我を忘れ、ただただ熱狂の虜になれる。その衝撃が欲しくて、こんなにも大勢の人たちがMana Diagramのライブに集まっていた。

元HAGANEのUYU(Vo)とMayto.(Gt)を中心に、爽人-Mint-(Gt)、Yusuke(Ba)、Koki(Dr)の5人が集結。Mana Diagramが始動ライブを行ったのが、昨年の12月22日のこと。あれから半年の歩みを重ねたMana Diagramが、初のワンマン公演「Mana Diagram 1st ONEMAN LIVE-LIGHT OF THE DESTINY-」を6月15日に渋谷CYCLONEで行った。同日には、1stEP『LIGHT OF THE DESTINY』も配信リリース。さっそく、ライブ当日の模様をお伝えしたい。

満員の観客たちでギュウギュウになった場内。開演を前にして、すでに熱気が立ち込めだしている。暗くなるのに合わせて、フロア中から凄まじい声が上がりだす。流れだした荘厳麗美なSEに乗せて、幕がゆっくりと上がる。メンバーらの登場に合わせて起きる歓声とクラップ。一人一人が現れるごとに高まる期待と昂る感情。ドクッドクッと鳴り出した心臓の音。その音が早鐘のように高鳴りだす。そして…。

UYU(Vocal)

しなる鋼を叩きつけるような重厚な音が身体中に響き渡る。UYUの煽る声を合図に、2本のギターが凄まじい勢いでリフを刻みだす。冒頭を飾ったのが、『Path without road』だ。魂を熱く煽る楽曲に乗せ、お立ち台の上で雄々しく声を張り上げて歌うUYUの姿に向け、場内中から無数の拳が突き上がる。間奏では、UYUの煽りへ応えるように、場内中から野太い声も張り上がる。土手っ腹に大きな穴をあける勢いで、ステージの上から砲弾と化した轟音が次々と撃ち放たれる。後半には、UYUの雄々しき声に合わせ、場内中の人たちが張り上げた大きな声で歌っていた。熱情した魂と魂がシンクロする。いや、互いに熱狂のチューニングを合わせ、共に戦う戦士となり、高揚した声と思いを轟音鳴らす五線譜の上で重ね合わせていた。Kokiの叩きつける凄まじいツーバスのビートも、気持ちを熱く熱く掻き立てる。

Mayto.(Guitar)
爽人-Mint-(Guitar)

Mayto.と爽人のギターの音が折り重なりあい、熱狂のファンファーレを奏でだす。その演奏を合図に、さらに勢いを増したビートに乗せて『Glitter wind』が飛びだした。いや、熱狂の嵐を巻き起こすように吹き荒れたと言ったほうが正しいだろう。巧みに転調もしながら、楽曲は激しく、でも、胸を揺さぶるUYUの美歌も重ねあわせ、観客たちの魂を熱く奮わせる。お立ち台の上で、熱狂のコンダクターとなったUYU。彼女の導きに誘われるままに騒ぎ狂えばいい。間奏で見せたMayto.と爽人のギターの掛け合いやハモる演奏が、理性の留め金を壊し、観客たちを野獣に変えてゆく。だから狭い空間の中だろうと、大勢の人たちが腕を振り上げ、熱狂に身を捧げていた。終盤には、観客たちもシンガロング。ともに極彩色の熱狂の風を、この空間に吹かせ続けていけ。

Yusuke(Bass)
Koki(Drums)

「今 掴むよget me shine」とUYUが歌いだすのを合図に、凄まじい衝撃を与えるようにMana Diagramは『SHOCKS –衝撃-』を叩きつけた。アタックの強いビートへ感情を重ねるように観客たちも身体を折り畳む。UYUの振り上げる拳に向けて、場内中から突き上がる拳・拳・拳。理性をぶっ壊す衝撃に身を任せた観客たちの放つ熱気により、場内がどんどんサウナ化してゆく。その熱さえもむさほり喰らいながら、5人は胸を熱く揺さぶる音の衝撃を次々と生み出していった。後半には、孤高の戦う歌姫と化したUYUへ向けて多くの拳が突き上がる。この衝撃、もっともっと全身へ喰らい続けていたい。

