2019.3.31@マイナビBLITZ赤坂 “WEAVER 14th TOUR 2019 『I’m Calling You~流星前夜~』” ライブレポート
WEAVERにとっての新たな試みは大きな成果を残した。
そう思えた一夜だった。
3月31日、マイナビ赤坂BLITZ。東名阪3本だけの公演となったが約1年半振りのツアーとなった本公演「WEAVER 14th TOUR 2019『I’m Calling You 〜流星前夜〜』」。ツアーファイナルとなったこの日、開演前からSOLD OUT満員の客席には大きな期待感が漂っているのが感じられた。
開演時刻とともに川のせせらぎや虫の声のSEが流れ会場の空気を一変させる。そこから最新アルバム『流星コーリング』の冒頭を飾る『Overture ~I’m Calling You~』に乗せてメンバーが登場、そしてアルバム通りの流れで『流れ星の声』へと繋げた。ジャケットスタイルでシックに決めた3人はさしずめこの物語の語り部なのだろうか。河邉徹(Dr)が執筆した小説『流星コーリング』の物語を音楽とリンクさせ、小説とアルバムの世界をここ赤坂BLITZに鮮やかに描き出していく。曲間には声優の花澤香菜と角田雄二郎による朗読音源に合わせてメンバーがBGMを弾き、スクリーンに映し出された映像とともに物語の世界により深く引き込んでいく。『最後の夜と流星』ではスクリーンにリリック・ビデオが映し出されより一層楽曲の持つ物語を印象付けた。
ここまで、アルバムの曲順通りに進むかと思われたライブだったが次に演奏されたのはWEAVERのライブでも定番の1曲である『Shine』。2011年に発表された楽曲ながら流星をテーマに描かれたこの曲も驚くほど『流星コーリング』の物語に溶け込んでいる。
いつものWEAVERのライブとはひと味違うシアトリカルなステージングではあるが、ライブならではの客席との一体感も忘れない。『Shine』ではイントロとともに手拍子も起こり、サビでは奥野翔太(Ba)のアクションに促されて観客が腕を挙げる。続く『66番目の汽車に乗って』も同じく流星を描き出し、物語への馴染み方もライブとしての盛り上がりも高いレベルで両立させていた。感想のピアノソロでは杉本雄治(Vo/Pf)が屈み込んでエモーショナルに演奏するシーンも印象的だった。客席を眺めながら楽しそうに演奏する河邉の笑顔にはこちらまで楽しくさせられる。
『Interlude I』に続いて演奏された『栞』からは奥野がベースをMTDへと持ち替え、その芯もありつつオープンなアコースティック感のあるサウンドが切ないバラード風の楽曲にマッチしていた。『Nighty Night』ではSONOR LITEのセットから繰り出される軽快でアコースティックな河邉のドラムサウンドにRoland SPD-SXで再現された音源での印象的なフレーズが有機的に組み合わさり、心地良いグルーヴを生み出していた。
3rdシングル表題曲の『夢じゃないこの世界』で切なさを疾走させると、『透明少女』へ。アルバムとは一部曲順を変え、アルバム以外の楽曲も挟みながらも見事に『流星コーリング』の世界を表現していく姿には10月にデビュー10周年を迎えるバンドが持つ地力の強さを感じさせられた。
杉本の澄んだ高音と力強い演奏に客席が一心に聴き入った『透明少女』を歌い終えると、3人はステージを後にした。アルバムの最後を飾る『流星コーリング~Prologue~』を再編集したものが流れ終わると、この日描き出された物語は一旦幕を閉じ、3人はTシャツ姿で再登場した。ここでこの日初となるMC。観客への感謝と新しい試みへの手応えを語りながらも3人のアットホームな空気にこれまで良い意味で張り詰めていた会場の空気が一気に柔らかくなる。杉本が河邉に「ようやくライブで届けられましたね、先生?」と振るとそれに応え河邉は喜びと感謝を告げながらも「僕らが今日やった“物語があってその上に音楽があって”っていうのは、もしかしたら今の時代には遠回りなことなのかもしれないけど、これが今僕たちが伝えたいことだし、僕たち3人の力ややりたいことを集めたのが『流星コーリング』で、今日のライブなので皆さんに楽しんで受け取ってもらえると嬉しい」と語ったが、少なくともこの日この場所にいた全員にその思いは伝わっていたように思う。
「2019年はこの東名阪ツアーがスタートだと思っているのでこっからどんどんどんどん盛り上げていけたらと思うのでみんなこっからもついてきて欲しいと思います、どうかよろしくお願いします」と杉本が述べた後、「ライブハウスならでは」のライブ後半戦へ。
