これぞ、Damian Hamada’s Creaturesが提唱する魔力の効いた魔界のヘヴィメタルだ。
Damian Hamada’s Creaturesが6月に行った全国ツアー「Damian Hamada’s Creatures 魔界小学校 修学旅行~魔界巡礼~」。その公演の中から、6月8日にZepp Shinjukuで行われたライヴの模様をお伝えしたい。
「D.H.C.」コールが666デシベルへ到達したところで流れだした、荘厳な『聖詠』(SE)。厳かな儀式の始まりに合わせて、改臟人間(メンバー)らが次々と祭壇(舞台)へ姿を現した。KAZAMIクロウリー(Drums)の打ち鳴らした銅鑼の音を合図に切っ先鋭いギターのリフが身体を貫く。荒ぶる『審判の日』に乗せ、シエル伊舎堂(Vocal)がお立ち台の上に足を乗せ、雄々しく声を張り上げる。魂を熱く揺さぶる幕開けだ。豪快に攻めるリズム隊の演奏の上で、理性の襞を鋭いギターのリフメロが次々と切り裂く。重厚かつ荘厳な音を背景に、シエル伊舎堂が自信に満ちあふれた声で力強く歌っていた。その気迫漲る声に魂が奮い立つ。間奏では、RENOファウスト(Guitar)とアックスKAZUMA(Guitar)が左右のお立ち台へ飛び乗り、華麗に、でも、これまで以上に激しいリフを切り刻む。感情を揺さぶるツインギターのプレイも挟みながら、楽曲はどんどん熱を高め、この空間を魔界に染めあげてゆく。
さぁ、天高いその地へ勢いよく駆け上がれ。2本のギターが勇壮な旋律を鳴らすのに合わせ、『Babel』がこの場を熱狂の闘技場へ染めあげた。切ない歌なのに、楽曲は魂を奮い立てる。だからフロア中のファン、信者たちも、スケール大きく雄々しい楽曲に感情を揺さぶられるように、高く高く拳を振り上げていた。RENOファウストとアックスKAZUMAの炎の旋律を次々と突き刺す演奏も、気持ちを騒がせる。KAZAMIクロウリーのドラムも凄まじい勢いでビートを叩きつければ、フロントに進み出たリリス一ノ瀬(Bass)も前のめりの姿勢で土手っ腹を揺さぶる重低音を奏でる。何より、シエル伊舎堂の雄々しき絶叫が、本気で魂を高ぶらせた。
次のブロックは、『悪の華』よりスタート。激しさと華やかさを交錯しながら、この場に絢爛華劇な音が飛び交う様を描きだす。シエル伊舎堂は、触れた人の心を歌で揺らす。胸を揺さぶる声に気持ちが惹かれ続けながらも、重低音でリフを刻み続ける楽器陣の音に刺激を受け続けるからこそ、拳を突き上げずにいられなかった。2名のギター陣は、どの曲でも粒だった綺麗な音色を荒々しく重ね合わせる。タイトなKAZAMIクロウリーのドラムの演奏と、その上でしっかりと土台を支えるリリス一ノ瀬のベース音も印象深い。だからこそシエル伊舎堂も、ときに身体を折り曲げ、堂々とした姿で歌声を響かせていた。
RENOファウストの4本の指がフレットの上を凄まじい勢いで駆けだした。その手が次々と轟音のリフを刻みだす。その音をリレーするようにアックスKAZUMAも轟音なリフを刻む。その後も、RENOファウストとアックスKAZUMAは互いに己のプレイを誇示し、鼓舞するように演奏。最初は掛け合っていた2名だが、いつしか一緒に音を重ねだし、激音のハーモニーを描き出す。その様をKAZAMIクロウリーがシンバルを鳴らして煽りだした。そして……。
演奏は、ゴシック/ダーク/メタルな色彩を重ね合わせた『Walküre』へ。荘厳シンフォニックかつゴシックロックな様相も見せながら、楽曲は黒い交狂曲と化し、場内にいるファン、信者たちを暗黒の儀式の中へと呼び入れ、頭を上下に揺さぶりだした。雄々しくも暗黒な要素を抱いた荘厳な音の上で、司祭と化したシエル伊舎堂が勇ましい姿で、思いを唱えるように歌っていた。天を高く見据えながら、祈るように言葉を響かせるシエル伊舎堂の姿が神々しい。彼女の勇ましい感情を、楽器陣が、黒い唸りを上げる演奏で支え続けていた。
KAZAMIクロウリーの奏でる切々としたピアノの音色が美しく、でも、悲壮さを持って流れだす。そこへRENOファウストのギターが静寂を切り裂くように、豪快かつ重厚なリフを刻みだす。飛びだしたのが、ミドルヘヴィな『Eternal Sinner』だ。揺れ動く心の物語を語るように歌うシエル伊舎堂の姿は、やはり神々しい。彼女の歌へ寄り添うようにリフメロを奏でる楽器陣。情緒的な、いや、とても情感あふれる楽曲だ。荒ぶる演奏で激しく心を揺さぶる。胸を揺らす漆黒かつ悲哀な物語が、そこには描きだされていた。
荘厳シンフォニックな音色が流れだす。すかさずそこへ、轟音の洗礼を浴びせようと、Damian Hamada’s Creaturesは重厚な演奏を重ねだした。野太い音を、いや、轟音を吐き出しながら、5名は『夢幻の扉~The Darkest Hope~』と題した組曲を創りだす。一つの物語を描くように突き進む演奏へ向け、大勢の観客たちが突き上げた黒い拳を振り、共に物語へ彩りを与えていた。この曲でも、次々と表情を変えながらドラマチックにリフを刻む2本のギターの演奏が印象的だった。その横で、リリス一ノ瀬が身体を揺さぶりながら演奏していた。曲が進むごとに、勇壮なドラマはさらにスケール大きく膨らんでゆく。
Damian Hamada’s Creatures
第V大聖典『最後の審判』
魔暦26年(2024年) 4月24日発表
完全生産限定盤(CD+フォトブックレット) BVCL-1404~5 3,300円(税込)
01.審判の日
02.美女と魔獣
03.Black Swan
04.G 戦場のマリア
05.天空の放浪神
06.Gates of Hell
07.Crimson Earth
フォトブックレットには魔暦25(2023)年に開催した『地球魔界化計画』TOURのライヴ写真を収録!
https://va.lnk.to/KgXTDh