古畑奈和の11年間の歩みや思いが、色々な曲を通した表情から伝わった卒業公演の模様をレポート!!
2011年10月に第5期生としてSKE48に加入し、チームEへ。後にチームKIIへ所属。古畑奈和がSKE48のメンバーになってから約11年の歳月が経とうとしている。彼女は、2022年5月17日に行った劇場公演でSKE48からの卒業を発表した。
あれから4ヶ月強、「古畑奈和卒業コンサート@日本ガイシホール~ハニーフェス~」が、9月24日、日本ガイシホールで行われた。世界中のジャズ・フュージョンプレイヤーに人気のサックスブランド、キャノンボールサックスを愛用しサックスにまつわる様々な活動もしてきた古畑奈和。ここでは、彼女のライブ姿を中心にレポートしたい。
この日のライブでは、自ら開演前の影アナも担当。しかもちょっとコミカルな、愛らしいキャラクターを生かしたナレーションだったのも嬉しい。
この日の公演名に掲げられた「ハニーフェス」とは古畑が自身のファンを「ハニーちゃん」と呼んでいることに由来するもの。本編前には、みつばちの姿になり、かつて所属していたチームEの『みつばちガール』を歌唱。古畑奈和は、大きな蜂蜜の壺の中からひょっこり顔を出し、「ハニーフェス始まるよー」と挨拶。「みんなおいでー」の声に合わせ、みつばち姿になったたくさんのメンバーたちが登場。女王蜂になった古畑奈和の元へ集まるように、みんなで愛らしく『みつばちガール』を歌う姿も印象的だった。
『overture』を受け、古畑奈和の卒業コンサートがいよいよスタート。冒頭を飾ったのが、古畑奈和が初めてセンターを担った曲である『FRUSTRATION』。先の『みつばちガール』も含め、古畑奈和の歩みを、いろんな形で味わえていることを、早くも実感。「騒げ!騒げ!」の歌声に煽られるよう、ステージ上のメンバーが騒ぎだす。古畑奈和の「みんな愛してる!?」の言葉のあと、メンバー全員で「アイシテルゼ!」と力強く歌う様にグッときた。「踊れ!!」「騒げ!! 」と煽るメンバーたちに触発され、フロア中の人たちも腕やペンライトを大きく振りながら熱くなっていた姿が最高だ。「みんな一緒にいこう」と煽る古畑奈和の声も、嬉しい心のエナジーになる。
頭上高く上がったムービングステージの上で歌った『SKEフェスティバル』。続く『チャイムはLOVE SONG』では、一人トロッコに乗り、客席中を回りながら、古畑奈和は訪れた人たちの姿を、手を振りながらもしっかり瞼に焼き付けていた。終盤には、一人、中央ステージで歌い踊る場面も登場。11期生も参加した『アイドルなんて呼ばないで』では、衣装を着替えた古畑奈和が、舞台センターから飛び出す形で登場。ソロパートも加えながら、彼女はチャーミングな姿を見せていた。この日のライブ、本当に古畑奈和の動きから、ずっと目が離せない。いや、彼女の動きをずっと追いかけたくなる。
次のブロックは、古畑奈和の思い出がたくさん詰まった曲たちを披露。古畑奈和の吹くアルトサックスのソロプレイから幕を開け、披露したのが、派生ユニットのフルマリオンとして歌った『愛してるとか、愛してたとか』。この曲で古畑は、跳ねるように軽快な音色を奏でるサックスプレイを、ピアノと絡み合う形でジャジーに演奏。ピアノの音色を背景に妖しい魅力を振りまくようにソロで歌えば、間奏では、ムーディーなサックスプレイも披露した。アダルトでジャジーな歌唱・演奏姿に、視線も、心も釘付けになっていた。古畑奈和と、荒井優希、江籠裕奈、北野瑠華、鎌田菜月の5人で披露した、続く『愛のために何を捨てる?』でも、彼女たちは妖艶な魅力を振りまきながら歌っていた。
