Little Lilithと共に作りあげる熱狂という音楽のグラフィティ

「GHOST TOUR 2023」と題してLittle Lilithが昨年秋に行ったEU TOUR。同ツアーを通して、彼女たちは欧州のロック好きたちのハートを釘付けにするライブを各地で見せてきた。熱狂を巻き起こした当時のライブの模様を、日本の仲間たちにも示そうと企画をしたのが、3月11日にZirco Tokyoで開催された“Little Lilith ONEMAN LIVE「REMEMBER」”になる。「EU TOURを完全再現。あの興奮、再び」のキャッチコピーに相応しいライブの模様を、ここに再現したい。

この日は、海外から足を運んだ人たちもいたのか、日本人以外の人たちも少なからずいたように、客層を通してLittle Lilithの人気がグローバル化していることを実感。重厚かつ浮遊感のあるお馴染みのSEに乗せて、メンバーらが舞台へ。場内中で鳴り響く手拍子。LILLY(Vo)の登場にあわせて、フロアのあちこちで高まる声。その様を見ながら「ARE YOU READY!?」と叫ぶLILLY。この日のLILLYのMCは、すべて英語。そこにも、欧州でのライブスタイルを再現していた。

冒頭を飾ったのが、EU TOURのタイトルにも掲げられていた『The Ghost』。舞台の上から溢れでる轟音に身を任せ、野太い声を張りあげ、大きく身体を揺らすなど、早くも観客たちが暴れだした。この様も、欧州と同じ景色なのだろうか。気持ちが高ぶったら、暴れ騒ぎたくなるのは万国共通。腹の奥へズシンと響く音に刺激を受けて騒ぐのは、Little Lilithのライブではスタンダード。大切なのは、ここからどれだけ現実を消し去っていくか。さぁ、腹の底から声を上げて思いきり暴れようかっ!!

Gun Bullet』が轟きだした途端、フロアに大きなサークルが誕生。走りまわる観客たちの周りには、拳を振り上げ、野太い声を上げ続ける人たちの姿もあった。サビでは、観客たちがスクラムを組んでヘドバンし続ける。その様を見ながら、LILLYは高貴な女王様然とした姿で観客たちを挑発していた。彼女の気迫を増幅するように、演奏陣も轟音の礫を次々と投げつけ、この場を狂った宴に染めあげてゆく。

Little Lilithは『Graffiti』を用いて、この空間を狂気と狂喜が渦巻く赤黒い熱狂の場に描きあげる。LILLYのエモい歌声をつかもうと、たくさんの手が舞台の上に伸びてゆく。4人は激烈な音とメロウな歌を交錯させ、この場にいる一人一人の心を高揚という色に染めあげていった。誰もが大きく手を振り上げ、LILLYの掲げた手と重ね合わせようとしていた。その姿が、とてもエモい!

MCでもLILLYは、英語のみで語りかける。なぜならこの日は、欧州ツアーの再現。だから、欧州ツアーでカバー演奏したHelloweenの『I Want Out』も、しっかり披露してくれた。日本のライブでは、カバー曲など滅多に聴くことはないだけに、HELLOWEENの曲を歌い奏でるLittle Lilithの姿を見れたのは嬉しいサプライズにも思えていた。ファンたちは楽曲のことも熟知。「I Want Out」と声を張りあげ、LILLYと一緒に歌って…いや、声を張りあげていた。この日のライブ、事あるごとに観客たちが舞台の前へ押し寄せ、少しでも4人の肌から上がる熱気を感じようとしていた。ERIKA(Gt)のギターソロに向けてたくさんの腕が突き上がる様は、まさにヘヴィメタルのライブ会場のようだった。

次のブロックの最初に飛び出したのが、Little Lilith流のオルタナティブでトライヴァルなモンスターロックナンバーの『Thanatophobia』。少しウィスパー気味に、甘く囁くように歌うLILLYの声が印象的。そこへ轟音の洗礼を浴びせると同時に、場内中の人たちが大きく身体を揺さぶり、流れ出る音へひれ伏してゆく。剛柔巧みに組み合わせ、Little Lilithは観客たちを轟音の中で酩酊させる。振り幅豊かな音楽性で観客たちの意識をトリップ。その手腕へ触れるたび、Little Lilithの世界に溺れていく。

