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〈アイドルオーケストラ〉アイオケ、5年間の歩みを疑似体験!?
アイオケ結成5周年記念LIVE『運命』公演レポート!

〈アイドルオーケストラ〉アイオケ(以下、アイオケ)が、7月23日に白金高輪SELENE b2で、アイオケ結成5周年記念LIVE『運命』を行った。この日は、新メンバー”あこ”のお披露目も兼ねつつ、ライブの間に「芝居」を組み込み、アイオケの5年間の歩みを疑似体験してゆく内容で行われた。でも、その5年間というのが……。


オープニングムービーに映し出された「運命」の文字と華やかなSE。根本流風の「Are you!?」の声を合図に、メンバーみんなで「OK!!!」と声を張り上げる。その声を合図に照らされた舞台上には、10人のメンバーの姿が。この場を華やかなパーティー会場へ染め上げるように、彼女たちはクラシックの名曲『威風堂々』をサンプリングした『可愛いがPride』を、「ほまれ導く 夢と勇気のステージ」と美しいハーモーニを描いて歌いだす。みんな、眩しい笑顔だ。ワクワクしてゆく心のトキメキを、メンバーらは歌声やパフォーマンスに投影。ステージの上で10人の乙女たちがはしゃぐたびに、会場全体が煌きだす。ときには劣等感を覚え、落ち込むこともあるけど。「好きなものを好きでいたい あたり前に笑おうよ!」の歌詞通り、彼女たちが、この場で花咲くように華やぐことで、この会場中にも素敵な笑顔の花が咲き誇りだす。そして…。
【シーン①結成】
最初の芝居では、なぜアイオケのメンバーになったのか。その思いを、芝居という形を通して一人一人が自己紹介してゆく。5年前といえば、コロナが流行り出した時期。コロナ禍時に誕生したが故の苦難から始まったアイオケの歩みも、メンバーらは語っていた。アイオケとしての5年間の歩みをメンバーたちが想い出を振り返る形で、しかも芝居を通した物語として伝えていくことで、見ている側も、ライブの進行に合わせてどんな風に彼女たちの歩みが語られるのかへ自然に興味を覚えてゆく。その構成が、この日のライブの見どころであり、アイオケらしいライブの魅せ方だ。



青春物語の始まりを描きだすように、アイオケは『#青春1・2・3』を歌唱&演奏。背景に当時の映像もドキュメントのように映しながら、メンバーたちはアイオケが始まった頃の自分たちの気持ちを呼び戻し、期待と希望に満ちていた眩しい青春時代の景色の中へ飛び込んでいった。あの頃と違うのは、目の前に、ずっとアイオケを応援し続けてきたたくさんの楽団員(ファン)がいること。互いに「好き」の思いを感じながら。そのうえで10人は、ステージの上から楽団員へ「やりたいことはやってみよう」「輝く道を切り開け」と呼びかけ、思いきり青春を謳歌していた。
彼女たちはこの場を、初ライブを行う直前の会場に塗りかえていた。そのうえで、「今日が初ライブです!これからよろしくお願いします!次の曲、聴いてください」と言葉にした。

