androp 10th Anniversary Live in人見記念講堂

“これまでもこれからも、そして今を感じる。androp10周年記念ライブ”

1月11、12日に東京・人見記念講堂で行われたアニバーサリーライブ。即ソールドアウトとなった2日間の公演はファンとのお祝いムードだけではなく、10年間のandropがどの様に歩み、進化し、変化してきたかをまじまじと体感させられる特別なライブであった。

オープニングに披露された『Image Word』この楽曲でandropへの興味と関心を注がれたファンも多かった事だろう。

内澤崇仁(Vo,Gt)が一人で歌い始める。一人一人とメンバーが加わる演出。

楽曲が持つAメロからの一抹の哀愁はメンバーが加わることでその世界を広げて疾走し高揚していく。まさにイメージが広がるように展開するデビュー当時のandropの様を観るようで既に感極まり胸に迫るものがあった。

『Roots』、『Colorful』、『MirrorDance』と色彩豊かに披露し、会場もandropチームの十八番ともいえる照明・映像技術でその世界観を表現していた。

筆者自身は2010年に「angstrom 0.2pm」@LIQUIDROOMでの衝撃以降、チームandropの魅せる光と映像、楽曲の色彩と光彩の素晴らしさに心を打たれている。

人見記念講堂というコンサートホールにおいてはandropのそういった「総合芸術性」は遺憾無く発揮されておりandrop初期の構想や音楽シーンに対するアンサーがハッキリと感じられてこの10年の歩みを振り返りつつも、並行して10年という歳月を振り返る自身のルーツを感じさせるそんな時間が流れていた。

80年代、90年代などと10年区切りで表現される日本の音楽シーンがあるとすれば「イチゼロ年代」という音楽シーンはまさにandropから始まり、体現してきたとさえ思うのである。

『Bell』や『Bright Siren』といった創造性豊かな楽曲を披露し、『End roll』では内澤が音楽をやめようと思った当時の事を語り「音楽をやっていてよかった」「今日このステージに立ててよかった」と偽りない言葉で語りかけた。

アルバム『one and zero』以降、曲が作れなくなってしまった時期に「自分たちのためでなく」「聴いてくれる人のためのテーマソングになるような曲を作りたい」という想いから生み出された『Voice』、ファンと一緒になって作られたMVも印象的だった『Yeah!Yeah!Yeah!』など、シンガロングでファンと会場を包む素晴らしい楽曲も数々あり、全国各地を訪れてゼロ距離でファンに応えてきたandropだからこそ会場の大小関係なく一体感がうまれるのだと感じた。

特色を放つアルバム『blue』より披露された『kaonashi』、image worldの立ち上げから発表されたアルバムの中でも最も闇を表現した楽曲は、これまでの光彩豊かなステージの照明から闇へ没入していく様な演出に加えて、プロジェクションマッピングによる瞳・視線といった映像演出が素晴らしくアイデンティティ溢れる作品性ながらそれによって対局的な楽曲達の光をさらに際立たせる存在だったと言える。余談だが本誌『STAGE』ならではの視線としては内澤がRickenbackerを抱え、ボーイング奏法(ヴァイオリンの弓でギターを弾く)をする姿はエディ・フィリップでもジミー・ペイジでも無くシガーロスのヨンシーの姿に重ねるところがある。日本でも内澤ほどこの奏法の似合う男はいないと思うのは著者だけではないはずだ。このプレイに関してはいずれ本人に解説して頂きたいと思う。

『Ao』ではステージを埋め尽くすほどのカラフルな紙吹雪が舞い散るなか、2日目のこの日はCreepy Nutsがサプライズで登場、異色のコラボそして異色のMVも話題となった『SOS! feat.Creepy Nuts』を披露し会場が最高潮の高まりをみせた。

そして本編最後に披露された『Hikari』ではあたたかなアコースティックの響きの中にこれまで披露された楽曲とは一味違う「温もり」を感じさせ締めくくった。

以前、「angstrom 0.9pm@代官山UNIT」の際にも記載したがこの近年におけるandropの特徴として非常に体温・温度を感じさせる楽曲が際立っている。10年目にしてファンとの繋がりやお互いの存在を感じられる楽曲の数々にそういったサウンドやアイデアが散りばめられているように感じる。

アンコールで披露した明治 ザ・チョコレートのキャンペーンソングとなった新曲『C』ではベースの前田がユーフォニウムを披露。「それがユーフォニウムですか!」と茶化す内澤に「ボウッ」とユーフォニウムで答える前田の和やかな一面もあったが生の管楽器のベースラインが優しくも力強かった。

ダブルアンコールで披露されたまだ名もなき新曲もまたアーバンなイメージでグルーブ感がたまらない。表現に対してこんなにもボーダレスで色彩も光彩も豊かなバンドであることはandropの最大の魅力ではないだろうか。

11年目へ続くandropの「今」を感じられる素晴らしいステージだったことは間違いが無く「音楽でまた会いましょう」と締めくくった内澤の言葉通り、6月からは全国ツアーもスタートするため、次のandropに音楽で出会えることが楽しみでならない。

文:日下部拓哉
撮影:Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)

androp

androp 2020年 one-man live tour 開催決定!! ■公演概要【開催日程】
2020.06.12(金) 東京 SHIBUYA CLUB QUATTRO open:18:15 / start:19:00
2020.06.14(日) 宮城 仙台darwin open:16:30 / start:17:00
2020.06.18(木) 福岡 DRUM Be-1 open:18:30 / start:19:00
2020.06.20(土) 広島 LIVE VANQUISH open:17:30 / start:18:00
2020.06.21(日) 香川 高松DIME open:16:30 / start:17:00
2020.06.27(土) 大阪 心斎橋 BIGCAT open:17:00 / start:18:00
2020.06.28(日) 愛知 NAGOYA CLUB QUATTRO open:16:30 / start:17:00
2020.07.03(金) 石川 金沢AZ open:18:30 / start:19:00
2020.07.09(木) 東京 EX THEATER ROPPONGI open:18:00 / start:19:00

【チケット代金】
スタンディング / スタンド指定(EX THEATER ROPPONGIのみ) ¥4,500(税込)
※6歳以上チケット必要
※別途ドリンク代必要
※開場/開演時間は変更になる場合がございます。
チケット等詳細はandropオフィシャルサイト http://www.androp.jp/ まで


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