LOVEBITESのギタリスト、miyakoが11月19日(日)にTOKYO FM HALLで自身初となるピアノリサイタル『A DAY WITH MIYAKO』を開催した。
マチネ(昼公演)=『AN AFTERNOON WITH MIYAKO』、ソワレ(夜公演)=『AN EVENING WITH MIYAKO』の2部構成(ともにソールドアウトを記録!)で実施され、集まったたくさんの来場者を存分に楽しませようと、それぞれ異なるセットリストが揃えられたこの日。本稿では、前者の模様をレポートする。

開演予定の13時半を少し過ぎた頃、真紅の美しいドレスを纏って登場したmiyako。満員の観客に嬉しそうな笑顔を見せると、滑らかな運指でグランドピアノを奏で始め、今年6月にリリースされたソロデビューEP『Etude Op.23(覚醒のエチュード)』より、ヘヴィメタル/ハードロックの名曲として知られるハロウィンの『イーグル・フライ・フリー』、メタリカの『バッテリー』を、気品あふれるクラシックアレンジで颯爽と届けていく。
ホール内に瑞々しく響きわたるスタインウェイの質感、ダイナミックでありながら繊細さも兼ね備えたその抑揚豊かな演奏は、音源とはまた別モノの耳当たりで、3歳のときからピアノを習い、クラシックに没頭してきた彼女の生きざまがまっすぐ伝わってくるかのよう。
「みなさん、こんにちはー! どうですか? 緊張してますか? 緊張してるのアンタやろって話なんですけど(笑)。miyakoの初ピアノリサイタルにお越しいただき、ありがとうございます。LOVEBITESでライブをするときは不安や楽しさも5人でシェアできるので、今日は本当に“ひとりだな”“怖いな”“不安だな”と思っていて。でも、こうやってみんなが来てくれたら……なんか大丈夫そうかもしれないです」
ドキドキした気持ちを最初の挨拶で素直に明かしつつ、「ピアノを弾きっぱなしというお堅い感じではなく、私の場合はちょっとおしゃべりもして、楽しくできたらいいなと思ってます」とも伝えた。その言葉どおり、関西弁で話す彼女の物腰柔らかいトークが聞けるのも、メタラーが多いであろう観客たちが静かに座って聴き入っているのも、何かとレアなシチュエーションだらけ。中でも、LOVEBITESのステージにおいては短く限られたmiyakoのピアノ演奏をじっくりと味わえる、それこそがファンにとっていちばんの至福だったはずだ。

EPからのさらなるレパートリーとして、ハツラツとした打鍵が光るイングヴェイ・マルムスティーンの『ファー・ビヨンド・ザ・サン』を届けたあとは、LOVEBITESのライブで『スワン・ソング』を演奏する際に引用される、miyakoも「大好きで思い入れがある」というショパンの代表曲のひとつ『革命のエチュード』を、なんと貴重なフルバージョンで披露。妖艶なピアノの調べに浸るにつれ、ヘヴィメタルとクラシックの共通点が自然に見えてくる。
幼少期〜学生時代のルーツが色濃く楽しめるクラシックセクションは続き、同じくショパンの代表曲であり、LOVEBITESの復活ライブ『WE ARE THE RESURRECTION』のDAY 1(2023年3月11日)でも引用された『バラード第1番ト短調 作品23』を、約8分のフル尺で優雅にプレイ。miyakoは中学1年のときに映画『戦場のピアニスト』(2002年公開)を観て、物語のワンシーンで奏でられるこの曲に感銘を受け、高校生の頃に初めて人前で弾いたのだという。そうした曲にまつわるエピソードが聞けるのも嬉しい。

ラフマニノフの『楽興の時』とLOVEBITESの『エンプティ・デイドリーム』を繋げて聴かせる流れも、ピアノリサイタルとして体感するのは趣が変わってくる。メロディの良さがじんわりと心に染みて、後半のドラマティックな転調パートでは思わず涙腺が緩んでしまう。
また、EP未収録の洋楽カバーもこの日のために用意。「いちばん長く共に過ごしたバンドで、UKツアーを10ヵ所くらい回った」仲だというドラゴンフォースの超絶スピードメタル曲『スルー・ザ・ファイア・アンド・フレイムス』を、miyakoは躍動感たっぷりに表現してみせる。ギターソロなどのおいしいポイントを忠実に活かす一方、ところどころで独自のアレンジを加えたりと、彼女のコンポーザーとしての才能に改めて脱帽させられる時間となった。何しろフレーズやコードはもちろんのこと、低音部、演奏のリズムもピアノ一本で担ってのけるのだから。