ステージの上から響きだしたフルートの音色が胸を踊らせる。躍動したリズムも印象的なダンスナンバー『【ご報告】私、食べるのやめます。』に乗せ、メンバーたちは、胸の踊る気持ちを元気いっぱいの歌声にして、ときに楽団員を煽るように声を上げ、ステージの上で歌い弾け飛んでいた。間奏では、用意した箱の中から引いた紙を読み上げる。そこに書いてあったのが「女豹のポーズ」。彼女たちは早速、それぞれに女豹のポーズをして観客たちにアピール。そんな遊び心もさりげなく組み込み、メンバーらは楽団員と一緒に元気いっぱいに弾けた姿ではしゃいでいた。
「絶対会いたい 君といたい 最大級myラプソディー」の歌声を合図に、『最大級my ラプソディー』へ。この曲でも彼女たちは、晴れた笑顔で、恋に焦がれるときめいた気持ちを最大級にしながら、歌声やパフォーマンスに乗せて表現。一人一人が歌うたびに飛び交うメンバーコール。「絶対会いたい 君といたい」の言葉通り、楽団員も彼女たちに会いたい気持ちを熱いコールにしてぶつけていた。アイオケの楽曲は、必ずクラシックの名曲の一部をサンプリングしている。そのフレーズが聴こえるたびに、たとえ初見だろうと親しみやすさを覚えるのも、彼女たちのライブを楽しむうえで大切な要素になっていることも伝えておきたい。
【シーン②葛藤】
活動から数カ月が経過。この日もライブを前にして、メンバーたちは「昨日の対バンお客さんが6人しかいなかったね…」「メンバーより人数少ないのやばくない?」と、動員が伸び悩んでいることに焦りを覚えていた。それでも「最初だからこんなもんだって!私たちCDリリースしたから、これからリリイベも沢山あるし、フリースペースでライブしたりして、いろんな人にアイオケを知ってもらおう!」と、メンバー同士で意識を高めあっていた。そのうえでみんなが口にした「私たちでアイオケに革命を起こそう!」の言葉。自分たちの気持ちを鼓舞したうえで、彼女たちが奏でたのがこの曲だった。

彼女たちはこのシーンに革命を起こそうと、「まだ終わるもんか」の歌詞も印象的な『革命のベルを鳴らせ』を、自信を胸にした逞しい姿で歌いだした。物語の展開に寄り添い、そのシーンのメンバーたちの心情と重なる歌を並べてゆく。だから、曲が進むごとに彼女たちの歩む姿へ強く惹かれる。『革命のベルを鳴らせ』を通して彼女たちは、逆境さえも輝きに変えようと、自分たちの気持ちを鼓舞し、そこへ楽団員の仲間たちも加えながら「ともに 革命のベル 鳴らせ」と高らかに歌っていた。とても攻めた姿だ。自ら革命を起こしてやる気持ちを胸に、歌声も演奏もパフォーマンスもと、10人はすべての表現において力強く攻めた姿を見せていた。腕を高く突き上げ、「革命のベル鳴らせ」と歌う姿がとても凛々しく見えていた。


『ラブリンチ』でメンバーらは、ステージの上へ大きなサークルを描き、手にしたタオルを回しながら、元気いっぱいの姿で歌い踊っていた。ときに「かわいい」ポーズも示し、軽やかにステップを踏み、タオルをくるくる回し、彼女たちはステージの上でわちゃわちゃとはしゃいでいた。10人が無邪気な無敵の笑顔ではしゃぐからこそ、一緒に心が華やぎ、ウキウキとした楽しい色に気持ちが染め上がる。いろいろもどかしさを覚えながらも、愛しい人の存在に心が弾む様を、彼女たちは歌声や演奏を通して物語の中へ明るく色づけてゆく。「君から愛をもっと伝えてよ好きだー!」の声も、胸をキュンと眩しく輝かせた。

【シーン③転機】
コロナ禍でツアーが延期に。「こんなに頑張って覚えて、ライブしてるんだから、私、報われたい」と言葉を漏らすメンバーも。とにかく今は頑張ろうと励ましあうメンバーらのもとへ飛び込んできたのが、「豊洲PITでのワンマン公演が決定」のニュース。会場を埋められるのか不安を覚えながらも、メンバーみんなで「最後まで諦めないで、絶対豊洲PIT埋めようね!」と誓いあっていた。

