感情のミリッターを外した歌声と演奏が胸を直撃したとき、身体が嬉しく奮い立った。だから、思いきり掲げた手を大きく左右に降らずにいられなかった。

8月よりスタート、きみとバンドがレコ発も兼ねて始めた「レコ発&4th anniversary ツアー」も、9月28日(土)の赤羽ReNY alpha公演で折り返しを迎えた。チケットは、Sold Outを記録。この日のライブは、体調不良により休みとなったベースのゆきたんを欠いた形で実施。清原梨央(Guitar, Vocal)・大野真依(Drums)・森田理紗子(Vocal)の3人体制で行ったライブの模様を、ここにお伝えしたい。

期待を嬉しく煽る、キラキラした煌きを放つSEが流れだす。フロアから溢れ出た大きなクラップ音。期待に胸が膨らむ。メンバーの登場に合わせて、上がる声・声・声。そして…。

ライブは、最新アルバムの冒頭を飾った『きみとバンド』からスタート。大野真依の力強いドラムビート。その音に荒々しい彩りを与える清原梨央と森田理紗子のギター。でも歌が始まると同時に、楽曲は白い翼を広げ、軽やかに空へ飛び立つように羽ばたきだした。森田理紗子の光を覚える歌声が、この場に希望や夢を持った輝きを降り注ぐ。彼女たちが期待を胸に歌い奏でるからこそ、この場にいる人たちも、一緒に演奏へ飛び乗り、心地好い音楽の旅に出たくなる。終盤に生まれた声のやりとりも胸アツだ。ライブの旅は始まったばかり。これからどんな景色を赤羽ReNY alphaという空間へ映し出すのか、楽しみだ。

場内に生まれた熱へさらに熱を重ねるように、きみとバンドは『スローモーション』を演奏。曲が進むごとに、気持ちが加速してゆく。3人の作りだすビートに身を預け、心弾むままに手拍子をし、高く拳を突き上げ、思い切り飛び跳ねていたい。森田理紗子と清原梨央が巧みに歌のリードを取りながら、コンビネーションプレイを見せてゆく。場内中を照らすミラーボールの輝きに照らされながら、楽曲は幸せと楽しさを膨らませるように進んでいた。

少し懐かしい青春の香りを胸に覚えながら、彼女たちは『rosemary』を歌い奏でだす。ギターを置いた森田理紗子は、ときにスタンドに置いたマイクをギュッと握りながら、学生時代のひと夏の想い出の景色の中にいるあの頃の自分の姿を追いかけるように、遠くに視線を向けながら歌っていた。まだ夏の暑さが残るこの時期に耳にしたことで、殊更心の中にいろんな懐かしくも甘酸っぱい思いが巡りだす。彼女たちは、この場にいる一人一人へ、ひと夏のノスタルジーと淡い青春の香りを届けてくれた。

ここで、森田理紗子がエレピの前に。この編成で歌ったのが、バラードの『ユメコイ』。音が流れた瞬間、気持ちが揺さぶられ、淡い思いがグッと込み上げた。鍵盤の上へ指を滑らせ演奏をしながら、言葉のひと言ひと言を大切に歌い紡ぐ森田理紗子。曲が進むにつれ、高ぶる感情の揺れに合わせ、演奏もほのかに色づきだす。切々とした演奏や思いを刻む歌声の中から、しっかりと前を向いた一途な気持ちが見えてきた。だから、真っ直ぐに思いを届けるその歌声や演奏へ、温かい色(思い)を一緒に重ねたくなる。間奏で奏でた清原梨央の哀愁を帯びたギターの演奏も、胸に優しく響いていた。