後半戦1曲目となった『だから僕は僕を手放す』から客席もステージ上も汗をかかないわけにはいかない熱気で一気に大きな盛り上がりを見せた。奥野もこれまで以上にステージ上を縦横無尽に動きまわり、続く『Free will』冒頭では杉本がハンドマイクでステージ前方へと出てきてコールアンドレスポンスでさらに会場を熱くする。間奏では河邉が立ち上がり盛り上げる場面も。シンガロングされる「Wow Ohoo Ohoo…」という“止まない叫び声”で会場は一体となった。
「まだまだ踊り足りないんじゃない?まだまだ足りないんじゃない?」という杉本の煽りから『Shall we dance』へ。そしてライブの大定番『くちづけDiamond』へと会場の熱気は最高潮を更新し続ける。「今日は本当にありがとう!こっからもずっと一緒に前に進んでいけたら」と言って始められた本編最後を飾る曲は最新曲『カーテンコール』。TVアニメ『revisions リヴィジョンズ』のエンディングテーマにもなっていたこの曲でこの日のライブは非常にエモーショナルな大団円を迎えた。
汗だくのメンバー3人は客席に深く礼をして感謝を全身で表しステージから去っていった。
万雷の拍手が手拍子になり、手拍子に合わせていつの間にか「WEAVER」コールが巻き起こる。アンコールの声に導かれて、3人は再びステージへと帰ってきた。ツアーの感想を和気藹々と語りながらも、7月からのライブハウスツアーと10月22日に神戸国際会館で行われるデビュー10周年記念、そして『流星コーリング』プロジェクトの完結篇となるライブ「WEAVER 10th Anniversary Live『最後の夜と流星〜We’re Calling You』」への思いをそれぞれに伝えてくれた。「3人にとって大切で、3人の気持ちを1つにしてくれた作品だから、この作品をもっともっとみんなに届けていきたい」(杉本)、「デビュー10周年から先も続けていくために3人で腹を割って話して、3人で力をあわせて、小説を書けるメンバーがいる、バンドの中で生み出せるという「WEAVERにしかない最強の武器」を手に入れられたと感じられたこの『流星コーリング』プロジェクトをもっと盛り上げていきたい」(奥野)、「自分の書いた物語を読んでくれて、さらにそこに音楽を作ってくれたメンバーがいて、僕はきっと世界で一番幸せな小説家なんじゃないかな」(河邉)そんな言葉が特に印象に残った。
河邉は、最後にアルバム『流星コーリング』からたった1曲だけ今日まだ演奏していない曲があると続け『I would die for you』の曲名を告げる。会場は河邉が紡ぎ、奥野が支え、杉本が唱い上げる物語に深く聴き入っていた。『流星コーリング』の物語を離れたようなライブ後半の熱く盛り上がった時間すらもこの日描き出された物語の一部であったと思わずにはいられなかった。最後にステージ前方に3人が並んでマイクを通さずに「ありがとうございました!」と感謝の念を改めて告げ、“流星前夜”の物語は幕を閉じた。
ステージ上で描き出される『流星コーリング』の物語の完結篇を神戸国際会館で見届けたいと素直に思えた。そして、何よりも、デビュー10周年を超え続いていくWEAVERの3人をもっとずっと見ていたいと思わされた一夜だった。
《SET LIST》
- 1.Overture ~I’m Calling You~
- 2.流れ星の声
- 3.最後の夜と流星
- 4.Shine
- 5.66番目の汽車に乗って
- 6.Interlude I
- 7.栞
- 8.Nighty Night
- 9.Interlude II
- 10.Loop the night
- 11.夢じゃないこの世界
- 12.透明少女
- 13.だから僕は僕を手放す
- 14.Free will
- 15.Shall we dance
- 16.くちづけDiamond
- 17.カーテンコール
- EN.I would die for you
取材・文:稲葉悠二
ライブ撮影:浜野カズシ
機材撮影:小野寺将也
WEAVER
デビュー10周年記念ライブが10月22日(火・祝)に神戸国際会館で開催決定!
2019年10月21日にデビュー10周年を迎えるWEAVERが、10月22日 (火•祝)に地元・神戸国際会館にて、WEAVER 10th Anniversary Live『最後の夜と流星〜We’re Calling You』と題し、10周年記念&流星コーリング完結篇を掲げたライブを行います!
WEAVERの過去・現在・未来の全てが凝縮された、この日限りの特別な空間を是非お見逃しなく!!
開演時間など公演の詳細は後日発表します!
また、7月からは全国のライブハウスを巡るツアー WEAVER “ID 2” TOUR 2019「I’m Calling You〜流星ループ〜」も開催!