１曲ごとに、いろんな夢の中の住人になれる。なんて素敵なライブだ。

神谷浩史が、CDデビュー15周年を記念して行った全国ツアー「Kiramune Presents Hiroshi Kamiya 15th Anniversary Live Tour “Messenger”」。同ツアーのファイナル公演が、9月14日にパシフィコ横浜 国立大ホールで行われた。当日の模様を、ここにお伝えしよう。

オープニングで、神谷浩史の15年間の音楽人生の歩みを記した映像が次々と流れだす。先に15年間の日々を映像で駆け巡ったうえで、大きな舞台の上に、神谷浩史が姿を現した。

ライブは、この日の神谷浩史自身の姿を示すかのように『主人公になる物語』から始まった。とても温かい歌声だ。その声に触れていると、彼に優しく抱きしめられている気分になる。だから、物理的な距離を埋めたくて、心の両手をずっと神谷浩史に向けて伸ばしていた。いや、そんな気持ちでステージの上の彼を見つめていた。「いつまでもボクがボクでいれるように」の歌詞が、この日はとくに深く心に響いてきた。

神谷浩史がペンライトを手に歌ったのが、『Dolce misto』。舞台のあちこちから大きな火花（スパークラー）が上がっていた。この曲でも神谷浩史は甘い歌声を魅力に、彼自身を支えてくれる仲間たちへ、あなたがいるから自分は進んでいけると感謝の思いを伝えていた。場内中で揺れる紫のペンライトの光を見ていたら、ここが神谷浩史と一緒に作りあげる素敵な楽園にも見えてきた。

ここから一気に勢いをつけるように、神谷浩史の上げる声を合図に『Shall We Circus!』が飛び出した。シルクハットをかぶった彼は、素敵なSHOWを彩る道化師になり、ダンサーたちを引き連れ、この空間を素敵な社交場に塗り変えてゆく。たとえ一緒にダンスは踊れなくても、その場で身体を揺らすだけで、共に踊りを楽しんでいる気分に染まれる。そんな素敵な空間を、神谷浩史はこの場に作りあげていた。途中には、マジックのようにステッキを取り出し、ダンサーたちとパフォーマンスをしていく場面も登場。一瞬のブレイク後に言葉にした「君と」の声に触れ、場内中から「キャーッ!!」と黄色い歓声が上がっていたのも印象的だった。その声にハートが落ちてしまうのも、納得だ。

続く、管弦楽団の演奏も交えた『影もまた真なり』でも神谷浩史は、夢と幸せに満ちた華やかなSHOWを見せてくれた。その様はまるで、昭和時代にブラウン管の中で繰り広げられた豪華な歌謡ショーのよう。１曲ごとに、いろんな夢の中の住人になれる。なんて素敵なライブだ。本当にファンタジックなひとときだ。

次に登場したのが、2009年から2014年までのシングル表題曲とアルバムリードトラックの中からセレクトしたメドレーコーナー。華やかな音色が胸をくすぐる、優しいポップチューンの『虹色蝶々』。甘い歌声をとても身近に感じた『For myself』では、一緒に腕を振り上げて楽しむ場面も登場。高いステージに上がり、場内中の人たちをしっかりと見つめながら歌った『my diary』。会場中の人たちも一緒に声を上げ、共に心の翼を広げて羽ばたき続けた『Dual Wing』。一転、『START AGAIN』では、言葉のひと言ひと言へ強い思いを込めて彼は歌っていた。激しいギターの音に乗せ、気持ちを弾ませながらおおらかに歌いあげた『Such a beautiful affair』。メドレーコーナーの最後は、心を温かな色に染め上げた『ハレのち始まりの日』を通して、みんなで掲げた手を左右に大きく振り、思いを一つにしていった。

華やかな弦楽の音色に乗せて、愛おしい人へ思いを伝えるように歌いだしたのが『君のためのラプソディ』。視線を客席へ真っ直ぐに向け、神谷浩史は「手をのばせばほらいつだって 僕がちゃんとそばにいるから」と歌っていた。その姿は幻なんかじゃない。この曲では大勢の人たちも彼と一緒に「ハローハローハロー」や「ララララ」と歌を口ずさんでいた。

「さぁ、みんな一緒に歌ってください」の声を合図に、ファンキーなポップチューン『Especially』が飛び出した。コーラス隊と観客たちが歌う「Don’t stop music, Don’t stop music」の声へ掛け合うように歌う神谷浩史。一緒に、無邪気に声を上げて熱い空間を作りあげる。だから、自然と身体が揺れていく。みんなで一つになる、この一瞬一瞬が最高に胸をときめかせる。

無数のCO2が吹き上がった『シリカゲル』では、場内中の人たちが声を張り上げ、拳を突き上げ、この場を熱狂という言葉が似合う空間に染め上げた。神谷浩史と一緒に「HEY!」と叫ぶたびに、気持ちが熱を帯びてゆく。気分がどんどんHIGH!!になる。甘く優しい表情にも心はうっとりするけど、熱いロックな楽曲で一緒に会場をヒートアップしてゆくのも、ライブだからこそ味わえる楽しさだ。

©Kiramune Project

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