LUNA SEAが、5月27日(土)と28日(日)の2日間にわたって東京・武蔵野の森 総合スポーツプラザ メインアリーナで『THE BEST OF LUNA SEA 2023』と銘打ったワンマンライヴを開催した。本稿では、初日「A Rosy Show」の模様をレポートする。

今回の武蔵野の森2daysは両日ソールドアウトとなり、アリーナからスタンドまでがぎっしりと埋まった場内。WOWOWの生中継も入っていて、開演前にはSLAVE(LUNA SEAファンの呼称)が腕に装着した新オフィシャルグッズ“LUNA SEA LIGHT”(曲に合わせて多彩な光を放つ赤外線通信の遠隔操作機能付きブレスレットライト)が点灯する。さらに、バンドにとって2023年初のライヴ、念願の声出し解禁ライヴとあって、本番に向けてワクワクが高まっていくのが見て取れた。

機材トラブルの影響によって40分押しのスタートとなったものの、バンドの軌跡を感じさせるオープニングムービー、白のハットを被った真矢(Dr)のパワフルなカウントに続いて、特効の火花がド派手に噴き上がるとともに、「A Rosy Show」の幕開けにふさわしい『ROSIER』でライヴが始まれば、その爆発力を受けて一気に沸き立つSLAVEたち。

真っ赤な薔薇のグラフィックを背に、サングラス姿で妖艶なオーラを纏って歌うRYUICHI(Vo)、鋭利なギターサウンドを火炎放射の如く掻き鳴らすSUGIZO(Gt&Vn)、コーラスでも存在感を発揮するINORAN(Gt)と、見どころが目まぐるしく押し寄せる中、間奏のセリフパートでJ(Ba)の顔がサイドビジョンにアップで映し出され、「行くぞ、武蔵野ーー!」と焚きつけてくる流れがいきなり熱い。

INORANの軽快なカッティングリフから『TONIGHT』になだれ込み、盛り上がりはいっそう加速。LUNA SEA LIGHTも光量を増し、ようやく訪れた声出し解禁のライヴを満喫するようなSLAVEのシンガロングがこれでもかといった迫力で轟くと、最初のMCでサングラスを外したRYUICHIが「みんなの声を聞いて、もうちょっと涙ぐんでいます」とこぼす。

さらに、テレビ朝日系『かまいガチ』で放送されたGACHI SEAによるパフォーマンスもまだ記憶に新しい『TRUE BLUE』を本家ならではの凄みでエネルギッシュに届け、鮮やかなブルーのレーザーに曲のスリルと儚さがマッチしていた『END OF SORROW』、真矢が叩く歯切れのいいビートやミラーボールの輝きが相まって一段とポップに響いた『SHINE』と、5人は活き活きと90年代のヒット曲を連発! RYUICHIが何度も客席にマイクを向ける姿も印象深かった。それは、待ちわびたオーディエンスの声をもっと聞きたいというまっすぐな意思表示だったのだろう。

絶対にベストライヴになる。そんなことを考えながら、5人でたくさん話し合ってきました。昔から俺たちのライヴに来てくれているファン、もしかしたら今日初めて来てくれたファンもいると思います。全員に楽しんでもらえる準備をしてきたつもりです」と自信を覗かせるRYUICHI。

IN SILENCE』では、SUGIZOがエレキで奏でる流麗な付点8分ディレイ、INORANがアコギで弾く軽やかなストロークのコントラストが美しく、RYUICHIのスケールが大きい歌い回し、Jと真矢のどっしりとしたリズムも見事に溶け合う。身体を心地よく揺らしながら聴けた『gravity』を含め、ミディアム曲においてもこの5人ならではのグルーヴで絶対的な恍惚を生み出せるのがなんとも素晴らしい。

ディープに浸れる流れから「A Rosy Show」ということで、こんな曲も用意してきました」とRYUICHIが伝え、次はシングル『ROSIER』のカップリング曲『RAIN』をスペシャルなアコースティックバージョンで披露。初日の本公演はLUNA SEA“終幕”前のナンバーで固めた、シングル曲が中心の王道セットリストとなったが、時折そこに思いがけないメニューも織り込んでくれていたのが嬉しいポイントだったと言える。

RYUICHIのボーカル、SUGIZOのエレクトリックバイオリン、INORANのアコギによる3人編成で『RAIN』を奥ゆかしく聴かせたあとは、このタイミングでひさびさに復活したドラムソロ&ベースソロのコーナーへ。

着物を羽織って現れた真矢はステージに松明が灯る中、笛や鼓を擁するお囃子隊とのコラボスタイルで和の味わいが薫るドラムソロをプレイ。「もっと来いよー!」というお決まりのアジテートでも沸かせつつ、「みんなの声は俺たち5人よりも美しいメロディを奏でてるぜ!」とオーディエンスを称えた。

一方、Jは真矢とともに極太な低音を唸らせるロックなベースソロを展開。「お前たちの声、聞かせてくれ!」と大歓声を巻き起こし、「やっぱり、すげえな!ぜんぜん違うよね」と声出しありのライヴに改めて喜びを爆発させたのに加え、「さっきから真矢くんと目を合わせながらウルウルしちゃって……感動してます」というピュアな言葉も飛び出す。