流れだしたのが、スケール大きな、でも胸をドキワクさせる『アイオケ♪』だ。冒険心も含め、夢に向って胸をときめかせて突き進む心模様を、彼女たちは自分たちの気持ちを輝かせるように『アイオケ♪』に乗せて歌っていた。背景には、過去の映像も投影。胸に不安を抱えながら、それでも夢をつかもうと気持ちを高めてゆく姿や強い決意を、10人は気持ちを鼓舞するような歌声や演奏、パフォーマンスを通して伝えていた。落ちサビからラスサビへ向ってさらに気持ちを高めてゆく彼女たちの姿に振れ、楽団員も一緒に高まる気持ちを実感。終盤には、メンバーらが振り上げた手を揺らして歌う姿に向け、楽団員も同じ動きをしながら心を一つにしていた。
【MC】(豊洲PITのMCとして)
舞台は豊洲PITのライブの終盤時。掲げた1000人動員の目標には届かず、結果は700人に。メンバーらは悔しがりながらも、「でも私たちはまだまだ走り続けます!」と誓いあう。そのうえで告げた全国ツアー、そして日比谷野外音楽堂でのワンマン公演が決定したとの報告。


その嬉しさを胸に歌ったのが、『Yumi Gimme Love』だった。胸がどんどんカラフルに染めあがる。同時に血圧も上昇し、脈拍も高速で鳴りだした。それくらいウキウキした気持ちを、彼女たちは歌声を弾ませ、恋に夢中になってゆく様と重ねて伝えてきた。楽器陣の演奏が、いつも以上にときめいて聴こえる。ときに楽団員と一緒にクラップをしながら、彼女たちはこの場を華やいだ景色に彩ってゆく。そして…。

新たな始まりを予感させるヴァイオリンの演奏からスタート。続く『アイドルイノベーション』では、パワフルかつスケール大きな楽曲に乗せ、メンバーみんな気持ちを前のめりに「暴れまくりたい!」と歌っていた。自分たちでどんどん勝ち抜き、限界を突破してでも未来をつかもうとする彼女たちの気合と気概が、気高く力強い歌声や演奏、パフォーマンスを通して見えてきた。その姿の、なんて凛々しいことだろう。
【シーン④成功】
日比谷野外音楽堂でのワンマン公演を成功に収め、ついに日本武道館へ。「武道館〜!これがアイオケの運命だなんて、諦めずにアイオケを続けて良かった」「こんな素敵な景色が見れて本当に良かったです」「これからのアイオケの未来もパラダイスになりますように」と、10人は日本武道館のステージの上で、満員の楽団員と喜びを分かち合い、共に未来へ 向けて走り続けようと誓い合っていた。



そのうえで、アイオケはこの場を煌めいたパラダイスに染め上げようと『パラダイス未来』を、みんな心を弾ませ、幸せを噛みしめるように。「もっと!未来弾けたい!」と歌っていた。アイオケがつかんだ成功の物語はまだまだ終わらない。これからも続く自分たちの輝く未来へ向けて思いを巡らせるように、10人は歌い奏でていた。横を向いたメンバーらが、前にいるメンバーの肩に手を乗せてサークルを描くように駆けだせば、フロアにも同じ景色が誕生。みんなで心をキラキラとしたパラダイスに染め上げ、素敵な未来が手招いている様をこの場に描きだしていた。落ちサビでは、フロア中にウルトラオレンジのサイリウムの輝きが灯り、未来へ向って走り続ける彼女たちに熱いエールを送り、一緒に声を張り上げていた。フロアで揺れるサイリウムの輝きは、まるで踊っているようだった。
【シーン⑤VR】

ステージの上には、椅子に座り、ゴーグルを装着した新メンバーあこの姿があった。ここまでに描いてきたアイオケの5年間の歩みは、アイドルを擬似体験できるVRゲームであったことを説明。ゲームを体感したあこは、「本当にライブしているみたいにリアルな体験でした。アイドルってキラキラしてるだけじゃなくて、こんなに大変なんですね。でも、すごく楽しかったです!」と述べていた。その言葉を耳にした店員(アイオケのプロデューサー)は、アイオケは実在するグループであることを告げ、「メンバーへ参加しませんか」と、あこに声をかけてきた。その場でメンバーの入りの決まった、あこ。そこへ、アイオケの10人が寄り添いだす。

