4人組ガールズロックバンドのfleufleuが、活動の集大成として挑むワンマンライブ『fleufleu Presents We Live As One -Grande Finale-』を1月31日(火)に東京・渋谷eggmanで開催した。

2015年にバンドを結成、2020年に現在のラインナップが揃い、精力的に活動してきた彼女たちだったが、所属事務所の退所に伴い、本公演がfleufleuとしてのラストライブとなることが決定。併せて、今後も変わらずこのメンバーで音楽を続けていくと昨年12月に発表してくれていたものの、ワンマン当日まで詳細が明かされていなかっただけに、そして文字通りのグランドフィナーレ(渋谷eggmanの入口には「fleufleu 今までありがとう」というメッセージとともにファン一同からのフラワースタンドが飾られていた)であり、4人が新たなスタートを切る夜だけに、開演前の場内はただならぬ緊張感が漂っている。

Canaco(Vo&Gt)
Kaho(Gt)
Ayano(Ba)
Mimori(Dr)

やがてSEが鳴り響き、緑のレーザーが爛々と飛び交う中、いよいよステージにfleufleuの4人が登場。Mimori(Dr)のカウントから『下の名前で呼ばないで』で勢いよくライブが始まると、Canaco(Vo&Gt)が早くも「歌ってくれ!」と叫び、Kaho(Gt)とAyano(Ba)はお立ち台に上がってプレイするなど、それぞれがエネルギッシュに躍動しながら最高の笑顔を見せる。この日はマスク着用で声出しOKとあって、ソールドアウトで満員のフロアもまるでコロナ前の熱気を取り戻したかのように大いに沸く。

まだまだ寒い冬ですけど、ここだけは熱々なテンションに上げていきましょう!」とCanacoが呼びかけ、続いては暖色系のカラフルな照明のもと『夏の忘れモノ』『またね』を爽快に演奏。fleufleuのバックドロップを背にしたステージもおそらくこれで見納めになるのだけれど、4人は湿っぽい雰囲気などまったく感じさせず、アグレッシブなパフォーマンスを繰り広げる。最初のブロックが2021年12月の渋谷duo MUSIC EXCHANGEでのワンマンと同じ選曲だったのは、身体にしっかりと馴染んだ流れでオープニングからファンを申し分なく喜ばせたいという想いがあったのかもしれない。

待ちに待った声出し解禁に、「登場の瞬間から“フーッ♪”みたいに聞こえてきてね」「こっちも沸き立つ感じがします」「(MCで)リアクションがあるのが安心する!」と嬉しそうな4人。メンバーの総意は「fleufleu名義でのラストライブだけど、みんなでめちゃくちゃ楽しい思い出を作りたいです」というCanacoの言葉に表れていた。

そんな彼女たちの意志を後押しするようにオーディエンスの温かなハンドクラップが湧いた『君の所為』、回るミラーボールとムーディーなアンサンブルの掛け合わせで魅せた『メリーゴーランド』と、ミディアム曲も交えつつ、あくまでいつもどおりのfleufleuらしさでライブは進む。ボーカルの凛とした佇まいや起伏に富んだ展開がより際立つ『ジレンマ』では、逞しく成長してきたメンバーの今がしみじみと感じられたりも。

さらに、『吐息』『candy』はアコースティックセットで披露。アコギ×ベース×カホンのやわらかなサウンドに乗って、伸びのある歌声がしっとりと響くさまが心地よい。Canaco曰く「私がソロのライブでやっている曲なんですけど、ワンマンとか特別なときに4人で演奏しています。最後なので、こういう姿も観てもらいたかった」とのこと。

Daydream Lover』以降はバンドセットに戻って、今度は明るくポップに聴かせたりと、多彩なアプローチでそのポテンシャルを発揮していくfleufleu。CanacoがKaho、Ayano、Mimoriのそばに駆け寄りながらハンドマイクで歌った『ミッドサマーマジック』は奔放さが微笑ましく、ワイパーする腕であふれたフロアの光景も壮観だ。

