐように演奏は止まることなく流れていく。楽曲が巧みに緩急をつけ、いろんな表情を見せけるたび、その熱量と温度に合わせ、自分たちの心の体温も心地好く乱高下してゆく。35℃から42℃まで、忙しく身体の熱が変化するようだ。むしろ、そうやって意識が酩酊していくことが心地好い。ここぞというときに一緒にガッと上がる、あの心地好くもアッパーな一体感は、他に得難い恍惚だ。

マイケル with Freedom Custom Guitar Research Iron Michael Man Type II

いなたいギターの音へ導かれるように、夜の本気ダンスは『Wall Flower』を演奏。ここまでずっと熱く攻めてきた彼らだが、この楽曲では、歌詞に込めた感情や物語を、一人一人の胸にしっかり塗りつけるように歌っていた。メロウな中にもエモい衝動を覚える。ミドルメロウな曲調の中から顔を覗かせるスリリングな表情。何よりハートをメロウにする歌に、心と身体が酔うように揺れていた。優しい、そのエモさが心地好い。

米田貴紀 with Fender American Standard Telecaster

ジャラーンとしたギターの音が、次の物語への扉を開く。ギターの音がハウるのを合図に、楽曲は『エトランゼ』へ。気持ちの内側に抱えたモヤモヤとした衝動を、彼らは心踊らせるマイナー調の歌と演奏に乗せて響かせる。この曲でも、米田貴紀の歌声が楽曲自体をハンドリングしていた。エモーショナルな歌へ導かれるように気持ちが揺れ続ける。歌で心を揺らす。それもまた、夜の本気ダンスらしいダンスへの誘い方だ。

米田貴紀が爪弾くメロウなギターの音色へ誘われるように、甘い刺激を胸に抱きながら、演奏は軽快にステップを踏み出した。夜の本気ダンスは、胸弾む歌系のメロポップナンバー『Candy tune』を歌いながら、甘い握手を求めてきた。さりげなく手を握られ、指を優しく絡められ、うっとりと心落ちてしまう。そんな、離れたくない誘いを彼らはかけてきた。甘くてさりげない。でも、熱々とした想いを中に携えた彼らの歌の告白に、心が揺れ続ける。

ふたたび高らかに躍動しだした鈴鹿秋斗の叩くドラムビート。そこへ絡むマイケル(Ba.)のベース。さらに西田一紀(Gt.)のギターの音が重なるのを合図に、楽曲は『Falling Down』へ。内なる衝動を携えながら、楽曲は体内中の血管をフツフツとした熱を注ぐように回遊し、身体中の血流の温度を上げていった。どういうことかって、心地好い演奏に身を預けていたはずなのに、気がついたら高く拳を振り上げ、身体を大きく揺さぶり、興奮というモードに感情をシフトしていたってことさ。

早くもライブは終盤へ。これまで以上にソリッドかつスリリングな演奏を突きつけ、夜の本気ダンスはフロア中にいる人たちの身体をザクザクとした音で切りつけた。『fuckin’ so tired』を通して彼らは、これまで以上に深い傷を刻むように、ギザギザとした音を振り回すダンスミュージックを突きつけ、フロア中からたくさんの拳を導きだし、そのまま高く高く跳ねさせた。アガリ続ける熱。そして…。

掻き鳴らすギターの音を合図に、楽曲はダンスを止めることなく『Afro』へ。跳ねる演奏を突きつけ、彼らはこの空間を熱情したダンス空間に染め上げる。けっして緩くはない。少しでも気持ちを緩めたら、この熱に置いていかれる。スリリングで攻撃的だからこそ、そのうねりの中へ一緒に飛び込み、心地好い緊張感を覚えながら騒いでいたい。

フロア中の人たちが演奏に合わせて熱いクラップを巻き起こす。エナジーあふれるスリリングで激熱な『WHERE?』だ。ここは戦いの場。共に熱狂という恍惚の境地へと突き進むため、互いに沸き立つ熱をぶつけ、重ねあい、大きく膨らませてゆく、共に恍惚を導くためのダンスバトルな空間だ。鋼のようなビートに浮かされ、衝動が止まらないし、抑えられない。

GIVE & TAKE』を合図に、これまで以上にフロア中の人たちが高く、激しく跳ねだした。床から、今まで以上に強く振動が伝わる。夜の本気ダンスの演奏と観客らの沸き立つ感情が完全にシンクロ。フロア中の人たちが、重力から解き放たれ自由を手にしたように、エナジーを振りまきエモくハネるダンスロックに合わせて大きく手を振り上げ、高く高く跳ね続けていた。感情的なビートに合わせ、心をどんどん解き放て。このまま現実も、理性も消し去り、本能へ導かれるままに踊り騒げばいい。

