まだ見たことのない景色の扉を開け、共に熱狂の虜になった一夜。
NoGoD、配信ライブを通し「Ism」ツアーを締めくくる!!!!
今年、NoGoDは結成15周年を迎えたことから様々な企画を展開。1月より、15周年記念第一弾となった「Ism」ツアーを始めたが、コロナ禍によりツアーの終盤数本を残すところで公演は中止になってしまった。同ツアーはNoGoDにとって15年間の歩みの集大成でありながら、進化を止めないNoGoDの”今と未来”を示す内容だった。メンバーらは、途中で止まってしまったツアーをしっかり締めくくろうと、8月15日(土)に横浜BAYHALLより配信ライブを行った。そのときの模様を、ここに記したい。
ライブは、インストナンバーの『(a)void』から幕を開けた。心地好い緊張を与える演奏に触れ、昂る感情。そして…。
Kyrieのギターが唸りを上げると同時に、楽曲は『helix』へ。このツアー用に制作、会場限定盤及び通販で発売した作品の表題曲を、彼らはこのツアーの始まりに持ってきた。むしろ『helix』を耳にしてこそ、「Ism」ツアーに触れている実感を覚えられる。激烈な演奏を通し、NoGoDは壮大なドラマを描き出す。これから始まる長大な物語を語るに相応しい臨場感あふれる楽曲だ。この歌に触れている間中、ずっと魂が震えていた。
「さぁ、信者たちよ、布教活動を始めましょうか!!」団長の声を合図に飛び出したのが、『STAND UP!』。疾走する楽曲を耳にした途端、熱く沸き立つ感情に身体が震えだす。誰もが心に鬱積した気持ちを抱えているこの時期、『STAND UP!』に触れていると、思い切り身体を揺さぶり、溜まっていた感情をすべて吐き出したくなる。NoGoDは配信ライブに訪れた人たちに求めていた。もっと気持ちを開放しなよと。
「目覚めろ、信者たちよ!!」昂る熱情をさらに増幅し、その場で爆発させろと誘いをかけるように、NoGoDは『Passion Play』を演奏。たとえそこがどんな場だろうと、彼らの演奏に、魂に触れたが最後、大きく身体を揺さぶり、頭を振らずにいられなかった。
楽曲を重ねるごとに熱量を増してゆくステージ。同じく、観ている側も高まる気持ちをぶつけたい欲求に身を奮わせていた。気持ちを崇めるように、NoGoDが届けたのが『downer’s high』。Kの叩きだす躍動したリズムの上で、演奏陣が心地好い緊張感を持った演奏を塗り重ねてゆく。その調べに導かれるよう、同じく気持ちを高めながら歌う団長。ミドルダウナーな楽曲に乗せ、まるで儀式の一場面を共有するような感覚で、恍惚導く演奏に心地好く身を預けていた。
団長の「こんばんわ」の呼びかけに、コメント欄にあふれた「こんばんわ」の声。たとえ目の前で観れなくとも、文字を通し、観客たちはしっかりコミュニケーションを取っていた。メンバーらの目の前に用意されたモニターに数多くのコメントが映し出されれば、メンバーたちも、ときにそれを読みながら想いを交わしあっていた(本当は、文字が小さすぎて読めなかったらしい)。
次のブロックで披露したのが、「Ism」ツアーの中で無料配布した4枚のCDへ収録した曲たち。それを配布順に演奏。
配布第一弾楽曲『Depaysement』は、NoGoDらしいスリリングかつハードエッジなメタルナンバー。疾走する演奏の上で、馳せる気持ちをぶつけるように歌う団長。ハイウェイを火花散らし爆走するような臨場感を持った激しい演奏と、団長の煽る歌声に触れ、身体中を熱した血が巡りだす。何が言いたいかって!?全力で頭を振って騒ぎたいんだよ。それをNoGoDは「これでもか!!」と求めてきた。この感情、とても嬉しいけど罪作りだよ。
続く『DADA』では、表情を塗り替えるようクールに迫ってきた。妖しい香りも匂わせつつ、彼らは破裂寸前の興奮という想いへ、触れた人たちを染め上げてゆく。この嬉しいお預け感が、逆に心に高揚を溜め込ませていった。
Shinnoのギターの音色を合図に飛びだしたのが、歌メロが印象深く耳に残る『Es』だ。巧みに緩急の変化をつけながら重厚な音を持って駆ける演奏の上で、団長は情緒と情熱抱いた歌声を巧く使い分けながら、触れた人たちの気持ちを騒がせてゆく。「その心のままに生きて」いけばいい、そう彼らに歌いかけられる度、無性に胸が沸き立った。
配布シリーズの最後を彩ったのが、超シュールレアリズムな問題作『優美な死骸』。哀愁抱いた切ない歌と表情から始まった楽曲は、いきなり激しく荒ぶる姿を描きだせば、熱を抱いたまま妖艶な様を見せるなど、流れる歌の美しいメロディーという統一した色を示しながらも、演奏自体は短い感覚で次々と表情を塗り変えてゆく。途中にワルツを奏でたときの弾む感情、そのまま胸打つメロディーを受け継ぎながら、楽曲は激しく疾走し、ドラマチックという言葉では語りきれない変容を見せていった。むしろ、この変態プログレシンフォニックで妖艶メロディックな曲こそが、NoGoDの真骨頂なのかも知れない。変拍子を多用しながら、変病(変容)し続けるこの曲に、NoGoDの15年重ねた生き様と“Ism”を感じていた。
「さぁ信者たちよ!!」と熱く呼びかけ演奏したのが、NoGoDのライブを熱くドラマチックに支えてきた、アグレッシブでハードエッジな疾走熱唱ナンバーの『神風』だ。神風を吹かせるように、NoGoDは魂を熱く奮わせる歌を通し、画面越しの人たちと心をシンクロしながら興奮と恍惚という絶頂の中へ突き進んでいった。この熱狂、もはや誰も止められない!!!!!