「M.D.M」と熱狂の声を上げる観客たち。UYUのテンションも、とにかく高い。その気迫が、さらに観客たちの感情のアクセルを踏み込む力になる。

次のブロックは、最新作に収録した楽曲たちを中心に演奏。「M.D.M」と叫ぶUYUと観客たち。そのやりとりをきっかけに楽曲が飛びだした。

「繋がれジオメトリー 開かれたこの神話を」と歌いあげるUYUの声をきっかけに始まったのが、『ジオメトリック』。身体をつんざく轟音の洗礼を浴びせつつ、その楽曲の上でUYUが朗々と、でも魂を熱く揺らすエモい歌を響かせていた。重く重く、鋼を叩くような激烈な音が次々と身体へ襲いかかる。豪傑な音の上で、雄々しく歌いあげるUYU。間奏では、UYUが「M.D.M」と記した大きな団扇を振り翳す様も登場。Dメロでは美しく壮麗な世界も描きつつ、この曲の間中Mana Diagramはエモくも激烈な衝撃を与え続けていった。

カオスな音を鳴らしながら回り続ける錆びれたメリーゴーラウンド。その空間は、悲劇に襲われ、哀しみに包まれた世界のようにも見えていた。Mana Diagramは『ワールズエンド・シーン』を通し、荒廃した世界の中、思い出となった君へ祈りを捧げるように歌い奏でていた。ミドルヘヴィな演奏の上で、祈りを捧げるように歌いあげるUYUの姿が美しく煌めいて見える。その姿は、荒廃した世界の中で輝く希望のよう。演奏陣も、黒い音の絵筆で重厚なドラマを描くように、荒涼とした世界へ次々と悲哀の色を塗り重ねる。嘆くように歌うUYUの歌声やその姿を、ずっと追いかけたい。2本のギターの音が交錯するたびに、心がむせび泣く。

Kokiの猛々しくも高速なドラムビートに乗せて飛び出した『新曲1』。とても攻撃的な楽曲だ。この曲では(仕込んだ)パリピなギャルボイスも巧みに用いながら、胸の内で錯綜する思いを感情的な歌声を通して響かせていた。ときに2本のギターが美メロなリフで盛り立てる。Dメロでは美しくも切ない表情へと転調。そこからさらに感情の琴線を激しく震わせ、触れた人たちの心を痛く揺さぶる歌と演奏を5人は突きつけていった。

中盤のブロックでは、演奏陣の魅力をピックアップ。まずはKokiの猛々しいドラムソロが登場。止まることなく手数足数多く叩きつける音に、熱狂の声を返す観客たち。巧みに緩急をつけたドラマを描きだすところも冴えた展開だ。凄まじいツーバスのビートにあわせて、場内中の人たちも声を荒らげ続ける。

一瞬のブレイク。ふたたび凄まじい勢いでビートを叩き出すドラムに合わせ、演奏陣が攻撃的な音を重ねだす。クリーンなカッティングからの高速タッピング、フルピッキングで攻める爽人。対してMayto.はメロディアスで感情を音に込めたギタープレイを展開。2人のギタリストの掛け合う様は、まさに感性のままに音を闘わせるセッション演奏ならではの醍醐味だ。この曲では、2人のギター陣のみならず、リズム隊にもしっかりスポットを当てていたのも嬉しい。Yusukeが鳴らす歪んだベースは巧みに印象深いメロを刻み、セッションは進んでゆく。

Kokiのドラムカウントを合図に、Mayto.と爽人のギターが掛け合えば、舞台へ姿を現したUYUがふたたび観客たちを煽りだす。UYUと観客たちによる「Oi!Oi!」と熱い声を掛け合うバトルが勃発。熱いやりとりを合図に飛び出したのが、『Jump Again!!』。楽曲が始まるのに合わせて満員の観客たちがその場で飛び跳ね、思いきり両手を打ち鳴らす。Mana Diagramの熱い導きへ身を任せた満員の観客たちが、腕を高く振り上げ、その場で跳ね続ける。巧みに転調し、華烈な衝撃を突きつけ、UYUが腕を振り上げて煽るたびに、場内のあちこちから「Oi!Oi!」と熱い声が張り上がる。重厚なダンスロックのような表情も見せながら、荒ぶり跳ねた演奏に乗せ、誰もが「Oi!Oi!」と絶叫を上げ、ときに頭を振りつつも飛び跳ね続けていた。最後に全員がしゃがんで、「せーの」でジャンプをしてシメる、その一体感も最高で最強だ。