濃密なソロタイムを経て、メンバー全員が定位置に戻る。ここで投下されたのは、なんと「It’s Time to GO」と叫ぶJの熱いコールから始まった、観客の誰もが予想していなかったであろう『INTO THE SUN』。約23年ぶり(!)、“REBOOT”後はもちろん初披露となったまさかの激レア曲のぶっ込みで場内はますます燃え上がり、アリーナもスタンドも歓喜の渦に包まれていく。こうしてSLAVEのツボを絶妙に突く選曲も『THE BEST OF LUNA SEA』という公演タイトルを裏付けるものだったし、インダストリアル感のあるヘヴィなサウンドがライヴ終盤に向けてすごくいいアクセントになっていたと思う。

武蔵野の森、そろそろおもいっきり盛り上がっていこうか!」とRYUICHIが呼びかけ、スパートをかける5人。雷雲の映像をバックにまさしく嵐を彷彿とさせるアンサンブルで魅せた『STORM』からは再びアッパーに転じ、『DESIRE』へと勢いよくブーストする佳境では、SUGIZOのスクリームギターが心置きなく炸裂して気持ちいい。薔薇のように華麗なLUNA SEAのスマートさを印象づけたかと思えば、そのままライヴ定番のキラーチューン『JESUS』でガツンと弾みをつけ、文字通り“解き放たれる瞬間”をものの見事に生み出してしまうのだから恐れ入る。

本編を締め括ったナンバーは、疾走感に満ちた1stシングル曲の『BELIEVE』。“遠い過去 遠い未来”と歌うCメロで響きわたった、バンドを後押しするようなSLAVEの大合唱がめちゃくちゃドラマティックで、観ていて思わず目頭が熱くなる。そして、今一度スクリーンに映し出された5人の凛とした佇まいも息を呑むほどカッコいい。「お前ら、最高!どうもありがとう!!」とRYUICHIが告げ、メンバーは充実の表情でステージを降りた。

アンコールでは、歌詞字幕の演出ありで重厚なバラード『I for You』が届けられる。長く苦しいコロナ禍を誰もが経験したことによって、“傷つきすぎたけど まだ間に合うよ”“キミの笑顔いつも見つめられたら”といった部分が新たな意味を帯びて聞こえたりと、今回のライヴでこの曲の深みに気づかされたオーディエンスも多かったのではないだろうか。

ヤバい、泣いちゃいそう!この何年かいろいろあったけどさ、やっぱりみんなの声を聞くと安心するというか。僕らは音楽を奏でる中で、本当にパワーをいただいているんだなと改めて感じました。どうもありがとう!」(INORAN)

今日はLUNA SEAとみんなの門出です。正直言って苦しんだ3年間だけど、これからもコロナはたぶんいます。新しい価値観でコロナと共存しながら、音楽を本気で楽しんでやっていく。このバイブスを日本中、世界中にいっしょに届けていきましょう!」(SUGIZO)

機材トラブルで押しちゃってごめんね。初めての武蔵野の森でこんなにいいライヴができて、また新たな聖地が生まれたんじゃないかな。いろんなことを自分で判断しなきゃいけない時期だけど、コロナ禍でもずっとそうしてきたように、俺たちは前に進むだけだから」(RYUICHI)

戻るべき場所に戻ってきたね。この3年間、俺たちはコロナさんを探してたんだけどさ。見つけたら蹴飛ばしてやろうと思って(笑)。SUGIZOが言うように、今日は門出です。RYUが言うように、前に進んだわけです。これからガンガンいきましょう!」(J)

俺たちのライヴには、お前らの声が絶対に欠かせないってわかったぜ!今日からは新生LUNA SEA。ちゃんとついてこいよ!!」(真矢)

メンバー各自が感極まった面持ちで胸の内を熱く語ると、その後も客席にヘドバンがあふれた『Déjàvu』、赤の銀テープ発射&特大シンガロングが場をハッピーに彩った『WISH』と、長年愛されてきた代表曲を畳みかけ、ラストは終幕年にリリースしたオリジナルアルバム『LUNACY』に収録の特別なナンバー『Crazy About You』。深い愛で全員を包み込むようなサウンドとともに“今 君のこと 感じてる”と歌う、5人の切なる想いをしっかりと乗せた入魂のロッカバラードをもって、声出し解禁の初日「A Rosy Show」は大盛況のうちに終演を迎えた。

撮影:田辺佳子、上溝恭香、清水義史
取材・文:田山雄士

《SET LIST》
  1. 1.ROSIER
  2. 2.TONIGHT
  3. 3.TRUE BLUE
  4. 4.END OF SORROW
  5. 5.SHINE
  6. 6.IN SILENCE
  7. 7.gravity
  8. 8.RAIN ~Acoustic Version~
  9. Drum Solo
  10. Bass Solo
  11. 9.INTO THE SUN
  12. 10.STORM
  13. 11.DESIRE
  14. 12.JESUS
  15. 13.BELIEVE
  16. <ENCORE>
  17. EN1.I for You
  18. EN2.Déjàvu
  19. EN3.WISH
  20. EN4.Crazy About You

Klein MONO Case
Sadowsky sakurako digimart
LOVEBITES Orange CR20MYK Lunastone MYK
Martin Ukulele G7th Capo Martin Strings
Dean AYUMI Hofner Fishman Fluence Polyphia