奈落へ突き落とすような荘厳ファンファーレ曲『魔王凱旋』に乗せて、ギターを携えたダミアン浜田陛下が姿を現した。陛下は、真ん中のお立ち台に立ち、手にしたギターで魂を揺さぶるリフを響かせる。ここから新たな物語を描きだすように、胸を揺さぶる激メロな旋律を、ダミアン浜田陛下は次々と奏でだす。そこへ、他の楽器陣も参加。その演奏はいつしか『天使と悪魔の間に』へと進化。語り部と化したシエル伊舎堂が言葉のひと言ひと言を大切に、物語を語るように歌っていた。その声へ寄り添うように、楽器陣が勇壮かつ魂を揺さぶる交狂曲を轟かせる。次々と転調を繰り返しながら、その演奏は聖なる戦いへ向けて気持ちを揺さぶり、鼓舞するような様も見せていた。 シエル伊舎堂の歌を先導に、共に拳を突き上げ、魂を熱く滾らせながら、Damian Hamada’s Creaturesが奏でる楽曲へ身を預け、これから先に待ち受けている熱狂の地へ向けて進撃し続けようじゃないか。
MCでは、さっそくダミアン浜田陛下が言葉の銃弾を次々とマシンガンで撃つように語りだす。とても蘊蓄の多いメンバー紹介を含めて語った内容は、ライヴに来た人たちだけの楽しみにしておこう。
次の楽曲は撮影可能ということから、大勢の人たちが舞台に向けてスマホを向けていた。荘厳シンフォニックな聖なるクワイアが鳴り響き始まったのが、『美女と魔獣』。3本のギターの音が交錯しながら、楽曲を華激に彩りだす。シエル伊舎堂は、一人の女性の情熱的な心模様を歌声の絵筆を通して描きだすように、雄々しくも抑揚した声で歌っていた。途中には、ダミアン浜田陛下の歪むギターソロも登場。華麗に舞い踊る調べを盛りたてるように、RENOファウストとアックスKAZUMAもダミアン浜田陛下の演奏を追いかけるようにプレイ。さらにリリス一ノ瀬も、音を寄り添えていた。1曲の中で、巧みに変幻するドラマを描きながら、Damian Hamada’s Creaturesは情熱的な物語をこの場に描きだしていった。
MCでは、ダミアン浜田陛下とシエル伊舎堂が行っているFM NACK5のラジオ番組について語りだす。その中で披露している邪悪な言葉を陛下が叫ぶ「地獄叫び」のコーナーをピックアップ。ダミアン浜田陛下が叫んだのが、「RENOよ、アックスよ、リリスよ、ありがたく思え。ギターとベースの弦をすべて有刺鉄線に交換してやったぞ」。その言葉を聞いて、3名がしどろもどろで返答していた。さらに、「KAZAMIとシエルよ、本日のアンコールでは『審判の日』を6回連続で演奏だ」とも叫んでいた。
いつしかシエル伊舎堂が魔界のバスガイドに変貌。後半を彩ったのが、魔界修学旅行の巡礼の地だからこそ用意された『魔界美術館』。心を恐怖で包み込む音色が流れだす。KAZAMIクロウリーのドラムカウントを合図に、場内に響き渡った黒いクワイア。その合唱へ導かれるように魔界の歌姫ことシエル伊舎堂が、この場にいるファン、信者たちを見てはいけない異形や異物が陳列された館へと招き入れた。ファン、信者たちは、Damian Hamada’s Creaturesの黒い音の誘いへ手招かれるままに、まるでホラーハウスを彷徨うような恐怖と高揚を覚えながら、舞台の上の6名へ向けて高く上げた手を揺らし、禍々しい展示物の数々に目を凝らしては、興奮を覚えていた。
陛下が去った舞台。ふたたび5名になったDamian Hamada’s Creaturesは熱狂の宴を創りだそうと、これまで以上に攻撃的な音を殴りつけるように『Tempest』を突きつけた。轟音唸らせるヘヴィメタルの洗礼を浴びせるように、演奏陣が凄まじい勢いを持ちながらも、魂を揺さぶるリフメロを次々と刻みだす。ギサギサの牙を剥きだした演奏の上で、シエル伊舎堂も高圧的な歌声の礫を次々と投げつけていった。その雄々しき姿に向け、場内中のファン、信者たちが拳を突き上げ、陛下、メンバーらと一緒に身体を折り曲げていた。
Damian Hamada’s Creaturesが最後に叩きつけたのが、『The Beginning of the End』。これまでの中でもとくに攻撃的かつ超速な楽曲だ。シエル伊舎堂と竿隊全員が舞台の最前線まで踊り出て、ファン、信者たちを激しく煽る。その衝撃を全身に浴びながらも、その衝撃を興奮の礫にして、場内中のファン、信者たちが5名へ投げ返す。そこに生まれていたのは、互いに熱狂と興奮をむさぼり喰らうバトルだ。この場にいるすべての魔界人どもが、本能へ突き動かされるままに暴れ狂う。でも、それが欲しかった。なぜなら、それこそがDamian Hamada’s Creaturesのライヴの真髄なのだもの。
