YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」におけるパフォーマンスが話題を呼んだり、先日はフジテレビ系の音楽番組「MUSIC FAIR」に出演してNiziU『Make you happy』のカバーを披露したりと、メディアで見かける機会も多くなってきたシンガーソングライターの竹内アンナ。

そんな彼女が大学卒業後の4月から開催してきた13ヵ所26公演(すべての会場で昼夜2回まわしを実施)に及ぶ全国ツアー。5月までは竹内1人がステージに立つ形で「SOLO TOUR」を、6月と7月はサポートメンバーを従えて「BAND TOUR」を東名阪で行なった。本稿では、バンドでの東京編となる6月27日(日)LIQUIDROOM ebisuの夜公演の模様をレポートする。

ライブは爽やかで温かい空気を纏った『RIDE ON WEEKEND』でスタート。竹内アンナ(Vo&Gt)をはじめ、バックを支える谷川正憲(Gt&Cho/UNCHAIN)、名村武(Ba)、オータコージ(Dr)、別所和洋(Key/GENTLE FOREST JAZZ BAND)がステージに登場すると、オーディエンスはフロアに並べられた座席から早くも立ち上がり、やわらかなバンドアンサンブルの中、まずは竹内の軽快なアコギソロがいい感じで決まった。

間髪入れず『SUNKISSed GIRL』へ繋ぐと、谷川がボーカルを取るシーンがあったり、『B.M.B』では別所が煌びやかなキーボードソロを弾いたりと、バンド編成ならではのスパイスも適度にちりばめられていく。もちろん、その中心で最高の輝きを見せるのは「東京のみなさん、やっと待ち合わせができましたー! 今日はとびっきりいっしょにハジけていきましょう!!」と第一声をエネルギッシュに発した竹内だ。日常を明るく色付けるようなポップな歌が、英語のリズムも活かしつつテンポよく放たれ、辺りはもうすっかり賑々しい手拍子に包まれている。『20 -TWENTY-』になれば、赤と青の光に染まるステージで横ノリの大人っぽい雰囲気を生み出すなど、やはりライブ運びが抜群にうまい。

限られた時間でたくさんの曲を聴いてもらいたい、せっかく来てくれたお客さんにちょっとでも温かい気持ちで帰ってもらいたい。そんな想いで今回のツアーのために作ってきたという、谷川がアレンジを手がけた『at TENDER medley』も披露。途中にオータのワイルドなドラムソロを挟んだりしながら、『Midnight Step』からTLCのカバー『No Scrubs』までを流れるように届けた。

そして、竹内のアコギ弾き語りでゆるく始まり、じわじわとディープに潜っていったアーバンメロウな『TOKYO NITE』。バンマスを務める名村の低音が効いたムーディーなサウンドの中、ハンドマイクで情感たっぷりに歌われた『If you and I were,』。このあたりは彼女のボーカルがとりわけ素晴らしく、エレピのソロに合わせて熱っぽくスキャットしたりと、原曲よりも抑揚のあるソウルフルな、甘美さがグンと増した歌声で魅了してくれたことを特筆しておきたい。デビューからわずか3年弱で、その表現は今も大きく変化を遂げ、楽曲がいっそう成熟してきているのがわかる。

中盤のMCでは、この春に京都を発ち、晴れて東京都民になったと報告した竹内。ようやく生活に慣れてきたところだそうで、電車を乗り間違えすぎて駅のホームから出られなくなった、お湯を入れちゃいけない容器にお湯を入れて縮ませてしまったなど、初めての一人暮らしの失敗談を微笑ましく話した。そんなエピソードに続けて聴かせたのは、新曲の『Golden Days』。彼女曰く「うまくいくことばかりじゃない日々でも、振り返ってみれば実はすごくキラキラしていた」という想いを込めた楽曲で、前向きなメッセージはもちろん、ギターのカッティングやバウンシーなビートも本当に気持ちがいい。