トリッキーな表情も巧みに組み込みながら、Little Lilithは歌謡メロを魅力にした『』を通して観客たちの気持ちも身体も大きく揺らし、心地よい刺激の中へ落としていった。重厚さを持ちながらも跳ね続ける演奏が心地よい。大勢の人たちがメンバーらに向けて大きく手を伸ばし、身体を揺らしていた。歌い終わったLILLYが、つい「ありがとー!!」と言ってしまったのもご愛嬌。

続く『Smoky Refrain』でもLittle Lilithは、ブルージーでメロウな衝撃を観客たちへ突きつける。ここのブロックには、歌謡メロを持った楽曲たちを用意。観客たちの身体と心に情熱的な音楽のアルコールを注ぎ込み、その意識を大きく揺さぶり続けていた。曲が進むにつれ、突き上がる拳の数も次々と増えてゆく。そして…。

熱情した歌始まりの、超絶エモい『ESCAPER』が飛びだした。強烈な音の衝撃を突きつけ、体感的な高揚を与えながらも、この曲でも、歌心でしっかりと酔わせていった。1曲の中、巧みに表情を変えながら演奏は進み続ける。彼女たちは、欧州でもたくさんの音楽ファンたちのハートを射抜いてきたに違いない。その片鱗を、この東京で感じられたのが嬉しかった。突き上がり続ける拳と絶叫が、この場に生まれた熱狂という景色に情熱的な色を塗り続けていた。

流れだした『Lullaby』のSE。ここから、新たなブロックへ。SEに合わせるように披露したのが、『Lullaby』。とても美しく、スケール大きな始まりだ。彼女たちの歌声と演奏が、この空間に新たな世界を構築してゆく。これまで作り上げてきた熱情した世界の土台の上へ、Little Lilithはさらに雄大な世界観を積み上げてゆく。カオスという土台の上に生まれた甘い衝動。今は甘く絡みつく音の唸りの中へ、緩やかに頭を振りながら、心地よく身を浸していたい。

続く『fuse』を通しても、彼女たちは場内へ少しずつカオスな空間を導きだす。甘くメロウな、エモさも覚えるLILLYの声。その歌へ歪みを上げた鋼のような音を塗り重ね、楽曲は突き進む。曲が進むにつれ、LILLYの感情のストッパーも再び壊れだし、グロウルした声を発していた。この曲でも、緩急巧みに表情を付けながら楽曲は騒ぎ続ける。

Ash』の登場にあわせ、場内中の人たちが、一斉に頭と身体を大きく揺さぶりだした。勇壮ながらも、しっかりと体感的な衝動を与えるミドルメロウな楽曲だ。ザクザクとした音の衝撃に身を預けながら、伸びのある声を響かせるLILLYの歌に心地よく溺れる。ときに、激熱&グロウルした様も描き加えながら、Little Lilithの作り出す豪傑で雄大な音世界が全身を飲み込んでいった。

変わらずMCは英語だ。でも、巧みに日本語も混ぜていたのも欧州でのライブスタイル!?

「NEVEE SAY NEVEE だって つかめそうな空の果て~」と、LILLYの歌声を合図に『STRIKE』が流れだした。エモさとメロウさを持ったLILLYの歌声が、ノイズのような轟く音の洗礼を受けて次第に狂いだせば、どんどん熱を帯びてゆく。両手でマイクを握り、天を見上げるように歌うLILLYの姿も印象的だ。曲が進むごとに、感情の螺子を次々と取り払うような演奏が轟き渡る。それにあわせLILLYと観客たちも理性のストッパーを外して暴れだす。

そこへ突きつけたのが、『LadyBug』。LILLYのスクリーム。その後に続く轟音の嵐へひれ伏すように、場内中の人たちが大きく身体を揺さぶりだす。サビでは、狂ったように歌うLILLYへ向けて、たくさんの拳が突き上がっていた。狂え。さぁさぁ、もっと狂え。頭の中にある汚れた現実の何もかもLittle Lilithの音で消し去り、ただただ熱狂と興奮の虜になって、絶叫と轟音の女神たちと一緒に狂い続けちまえ!それ以外、今、ここに何が必要だ!?

