目次
Argonavis・Fantôme Iris・εpsilonΦ、3つの異なる異分子が狂宴!!!
様々なボーイズバンドたちの青春模様を描いたメディアミックスプロジェクト「from ARGONAVIS」。1月8日にTOKYO DOME CITY HALLで行われた公演には、Argonavis・Fantôme Iris・εpsilonΦが登場した。
イベントのトップを飾ったのが、Argonavis。「2023年も、この5人で音楽を鳴らしていきます」の声が嬉しい。ライブは、七星 蓮(Vocal/CAST:伊藤昌弘)の歌声を合図に『星がはじまる』を演奏し、スタート。とても爽やかな歌声と、胸を晴れた気持ちへ導く演奏だ。背景には、Argonavisのアニメ映像も投影。彼らの歌声と演奏は、それまで胸に抱えていたいろんな現実を綺麗に消し去り、輝きだけが降り注ぐ世界へと心を連れ出した。気持ちが弾む。だから、手にしたペンラントや腕を振り上げずにいられない。5人ときらめく思いを一緒に分かち合っていたい。
演奏は、熱と速度を上げるように『Reversal』へ。七星 蓮と桔梗凛生(Keyboards/CAST:森嶋秀太)との歌の掛け合いが、胸を熱く騒がせる。楽曲が熱を上げるごとに、気持ちも嬉しく騒ぎだす。2人の気持ちが重なりあうたびに演奏が輝きだす。いや、2人の掛け合う歌声に合わせ、メンバーと観客たちが一つになって心の熱を上げていた。
「さあ 行こうぜ! 限界なんて言葉 振り解いて今 その先へ」と、Argonavisは『STARTING OVER』を歌いだした。七星 蓮の歌声を煽るように、五稜結人(Guitar/CAST:日向大輔)の叫び声が響き渡る。メンバー同士が気持ちを一つに、楽曲の持つ輝きへ、さらに熱情したエナジーを注ぎ込む。2人のやりとりを、パワフルな演奏で支える3人。『STARTING OVER』でもArgonavisは、限界の先にある輝きを手にしようと熱く思いを響かせていた。希望を宿した歌声や演奏が心に熱い刺激を与える。その輝きの正体を知りたくて、一緒にペンライトや拳を振り上げてしまう。でも、それこそが正解だ。何故なら、心がワクワクしっぱなしだもの。
心地好く弾む『BLUE ALBUM』の演奏が、ワクワクという気持ちを心の中へ連れてきた。優しい笑顔を浮かべ、弾む歌声や演奏を軽快に届ける5人。「大切な宝物 僕は手にしていた」と彼らは歌っていた。ここに足を運んだ人たちにとって、5人の笑顔こそがずっと手にしていたい最高の宝物。ドキドキが止まらない。その弾む気持ち、『BLUE ALBUM』に乗せてずっとずっと届け続けていてほしい。もっともっと、心をピョンピョン飛び跳ねさせてくれ。
七星 蓮の歌う歌詞のひと言ひと言が、心に勇気や元気をくれる。ハートフルなその思いが心のサプリメントとなり、解き放つ一つひとつの言葉を飲み込むたびに、身体の内側から自分をキラキラと輝かせてゆく。『心を歌いたい』に触れている間中、ずっと温かい気持ちを感じていた。いや、Argonavisの歌や演奏に優しくギュッと抱き締められているようだった。その優しい言葉の数々をもっともっと心の中へと流し込み、七星 蓮の歌にずっとハグされていたい気分でいた。
「僕らはずっと夢見ています」。Argonavisの未来について七星 蓮の語った言葉を受け、5人は最後に「僕らはきっと旅の途中で心を叩くような夢に気づくんだよ 叶うか叶わないか 後回しで良い 心が踏み出した音がした」と『命のクリック』を演奏。Argonavisの歌は、いつだって少しの勇気や夢、前向きな元気が欲しいとき、自分を輝かせるエナジーを心に注いでくれる。本当なら、彼らと一緒に歌いたかった。いや、心の中で共に歌っていた人たちも多かったに違いない。Argonavisの歌は、紡ぐ言葉は、自分を輝かせてゆく最高の栄養素だ。その輝きのサプリが欲しくて、5人に向かって思い切り手を差し伸べてしまうのかも知れない。Argonavisのライブに触れている間中、僕らは間違いなく現実を消し去り、素敵な夢をつかむための物語を5人と一緒に分かち合っていた。
二番手に登場したのが、Fantôme Iris。美しくも幻想的な音色に乗せ、Fantôme Irisは漆黒の羽根を羽ばたかせながら、この場から飛び立つように『miroir』を歌いだした。とても艶やかな、妖しさと美しさを携えた歌声だ。FELIX(Vocal/CAST:ランズベリー・アーサー)の甘い、でも強い存在感を放つ歌声を、麗美ながらもソリッドな演奏が心地好く推してゆく。7弦ギターを用いて奏でる洲崎 遵のギターソロも印象的だ。酔いしれる。その美しくも華やかな世界へ、すっかり心が陶酔していた。
