後半は、『幸せな不条理』から。セクシーな動きも見せながら、Chageが妖しげに迫りくる。スリリングな空気を作りあげる演奏の上で、ねっとり絡みつくように言葉を放つChage。心地好い緊張感を持った演奏の上で、不条理な恋物語を、Chageは大人の色気も醸しながら歌っていた。

その不条理な恋、すごく困る!?などと思っていたところへ流れ出したのが、CHAGE and ASKAの『すごくこまるんだ』。Chageとコーラスの河野健太郎が、客席に背中を向けたコーラスのYUKOを間に挟み、惑わされ、揺れ動く男性の心情を、女性を口説くように、2人して声をかけあい熱唱。男性シンガーが2人いるからこそ描き出せるこの曲の持つ臨場感を、しっかり投影。『すごくこまるんだ』ではYUKOが華やかな羽根のついた扇子を振り回し、2人の男性を妖しく挑発。その演出も含め、舞台の上で繰り広げる舞台劇のような物語を、熱い視線を向けながら楽しんでいた。

飛びだしたのが、『ふたりの愛ランド』。コーラスのYUKOを相方に、Chageは、この会場に夏の熱気を取り戻すように熱情した声で歌唱。互いに顔を見合わせ、この空間に爽やかな晴れた夏の空気を描きだしていった。中で、「水着の後さえChageさん次第ね」と歌詞をアレンジして女性が歌えば、つい「やっぱり」と声を出してしまうChageの姿も。途中、サビの歌を、Chageの弾くウクレレや演奏陣の奏でるスチールギターの音色に乗せて観客たちが大合唱。みんなで一緒に「夏」を味わっていた。頭をからっぽに、胸を弾ませて楽しめる、この夏の空気がたまらなく嬉しい!!

ライブは、1曲ごとにいろんなドラマを描きだす。チャゲ&飛鳥時代に歌った『ロマンシングヤード』の演奏が鳴り響くのを合図に、場内中の人たちの気持ちが熱く沸き立った。腰にギターを添えて演奏をするChageの姿も、らしい。この曲では、場内中の人たちが高く拳を突き上げ、サビを一緒に歌う人たちも多く登場。さぁ、高く掲げた拳を一つにして、でっかい夢やチャンスを一緒につかみ取ろう。

高ぶる気持ちを、さらに熱狂に乗せて笑顔で解き放とう。流れだした軽快なロックンロールナンバー『Well, Well, Well』に乗せ、みんなで腰を揺らしてパーティーだ。曲が進むごとに場内中が華やぐ。メンバーらと一緒に無邪気な少年や少女に戻ってはしゃげるって、最高に楽しい。一度きりの人生、楽しまなきゃもったいない。その楽しさを、Chageが目の前で伝えてくれるのだから。

この勢いをさらに膨らませるように、スケール大きくもおおらかな感情へと導く『equal』が流れだした。この曲でもChageは、言葉のひと言ひと言に熱を注ぎ、高らかに歌っていた。その歌声が響き渡るたびに、胸を叩かれるように気持ちが昂りだす。高揚したこの感情にずっと浸っていたい。

最後にChageは、最新アルバムのタイトルにも付けた『飾りのない歌』を歌唱。言葉のひと言ひと言に思いきり抑揚をつけ、彼は歌詞に込めた思いを自分自身に言い聞かせるように歌っていた。サビでは、これまで以上に感情の振幅を大きくつけながら思いを響かせる。Chageの歌声の絵筆が会場というカンバスへ大きな思いの絵を描くのに合わせ、演奏も彼の歌声に華やかな色をまぶしていた。『飾りのない歌』を通してChageが描き出した雄大な世界へ、誰しもの心が吸い寄せられ、魅了されていた。

アンコールは、愛しい人へ思いを届けるように、温かいピアノの音色やジャジーなムードを醸しだす演奏に乗せて、ゆったりと、微睡むように、メロウなバラードの『横顔の月』を歌唱。この曲では、愛しい人へ思いをひと言ひと言告白するように歌っていた。この場にいた女性たちは、目の前でChageに口説かれた気持ちでいただろうか!?そんな、甘いムーディーなひとときを味わっていた。

「Listen to the voice!!」とChageと2人のコーラス陣が高らかに叫ぶのを合図に、Chageは今宵の最後を飾る歌として『Windy Road』を届けてくれた。手を振るChageに合わせて場内中の人たちも手を振る、その一体化した景色が最高だ。フロアのあちこちから、ステージに向かってたくさんの紙ヒコーキが飛び交う様や、Chageの歌声に合わせ、みんなで拳を振り上げ一つに溶け合う景色も心を踊らせる。手にした紙ヒコーキを高らかに掲げ、客席へ飛ばした途端、逆に場内中からChageに向かってたくさんの紙ヒコーキが飛び交う。もっと遠く 遠くまで、あなたの思いを紙ヒコーキに乗せて飛ばそう。Chageの歌声の風を推進力に、これからも一緒に素敵な景色を、Chageのライブの中に描き続けようじゃないか。ほんと、Chageっていう人は最高にけしからん!!

TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.組曲WANDERING
  2. 2.勇気の言葉
  3. 3.Begins Now〜万華鏡の刹那〜
  4. 4.THE WOMAN I LOVE
  5. 5.ベンチ
  6. 6.Reason
  7. 7.TOKYO MOON
  8. 8.永遠の謎
  9. 9.SOME DAY
  10. 10.幸せな不条理
  11. 11.すごくこまるんだ
  12. 12.ふたりの愛ランド
  13. 13.ロマンシングヤード
  14. 14.Well, Well, Well
  15. 15.equal
  16. 16.飾りのない歌
  17. -ENCORE-
  18. EN1.横顔の月
  19. EN2.Windy Road

Chageの使用ギターを紹介!

Chage

Chage Live Information

「Chage Billboard Live 66 to 67」
2024/12/14(土)ビルボードライブ横浜(1日2回公演)
2024/12/22(日)ビルボードライブ大阪(1日2回公演)

「Chage Billboard Live 66 to 67: Echoes of Friendship with Yuko Ishikawa」
2025/1/4(土)~1/5(日)ビルボードライブ東京(1日2回公演)

Chage New Album『飾りのない歌』Now On Sale!!

Chage 『飾りのない歌』
2024/8/28 Release

デビューしてから45年を迎えるChageが贈るニューアルバムが完成!
『Chage BEST SONGS “電リク”』と称して、ファンからリクエストを募り、上位曲を スタジオ・ライブ形式でセルフカバー、さらに新曲3曲を加えた 全10曲収録した45th Anniversary Album

■CD(UICZ-4681) 3,300円(税込)
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■CD+DVD(UICZ-4680) 8,800円(税込)
■CD+Blu-ray(UICZ-4679) 9,900円(税込)
https://www.universal-music.co.jp/chage/


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