Little Lilithが最後にぶつけたのが、『Double Suicide』。LILLYのスクリームを合図に、フロアに生まれたサークルやモッシュの景色。誰もが轟音の洗礼を浴びながら、身体が騒ぐままに互いをぶつけあい、声を張り上げ、拳を高く突き上げ続けていた。いつしか大勢の人たちが前へ前へと押し寄せ、逆ダイの景色を作りあげていた。間奏では、フロア中の人たちが両隣の人たちと肩を組み、ヘドバンに興じる。終盤には、大勢の人たちが前へ密集。絶叫の女神と化したLILLYに、歓喜の雄叫びをぶつけていた。 

アンコールからは、ついに日本語を解禁。「途中ちょっと耐えられなくなっていた」と本音も語りつつ、そこには日本語で生き生きとしゃべるLILLYがいた。

アンコールの最初の曲として披露したのが、「わたしたちの未来」と語った新曲の『Hollow』。この曲は3月31日に配信リリースになる。『Hollow』は、Little Lilithの新たな一面を披露した、とても情熱的な楽曲だ。ERIKAのギターの演奏もとても印象的。LILLYはグロウルも巧みに組み込み、激しさとエモさを巧みに交錯させ、ラウド/ハードロック然とした楽曲をぶち撒けていた。緩急も含め、彩り豊かな激しさを提示した楽曲だ。1曲の中で次々と表情を変えながら、魂を熱く揺さぶるいろんなドラマを数分間の中へ詰め込んで、それを次々と叩きつけていった。

続いてぶつけたのも、配信リリースになって間もない『ZERO』。しっかり聞き込んでライブへ足を運んでいる人たちも多かったのか、演奏にあわせ2STEPを踏み、豪傑でエモいサビ歌に合わせて、無数の拳が突き上がる様がそこには広がっていた。YUKI(Dr)の繰り出す重いビートにあわせ、観客たちが身体を大きく揺さぶり続ける。いつしかSHIORI(Ba)は、お立ち台の上で煽っていた。観客たちの理性をぶっ壊し、雄叫びを上げる野獣に変えてゆく、まさにライブで生きる楽曲が誕生した。

今まで積み上げてきたものを土台に、私たちは新たに進み続けます。その前に、私たちの今を、届けたかった決意を聴いてください

最後の最後にLittle Lilithはふたたび『STRIKE』を突きつけ、この場へ、けっして覚めることのない熱狂と高揚の宴を作りあげていった。誰もが激しく頭を揺さぶり、メンバーらに向けて拳を突き上げていた。共に作りあげる熱狂という音楽のグラフィティ。それを、毎回のライブで共に描きたくて、みんなこの場へ集っていた。熱情したこの空間、今度は一緒に世界へ伝えていこうじゃないか。

Photo:nishinaga “saicho” isao
TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.The Ghost
  2. 2.Gun Bullet
  3. 3.Graffiti
  4. 4.I Want Out (Helloween Cover)
  5. 5.Thanatophobia
  6. 6.嘘
  7. 7.Smoky Refrain
  8. 8.ESCAPER
  9. 〜Lullaby SE〜
  10. 9.Lullaby
  11. 10.fuse
  12. 11.Ash
  13. 12.STRIKE
  14. 13.LadyBug
  15. 14.Double Suicide
  16. -ENCORE-
  17. EN1.Hollow(新曲)
  18. EN2.ZERO
  19. EN3.STRIKE

LILLY(Vocal)使用機材紹介

Little Lilith

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Little Lilith ONE MAN LIVE 「Dystopia」
日程:2024/08/17(sat)
会場:六本木unravel tokyo
OPEN/START 17:30/18:30
出演:Little Lilith
料金:ADV ¥4,500/DAY ¥5,000(+1D)

チケット等詳細はLittle Lilithオフィシャルサイトまで
https://littlelilith.com/live/cbc4d0a3-055e-4559-bd64-a08a8c59548d

New Digital Single 「Hollow」 2024.3.31 Available.

________「灰色の世界」で、ずっと。
2024年3月31日、待望の新曲「Hollow」DROP。

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