「あこ、デビューおめでとう。この11人での新たな歩みを信じて頑張りましょう」の声。最後に11人になったアイオケとして、これまでの経験を疑似ではなくリアルな現実にしていこうと楽団員と誓いの約束を交わすように、「輝くステージへ」と声を上げ『Catch the Dream』を歌いだした。さっきまで描いてきたのは、メンバーたちが想像を巡らせた夢物語だったかも知れない。そこには、10人のメンバーが叶えようとしてきた目標が語られていた。その目標を、夢として語った物語を、今度はリアルに変えようと、彼女たちは新しい仲間を迎え入れた11人で「Catch the Dream Just do it! 終わらぬ夢の続きを」と歌い奏でながら、改めてこの場から新しい物語を共に描き出そうと楽団員へ伝えてきた。先の物語を現実にするためのアイオケにとっての6年目の物語は、まさにここから始まった。「さぁ始めよう ここから一緒に行こう!」の言葉(歌詞)を信じて、共に未来へ向かって駆けだしたい。


「今日からきみも楽団員」の声を合図に、アンコールは『今日からキミも楽団員!!』からスタート。曲の中へメンバーの自己紹介も組み入れながら、シャキシャキッと軽快に弾むスカビートに乗せて、メンバーたちがステージの上でサークルを作りながら駆け回れば、みんなで弾けた曲に乗せてわちゃわちゃとはしゃいでいた。理屈なんかすべて消し去って、無邪気にはしゃげばそれでいい。今、この場に必要なのは、アイオケと一緒に青春の1ページを描くこと。「今日から君も楽団員だ!」の歌詞通り、みんなが気持ちを一つに重ね合わせ、「みんなで一緒に i-ok」とはしゃぎ続けていた。

MCでは、この日の物語の台本を、すべて安里唯が手掛けていたことを報告。架空の物語としながらも、中に、実際に体験してききたことを組み込み、シーン②「葛藤」の中、JINは「昨日の対バンのお客さん6人しかいなかったね」と語っていたが、台本には、実際に体験した3人というリアルな数字を書いていたところ、JINがさりげなく人数を盛って語ったことなども伝えていた。さらに、この日より身につけていた新衣装を根本流風がプロデュース。5周年という節目に合わせて、改めて原点に戻ってオースケトラっぽい要素をイメージして衣装を作ったことを報告してくれた。さらに、2026年2月14日に3rdアルバムの発売が決定。それを受けて、全国5大都市ツアーの開催が決まったことを告げていた。

「最高に盛り上がっていきましょう」。最後にアイオケが届けたのが、ベートーベン交響曲第5番「運命」をサンプリングした『戦いのドラム』だ。とてもパワフルに躍動した楽曲に乗せ、メンバーたちが気持ちを熱く燃やし、ときにみんなで肩を組んでヘドバンを行えば、この運命をさらに燃えたてるように「戦え」と叫びながら、腕を振り上げて熱唱してゆく。メンバーらが肩を組み、身体を折り畳めば、フロアでも大勢の人たちが、同じように両隣の人たちと肩を組み、激しく身体を折り畳み続けていた。最後の最後にみんなで全身全霊を打ち込み、5周年を祝うライブは、凄まじい熱狂の景色を描いて幕を閉じていった。

PHOTO:ピエール亀
TEXT:長澤智典
《SET LIST》
- 【オープニングムービー】
- 1.可愛いがPride
- 【シーン①結成】
- 2.#青春1・2・3
- 3.【ご報告】私、食べるのやめます。
- 4.最大級my ラプソディー
- 【シーン②葛藤】
- 5.革命のベルを鳴らせ
- 6.ラブリンチ
- 【シーン③転機】
- 7.アイオケ♪
- 8.Yumi Gimme Love
- 9.アイドルイノベーション
- 【シーン④成功】
- 10.パラダイス未来
- 【シーン⑤VR】
- 11.Catch the Dream
- -ENCORE-
- EN1.今日からキミも楽団員!!
- EN2.戦いのドラム