マルチな才能を開花させ、活躍の場を広げている今注目の若手バイオリニスト石井智大(いしいともひろ)。自身と楽器の関わりやバイオリニストとして追求する試行錯誤の音楽の過程、そしてそれらを経て1月10日(火)新宿PIT INNにて披露された『糸と結晶』公演について話を聞いた。

ー自らレーベルを立ち上げてCDをリリースするコンポーザーとしての活動、そして近年ではビオラやチェロの演奏も積極的に展開している石井さん。マルチパフォーマーという言葉がピッタリな印象を受けますが、そもそもバイオリンや他の楽器との出会いは何歳頃だったんですか?

石井智大(以下、石井):バイオリンを始めたのは4歳の頃です。それから長い間バイオリン一筋でしたが、大学生になる頃にDTMによる作曲をし始め、シンセサイザーやエレキギターなども触るようになりました。しかし大学を卒業してから作曲面では生音を扱うことの方が多くなっていき、自分が得意な弦楽器の幅を広げようと思い、ビオラとチェロも弾くようになりました。

ーエレキバイオリンも巧みに扱っていらっしゃいますが、シンセサイザーやエレキギターといったところにもルーツがあるのですね。これまでの経験を踏まえたプライベートレッスンも開講されているとお伺いしました。

石井:幼少期から国内外で培ってきたバイオリンのテクニックはもちろん、とりわけ楽器を演奏することに対しての「考え方」を重視してレクチャーしています。
バイオリンはジャンルを問わず「音色」が命の楽器です。それぞれジャンルに合った奏法はありますが、楽器を鳴らすという点では、基礎的なテクニックは同じなんです。

ークラシック、ジャズ、そしてエフェクターを取り入れたエレキバイオリンもレッスンして下さるんですね。エレキバイオリンを現役のプロミュージシャンから習える機会は本当に少ないのでとても貴重かと思います。

石井:クラシックでは初級者上級者関係なく「バイオリンを弾く」という固定観念をガラッと変え、ワンランク上の音色と表現を追求していきます。

ジャズバイオリンのレッスンでは、ハーモニー、スケール、インプロヴィゼーションの方法、そして特にジャズバイオリン特有のボウイングの問題についてレクチャーしています。日本でジャズバイオリンと言うと、Stéphane Grappelliのようなジプシー系の演奏をイメージしがちですが、僕が影響を受けたのは、日本ではまだあまり知られていないZbigniew Seifertをはじめとした、ポーランドのジャズバイオリンや、ヨーロッパや日本のフリーインプロヴィゼーションです。バイオリンで未知の世界に一歩足を踏み入れてみたい方、ぜひ一緒に音を出しましょう。

また、エフェクターやエレキバイオリンを使ってのレッスンもできます。エレキパフォーマンスはまだまだ人口が少なく感じますので、楽器やエフェクターについてもご相談に乗れると思います。ルーパーを使ったソロパフォーマンスなども奥が深く魅力的ですね。

取材・文:廣瀬航

石井智大 使用楽器・機材紹介


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