新たな始まりを告げたMellowsの毒甘な1stワンマン公演!

6月6日(木)、Mellowsが渋谷チェルシーホテルで1stワンマン公演「Cute metals melted R6/6/6」を行った。この日は、1stアルバム『alloy』の発売日。同作品のリリース記念も兼ねたこの日の会場は、後ろまで観客たちが押し寄せていた。間違いなく今、Mellowsにメタル/ガールズバンド好きの視線が熱く注がれている。

スクリーンに映し出されたのが、この場で初公開になったオリジナルショートドラマ『さんにんの世界』。観客たちは、スクリーンに映し出された映像を食い入るように見つめていた。そして…。幕が開いた先には、大きなフラッグを振るMioと演奏陣が立っていた。

Mellowsのライブの冒頭を飾ったのが、アルバムでも1曲目に収録したMellowsの最新スタイルを示した『Candy making』。とてもエクストリームかつ破壊的な衝動を満載した楽曲だ。荒ぶる音がフロア中を駆けめぐる。その音へ身と心を委ねたMioが、大きな旗を振りながら雄々しく歌い上げる。その様へ向けて、たくさんの拳や赤いペンライトの輝きが揺れだせば、野太い声も響き渡る。途中で見せたMioの笑い声も不気味だ。何より、破壊力満載で轟く音に、早くも理性が崩壊し始めていた。

疾走する強烈なビートと轟音を唸らせる演奏に合わせて、Mioが力強く歌声を響かせる。『Beat Beast』に合わせて、場内中から「Oi!Oi!」と熱い声が沸き立つ。フロアにいる大勢の人たちが、強靱なリズムと荒ぶる感情を同期するように声を荒らげ、腕やペンライトを振りかざし、この場に熱狂の儀式の様を作りだす。3人は緩急を活かした表情を巧みに描きつつ、強烈なブラストビート・ナンバーに乗せ、観客たちの感情をガシガシに煽り続けていた。

MCでは、愛らしさを振りまいて語りだすMio。笑顔で戦闘態勢をキープするGINAとSallyの姿もいつも通りだ。

バスドラのリズムへ音を重ねるように、観客たちが手拍子を始める。Mioの声に合わせ「OK!!」と声を張り上げる景色に、心地よい一体感を覚える。そこへギター陣が魂を殴るような轟音を叩きつけるのを合図に、『POCket.』が飛びだした。煽るラップのような歌を魅力にせまるMio。彼女が「せーの」と声をかけるのに合わせて、場内中の人たちが「OK!!」と声を投げ返す。エクストリームな激しい楽曲なのに、サビで超キャッチーな歌曲に変貌し、観客たちの感情をエモく沸かせるところもMellowsらしさ。触れた人たちの感情を激しさと心地よさの両面で揺さぶる。だから、いつしか感情が、その世界へどっぷりと飲み込まれてゆく。

頭へうさぎ耳のカチューシャを装着。奏でたのが、『Rabbit Love it!』。胸をキュンと騒がせるエモメロな歌で幕開けながらも、ギター陣の演奏が暴れだしたとたん、カオスな様相を呈する楽曲だ。甘さと激しさ、その二面性を明瞭に描きだしたこの曲に触れることで、CUTE METALの意味を理解してもらえるはずだ。Sallyに至っては、頭を振るなど激しいアクションを見せて演奏をすることから、即効でうさぎ耳のカチューシャが床に落ちていた。歌に心地よく身を預けながらも、豪圧なメタルサウンドを全身に浴びながら、興奮という感情のアクセルをグイグイ踏み込み続けていたい。まさに、そんな気分だ。

リズムに合わせて観客たちが熱くクラップをしだす。キャンディーのような甘い表情を見せて始まりながらも、轟音振り乱し爆走するギター陣の演奏に触れたとたん、その音が観客たちの理性をぶっ壊した。『Death sentence』、なんて甘い破壊力を持った楽曲だ。Mioが赤いペンライトを振りかざすたびに、フロア中から「Oi!Oi!」と野太い声が上がりだす。この曲が暴れ狂っている間中、ずっと突き上げた拳を振り続けていたかった。

