PENGUIN RESEARCHが、ワンマンライブ『PENGUIN RESEARCHを宜しく』を1月20日(金)にZepp Haneda(TOKYO)で開催した。

ライブ当日の1月20日は、PENGUIN RESEARCHが2016年にメジャーデビューを果たした、ちょうど7周年を迎える記念日とあって、バンドの歴史を辿るコンセプチュアルな内容となることが事前に予告されていた。会場をぎっしりと埋めた観客も、胸を高鳴らせて開演の時を待つ。

生田鷹司(Vo)

そして、いよいよメンバーが登場。新保惠大(Dr)、堀江晶太(Ba&Composer)、柴﨑洋輔(Key)、神田ジョン(Gt)が順に現れてソロを重ねていく流れるようなセッションを経て、生田鷹司(Vo)の「会いたかったぜ、東京!」という一声から『ジョーカーに宜しく』でライブの幕が開けた。デビューシングル曲をいきなり持ってくるアニバーサリーにふさわしいスタートで、フロアには早くも力強いハンドクラップが湧き、赤と青のライトが激しく点滅する中、怒涛のアンサンブルに併せて拳も熱く突き上がり出す。

神田ジョン(Gt)

そのまま極彩色のイントロが押し寄せる『千載一遇きたりて好機』へと繋げば、生田の颯爽と輝くハイトーン、電光石火のスピードで攻めるバンドサウンドを受け、1階スタンディングエリアはジャンプやヘドバンまであふれるお祭り騒ぎ状態に。“カモン! カモン!”のコーラスが轟く『WILD BLUE』では、神田と堀江がジッとしていられない感じでステージ前方にせり出し、あちらこちらにポジティブなエネルギーが渦巻いているのが見て取れた。

7周年だってよ、おかしいな。ついこの前“もうすぐ5周年だ”みたいな話をしてたのに(笑)。時が経つのは早いわ~! キリがいい数字じゃなくて、縁起がいい数字のタイミングでね。しかも、俺たちがメジャーデビューした日に、みんなといっしょにライブができるのを楽しみに待ってました!

新保惠大(Dr)

生田がそう挨拶したあとは、「景気づけにやらせてください!」と1月18日にリリースされたばかりのシングル『変幻自在』に収録の新曲『大脱走』へ。ゴリッと響くヘヴィなギターリフや“ほざけ 馬鹿 馬鹿”の歌詞で再びギアを上げ、ポストロック調のスリリングなフレーズの応酬に痺れる『雷鳴』、自分が生きる意味を何度も問いかける『HATENA』と続くにつれて、このバンドが誇る圧倒的なグルーヴ、表現力の豊かさ、PENGUIN RESEARCHとしてライブをできる5人の喜びが伝わってくる。

最近やってなかった曲、新曲、普段とは違うセトリで……もうすでに疲労困憊や!」と荒ぶりつつも、「今日はひさびさに1階がスタンディングなんです。座席ありで落ち着いて楽しむのもいいんだけど、やっぱりライブハウスでは立ってワイワイやりたいよね。みんなの飛び跳ね方とか腕の上げ方とか、本当に最高だったよ」と嬉しそうな表情を見せる生田。

柴﨑洋輔(Key)

柴﨑の爽やかなエレピと新保の心地よい4つ打ちが映えた『ボタン』からは、じんわりと温かみを湛えたナンバーも増え、さらに音楽性を広げていくPENGUIN RESEARCH。疾走感のあるピアノロックチューン『スポットライト』、ノスタルジックな色合いを全面に出したこちらも新曲の『ホームカミング』を通して、これまでのバンドの軌跡にやさしく浸れたファンも多かったに違いない。

中盤の転換タイムでは、生田が“今年イチ緊張したこと”として、当日Zepp Hanedaへ向かっているときに電車の同じ車両でPENGUIN RESEARCHの女性ファンたちとニアミスした件を熱弁。普段ほとんど外出らしい外出はしないため、なんとかバレないようにやり過ごしたというトークで場内を沸かせた。メンバーからは「たまには外に出なさい」(柴﨑)、「この時間はみんなで7周年について話そうとしてたのに、全部ひとりで潰したね(笑)」(神田)とツッコまれるシーンも。