古畑奈和、谷真理佳、8期生、ドラフト3期生によるAKB48ナンバー『バラの果実』では、古畑奈和は可憐な歌声とパフォーマンスで、観客たちを魅了。古畑奈和と谷真理佳の絡み合うセリフパートも、心を艶めかせてくれた。古畑奈和、7期生、ドラフト2期生の布陣で歌い踊ったのが、AKB48の『Ambulance』。曲調は様々だが、どれも妖しい色気を持つ歌であり、古畑奈和自身も、艶めいた姿で観客たちに甘く誘いをかけていた。
古畑奈和、斉藤真木子、ドラフト1期生で歌った『10クローネとパン』。古畑奈和は落ち着いた曲調の中、優しい歌声を響かせつつ、ダイナミックなパフォーマンスも見せていた。古畑奈和、9期生による『スクラップ&ビルド』では、舞台の上を華やかに染め上げ、会場中へキラキラとした輝きを降り注いでゆく。
このブロックの最後に古畑奈和、斉藤真木子、都築里佳、江籠裕奈、6期生で届けたのが、チームKの『細雪リグレット』。途中からAKB48ナンバーを選曲していたのも、兼任時代を経験してきた古畑奈和らしさ。古畑奈和の「細雪」の歌声から楽曲が始まったとたん、ドキッとした。それだけ凛々しくもインパクトの強い歌声だった。
次のブロックは、「ねぇねぇ、この服、着て。絶対に似合うよ」と、自ら身につけてきた歴代の衣装を手にした古畑奈和が、メンバーらへ呼びかける形でスタート。歌ったのが、『アンテナ』 。この曲で古畑奈和は、歌い踊るメンバーたちに衣装をちらつかせ、メンバーらへ次々と衣装をあてがう姿を見せていた。古畑奈和が笛を吹くたびに時間が止まる演出も組み込むなど、エンターテイメント要素満載のライブ姿を見せてくれた。
続く『シャララなカレンダー』では、古畑奈和の指定した衣装に着替えたメンバーたちも交えてパフォーマンス。着替えを終えたメンバーたちを見た古畑奈和が「可愛いー!!」と声を上げれば、舞台を彩ったメンバーみんなで愛らしい姿を振りまいていた。間奏では、指定された可愛い衣装に着替えたメンバーたちが、卒業する古畑奈和に思いを届ける。一人一人の言葉を受け取るたび、無邪気に喜ぶ古畑奈和の姿も愛らしかった。
逆回転した時計の針が0時を指すのに合わせ、松本慈子、岡本彩夏、10期生、11期生が、可愛らしさを振りまきながら『毒リンゴを食べさせて』を歌い出す。この曲で古畑奈和は、メンバーたちに美味しい毒林檎を配る役柄で登場。一人一人に林檎を手渡す際のやりとりから、メンバーへの強い信頼や愛が見えていた。古畑奈和が口にした「みんな召し上がれ」の言葉を受け林檎を食べたとたん、メンバーたちが床へ倒れ込む。その姿を見てニヒルな笑みを浮かべた古畑奈和の表情も強いインパクトを与えてくれた。そのままライブは、古畑奈和、松本慈子、岡本彩夏、10期生、11期生による『毒蜘蛛』へ。歌謡曲要素の濃い楽曲に乗せ、ここでも古畑奈和は、魔性の魅力を振りまきながら妖しい姿でせまっていた。
ここで、嬉しいサプライズが。卒業した高柳明音が舞台へ登場。高柳明音の従順な僕(しもべ)と化した古畑奈和。2人は、二人きりの妖しい園で、秘めた恋を楽しむように『従順なSlave』を歌唱。つねに身体を寄り添いあい、妖しく絡み合うように歌い踊る2人の姿からずっと目を離せなかった。続く『I’m sure.』でも、古畑奈和と高柳明音が妖艶に絡み続ける。百合の園へと落ちた2人の熱情したやりとりは、メラメラとするほど妖美で妖艶だった。