次のブロックでは、ソロコーナーを設置。まずは、Mioが増井みおとしてリリースした『WANNA』を歌唱。Mellowsに繋がる甘くメロウな面と、メタル&パンキッシュな要素をミックスした、エクストリームでミクスチャーな楽曲だ。このままMellowsの楽曲として組み込んでも何の遜色もないCUTE METALなスタイルを満載した、理解を破壊尽くし、メロメロになって騒げる楽曲なのが嬉しい。スウィート&エモーショナルに誘いをかけつつ、がなるように煽る様へと変貌してゆくドラマチックな展開に触れ、観客たちも我を忘れて騒ぎ続けていた。

次にバトンを受け取ったのが、GINA。彼女は、1年前に一度だけ演奏をした経験のあるソロ曲『Nigella』を披露。この曲では、1ギターのトリオ編成に。フレットの上で指を豪快に滑らせ、次々とノイジックな音を紡ぎだせば、ときにはハーモニクスも用いて、楽曲へ多様な表情を描き出す。軸にあるのはダークでラウドな面。ときに荒ぶる牙を剥き出して激しく襲いかかれば、ときにはエモい表情もちら見せる。観客たちも、いつしか野太い声を張り上げ、演奏に参加。激しく哮る旋律の数々も印象深いインストナンバーだけに、今後も機会を持って披露してもらいたい。

リズム隊のヘヴィファンク&ラウドなセッション演奏を挟み、Sallyのソロコーナーへ。彼女はソロナンバーの『Plot in Jealousy』を披露。生粋のメタラーだけに、彼女は最初から豪快かつ轟音のリフやメロディーをマシンガンのように次々と叩きつける。激しさの中へ、巧みにメロディアスでドラマチックな物語を描きだす。だから身体は興奮を覚え、腕を振り上げながらも、グリッターな音の絵筆で心にいろんな色の絵を描き出すそのプレイに、強く、強く惹かれていた。ちなみに彼女は、さりげなくゴスロリ系の新衣装へ着替えてプレイしていたことも伝えておきたい。今にもステージから飛び下りんばかりに、前のめりの姿で激烈な音の数々を叩きつける。その姿も、笑顔ですべてを破壊し尽くすSallyらしい。

新衣装に着替えたメンバーたち。続いては、カバーコーナーへ。奏でたのが、HoneyWorksの『可愛くてごめん Metal Ver.』。確かに、「可愛くてごめん」という言葉が似合うメンバーたちだ。この選曲も意外性を持っていたが、演奏をすると、しっかりとメタルカラーに染めあげるところがMellowsらしい。演奏陣がドコドコとした黒い音を投げつけるたびに、かわいい胸キュンの乙女心が魔性の心模様に変化してゆくようだ。可愛くってごめんというよりも、小悪魔でごめんと言ったほうが相応しい歌と演奏が、この場を荒らしまくっていた。

次のブロックでは、さらに進化したMellowsを見せようと、新曲を立て続けに披露。Sallyのギターからの幕開け、GINAがそれを受け取る形で、2本のギターの音が交錯する。Mellowsが最初に届けた新曲の『Bad player』は、激エモかつ、短いスパンで次々と表情を様変える攻撃性満載の楽曲。ダークでラウドな面と、トリッキーなプレイ、さらにメロディアスな表情を巧みに織り交ぜ、目の前にある障壁を次々と破壊しながら楽曲は突き進む。フロアからはたくさんの拳と赤いペンライトの輝きが揺れていたのも印象的だ。螺子曲がった性格の彼女たちのBADな部分をエンターテイメントに仕上げた邪悪な曲であるともMioは語っていた。