中盤のMCタイムでは、「渋谷eggman、楽しんでますかー?」とAyanoが切り出したのをきっかけに、メンバー全員が口々に「楽しいーーーッ!!」と喜びを爆発させる。歓声があるライブというのはやっぱり格別なようで、配信(チケットがソールドアウトしたことを受け、急遽ツイキャスでの生配信も行なわれた)で参加してくれている方を含め、ファンに改めて感謝を伝える4人。

何かを始めるときには、何かを手放さなきゃいけない。そういう原理になっているわけです、人生は。だけど、今日は悲しい日じゃなくて、新たな始まりだと思ってます!」とCanacoがもう一度ポジティブな意思表示をし、さらにギアを上げた『はじまりの瞬間』からライブは後半へ。まさしくこの日にぴったりのナンバーで一体感を生むと、すかさずインストセクションに突入。Kahoがワーミーなサウンドやタッピング奏法で彩り、Ayanoが歪みの効いたスラップ弾きをガンガン繰り出し、Mimoriがよりパワフルなドラムで攻めるなど、キュートなだけじゃない、カッコいいfleufleuもじわっと見えてくる。

そこから『エトセトラ』へと繋ぎ、ロックなモードはいっそう加速。ギラついた照明も手伝って、場内は興奮の坩堝と化す。念願のシンガロングパートを全員で歌うことができた『ALLY』、「fleufleu史上最高の景色を見せてくれますか!?」というCanacoの声にオーディエンスが熱狂のタオル回しで応えた『ヨマイゴト』、メンバーの切れ味鋭いソロが次々に決まった『嫌い』。鉄板のキラーチューンを鮮やかに畳みかけ、ライブバンドらしい演奏力の高さで真っ向勝負する4人の姿勢はなんとも潔い。

どんな想いでここに足を運んでくれたのか、遠く離れたところで自分たちの演奏を観てくれているのか。たくさんの人のことを考えると、どうしても目頭が熱くなっちゃいます……でも、やっぱりみんなにとってライブは楽しい場所であってほしいから、泣くのはやめようと思ってね。あー、ヤバいヤバいヤバい(笑)」と、涙をこらえて気丈に振る舞おうとするCanaco。

何回も言うように、今日は終わりと同時に始まりの日です。fleufleuとしての活動は止まっても、4人でいっしょに歩む道はまだまだ続いていくし、それがここにいるみんなの道でもあったらいいなと思ってます。新たな物語が始まるまで少し待たせてしまうかもしれないけど、私たちは必ず戻ってくるし、必ずまたこういう楽しい場所を作るから

この先でどんな暗闇が続いたとしても、絶対に私たちがあなたのことを見つけ出すから。それまでどうか信じて待っていてくれたら嬉しいです」と今の気持ちを歌詞に重ねてまとめ、ブルーのライトがステージを照らす中でバラード『マボロシ』を、ファンとの再会を誓うように味わい深く届けた。

ここまで来ると、メンバーも全員たまらない表情になっている。それでも、悲しく沈んだ感じで終わりたくはなかったのだろう。「あなたの背中を押せますように」と明るく告げ、本編ラストは精一杯の想いを込めた『』。4人は笑顔と涙を浮かべながら、“まだ見ぬ未来が待ってる”と信じる希望の歌を高らかに鳴らしてみせた。演奏を終えると、なんとスタッフから彼女たちにサプライズで花束の贈呈が。加えて、おなじみの掛け声「fleufleuでーしたっ!」で記念撮影も済ませるというパーフェクトなフィニッシュだ。