次のブロックでは、チームごとに共演。古畑奈和とチームEのメンバーで歌ったのが、古畑奈和が初めてAKB48のシングル表題曲選抜に選ばれた楽曲である『#好きなんだ』。チームEのメンバーたちが「奈和さんのことが好きなんだー!!」と声を上げ、ライブがスタート。爽やかな恋心を歌った楽曲を、メンバーみんなが笑みを浮かべて歌う様に、高まる思いをずっと覚えていた。古畑奈和とチームSで歌ったのは『センチメンタルトレイン』。卒業までの1日1日を改めて大切に噛みしめるように、古畑奈和とチームSのメンバーたちが思いを届けてくれた。チーム・パフォーマンスのトリを担ったのが、古畑奈和とチームKIIによるチームKII楽曲の『蹴飛ばした後で口づけを』。この曲では情熱的かつ妖艶な姿も彼女たちは見せてくれた。
このブロックの最後を飾ったのが、古畑奈和がSKE48の表題曲として初めて選抜メンバーに選ばれたときに歌った『美しい稲妻』。このブロックでは、古畑奈和が初選抜入りした曲を軸に披露。一つ一つの楽曲に、古畑奈和の歩みがしっかりと刻まれている。それを感じさせるブロックだった。
新衣装姿で披露した最後のブロックは、SKE48メンバー全員でパフォーマンス。選曲されたのは、古畑奈和がファンやメンバーたちと春夏秋冬いつだって楽しく過ごしてきた感謝の気持ちを伝えた、四季を表した曲たち。春夏秋冬を示す『片想いFinally』『花火は終わらない』『言い訳Maybe』『12月のカンガルー』の4曲だ。
本編最後に歌ったのは、「君だけが 僕の太陽」と歌った『僕の太陽』。古畑奈和がメンバー一人一人と触れ合いながら歌う姿が、胸をウルウルさせる。古畑奈和にとっての太陽が、メンバーや応援してくれるファンたちなら、メンバーやファンたちにとっての太陽が古畑奈和。その思いを改めて感じながら、本編の幕を閉じていった。
アンコール前には、古畑奈和の11年間の歩みを振り返る映像が映し出されていた。アンコールは、卒業を控えて発表したソロ曲の『ひかりさす』を、卒業ドレス姿で歌唱。この歌に、いろんな思いを込め、彼女は凛々しい表情で届けてくれた。ここへ至るまでに古畑奈和の中に生まれ、描かれてきた、前へ進み続ける心の指針。そして、これからの自分や、共に歩んできた仲間たちへの思い。それらすべてを、彼女は『ひかりさす』に込めて届けてくれた。
古畑奈和に、涙の別れは似合わない。最後まで、笑顔でさよならしよう。いや、最後の最後まで一緒にHAPPYを分かち合おうと、SKE48のメンバーみんなと『アイシテラブル!』を、太陽以上に熱い気持ちで彼女は歌っていた。ムービングステージの上で、一人歌う古畑奈和。少しでも応援してくれたファンたちの側で、みんなの気持ちを感じあおうとしていたのが嬉しい。
最後の最後に届けたのが、『To be continued.』。古畑奈和自身は、9月いっぱいでSKE48を卒業する。もちろんSKE48の歩みはこれからも続いていく。古畑奈和の人生もまた、ここから続いてゆく。メンバー一人一人とハイタッチをしながら、笑顔でお別れをしてゆくところも古畑奈和らしい。これから進む道は異なれど、SKE48で培った思いや心の芯は…SKE48魂は、これからも古畑奈和の中でずっと燃え続けてゆく。そんな、新たな未来への旅立ちを示すように『To be continued.』が胸に響いていた。
取材・文:長澤智典
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《SET LIST》
- 1.みつばちガール/都築、松本 / 青木詩、荒井、江籠、北野、日高、古畑 / 井田、鎌田、熊崎、斉藤、谷、福士
- overture
- 2.FRUSTRATION/SKE48 ALL (11期生除く)