続く『シールインサイド』は、ダークでノイジックな音で触れた人たちの身体を押し潰すような演奏と、闇へ誘い込む魔性の囁き(歌)を魅力にした楽曲。ダーク&エモな表情と、ゴシック&ラウドな曲調が巧みに交錯しあう、触れた人たちを暗くて黒い闇の中へ引きずり込み、病ませる、貞子のような楽曲に感じた。その中に刹那な表情を覚えるところも魅力の一つ。ゴシックメロウ/ヘヴィダークかつドラマチックな、ティム・バートン的な世界観が好きな人にはたまらなく刺激的な楽曲だ。

後半は、ふたたびアルバム『alloy』の楽曲を次々と披露。届けたのが、Mellows流のダークエモなバラード『AddicChu』。歌声に乗せて響く一つ一つの言葉とメロディーが、心を優しく撫でる。その撫でるようなMioの歌声の手に、刺々しい音の手を寄り添える演奏陣。この曲では、強烈なリフビートも刻みつつ、2本のギターが巧みに綺麗なメロディーをハモらせ、触れた人たちの心を揺らして…いや、揺さぶっていた。

ライブも終盤へ。会場にいる人たちの足を床からひっぺがすように、『Jumpink!』を演奏。Sallyのライトハンド奏法も目を引く要素。この曲も、とてもパワフルかつ疾走性満載の楽曲。サビでは、胸踊らせるキャッチーな歌に合わせ、場内中の人たちが、拳やペンライトを振り上げて飛び跳ねる。かと思えば「好き好きかわいい」と歌いながら、会場中の人たちをヘドバンの景色に染めあげてゆく。超絶爆走する暴走マシーンのような表情と、胸を踊らせる跳ねたメロな表情を巧みに組み合わせ、Mellowsは、観客たちから次々と理性を奪い去っていった。

止まることなく飛びだしたのが、『Pretty guardian』。Mioの「いくよ」のキュートな煽り声を合図に、観客たちが声を荒らげ、拳やペンライトを高く突き上げ、ときにクラップをしながら、爆走する激エモな曲に乗せて一緒に感情を暴走させていた。かわいくもオラオラとせまるMioの姿は、まるで黒い天使のようだ。

Mellowsが最後に叩きつけたのが、『未完成』。感情を熱く熱く掻き立てる高揚激エモナンバーだ。巧みに転調を繰り返しながらも、3人とも高揚した気持ちを落とすことはない。Mioは歌の刃を突きつけ、触れた人たちの燃えたぎる感情をチクチクと刺激していた。その歌声や演奏の刃で突かれるたびに、感情が高ぶり続ける。興奮と高揚が激しく絡み合いながら、絶頂をめざして駆け上がる。だから、喉が枯れる勢いで声を張り上げていたかった。

アンコールでは、『秘密closet』を演奏。マーチングビートに乗せてMioがキュートに歌いだしてスタート。でも、演奏陣が感情のボリュームをフルテンにしたとたん、演奏がこの空間をカオスな様に染めあげる。キュートな面とメタルな要素をしっかりと両極に振り切って演奏をする『秘密closet』こそ、Mellowsの顔とも言える楽曲。だから観客たちも、甘えた表情と牙を剥きだした感情の両面をメンバーたちに向けながら、一緒に夢のような熱狂と恍惚を味わい尽くしていった。

この日が、Mellowsにとって第一章を締め括る日であり、第二章の始まりにもなった。ここからMellowsが、さらにどんな進化したCUTE METALな姿を見せてゆくのかが楽しみだ。

PHOTO:鶴田健吾
TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.Candy making
  2. 2.Beat Beast
  3. 3.POCket.
  4. 4.Rabbit Love it!
  5. 5.Death sentence
  6. 6.WANNA(Mioソロ)
  7. 7.Nigella(GINAソロ)
  8. 8.Dr Bass セッション
  9. 9.Plot in Jealousy(Sallyソロ)
  10. 10.可愛くてごめん Metal Ver.(HoneyWorks)
  11. 11.Bad player(新曲)
  12. 12.シールインサイド(新曲)
  13. 13.AddicChu
  14. 14.Jumpink!
  15. 15.Pretty guardian
  16. 16.未完成
  17. -ENCORE-
  18. EN.秘密closet

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