止むことなく響き渡る「D.H.C.」コール。アンコールは、RENOファウストの奏でる切々とした悲哀の旋律から幕を開けた。そこへ、アックスKAZUMAも同じように悲壮な旋律を重ねだす。一瞬のブレイクの後、演奏は荒ぶる感情の牙を一気に剥きだした。その演奏へ導かれるようにシエル伊舎堂が舞台に姿を現し、これまで以上に雄々しき姿と声で『天空の放浪神』を熱唱。熱狂を巻き起こす戦いの美神と化したシエル伊舎堂の歌声が、ファン、たちの魂に火をつける。強靱な鋼のように攻撃的な演奏に刺激を受けたファン、信者たちが、高く高く拳を突き上げて暴れ狂う。いつしかリリス一ノ瀬も、中央のお立ち台に乗ってファン、信者たちを煽りだす。これぞ、Damian Hamada’s Creaturesが提唱する魔力の効いた魔界のヘヴィメタルだ。魂を熱く熱く揺さぶり、理性をすべて綺麗に消し去り、魂を野獣に変えてゆく。その姿でいることが、ここに居るのに相応しい。
「私たちは今日死ぬ気です」のシエル伊舎堂の言葉が熱い。次に奏でたのが、シエル伊舎堂のための応援歌としてダミアン浜田陛下が作りながらも、今やDamian Hamada’s Creatureからファン、信者へ向けた応援歌として奏でている『Black Swan』。KAZAMIクロウリーの鍵盤が奏でる美しく静謐な音色に乗せ、シエル伊舎堂が思いを紡ぐように歌いだす。やがてドラムカウントを合図に、楽曲は漆黒の輝きを放つ攻撃的な姿に変貌。感情を揺さぶる激しさを持ったシエル伊舎堂の歌声に、気持ちが浄化されるような感覚を抱く。黒い白鳥というタイトルに相応しい、気高さの裏に隠されたどろどろとした熱い感情や、苦難や苦悩の上で輝く美しさを魅せる楽曲だ。だからこそ大勢のファン、信者たちが、舞台の上からあふれでる思いの数々を伸ばした手でしっかりとつかんでいた。
ふたたび、ダミアン浜田陛下が降臨。「死ぬ気で超えますか!!」と叫ぶシエル伊舎堂の言葉を合図に、Damian Hamada’s Creaturesが最後に奏でたのが、『嵐が丘』だ。この曲に触れている間中、この会場には熱狂と熱情、興奮と高揚という名の嵐が吹き荒れていた。舞台の上では、メンバーたちが互いに顔を見合せ、笑顔で絡みあい、ここに熱狂の嵐を巻き起こしていることへ喜びを覚えていた。シエル伊舎堂も感情を奮い立て、雄々しく歌い上げる。間奏では、ダミアン浜田陛下の存在感あふれるソロ演奏も登場。いつしか3名のギター陣の演奏をかけあうバトルに変貌。そこへしっかりとリリス一ノ瀬も絡みあう。まさに6名の魔界の戦士たちによる魔力によって、この場が赤黒い至高の宴の場に染め上がっていった。その宴に触れられたことが、無上の喜びだ。
TEXT:長澤智典
PHOTO:山田晋也
《SET LIST》
- 0.聖詠(SE)
- 1.審判の日
- 2.Babel
- 3.悪の華
- 4.Walküre
- 5.Eternal Sinner
- 6.夢幻の扉~The Darkest Hope~
- 7.魔王凱旋~天使と悪魔の間に
- 8.美女と魔獣
- 9.魔界美術館
- 10.Tempest
- 11.The Beginning of the End
- -ENCORE-
- EN1.天空の放浪神
- EN2.Black Swan
- EN3.嵐が丘
Damian Hamada’s Creatures
第V大聖典『最後の審判』
魔暦26年(2024年) 4月24日発表
完全生産限定盤(CD+フォトブックレット) BVCL-1404~5 3,300円(税込)
01.審判の日
02.美女と魔獣
03.Black Swan
04.G 戦場のマリア
05.天空の放浪神
06.Gates of Hell
07.Crimson Earth
フォトブックレットには魔暦25(2023)年に開催した『地球魔界化計画』TOURのライヴ写真を収録!
https://va.lnk.to/KgXTDh