そんな流れから、次はワンマンで初となるアコースティックコーナー。5人が横一列に座りで並び、アコギやカホンを奏でる新鮮なスタイルで、『キリフダ』『少年の僕へ』をゆったりと届けた。やわらかな楽器の音色と全員が声を重ねるほのぼのとした歌唱、そこにオーディエンスの手拍子も加わって、ハートウォーミングなムードが自然に高まる。「しかし、7周年って早くない?」(生田)、「意味がわかんないよね。よーよー(柴﨑)はまだ21歳くらいのイメージなんだけど」(新保)、「もうアラサーですからねえ(笑)」(柴﨑)という会話をきっかけに、デビュー当時に若かった自分たちの不手際でプロデューサーを怒らせてしまったことなど、思い出話にも花が咲く。

その後はバンドセットに戻って、ひさしぶりの披露となった初期の楽曲『A WILL』、生への執着が色濃く表れた『それでも闘う者達へ』と、“負けがいのある人生を歌う”PENGUIN RESEARCHらしさも立ってきたところで、ライブはクライマックスに突入。

堀江晶太(Ba&Composer)

神田の速弾きソロや堀江のデスボイスが光る攻撃力マシマシな『決闘』でフロアを大いに揺らし、勢いよく『敗者復活戦自由形』へなだれ込むと、今度は柴﨑がサイケな鍵盤を全開に解き放つ。キラーチューン連発で畳みかけるバンドのエンジンをどっしりと担う新保のパワフルなドラムも、先程は疲労困憊と言っていたもののまったく衰えを見せずにハイからローまでカラフルに乱れないピッチで歌ってのける生田のボーカルも素晴らしい。オーディエンスは声を出せない状況ながら、アッパーな『Alternative(PGR ver.』『近日公開第二章』でどんどん過熱していき、まるでコール&レスポンスが成立しているかのような盛り上がりに。

記念日なんて正直どうでもよくて、ただの一日でいいと思ってる。これからも8周年、9周年、10周年……お祝いとか考えなくていいよ。お前らとこうやって、当たり前の毎日を過ごさせてくれないか!?

生田が今の願いをまっすぐ叫び、本編ラストは全身全霊の『千夜祭』。タフな演奏でバンドのポテンシャルを印象付けつつ、己の情熱を確かめるようなお祭りソングをエモーショナルに響かせ、5人は大盛況のうちにステージを降りた。

Tシャツに着替えて再登場したアンコールでは、満を持してアニメ『アルスの巨獣』オープニングテーマとなっているニューシングルの表題曲『変幻自在』をプレイ。堀江の鮮やかすぎるベースソロが炸裂したりと、スムースジャズ的な味わいも効いた楽器陣のめくるめくフレーズは新たなPENGUIN RESEARCHを感じさせ、この複雑極まりないアレンジをライブでもグルーヴィに聴かせることができる彼らのテクニックに改めて圧倒されてしまう。

本編のライブが終わるまでが一瞬すぎてびっくりしてます。めちゃくちゃ早かった! そんだけ楽しかったってことやな」と生田が感謝を伝え、メンバーもそれぞれに胸の内を明かす。

こんなにたくさんの人にライブに来てもらって、こんなにいい景色を見られるとは、7年前は思ってませんでした。好きでいてくれてありがとうございます。これからもがんばっていくんで、よろしく!」(新保)

デビューからはあっという間で、メンバーみんな音楽にひたむきでした。時には不器用で紆余曲折もあったけど、今こういったライブができているってことは、何かあるバンドなんだなと感じております」(柴﨑)

7周年など、通過点にすぎん!!」(神田)

もう7年もやっていて、この時点で一生の思い出なのは確定なんですよ。で、バンドがとにかく楽しいんです。面白おかしいとかだけじゃなく、いろいろ含めて楽しくて、夢中になれるんですよね。まだまだ続けていきたいし、ライブでみんなの顔を見るとすげえことができてるんだなって。自分たちを誇りに思ってます」(堀江)

