SPARK!!SOUND!!SHOW!! presents “HAPPY BIRTH DIE” TOUR FINALライブレポート

――明日以降俺らライヴ出来るかわからないんで。ラストダンス。SPARK!!SOUND!!SHOW!!の葬式にしてください。

この発言が飛び出したのは東京を含む四都府県に三度目の緊急事態宣言が発令される前日である4月24日、東京・TSUTAYA O-EASTで行われたSPARK!!SOUND!!SHOW!!初の全国ツアー『HAPPY BIRTH DIE』のファイナルでのことだ。思えば1月から約3ヶ月間に渡り開催される予定だったこのツアーは二度目の緊急事態宣言に伴い7公演が延期となり、2ヶ月間で26公演という超過密日程の中行われた。そして、もし三度目の緊急事態宣言が1週間ずれていればツアーファイナルはおろか大阪、兵庫、京都公演の開催も危ぶまれていたことだろう。そんな奇跡的に完遂することができたSPARK!!SOUND!!SHOW!!、通称スサシのツアーファイナルの模様をレポートする。

暗転する会場にゆっくりとメンバーが登場するとフロアからは拍手が巻き起こる。こんな穏やかな始まり方はスサシのライヴじゃないみたいだ。最後にタナカユーキ(Vo/Gt)がステージインすると「無事開催できておめでとうございます。SPARK!!SOUND!!SHOW!!です。死ぬほどちょけまくりましょう」と挨拶。声は出せずとも、モッシュやダイブができなくとも、スサシのライヴの楽しみ方の根幹は変わらないことを示してくれていた。

彼らのライヴはすべて破壊してしまえとでもいうように『DEATHTRUCTION』で幕を開ける。さらに加速装置のごとくライヴのギアを一気にあげた『STEAL!!』ではオーディエンスもたまらず拳を突き上げ、フロアも決められたルールの中で楽しむ準備は万端のようだ。こうなればあとはサウンドドラッグとも呼ばれる中毒性のある楽曲を耳から入れるだけ。手始めに『あいどんのう』を投下し、ユーキとチヨ(Ba/Cho)がまくしたてるようにラップを掛け合うと徐々にメンバーの瞳孔が開いていくのがわかる。間髪入れずに『ヘビーローテンション』をお見舞いすると、イチロー(Dr/Cho/169)とチヨのリズム隊はヘヴィなグルーヴを聴かせ、フロアを混沌の渦へと巻きこむ。そして、会場をさらなる混沌へ叩き落したのはユーキ、タクマ(Syn/Gt/Cho)、チヨがマイクをとり3MCスタイルで早口でまくしたてる『感電!』だ。3人はステージで側転をするわ、アンプの上に立つはやりたい放題。いつものようにフロアにダイブはできないが本能のままに動くという彼らのスタンスは変わらないようだ。

SPARK!!SOUND!!SHOW!!を見に来る奴は感覚も良くないし、IQも低々なんで、多少入り乱れてもメイクラブに発展するんで、仲良くやってください。踊りましょう」と始まった『ダンザーラ』『BRUSH UP』ではタクマが演奏するシンセサイザーのポップさとリズム隊のヘヴィなサウンドのアンバランスさがよりカオスポップを際立たせる。このカオスポップはポップを振り切りデジタルハードコアへと一気に舵を切りイチローを含むメンバー全員がマイクをとる『TOKYO MURDER』へ。ヒップホップ、レゲエ、ハードコア、メロコア、パンク、メタル、デジタルと様々なジャンルを内包したカオスさ、さらにバンドの形態にとらわれないところや、ステージ上でのメンバーの本能のままに動く様、SPARK!!SOUND!!SHOW!!は二重の意味でカオスなのだ(このあとに披露されたイチローによるソロコーナーである169セクションもある意味ではカオスであったことを付け加えて置こう)。