「君たちが恋しくなりますよ」の団長の声。ライブの後半は、観ている人たちに魔法をかけるように、『helix』に収録された『ABRACADABRA』からスタート。NoGoD流のダンスロックに乗せ、団長は手にした光るスティックを振りながら、この場に催したパーティ会場に観ている人たちの心をどんどん招いてゆく。たとえその場に身体はなくとも、彼らの演奏に触れながら心はステップを踏んでいた。 NoGoDが作り上げた華やかな宴の中、「ABRACADABRA」と魔法の言葉を一緒に口ずさみながら、現実から遠く離れた空間で夢中ではしゃいでいた。
もっともっと気持ちを覚醒させろ!! NoGoDは『カクセイ』を突きつけ、ふたたび観客たちの心に燃え盛る熱情を注ぎだした。魂を高揚へ導く歌と演奏に触れ、気持ちが奮い立つ。このまま、熱狂の彼方に広がるステージへ連れ出し、心をもっと開放してくれ。現実を消し去り、夢幻(無限)な存在に覚醒させてくれ!!!!!
すべての境界線をぶち壊し、限界を超えてゆけ!! 流れだした『Borderline』に心と身体がシンクロ。何時しか爆走する演奏をエナジーに、最前線でライブを楽しむ感覚で、画面越しに熱と想いを全力で捧げていた。この歌は、何時だって限界を超える勇気と力を与えてくれる。それを受け取ったとたん、気持ちは無敵になれる。限界なんて彼方に消え去ってゆく。
今宵の宴を、ここに描き出した想いを満載した風景を優しく包み込むように、NoGoDは最後に『エンドロール』を演奏。この歌は、信じた未来へ進む勇気を与えてくれる。この歌を彼らと一緒に最後に分かち合うことで、僕らはこの日の感動と熱情を未来へ繋いでいける。明日へ想いを馳せる気持ちを胸に、彼らは視聴者たちの心に輝く光を射しながら今宵の物語を閉じていった。
コメント欄へ数多く流れる「NoGoD NoGoD」と彼らを呼ぶ書き込み。その言葉たちへ導かれるように、ふたたびメンバーがステージへ。
荒ぶるKyrieのギターリフを合図に、演奏がスタート。アンコールで披露したのが『ノーゴッド』。「やっぱり、この曲演んねぇと、終われねぇよな!!」と叫ぶ団長。「あなたは神を信じますか あなたは誰を信じて生きていきますか」と語る団長の説法が、彼の放つ言葉のひと言ひと言が、熱く胸に突き刺さる。最後までNoGoDは、ライブに触れた人たちの気持ちを、褪めた現実の反対側にある灼熱の楽園へ連れ出し続けてくれた。 本当ならこのライブを、この興奮を、目の前で体感したかった。でも、今はまだその時期ではない。然るべき時が訪れたときには、NoGoDと一緒にまだ見たことのない景色の扉を開け、熱狂の虜になろうじゃないか。
PHOTO:大塚秀美
TEXT:長澤智典
《SET LIST》
- 1.(a)void
- 2.helix
- 3.STAND UP!
- 4.Passion Play
- 5.downer’s high
- 6.Depaysement
- 7.DADA
- 8.Es
- 9.優美な死骸
- 10.神風
- 11.ABRACADABRA
- 12.カクセイ
- 13.Borderline
- 14.エンドロール
- EN1.ノーゴッド