表情は、一変。「さぁ、暴れる準備はいいか」の煽り声を合図に、Fantôme Irisは荒々しい音を突きつけ、『Into the Flame』を演奏。沸き立つ感情を荒い声に変えてぶつけるFELIX。メンバーみんな、かなり攻撃的な姿勢を持って観客たちを刺激してゆく。熱情した音をフロア中に降り注ぎながら、この空間を熱狂という熱い宴の景色に染め上げる。FELIXとLIGHTが互いに寄り添いながら歌い演奏するシーンも嬉しいインパクトだ。美しさの中へ潜む鋭利な刺のように、Fantôme Irisの歌や演奏には、美しさの中に気持ちをハラハラさせる危険な香りが漂っている。そこに心が惹かれてゆく。
シンフォニックな音色が鳴り響く。Fantôme Irisは、さらに刺々しい激しさと耽美かつ刹那メロウな香りを絡ませながら『銀の百合』を演奏。まさに、咲き乱れるような狂宴乱舞な様が舞台の上には生まれていた。彼らに甘い誘いを受ける度に、心が悲鳴を上げてゆく。痛く、甘いその刺激をたっぷり飲み込み、思い切り陶酔してしまいたい。心乱れるままに腕を振りながら、この宴に溺れ続けていたい。
MCでは、FELIXが赤ワインを傾ける場面も。この場に集いし人たちとの運命の出会いを祝福するように、Fantôme Irisは『影と光』を演奏。秘めた熱情を抱いて始まった楽曲は、耽美で麗美な様を見せながら進んでゆく。とても美しい楽曲だ。でも、その中に孕んだ思いを感じるたびに、心が疼く。
さぁ、ここからふたたび熱狂の宴を描きだそうか。Fantôme Irisは『XX in Wonderland』を演奏。ときにグロウルした声も交え、ハード&シンフォニックで、激しくもメロディアスな表情を彼らは見せていた。伝えたい思いに合わせ、巧みに声の色を変えてゆくFELIX。激しさの中にもドラマを抱いた楽曲だ。1曲の中で次々と表情を塗り変えながらも、彼らは華美なドラマを描き続けてゆく。だから、ずっと心が火照り、その歌声と演奏に酔いしれていた。
まるでサーカスの幕開けのようだ。演奏が始まった途端、楽曲は最初から感情をマックスまで高めながら、激しく高揚した歌声と演奏を叩きつけた。Fantôme Irisは『ピエロ』を通し、刹那の美学ともいうべき世界観をこの場に描きだしていた。間奏でのツインリードを含め、まさにヴィジュアル系バンドの様式美なスタイルを、彼らはこの曲へ濃縮する形で伝えていた。
Fantôme Irisが最後に奏でたのが、荘厳かつゴシックでシンフォニック、耽美メロウな、心を美しく陶酔させる『ラプソディア』だ。FELIXの歌が語り部となり、観客たちを甘美な物語の中へと誘(いざな)う。その誘いの手を激しくもドラマチックに彩る演奏陣。次第に激しさと華やかさを増す演奏に刺激を受け、いつしかフロア中の人たちが、舞台の上のメンバーに向かって腕やペンライトの輝きを捧げていた。Fantôme Irisが演奏している間中、ずっと心が色めいていた。いや、彼らにハートをギュッと鷲掴みにされ、心をずっと奪われていた。
最後に登場したのが、εpsilonΦ。ライブは、宇治川紫夕(Vocal/CAST:榊原優希)の語るように歌う『I’m picking glory』からスタート。高ぶる彼の気持ちを押し上げるように、熱を持った演奏が響きだす。次々と繰り出す言葉が熱い。宇治川紫夕の言葉が叫ぶような表情へ変わるごとに、演奏も一緒に躍動。大きな唸りを上げる楽曲に合わせ、フロア中の人たちも大きく手を波打たせていた。
続いて、歌のバトンを受け取ったのが二条 遥(Vocal/CAST:梶原岳人)。彼も、言葉をビートに乗せ、五線譜の上を駆け上がるように『Heroic』を歌っていた。台の上に片足を乗せ、身体を前のめりに観客たちを煽る姿も格好いい。ときに身体を深く折り曲げて熱唱。2人の異なる歌声の表情を味わえるのもεpsilonΦの魅力。演奏は、どんどん熱を上げてゆく。
毒舌なMCも、εpsilonΦに欠かせない魅力だ。ド派手な音色がフロア中に広がる。宇治川 紫夕と二条 遥のツイン・ヴォーカルで届けたのが『re:play』。2人の歌い手は、華やかに駆ける演奏の上で、次々とマイクをリレーしながら熱唱。ときには熱情した歌声でハモる場面も。まったく異なる色を持つ2人の歌い手だからこそ、そのコントラストが大きな魅力になっているのは間違いない。2人の煽る歌声とパワフルな演奏に気持ちが押され、身体中を熱情した血が駆けめぐる。
その勢いをさらに増幅するように、εpsilonΦは『Cynicaltic Fakestar』を演奏。この曲では、2人のヴォーカリストが、歌声をユニゾンに、沸き立つ気持ちをぶつけあっていた。異分子同士が寄り添うのではなく、互いの色を活かしなから重なりあう。綺麗というよりも、ゴツゴツとした2つの歌声のバトルが感情を乱れ狂わせる。2人の沸き立つ気持ちを演奏陣が、もっともっとぶっ壊れちまいなよと盛り上げる。とても、熱いパフォーマンスだ!!