- 3.SKEフェスティバル/SKE48 ALL (11期生除く)
- 4.チャイムはLOVE SONG/SKE48 ALL (11期生除く)
- 5.アイドルなんて呼ばないで/SKE48 ALL
- 6.愛してるとか、愛してたとか/古畑
- 7.愛のために何を捨てる?/荒井、江籠、北野、古畑、鎌田
- 8.バラの果実/古畑 / 谷 / 8期生(石黒、井上、北川、倉島、坂本、佐藤、仲村、野村)/ ドラフト3期生(中野、大谷)
- 9.Ambulance/古畑 / 7期生(相川、浅井、太田、末永、髙畑)/ ドラフト2期生(上村、菅原、水野)
- 10.10クローネとパン/松本 / 荒井、古畑 / 斉藤、福士
- 11.スクラップ&ビルド/古畑 / 9期生(青海、赤堀、荒野、入内嶋、岡本、川嶋、鈴木愛、鈴木恋、竹内、田辺、中坂、平野、藤本)
- 12.細雪リグレット/2期生(斉藤)/ 4期生(都築)/ 5期生(江籠、古畑)/ 6期生(青木、井田、鎌田、北野、熊崎、日高)
- 13.アンテナ/青海、赤堀、荒野、石黒、大谷、北川、坂本、竹内、都築、仲村、野村 / 青木詩、荒井、江籠、北野、鈴木愛、中野、日高、古畑、水野 / 相川、井田、鎌田、熊崎、斉藤、菅原、鈴木恋、髙畑、谷、福士
- 14.シャララなカレンダー/井上、大谷、上村、中坂、平野 / 入内嶋、太田、川嶋、中野、藤本、古畑 / 相川、浅井、倉島、佐藤、末永、田辺
- 15.毒リンゴを食べさせて/松本 / 岡本、古畑 / 10期生(青木莉、石塚、伊藤、鬼頭、澤田、杉山、西井、林)/ 11期生(大村、篠原、杉本、原、森本、山村)
- 16.毒蜘蛛/松本 / 岡本、古畑 / 10期生(青木莉、石塚、伊藤、鬼頭、澤田、杉山、西井、林)/ 11期生(大村、篠原、杉本、原、森本、山村)
- 17.従順なSlave/古畑・高柳
- 18.I’m sure./古畑・高柳
- 19.#好きなんだ/古畑・SKE48 Team E ALL
- 20.センチメンタルトレイン/古畑・SKE48 Team S ALL
- 21.蹴飛ばした後で口づけを/SKE48 Team KII ALL
- 22.美しい稲妻/都築、松本 / 青木詩、荒井、江籠、太田、北野、日高、古畑 / 井田、鎌田、熊崎、斉藤、佐藤、谷、福士
- 23.片想いFinally/SKE48 ALL(11期生除く)
- 24.花火は終わらない/SKE48 ALL(11期生除く)
- 25.言い訳Maybe/SKE48 ALL(11期生除く)
- 26.12月のカンガルー/SKE48 ALL(11期生除く)
- 27.僕の太陽/SKE48 ALL
- 【アンコール】
- EN1.ひかりさす/古畑
- EN2.アイシテラブル!/SKE48 ALL
- EN3.To be continued./SKE48 ALL
SKE48
古畑奈和
出演情報
・100点un・チョイス!10周年記念公演
第1弾第20回公演「フール」出演決定
会場:赤坂RED THEATER
日程:2024年3月13日(水)~3月17日(日)
舞台『フール』公式サイト
https://unchoice.wixsite.com/fool
・舞台「歌舞伎町シャーロック」ルーシー・モーンスタン役で出演決定
会場:IMM THEATER
日程:2024年5月17日(金)~5月26日(日)
舞台『歌舞伎町シャーロック』公式サイト
https://kabukicho-sherlock.delight-company.com/