MCでは、UYUが仲間についての思いを語りだす。「叶えようぜ永遠の夢を」。UYUの歌を合図に始まったのが、仲間をテーマに作った『新曲2』。歌詞に熱い思いを込めた、とてもメッセージ性の強い、いや、人の感情を熱く揺さぶり、共感と共鳴の思いを呼び起こすヘヴィ&エモーショナルな楽曲だ。サビ歌でUYUと観客たちが、振り上げた手をともに大きく左右に振りながら、胸をエモく揺さぶる歌に気持ちをハモらせていた。この曲、一緒にシンガロングしたくなるとても激しくもドラマチックな楽曲だ。まるで映画のクライマックスやエンディングで興奮と感動を覚えながら、一緒に泣いて歌い上げたくなる楽曲だ。

「ララララーラーラ」と美しくも胸を揺さぶるUYUのアカペラが響き渡る。いつしかそこへ満員の観客たちも加わり、「ララララーラーラ」と美しくも野太い合唱を作りあげていた。「その手で人生を切り開け」。Mana Diagramが最後に叩きつけたのが、新曲の『FUKANZEN-GO MY WAY!!』。魂を熱く鼓舞するハード&エモーショナルな楽曲だ。高らかに歌いあげるUYUの歌声へ興奮を覚えた観客たちが高く拳を突き上げ、熱狂の思いをぶつけ返す。今にもフロアへ飛び込まんばかりの姿で、熱情した思いを高らかに歌い続けるUYU。その姿と荒ぶる激しい演奏に触発された観客たちが興奮の声を上げ、拳を突き上げる。そこに生まれていたのは、凄まじい一体化した熱狂と興奮と高揚した景色。この曲を胸に掲げ、Mana Diagramと一緒に独自の道を切り開きながら突き進み続けたい。そんな衝動を与える、最高に胸を熱く高ぶらせるエモい高揚曲だ。

場内中から響き渡る「M.D.M」の大コール。アンコールでふたたび演奏をしたのが、『Glitter wind』。この曲の間は動画撮影がOKとのことで、胸を熱く揺さぶるエモ&メロな楽曲に興奮を覚えながらも、大勢の人たちがスマホのカメラを舞台に向けていた。もちろん、撮影に興味を示すことなく頭を激しく揺さぶり熱狂してゆく人たちもいた。『Glitter wind』、一緒にシンガロングしたくなる、超エモい歌系楽曲だ。だから、この曲に触れている間中ずっと嬉しいくらいに涙腺が刺激され、気持ちが奮い立っていた。たとえ初見でも、触れた人たちの胸を揺さぶる最高にエモい楽曲だ。

「日頃の辛いことも全部ここにぶつけてくれよ、ここに衝撃を」。最上級の衝撃を与えるように、Mana Diagramが最後に叩きつけたのが『SHOCKS –衝撃-』だ。UYUの熱い熱い誘いへ導かれるように、場内中の人たちが野太い声を張り上げ、感情を剥き出し、5人と魂と魂をぶつけあう最狂の景色を作りあげていた。我を忘れ、ただただ熱狂の虜になれる。その衝撃が欲しくて、こんなにも大勢の人たちがMana Diagramのライブに集まっていた。その衝撃、ここからさらに大きな広がりを描いていきそうだ。

TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.Path without road
  2. 2.Glitter wind
  3. 3.SHOCKS -衝撃-
  4. 4.ジオメトリック
  5. 5.ワールズエンド・シーン
  6. 6.新曲1
  7. ドラムソロ~インストセッション
  8. 7.Jump Again!!
  9. 8.新曲2
  10. 9.FUKANZEN-GO MY WAY!!
  11. -ENCORE-
  12. EN1.Glitter wind
  13. EN2.SHOCKS -衝撃-

Mayto. (Guitar)使用楽器・機材紹介


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