情熱的でスリリングな味わいを湛えたLOVEBITESのセルフカバー『アディクテッド』を華麗に弾き切ると、miyakoは今回のEP『Etude Op.23(覚醒のエチュード)』を作った理由を、これまでの音楽人生も振り返りながら語り出す。
子供の頃に通っていたヤマハ音楽教室で、想像力を掻き立てるような編曲の面白みを学んだこと。高校はピアノ専攻だったものの、エリート教育を受けてきた周りの同級生たちには敵わないと痛感したこと。大学に入ってからギターを本格的に始め、メタルの道へ突き進んだこと。
そんな経験のいくつかを「“必要だったのかな?”とか疑ってしまう瞬間もあったけど、無駄なことはなかったと今は思います」と話し、「バンドを始めてからはピアノとあまり真剣に向き合わなくなって、学生時代までに積み重ねたものを使ってきた感じやったんですね。でも、再び貯めるときに来ているというか。ここを乗り越えたら、みんなが好きでいてくれる音楽が何歳になっても提供できるんちゃうかなって。またレッスンに行って勉強もします。私の成長を見守っていただけますか?」と、さらなるレベルアップをファンの前で誓う場面も。
そして、ソロのことだけじゃなくバンドのことについても「LOVEBITESの一員で本当によかったなと思うし、(ボーカルの)asamiがいつも伝えてくれているように、まだまだいい景色を私も見せていきたいです。もっと大きくなりますよ!」と力強い言葉が。ラストはディープ・パープルの『紫の炎』を勇ましく麗しく奏で、miyakoはスタンディングオベーションの中でステージを後にした。
ギタリストの顔とは違う新たな一面を発揮し、ヘヴィメタル/ハードロックとクラシックの橋渡しになる素晴らしいパフォーマンス、成長への意欲を見せてくれた、記念すべき初のピアノリサイタル。「定期的にこういう機会を設けられたらいいな」と本人も話していたので、LOVEBITESに加え、今後のmiyakoの活動をぜひ楽しみにしておこう。



取材・文:田山雄士
Photo:Ryutaro Saito
《SET LIST》
- 1.Eagle Fly Free / イーグル・フライ・フリー(HELLOWEEN)
- 2.Battery / バッテリー(METALLICA)
- 3.Far Beyond The Sun / ファー・ビヨンド・ザ・サン(YNGWIE MALMSTEEN)
- 4.Etude Op.10, No.12 / 革命のエチュード(CHOPIN)
- 5.Ballade No.1 In G Minor, Op.23 / バラード第1番ト短調 作品23(CHOPIN)
- 6.Moments Musicaux〜Empty Daydream / 楽興の時(RACHMANINOV)〜エンプティ・デイドリーム(LOVEBITES)
- 7.Through The Fire And Flames / スルー・ザ・ファイア・アンド・フレイムス(DRAGONFORCE)
- 8.Addicted / アディクテッド(LOVEBITES)
- 9.Burn / 紫の炎(DEEP PURPLE)
Miyako 初ソロEP『ETUDE OP.23』好評発売中!

ヘヴィ・メタル界の日本代表、LOVEBITES。そのギタリストのMiyakoが、幼少期より自身が培ってきたピアノでハード・ロック/ヘヴィ・メタルの超名曲をクラシックに華麗にアレンジし、カヴァーした6曲入りの初ソロEP。付属DVDには、HELLOWEENの「Eagle Fly Free」と、LOVEBITES「Addicted」のセルフ・ピアノカヴァーのミュージックビデオのほか撮影時のオフ映像を収録。
タイトル: ETUDE OP.23 / 覚醒のエチュード
発売日:2023年6月21日(水)
形態:CD+DVD (NZS-925 税込¥3,960)
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9月26日(土) 東京・Zepp Haneda
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2025.4.5@東京オペラシティ リサイタルホール Miyako BLOOMING NOTES 2025 ライブレポート
2025.3.13@Zepp DiverCity(TOKYO) LOVEBITES「ETERNAL PHENOMENON TOUR」ライブレポート
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【LOVEBITES機材紹介】2024.9.1@東京ガーデンシアター LOVEBITES THE THIN LINE BETWEEN LOVE AND HATE WORLD TOUR – JAPAN 2024 ライブレポート
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