鈴鹿秋斗の叩き出すジャングルビートに飛び乗り、メンバーたちがこの空間を最高のHAPPYでPEACEFULなワンダーランドへ染めあげるように『Fun Fun Fun』を届けてくれた。エモくポップな歌に合わせ、大勢の人たちが高く腕を突き上げ、彼らと熱狂の接吻を交わしていた。理屈なんか、どっかへ吹き飛ばしてしまえ。今は、ただただ熱狂や熱情というロックでダンスな夢の国の中で無邪気な子供になって踊り騒げばいい。それこそが、今、ここにいる確かな答えなのだから。

アンコールは『Crazy Dancer』からスタート。タイトル通り、フロア中の人たちの頭の螺子を次々と吹き飛ばし、ソリッドなロックンロールに乗せ、踊らせていった。フロア中から突き上がる数多くの拳も踊っている。夜の本気ダンスはこの空間を、踊り騒ぐことが最高のルールとでもいうべきCrazyなダンスホールへ染めあげていった。

最後の最後に夜の本気ダンスは、超エモーショナルでソリッドタイトなダンスビートも心地好い『TAKE MY HAND』を突きつけた。身体が、拳が、感情が、16ビートの衝動を感じながら踊り続ける。巧みに緩急をつけ、気持ちを揺さぶり、じらしながら、4人は最上級にアッパーでワイルドなダンスロックを通して、終わりを知りたくない熱狂を作り上げ、観客たちと心を一つに溶け合っていった。

撮影:石崎祥子
TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.Sweet Revolution
  2. 2.STARLET
  3. 3.LOVE CONNECTION
  4. 4.SMILE SMILE
  5. 5.審美眼
  6. 6.Movin’
  7. 7.B!tch
  8. 8.NAVYBLUE GIRL
  9. 9.VANDALIZE
  10. 10.Ain’t no magic
  11. 11.Wall Flower
  12. 12.エトランゼ
  13. 13.Candy tune
  14. 14.Falling Down
  15. 15.fuckin’ so tired
  16. 16.Afro
  17. 17.WHERE?
  18. 18.GIVE & TAKE
  19. 19.Fun Fun Fun
  20. EN1.Crazy Dancer
  21. EN2. TAKE MY HAND

米田貴紀(Vocal,Guitar)使用楽器・機材紹介

夜の本気ダンス

夜の本気ダンス 全国ツアー "blue spring 18 dip" TOUR

●2024年5月6日(月・祝) HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2 [栃木県]
開場 17:30 / 開演 18:00 問)DISK GARAGE

●2024年5月7日(火) F.A.D YOKOHAMA [神奈川県]
開場 18:30 / 開演 19:00 問)DISK GARAGE

●2024年5月10日(金) CRAZY MAMA 2nd Room [岡山県]
開場 18:30 / 開演 19:00 問)YUMEBANCHI(岡⼭) / 086-231-3531

●2024年5月11日(土) 松⼭サロンキティ [愛媛県]
開場 17:30 / 開演 18:00 問)DUKE / 089-947-3535

●2024年5月21日(火) Music Zoo KOBE 太陽と⻁ [兵庫県]
開場 18:30 / 開演 19:00 問)清⽔⾳泉 / 06-6357-3666

●2024年5月29日(水) 札幌 Sound lab mole [北海道]
開場 18:30 / 開演 19:00 問)WESS / 011-614-9999

●2024年5月31日(金) CLUB RIVERST [新潟県]
開場 18:30 / 開演 19:00 問)FOB 新潟 / 025-229-5000

●2024年6月16日(日) LIVE HOUSE CB [福岡県]
開場 17:30 / 開演 18:00 問)BEA / 092-712-4221

●2024年6月21日(金) 梅⽥CLUB QUATTRO [大阪府]
開場 18:00 / 開演 19:00 問)清⽔⾳泉 / 06-6357-3666

●2024年6月26日(水) 名古屋CLUB QUATTRO [愛知県]
開場 18:00 / 開演 19:00 問)JAILHOUSE / 052-936-6041

●2024年7月2日(火) 渋⾕CLUB QUATTRO [東京都]
開場 18:00 / 開演 19:00 問)DISK GARAGE

《TICKET》前売
・⼀般前売-5,000円 (税込 / ドリンク代別途必要)
・学割前売-3,900円 (税込 / ドリンク代別途必要)

チケット先行情報等詳細は夜の本気ダンスオフィシャルサイトまで
https://fan.pia.jp/honkidance/

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03.Vivid Beat
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