心温まるエンディングで辺りの空気がすっかり和み、メンバーがステージを降りたあとは観客からの熱いアンコールが10分以上にわたって続く。そして、fleufleuの4人が懐かしの衣装とヘアメイクで再登場。「最後のワンマンは私たちのホームである渋谷eggmanでやりたかった」とCanacoが話し、MVの先行試聴会もここで開いたというバンドの代表曲『薔薇』を満を持して披露した。もちろん、フロアには薔薇型のペンライトを光らせたファンも多く見受けられる。

今日は来てくれてありがとうございます。私はサポートから入って、なんだかんだでもう3年半くらいですかね。このバンドでたくさんの景色を見せてもらって、たくさんの経験をさせてもらってきました。活動はいったん終わってしまうんですけども、fleufleuとしての宝物を胸に、まだまだ4人で歩んでいきたいと思ってますので、これからもぜひよろしくお願いします!」(Ayano)

私は冗舌な3人に比べておしゃべりが得意じゃないけど、今日はギターで全力を出し切れて、本当に楽しい日になったなと思ってます。1人で活動していた時期もあった中、Canacoとみもりんがバンドに入れてくれて、Ayanoちゃんが加わってくれて、こんなにたくさんの仲間ができました。ちょっとお休みを挟んで、また4人でがんばりたいです。そのときは絶対にみんなで集まりましょう」(Kaho)

楽しいっていう気持ちだけでCanacoと始めたfleufleuに、つじかほとAyanoちゃんが入ってくれて、バンドとしてどっしり動けるようになったことが本当に嬉しかったんですよね。それを機に仲間が、自分以外の大切なものがすごく増えました。居場所を作っていただいてありがとうございます。これからも4人で新たな景色を見たいので、どうかついてきてください!」(Mimori)

2人の時代が長かったんですけど、高校で知り合ったつじかほと奇跡的に再会できたり。Ayanoちゃんはライブで遠征したとき、空気感がすごくいいなと思いました。マイペースな私とみもりんに、引っぱってくれる船長のつじかほ、後ろで見守ってくれるAyanoちゃんが加わって、パズルのピースがハマった感じがあった。何が言いたいかというと、音楽を続けててよかったってことです」(Canaco)

バンドの今後について詳しくは言及されなかったが、メンバーがそれぞれに想いを語り、未来を約束してくれたことに、ファンもひとまずホッとした様子だった。「音楽をやめる選択肢はまったくないので、心配しないでください。絶対に帰ってきます。夢で終わらせるにはまだ早いと思うから!」とCanacoが結び、この日いちばんの歓声が起こったハッピー極まりない『SPICA』、さらに予定外のWアンコールにも応じ、最も長く演奏してきた曲だという『下の名前で呼ばないで』を再び届けて大団円。

2時間半に及ぶ愛でいっぱいのライブをもって、最高のフィナーレを飾ったfleufleu。彼女たちがいつどのような形で再始動を遂げるのかはまだわからないが、新たな出発の時を信じて今はゆっくり待ちたいと思う。

取材・文:田山雄士
Photo:hirom inoue、kota aoki

《SET LIST》
  1. 1.下の名前で呼ばないで
  2. 2.夏の忘れモノ
  3. 3.またね
  4. 4.君の所為
  5. 5.メリーゴーランド
  6. 6.ジレンマ
  7. 7.吐息(Acoustic)
  8. 8.candy(Acoustic)
  9. 9.Daydream Lover
  10. 10.ミッドサマーマジック
  11. 11.はじまりの瞬間
  12. 12.Solo Section
  13. 13.エトセトラ
  14. 14.ALLY
  15. 15.ヨマイゴト
  16. 16.嫌い
  17. 17.マボロシ
  18. 18.聲
  19. <ENCORE>
  20. EN1.薔薇 EN2.SPICA
  21. <ENCORE 2>
  22. WEN.下の名前で呼ばないで

Canaco(Vocal/Guitar)使用楽器・機材紹介

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6/27(火) 下北沢 ReG(ワンマン)
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8/14(月) 下北沢 ReG(ワンマン)


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