しばしの換気休憩を経て、後半戦はユーキとタクマによるアコースティックセクションからスタート。SPARK!!SOUND!!SHOW!!の楽曲の中でも甘いメロディが際立つ『still dreamin’』で歌われた<踊り続けさせてよベイベ パーティはネバーダイ 誰にも奪えない>は今日におけるエンタテインメント業界の声であり願いのようにも聞こえた。ここからチヨを加え『ミッドナイトサイダー』、イチローを加えて『urban kill』をプレイ。そして、オーディエンスがスマートフォンのライトで会場を照らした景色が壮観だった『good sleep』をもってこのセクションに幕を閉じた。

日付変わったら緊急事態宣言が出ちゃうんですよね。日付変わるギリまで踊らせますんで」と声を掛けるとミラーボールが回る中で演奏された『ゆーれい』で後半戦を仕切り直すとオーディエンスは気持ちよさそうに体を揺らす。さらに、この日はファイナルだから特別にと先ほどアコースティックで披露した『good sleep』をこのツアーでは初めてバンドセットでプレイしたところで心地いいダンスタイムは終わりを告げる。「O-EASTのみなさん、ブチ上げていくよ!」とイチローが叫ぶと再びカオスの渦へ叩き落すべく『かいじゅうのうた』『NU ERA』を立て続けにドロップすると、『good die』でこのコロナ禍における現状の怒りをぶちまけるとともに曲の最後を<こんな曲歌いたくない>で締めくくったユーキに胸が痛くなった。

ライヴも終盤戦に差し掛かり、フロアのオーディエンスにも禁断症状が出てきた頃か。あとは頭を空っぽにしてスサシの音楽を耳に流し込むだけだ。『†黒天使†』『GODSPEED』とキラーチューンお見舞いすると、タナカユーキのフリースタイル『MARS』を経てそのままSPARK!!SOUND!!SHOW!!イチの爆発力を持つ『スサシのマーチ』へとなだれ込むと会場はトランス状態。そんな会場に追い打ちをかけるにはうってつけの『南無』でとどめを刺す。そして「俺が死ぬ時もこんな感じの葬式を開いてください」と言葉を残し『MAD AGE』『MAD HYMN』というツービートで爆走するファストナンバーでこの日のライヴの幕を閉じた。

終演後には6月にリリースされる新譜『HAPPY BIRTH DIE feat.原田ちあき』と7月から始まるツアーの告知がなされた。怒りをぶちまけ、すべてを破壊したあとに何が残るのか。きっとそれはまた新しく生まれる何かのためなのではないだろうか。「この怒りは未来になることを、時代になることを。そして、もし明日以降この街から灯りが消えたとしても、光であることを望んでる」とは『MARS』の際にユーキが発した言葉だが、この怒りを未来への光にするために彼らは“show must go on”ならぬ “SPARK!!SOUND!!SHOW!! must go on”の精神でなにがあっても音を絶やしてはならないのだ。

ライブ撮影:KEIJU
取材・文:オザキケイト

《SET LIST》
  1. 1.DEATHTRUCTION
  2. 2.STEAL!!
  3. 3.あいどんのう
  4. 4.ヘビーローテンション
  5. 5.感電!
  6. 6.ダンザーラ
  7. 7.BRUSH UP
  8. 8.ドカーン
  9. 9.TOKYO MURDER
  10. 10.BPM169
  11.  169セクション~換気タイム
  12. 11.still dreamin’
  13. 12.ミッドナイトサイダー
  14. 13.urban kill
  15. 14.good sleep
  16. 15.ゆーれい
  17. 16.good sleep
  18. 17.かいじゅうのうた
  19. 18.NU ERA
  20. 19.アワーミュージック
  21. 20.優気
  22. 21.good die
  23. 22.†黒天使†
  24. 23.GODSPEED
  25. 24.MARS
  26. 25.スサシのマーチ
  27. 26.南無
  28. 27.MAD AGE
  29. 28.MAD HYMN
  30. END SE.HAPPY BIRTH DIE
SPARK!!SOUND!!SHOW!!


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