淡い恋心を綴った歌は、『さよならリフレイン』へ。思いを音符の一つ一つに乗せ、零すようにエレピを弾き語る森田理紗子の歌声から、演奏はスタート。森田理紗子は、自身の揺れ動く感情の呼吸に合わせるように歌い奏でていた。自分の心の動きに合わせて歌う彼女の声に触れ、胸がキュッと鳴る。途中からは2人も演奏に加わり、もの悲しくも切ない恋心を、そっと励ますように音を寄り添えていた。いつもは大野真依のドラムの鼓動に合わせて歌い奏でるきみとバンドだが、この曲では、森田理紗子の気持ちの揺れに合わせて思いを形作っていたのも印象的だった。終盤に清原梨央が弾いた哀愁味たっぷりのギターの音色も、胸をキュッと締めつけた。

切ない恋心を綴った歌を届けた後に奏でたのが、最新シングルに収録した『こいごころ』。夏が似合う、気持ちが大きく揺れ動いた瞬間の数々を切り取ったような『こいごころ』では、恋にときめく心模様を、ドキドキする鼓動を描き現すように力強く躍動した演奏で表現。高ぶり続ける気持ちを、3人はパワフルな歌声と演奏を通して伝えてきた。マイクを手に、身体を揺らし歌う森田理紗子の声が、触れた人の気持ちの背中も強く押してゆく。そんな気持ちも覚えるくらい、ときめいた恋心を大きく膨らませるように彼女たちは歌い奏でていた。

続く『Midnight Scream』で彼女たちは、さらに雄々しさと躍動を増した演奏で迫ってきた。力強く攻めた演奏の上で、ときに身体を大きく揺さぶり、森田理紗子が思いを響かせる。きみとバンド流のスタジアムロック曲?そう言いたくなるくらい、強い存在感を持った、触れた人の気持ちを熱く揺さぶる楽曲だ。感情のリミッターを外し、荒々しく、高ぶる思いのままに声を張りあげて歌う森田理紗子の姿が、強いインパクトを放っていた。

沸き立つフロア。熱情した空気をもっともっと攪拌させるように、きみとバンドは躍動と情熱を増したパワフルかつダンサブルな『So high!』を通し、この場を熱情した景色へ染め上げる。気持ちを振り乱し歌う森田理紗子や、激しくギターを掻き鳴らす清原梨央、腹の底まで響くビートを叩き出す大野真依の演奏に興奮を覚えた観客たちが、突き上げた手を左右に大きく振り、ときに声を張り上げ、3人へ興奮した思いをぶつけていた。短いブレイクを挟み、さらに感情のミリッターを外した歌声と演奏が胸を直撃したとき、身体が嬉しく奮い立った。だから、思いきり掲げた手を大きく左右に降らずにいられなかった。

ここで、来年にZepp5大都市ツアーを行うことを発表。そこにはきみとバンドにとって大切な思い出の場所も含まれている。その思いを胸に、共に仲間たちと思いを分かち合おうと、彼女たちは「きみとずっと一緒に」と歌う『あの場所へ』を届けてくれた。この日のこの歌は、いつかの日本武道館公演へ近づくための新しい挑戦へ向けた、互いの気持ちを強く結びあう決起の歌としても届いていた。メンバーたちが「Wow oh oh」と歌う声に、たくさんの仲間たちも歌声を重ね、一緒に熱情した思いを膨らませる。最後に生まれた大合唱は、本気で胸を揺さぶった。

その勢いを、さらにカラフルな輝きに変えて膨らませるように、きみとバンドは愛らしさをたっぷりに『恋のモンスター』を演奏。胸のドキドキを色鮮やかに染める歌声や演奏を通して、フロア中の人たちが大きく手を振り上げ、その場で熱く身体を揺らし、一緒に「woo woo」と歌っていた。一人一人のときめいた気持ちへいろんなワクワクの色を塗り重ねるたび、彼女たちと一緒に、ここに生まれたドキドキをお腹いっぱい食べ続けたい気分でいた。「woo woo woo woo」と何度も何度も一緒に声を張り上げながら、この楽しさを、心や身体にしっかり焼き付けたい。