4人の言葉を聞いて、生田も「最近になって僕らを知ってくれた人も、デビューからの人も、途中からの人もいるだろうし、曲は聴いたことないけど今日ライブに来てみたって人もいるかもしれない。各々のタイミングでいいと思ってます。神のように崇められる必要もない。お金がどうたらでもないのよ。歌うのが楽しい。このメンバーで音楽をやるのが楽しい」と語る。

また、この7年でいろんな人と出会い、別れてきたこと。なるべく明るいほうを向いていたいし、後ろを振り返らないようにしようとしたけど、なかなかそうもいかなかったこと。歌っている最中、大切な人たちをつい思い出してしまうこと。そんなさまざまな想いが積み重なって、自分たちは今ここにいることを告白。

どうか生きてほしいし、こんな楽しい一日をこれからもみんなと過ごしたいです。今まで本当にありがとうございました。あなたのおかげで僕は救われました!」と結び、辺りが煌びやかな光に包まれる中、再会を誓う『ゴールド・フィラメント』を味わい深く届けた。

これで終演かと思いきや、「もう一曲やるか!」という神田の声とともに、一瞬ステージを捌けた5人がすぐさま戻ってくる。「バンドが楽しいんで、まだやっていいですか?」と堀江も乗っかり、生田は「しんみりした感じで終わりたくないです。バカやって、叫んで、飛び跳ねて、笑って終わりたいです!」とマイクスタンドをスタンバイし、ライブ定番曲の『ハードロック★パラダイス』をダメ押しで投下。最大ゲインでシャウトするボーカルはもちろんのこと、神田、堀江、新保、そしてショルキーで前に出る柴﨑と、それぞれの超絶ソロが傍若無人に咲き乱れる痛快なアプローチをもって、2時間強に及ぶ表題曲全盛りのアニバーサリーワンマンを締め括った。

なお、PENGUIN RESEARCHは全国13ヵ所を回る「PENGUIN RESEARCH LIVE TOUR 2023“逆光備忘録”」を5月から7月にかけて開催することを発表。静岡・北海道・高知では、新型コロナウイルスの影響で中止となってしまった5周年ツアーでやれなかったアコースティック公演も実施される。詳しくはオフィシャルサイトをチェックしよう。

《SET LIST》
  1. 1.ジョーカーに宜しく
  2. 2.千載一遇きたりて好機
  3. 3.WILD BLUE
  4. 4.大脱走
  5. 5.雷鳴
  6. 6.HATENA
  7. 7.ボタン
  8. 8.スポットライト
  9. 9.ホームカミング
  10. 10.キリフダ ~Acoustic ver~
  11. 11.少年の僕へ ~Acoustic ver~
  12. 12.A WILL
  13. 13.それでも闘う者達へ
  14. 14.決闘
  15. 15.敗者復活戦自由形
  16. 16.Alternative(PGR ver.)
  17. 17.近日公開第二章
  18. 18.千夜祭
  19. <ENCORE 1>
  20. 1.変幻自在
  21. 2.ゴールド・フィラメント
  22. <ENCORE 2>
  23. 1.ハードロック★パラダイス

Photo by Viola Kam[V’z Twinkle]@vizkage
取材・文:田山雄士

堀江晶太(Bass/Composer)使用楽器・機材紹介

PENGUIN RESEARCH

Penguin Fight Night Tour 2023〜冬〜

【ツアー日程】
12/15(金)神奈川 CLUB CITTA’
OPEN 17:30/START 18:30

12/17(日)大阪 GORILLA HALL OSAKA
OPEN 17:00/START 18:00

12/26(火)東京 代官山UNIT
OPEN 18:30/START 19:00

詳細・チケットはコチラ
https://www.penguinresearch.jp/info/archive/?554333

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前作フルアルバム「それでも闘う者達へ」から、3年半ぶりの超意欲作!
最新シングルのTVアニメ『アルスの巨獣』OPテーマ「変幻自在」をはじめ、アルバムリードトラックの「Crier」、アニメ『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE 2nd Season』OPテーマ「HATENA」、テレビアニメ『シャドウバース』OPテーマ「キリフダ」などのアニメ主題歌に加え、スマホゲーム「バンドやろうぜ!」でPENGUIN RESEARCHが音楽を担当した劇中バンド・BLASTの新曲「YATSUATARI」も収録!
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