二条 遥の絶叫を合図に、εpsilonΦは熱情した2人の歌声と演奏を通して『オルトロス』をぶつけてきた。止まることなく、曲を重ねるごとに熱と狂気を上げるεpsilonΦのライブ姿に刺激を受け、フロア中の人たちも、激しく、小刻みに拳やペンライトを振っていた。可愛らしく見えて、もの凄いエナジーを秘めたバンドだ。彼らは、満員の観客たちをガンガンに煽り続ける。その刺激に、気持ちが熱く奮い立つ。
「これからも僕らのオモチャたちをたくさん弄ばせてもらうから、楽しみにといてや」の声に続き、εpsilonΦが突きつけたのが『光の悪魔』。この曲では宇治川紫夕の歌をメインに、彼の高揚した思いを二条 遥の歌声が後押す形で進行。心の中に狂気を秘めたその姿が、とても刺激的だ。胸の内に抱いた闇の感情をぶつけるように歌いあげる宇治川紫夕の存在感は、本当に強烈だ。
ライブの本編最後を飾ったのが、『レゾンデートル』。 この曲でも、心の中に抱えた本心を伝えるように宇治川紫夕が熱唱。εpsilonΦは、胸の内に抱くいろんな感情を、歌や演奏を通してダイレクトにぶつけてゆく。赤裸々で、生々しくて。彼らは痛い感情を隠すことなく突きつけるからこそ、気持ちが共鳴し、その声に手を伸ばしてゆく。その言葉を手のひらの中でギュッとつかみ、心の喉に流し込み、一緒に思いを分かち合いたい。そんな痛みを伴う希望が欲しくて、彼らを求めてしまうんだ。
アンコールには、Argonavisが登場。演奏したのが、新曲『スタートライン』。しっとりとした演奏は、次第に熱を抱いて上がりだす。この曲では、七星 蓮と各メンバーが歌を掛け合い、ときに声をハモらせ、希望に満ちた思いを、美しくも温かな演奏を通して届けてくれた。「奇跡は今 今 音を集め 響き渡っていく」という歌詞のように、この曲を聴くたびに、ここから新しい物語が始まる嬉しい思いに心が満ちてゆく。「from ARGONAVIS」としての物語も、そう。この歌をテーマソングに、これからもいろんな物語を紡いでゆく。そんな気持ちに染めてくれたのも嬉しいじゃない。
舞台の上には、Argonavis・Fantôme Iris・εpsilonΦのメンバーたちが集結。最後に3バンドで届けたのが『ゴールライン』。最後の最後に、パッションあふれた楽曲をこの豪華なメンツで届けるんだもの。胸アツにならないわけがない。きっと会場にいた誰もが、心の中で彼らと一緒に歌い叫んでいたに違いない。3バンドのヴッーカリストが、次々とマイクをリレーしながら歌う姿からも目が離せない。いや、耳が離れない。豪華な3バンドのセッションに触れ、希望を抱く歌に心を揺さぶられ、胸が嬉しいくらいに熱くなり、笑顔なのに目頭が涙で潤んでいた。
この狂宴、次は、どんな形で見せてくれるのか、とても楽しみだ。
PHOTO:西槇太一
TEXT:長澤智典
©ARGONAVIS project.
《SET LIST》
- 1.星がはじまる/Argonavis
- 2.Reversal/Argonavis
- 3.STARTING OVER/Argonavis
- 4.BLUE ALBUM/Argonavis
- 5.心を歌いたい/Argonavis
- 6.命のクリック/Argonavis
- 7.miroir/Fantôme Iris
- 8.Into the Flame/Fantôme Iris
- 9.銀の百合/Fantôme Iris
- 10.影と光/Fantôme Iris
- 11.XX in Wonderland/Fantôme Iris
- 12.ピエロ/Fantôme Iris
- 13.ラプソディア/Fantôme Iris
- 14.I’m picking glory/εpsilonΦ
- 15.Heroic/εpsilonΦ
- 16.re:play/εpsilonΦ
- 17.Cynicaltic Fakestar/εpsilonΦ
- 18.オルトロス/εpsilonΦ
- 19.光の悪魔/εpsilonΦ
- 20.レゾンデートル/宇治川紫夕
- -ENCORE-
- EN1.スタートライン/Argonavis
- EN2.ゴールライン/ALL CAST