最後は、いろんな場所で、心を一つにして歌いあげる景色を作り続けてきた『YAKEN』だ。この日は東京公演。彼女たちと観客たちみんなで、「東京好きやけん!!」と張り上げた声を重ねあわせ、ときには3人に熱いエールを送るようにファンたちが声を上げ、最高で最強に胸の躍る宴の場を作りあげていった。途中へ巧みに「Zeppで会おうぜ」の言葉を交えて歌ったときにはニヤッとしてしまった。ほんと、きみとバンドのことが好きやけん!! だから掲げた手を大きく突き上げ、その場で高く高く飛び跳ね、互いに好きの気持ちを一つに重ね続けていたかった。

新しく掲げた目標に向かってここからふたたび走り出そうと、アンコールは大野真依がヴォーカルとなって『スタートライン』を歌唱。彼女の歌声を、清原梨央と森田理紗子の演奏がしっかりとサポート。澄み渡るような、とても爽やかな楽曲だ。爽快さを持った演奏の上で、大野真依は甘く優しい歌声で思いを紡ぐように、ここから始まる期待へ胸を馳せるように歌っていた。彼女の歌声へエールを送るように、フロア中の人たちもクラップを続け、ときに声を上げて大野真依に思いを届ける。大野真依自身も、舞台の上を左右に動き、少しでも一人一人の元へ思いを届けようと歌っていた。彼女の優しい人柄がとても見えてくる歌だ。ひたむきで純粋な姿にエールを送りたくて、みんなが止めることなくクラップを続けていた。

ここから再び“楽しい熱”を作りあげ、この場へもう一度夏を呼び戻そうと、『Spicy』を演奏。この曲では場内中の人たちが、冒頭から高く掲げたタオルをくるくると振り回し、この場に熱風を作りだす。この曲では、清原梨央がヴォーカルを取り、みずからタオルを手に、思い切り弾けた夏の女神となって、この場を爽快な夏景色へ染め上げるよう元気いっぱいに、身体中からあふれだすパワーをすべて解き放つようにステージの上で弾け飛んでいた。清原梨央の動きに合わせ、フロア中でタオルが回り続ける景色や、「JUMP ×3 YEAH!」と歌いながら清原梨央と一緒に飛び跳ねる様が、メチャメチャ眩しくも煌めいて見えていた。

「来年の夏も一緒に笑えるように」。最後にきみとバンドは、この夏に作り上げた思い出や、今日、共に作りあげた新たな思い出をまた次の物語へ繋げようと、「さよなら また明日」とミディアムメロウな『蝉しぐれ』を歌っていた。この曲では森田理紗子をリードに、ときに清原梨央も歌唱。この2人の歌声が、ここに生まれた思いを、次の出逢いに繋げていった。

さぁ次は、Zepp5大都市ツアーだ。いや、その前にも、彼女たちと出逢う機会は多いから、またライブハウスで、次は4人で笑顔を交わしたい。

TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.きみとバンド
  2. 2.スローモーション
  3. 3.rosemary
  4. 4.ユメコイ
  5. 5.さよならリフレイン
  6. 6.こいごころ
  7. 7.Midnight Scream
  8. 8.So high!
  9. 9.あの場所へ
  10. 10.恋のモンスター
  11. 11.∞YAKEN
  12. <ENCORE>
  13. EN1.スタートライン
  14. EN2.Spicy!
  15. EN3.蝉しぐれ

森田理紗子(Vocal, Guitar)使用楽器・機材紹介

きみとバンド

インディーズガールズバンド史上初Zeppワンマン全国ツアー決定!

きみとバンド Zepp全国ツアー2025 開催決定!
2025/6/22(日)@ Zepp Fukuoka
2025/7/06(日)@ Zepp Osaka Bayside
2025/7/20(日)@ Zepp Nagoya
2025/8/03(日)@ Zepp Sapporo
2025/8/17(日)@ Zepp HANEDA(きみとバンド5th anniversary)
※チケット発売等詳細は今後公式X(旧Twitter)で発表される。
https://x.com/with48263996


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