その後はママズ・ガンのアンディ・プラッツとの共作曲『Striking gold』、ハウス寄りのアレンジで加速する『+imagination』と続け、ライブは一気にクライマックスへ。アッパーかつグルーヴィーなバンドサウンドに乗せて《どんなわたしもわたしなの》と歌う清々しい肯定ソング『I My Me Myself』は、コール&レスポンスのパートで声の代わりに拳を上げて応えるオーディエンスとの息がぴったり。なんのディレクションもなくこの光景が作れるスマートさに、アーティストとファンの良き信頼関係が窺える。竹内も「あなたが好きなように自由に踊って楽しんでいきましょう!」と呼びかけ、ぴょんぴょんと飛び跳ねながらスウィンギーなギターに高速ラップに躍動し、『Free! Free! Free!』までを痛快に駆け抜けた。

最高の時間です、どうもありがとうー!」と、約1年半ぶりとなったバンドツアーの手ごたえに充実の表情を浮かべる竹内。その間には自分の中で心境の変化がたくさんあったそうで、「(1stアルバムの)『MATOUSIC』を作ったときは私の音楽がみんなの生活の一部になれたらいいなという気持ちだったんですけど、なんか寄り添うだけじゃ足りない感じがしてきて。なかなか会えない状況だからこそ、悲しいときはそばで話を聞けるような存在でありたいし、楽しいときはそれをより盛り上げられるような存在でありたいと今は思ってます。活動がままならない時期にめげるんじゃなくて、もっともっとみたいに欲張りになれたのは、やっぱり聴いてくれるみんながいるおかげです」と伝えた。

根拠はなくても理由はなくても、みんながそうやって笑顔でいてくれれば、私は自信を持って“絶対に大丈夫やで”って歌うことができます」とも話して、本編ラストはデビュー曲『ALRIGHT』を演奏。これまでの道のりを噛み締めるように、これからの未来を照らすように、さまざまな想いを乗せて力強く聴かせ、大盛況のうちに竹内はステージを降りた。

アンコールでは、特別にNiziU『Make you happy』のカバーも弾き語りで1番だけ披露。さらに、「みんなとライブで声を出し合えていた日々が戻りますように」という願いを込めてバンドメンバーとともに『Ordinary days』。最後は竹内が再びソロで『Love Your Love』を、ボッサ調の温かなギターを添えて届け、LIQUIDROOM ebisu公演は幕を閉じた。

新曲も加えつつ、彩り豊かなライブパフォーマンスで大きな成長を感じさせた竹内アンナ。10月には、初の弾き語りツアー『弾き語り TOUR 2021 atELIER -アトリエ-』を東名阪の歴史ある建築物で行なう。また、『ALRIGHT』などの既発曲をアコースティックバージョンでセルフカバーし、2週ごとに配信する3作連続企画も実施中なので、合わせてチェックしてみてほしい。

Photo:Kazushi Hamano
取材・文:田山雄士

《SET LIST》
  1. 1.RIDE ON WEEKEND
  2. 2.SUNKISSed GIRL
  3. 3.B.M.B
  4. 4.20 -TWENTY-
  5. 5.at TENDER medley:Midnight Step~Lovin’ Drivin’ Darlin’~Love Your Love~Rhythm Nation (Janet Jackson Cover)~ペチュニアの花~伝えなきゃ、届かなきゃ、君に聞こえなきゃ。~TEL me~No Scrubs (TLC Cover)
  6. 6.TOKYO NITE
  7. 7.If you and I were,
  8. 8.Golden Days
  9. 9.Striking gold
  10. 10.+imagination
  11. 11.I My Me Myself
  12. 12.Free! Free! Free!
  13. 13.ALRIGHT
  14. EN1.Make you happy (NiziU Cover)
  15. EN2.Ordinary days
  16. EN3.Love Your Love
竹内アンナ

初のビルボードライブツアーが決定!

デビュー5周年を迎えた竹内アンナが自身初のビルボードライブツアーが決定!
東京、大阪、横浜の3ヵ所を巡るこのツアー、バックバンドはネオソウルやジャズをルーツとしたインターナショナルなグループ「パジャマで海なんかいかない」ことPAJAUMIが務めます。

<竹内アンナ Billboard Live Tour 2024>
2024/3/1(金) ビルボードライブ東京
2024/3/8(金) ビルボードライブ大阪
2024/3/20(水・祝) ビルボードライブ横浜

チケット情報等詳細はこちら
https://takeuchianna.com/news/#104709


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